魂を殺された女

早坂 悠

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セカンドレイプ

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ハルカはとりあえず「死なない」ような生き方をするしかなかった。生まれ育ったふるさとに戻ってきたからといって、簡単には生きる気力は湧かないし、未来に希望も今の所は見いだせない。

それでも服薬のおかげというか仕業というべきか、視界と思考は自殺未遂を図る以前よりもクリアになったので、自分の中で死なないようにするためにいくつか毎日のルーティンを決めることにした。

まず朝はきちんと決まった時間に起きるようにした。
そのため夜の夜ふかしはしないで、夜も決まった時間に寝るようにする。夜になると恐怖心からか体がガクガクと震えてしまう毎日だが、本当に辛くなったら精神科から処方されている頓服とんぷくを飲むようにしてる。あとは毎日夜に飲むための睡眠薬を飲んで、深い眠りに落ちるように心がけていた。

精神科は紹介状を書いてもらいハルカの自宅から最寄りのバスに乗って20分ほどのところにあるメンタルクリニックに週に1回のペースで通院している。

毎回、母が付き添い帰りも一緒に帰える。クリニックなので入院の設備はないもののどうしても辛くなったら入院設備のある精神科病院の病棟に搬送することは可能なので無理しないようにと主治医に言われていた。

主治医は女の先生でそれが決めてでこのメンタルクリニックへの受診を決めた。優しそうな先生でよかったとハルカは思った。

問題は日中で朝きちんと起きてるから、やることがなくてわりと暇だった。暇だと本当に良くないとハルカは思った。

何もしてないのに体の節々が痛くなり、体が硬直したように固くなったりした。レイプされた記憶がところどころ蘇り、どんどん奈落の底へ突き落とされるように心が暗くなる。

日中は部屋の掃除や家の掃除などをやり、気はのらなかったが昼前に一度、ハルカは近所の散歩をする。

1人での外出は日中帯でも凄く怖くて、田舎に帰るまで長距離を移動できたのは母が一緒についてきてくれてたのが、かなりでかかったのかと改めて思うハルカだった。

初めは外に出るのを5分にして、ゆっくりと家の周りを歩いた。それに慣れてきたらその時間を10分にする。それに慣れてきたらさらに15分と時間を加算していくーーーー

帰省してから1ヶ月ぐらいかかって日の出ている時間帯ならハルカは1人で外出できるようになった。

それでも散歩中にすれ違う男性や男子学生のグループはやはり怖かったが、そういう時は一度立ち止まって深呼吸するようにした。

散歩を終えてお昼を食べて少し休憩したら、あとは読書などの時間にあてていた。母と一緒に夕飯を作ることもあった。

夜7時ぐらいになると父が帰宅する。

久しぶりに父と対面した時は父親であっても恐怖を感じてしまった。

自分の血縁者であっても男性というだけで恐怖心を抱くようになってしまって、それでも自分ではどうすることもできなくてハルカはしばらく苦しんだが、それを察してか父親はあまりハルカに接触をしてこなかった。もともと口数が少ない父親で何を考えているか分からないところもある。仲良くもなければ物凄く不仲ともいえない関係だった。

そんな父親だがハルカが都会へ行って就職したいと言った時は「ダメだ!なんでわざわざ都会へ行くんだ?!地元で就職しなさい!」と反対した。ハルカを心配してのことだったと思うので父親は父親なりにハルカのことをずっと思っているのだろう。

そう思っていたはずなのに………

父親はある日の夕飯にハルカに向かって

「いつまで家でゴロゴロしてるつもりだ。もう休んだだろう。親の反対を押し切ったからそんな目に遭うんだ。初めから親のいうことを聞いていれば、こんなことにはならなかったのに…」

と発言するのだった。
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作者の早坂悠です。よろしくお願いします。すでにこの作品は完結まで書き終わってます。
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