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ハルカとの再会(番外編)
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何かに逃げるように親と地元を離れて、勝手に結婚して勝手に女に浮気された勇太はもう一度、みんなに会いたいと思った。
まずは親だ。
身勝手な話だが謝るしかないと勇太は思った。
ずっとずっと自慢の兄と比べられて育ち、勇太がどんなに頑張っても、周囲から頼られ信頼される仲間がたくさんいても、親の勇太への評価が兄を越すことがないとはっきりと分かってしまった時、勇太は自分のこれまで培って来た”キャラクター”……要するにキャラと呼ばれるものから、急に逃げたくなった。
周囲からの暑い人望。頼られる存在。
それは本当に勇太が心の底から欲しかったものか、分からなくなってしまった。親の視線を自分に向けるためだけの可哀想なパフォーマンスだったのではないか?と沸々として疑問が蓄積し、あの女と出会った夜に自分語りの最中で溢れてで、
誰のことも考えすぎに好き勝手に生きる!という今まで勇太には持ち合わせてなかったキャラを女との激しいセックスの中ではじめて解放させた。
初めは良かったが、勇太の根はやはり真面目で優しさに満ちていて、不倫した女を責めることは出来ず、最後まで中途半端なキャラのまま、結婚生活は幕を閉じた。
勇太は親に土下座して謝罪し元の自分に戻ろうと思った。親は最初こそふざんけなっ!という感じだったが、勝手にいなくなってしまった勇太のことを心配してない訳なかった。
ぎこちなさとわだかまりが完全に解消された訳でもないが勇太は再び実家の敷居をまたぐことが許された。
実家は小さいながらも雑貨店を営んでおり、跡を継ぐはずだった兄が大学と留学を経て大手企業に就職してしまうと、跡取りがいないことに少なからず不安を覚えていた両親にとって、勇太の出戻りのタイミングが良かったともいえた。
そんなこんなで勇太は久しぶりに地元に帰ってきたが、帰ってくるなり早々、勇太の母親が”女に逃げられ帰ってくるうちのバカ息子っ!”と言いふらされていたために(なんてことをっ!)
友人たちから”女に捨てられた勇太”といじられた。ああ泣きたい……。たくさんのLINEも届き、女に捨てられた経緯をみんな興味津々で聞きたそうだった。飲もう!とか奢るぜ!とか絶対に100%罠なので、それらの誘いを一切断って、親の雑貨屋を継ぐべく店番を任される日々となるはずだったが…………
店番の休憩中に飲み物とお菓子を買おうとスーパーに行った時、レジに見知った顔を発見した。
ショートカットに黒髪の姿のハルカだった。あまり髪の毛が短いイメージがなかったせいで一瞬、ハルカだと分からなかったがあの容姿はハルカだ。ボーイッシュな姿もハルカは美人だった。久しぶりに会えて勇太の胸は少年が恋したかのように高鳴った。
ハルカに声をかけるとハルカはとても驚いていた。ハルカには勇太が女に逃げられて帰郷してきたバカ息子ストーリーの噂が耳に入ったないんだろうか?
短い会話のやり取りのあと勇太はふと疑問に思い、疑問に思ったことをついそのまま口に出してしまった。
ハルカがレジ打ち?らしくないね?
都会はどうしたの?
そんな風な質問を勇太がした時、ハルカの表情がはっきりと曇った。会えないと思っていたハルカに会えて、舞い上がって仕事中だというのに会話してしまったのが、気に障ったのだろうか?
ーーーーーーーーー
勇太は自分の店には戻らず、一度家に車で戻ると母親にハルカのことを聞いてみた。身内の情報もあれこれ周囲に吹き込む勇太の母は近所でも噂好きなので、何か知ってるかもしれないと思った。
母親は「ああぁ。ハルカちゃんね。可哀想にね。何があったのかは知らないけど。ここに戻ってきた時は人が変わったみたいにやつれていたよ。まるでゾンビみたいだったよ。ふらふらしながら散歩していたこともあったし。その頃に比べればだいぶ良くなったけど、あれは余程、都会で嫌なことがあったんだよ。あんた、デリカシーのない質問してないだろうねっ!?そんなことしちゃダメだよ。昔の慣れでヘラヘラ聞くような質問はしないようにね!」
とまぁまぁ長い話をされて「もうヘラヘラした質問しちゃったかも。」と勇太が発言したところで母親にブチギレされ、ひとまずよく分からないまま、勇太はハルカを待ち伏せして謝ろうと思った。
ハルカがゾンビみたいだったって?にわかには信じられないな。ちょっと美人だから周囲から浮いてる気もしなくはないが、スーパーのレジ打ちはきちんとやれていたぞ……と思う勇太だった。
ーーーーーーーー
ハルカを待ち伏せしてハルカとよく行った公園に2人で歩いた時、勇太は帰ってきて良かったなと思った。ハルカにどんな事情があったにせよ。また会えた。出戻り組みたいな感じで仲良くできるといいな……と勇太は思い、
公園のベンチに座りハルカに今日のスーパーでの勇太の発言を謝った。ハルカに何があったか知りたくないと言ったら嘘になる。でもきっとハルカは何も悪いことなんてしてないだろう。俺みたいに自業自得だった訳じゃないはずだ。それなのに俺は……好きで戻ってきた訳ではないだろうにハルカに無神経な話し方してしまったなと勇太は反省し、謝罪した。
ハルカは気にしてないようだったが昔に比べると……ほんと元気ないな?……と勇太は感じた。何か……。勇太の知らない何かがある。壁のような何かが勇太とハルカの間に挟まっている気がして、勇太は手を伸ばしその見えない壁をどけるように、ハルカの短くなった髪の毛にポンポンと触れた。
「イヤーーーーッ!」
とハルカは叫び出し、頭を抱えてしゃがみこんでしまった。勇太はハルカの豹変ぶりに困惑し、これはっ!これはっ!俺のせいだっ!やっちまったっ!俺っ!とにかくハルカのおばさんを呼んで来ようと0.03秒ぐらいで結論を叩き出すと、
勇太は走ってハルカの家に行き、ハルカの母親に事情を伝えて一緒にハルカのところに行ってくれた。
ハルカは公園の地面に震えながら丸まっていた。何か小さくつぶやいている気がする。
「る、ゆ、ゆる、許して、許して、る、ゆる、ゆる、して、く、くださ、い、もうや、やめ、やめて」
と頭を抱えて丸まってるハルカがそう震えながら、そう呟いてるのを勇太は聞いて、勇太の想像をはるかに上回ってハルカが精神的に追い詰められているのを感じた。
一体何があったのだ。ハルカに。
ハルカをこんな風に怯えさせたのは誰だ。
今は勇太がきっかけでハルカの恐怖の蓋が開いてしまったみたいだが、ハルカの体に恐怖を刻んだヤツが絶対にいるはずだと勇太は思った。
「勇太くんありがとう。もう大丈夫だから。勇太くんは先に帰って、ハルカもね。きっと勇太くんにはあまり見られたくないと思うんよ」とハルカの母親にそう言われ、勇太は渋々帰ることにするが………
勇太はハルカのことが心配で心配で仕方なかった。
まずは親だ。
身勝手な話だが謝るしかないと勇太は思った。
ずっとずっと自慢の兄と比べられて育ち、勇太がどんなに頑張っても、周囲から頼られ信頼される仲間がたくさんいても、親の勇太への評価が兄を越すことがないとはっきりと分かってしまった時、勇太は自分のこれまで培って来た”キャラクター”……要するにキャラと呼ばれるものから、急に逃げたくなった。
周囲からの暑い人望。頼られる存在。
それは本当に勇太が心の底から欲しかったものか、分からなくなってしまった。親の視線を自分に向けるためだけの可哀想なパフォーマンスだったのではないか?と沸々として疑問が蓄積し、あの女と出会った夜に自分語りの最中で溢れてで、
誰のことも考えすぎに好き勝手に生きる!という今まで勇太には持ち合わせてなかったキャラを女との激しいセックスの中ではじめて解放させた。
初めは良かったが、勇太の根はやはり真面目で優しさに満ちていて、不倫した女を責めることは出来ず、最後まで中途半端なキャラのまま、結婚生活は幕を閉じた。
勇太は親に土下座して謝罪し元の自分に戻ろうと思った。親は最初こそふざんけなっ!という感じだったが、勝手にいなくなってしまった勇太のことを心配してない訳なかった。
ぎこちなさとわだかまりが完全に解消された訳でもないが勇太は再び実家の敷居をまたぐことが許された。
実家は小さいながらも雑貨店を営んでおり、跡を継ぐはずだった兄が大学と留学を経て大手企業に就職してしまうと、跡取りがいないことに少なからず不安を覚えていた両親にとって、勇太の出戻りのタイミングが良かったともいえた。
そんなこんなで勇太は久しぶりに地元に帰ってきたが、帰ってくるなり早々、勇太の母親が”女に逃げられ帰ってくるうちのバカ息子っ!”と言いふらされていたために(なんてことをっ!)
友人たちから”女に捨てられた勇太”といじられた。ああ泣きたい……。たくさんのLINEも届き、女に捨てられた経緯をみんな興味津々で聞きたそうだった。飲もう!とか奢るぜ!とか絶対に100%罠なので、それらの誘いを一切断って、親の雑貨屋を継ぐべく店番を任される日々となるはずだったが…………
店番の休憩中に飲み物とお菓子を買おうとスーパーに行った時、レジに見知った顔を発見した。
ショートカットに黒髪の姿のハルカだった。あまり髪の毛が短いイメージがなかったせいで一瞬、ハルカだと分からなかったがあの容姿はハルカだ。ボーイッシュな姿もハルカは美人だった。久しぶりに会えて勇太の胸は少年が恋したかのように高鳴った。
ハルカに声をかけるとハルカはとても驚いていた。ハルカには勇太が女に逃げられて帰郷してきたバカ息子ストーリーの噂が耳に入ったないんだろうか?
短い会話のやり取りのあと勇太はふと疑問に思い、疑問に思ったことをついそのまま口に出してしまった。
ハルカがレジ打ち?らしくないね?
都会はどうしたの?
そんな風な質問を勇太がした時、ハルカの表情がはっきりと曇った。会えないと思っていたハルカに会えて、舞い上がって仕事中だというのに会話してしまったのが、気に障ったのだろうか?
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勇太は自分の店には戻らず、一度家に車で戻ると母親にハルカのことを聞いてみた。身内の情報もあれこれ周囲に吹き込む勇太の母は近所でも噂好きなので、何か知ってるかもしれないと思った。
母親は「ああぁ。ハルカちゃんね。可哀想にね。何があったのかは知らないけど。ここに戻ってきた時は人が変わったみたいにやつれていたよ。まるでゾンビみたいだったよ。ふらふらしながら散歩していたこともあったし。その頃に比べればだいぶ良くなったけど、あれは余程、都会で嫌なことがあったんだよ。あんた、デリカシーのない質問してないだろうねっ!?そんなことしちゃダメだよ。昔の慣れでヘラヘラ聞くような質問はしないようにね!」
とまぁまぁ長い話をされて「もうヘラヘラした質問しちゃったかも。」と勇太が発言したところで母親にブチギレされ、ひとまずよく分からないまま、勇太はハルカを待ち伏せして謝ろうと思った。
ハルカがゾンビみたいだったって?にわかには信じられないな。ちょっと美人だから周囲から浮いてる気もしなくはないが、スーパーのレジ打ちはきちんとやれていたぞ……と思う勇太だった。
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ハルカを待ち伏せしてハルカとよく行った公園に2人で歩いた時、勇太は帰ってきて良かったなと思った。ハルカにどんな事情があったにせよ。また会えた。出戻り組みたいな感じで仲良くできるといいな……と勇太は思い、
公園のベンチに座りハルカに今日のスーパーでの勇太の発言を謝った。ハルカに何があったか知りたくないと言ったら嘘になる。でもきっとハルカは何も悪いことなんてしてないだろう。俺みたいに自業自得だった訳じゃないはずだ。それなのに俺は……好きで戻ってきた訳ではないだろうにハルカに無神経な話し方してしまったなと勇太は反省し、謝罪した。
ハルカは気にしてないようだったが昔に比べると……ほんと元気ないな?……と勇太は感じた。何か……。勇太の知らない何かがある。壁のような何かが勇太とハルカの間に挟まっている気がして、勇太は手を伸ばしその見えない壁をどけるように、ハルカの短くなった髪の毛にポンポンと触れた。
「イヤーーーーッ!」
とハルカは叫び出し、頭を抱えてしゃがみこんでしまった。勇太はハルカの豹変ぶりに困惑し、これはっ!これはっ!俺のせいだっ!やっちまったっ!俺っ!とにかくハルカのおばさんを呼んで来ようと0.03秒ぐらいで結論を叩き出すと、
勇太は走ってハルカの家に行き、ハルカの母親に事情を伝えて一緒にハルカのところに行ってくれた。
ハルカは公園の地面に震えながら丸まっていた。何か小さくつぶやいている気がする。
「る、ゆ、ゆる、許して、許して、る、ゆる、ゆる、して、く、くださ、い、もうや、やめ、やめて」
と頭を抱えて丸まってるハルカがそう震えながら、そう呟いてるのを勇太は聞いて、勇太の想像をはるかに上回ってハルカが精神的に追い詰められているのを感じた。
一体何があったのだ。ハルカに。
ハルカをこんな風に怯えさせたのは誰だ。
今は勇太がきっかけでハルカの恐怖の蓋が開いてしまったみたいだが、ハルカの体に恐怖を刻んだヤツが絶対にいるはずだと勇太は思った。
「勇太くんありがとう。もう大丈夫だから。勇太くんは先に帰って、ハルカもね。きっと勇太くんにはあまり見られたくないと思うんよ」とハルカの母親にそう言われ、勇太は渋々帰ることにするが………
勇太はハルカのことが心配で心配で仕方なかった。
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作者の早坂悠です。よろしくお願いします。すでにこの作品は完結まで書き終わってます。
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