4 / 52
最大の絶望
しおりを挟む
実家に着いてから1週間が経った。
集団レイプされてから久しぶりの長距離の外出だったハルカにとって、肉体的な疲労よりも精神的な疲労が強かった。この1週間はほとんど何もせず、ぐったりとベッドで横になる日々が続いていた。
手荷物を持って母に付き添ってもらっての帰省となったが、ハルカは人混みが苦手になっていた。
特に男性の集団を見るだけで体がすくみ、全身の毛が逆立ったような気さえした。男性への恐怖と恨めしさを克服することなど、ハルカには出来ないと思った。
新幹線車内や電車、駅のホーム、そこら辺の道から男性グループの笑い声が聞こえる度、手足がガクガク震え、動悸がおかしくなった。
母が不意に「大丈夫?」と手をハルカの肩に乗せた時、かなり大きい声で「いやぁぁぁ!触んないで!」と声を荒げてしまった。
人から体を触られるのも怖くて怖くて仕方なかった。人から人へ伝わる肌の温もりというものに嫌悪感を抱くようになった。
男たちが変わる変わるハルカをレイプした時の体と体が触れ合うベタつきや感触、温かさなどをハルカは恐怖とともに鮮明に覚えている。
とりわけ手首と足首、太ももは抵抗させないように男たちから強く握られ、駐車場のような場所に固定されたのでそれらの部位を触られるのはハルカはもう耐えられなかった。
大きな声を出してしまい母の顔には驚きと悲しみが広がってきた。ハルカは「ごご、ごめん。でも…急に体に…触れないで」とガクガクと震えながら伝える。
母は大丈夫よ、急に触ってごめんねというような顔をしてそっとハルカの体の震えが止まるのを待ってくれた。
そんな感じで人混み(特に男性と男性のグループ)が多いとハルカは体調を崩し、その都度、フリーズしてしまうのでなかなか帰省は大変だった。
本当は車で帰省するという方法もあったが、ハルカはもう車には怖くて乗れなかった。
車の中に押し込められた記憶がフラッシュバックして何度も吐いた。あの時はまだレイプされてない最後の自分だった。あの時…あの時に…誰かに助けてもらえてたら…と思わずにはいられない。そう考えても虚しいだけだった。過去は変えられない。これが何より辛かった。いっそのことこの恐怖の記憶が…記憶だけが消滅してくれればっ!と何度も思った。
過去が変えられないのが1番辛いのではなく、この辛い記憶とともにこれからもずっと生きてかなくてはいけないのが、最大の絶望だとハルカは思う。
まだ帰省してから1週間。ハルカはこれから先の未来に絶望しかないのではないかと思うと再び死にたい気持ちになっていくーーーー
集団レイプされてから久しぶりの長距離の外出だったハルカにとって、肉体的な疲労よりも精神的な疲労が強かった。この1週間はほとんど何もせず、ぐったりとベッドで横になる日々が続いていた。
手荷物を持って母に付き添ってもらっての帰省となったが、ハルカは人混みが苦手になっていた。
特に男性の集団を見るだけで体がすくみ、全身の毛が逆立ったような気さえした。男性への恐怖と恨めしさを克服することなど、ハルカには出来ないと思った。
新幹線車内や電車、駅のホーム、そこら辺の道から男性グループの笑い声が聞こえる度、手足がガクガク震え、動悸がおかしくなった。
母が不意に「大丈夫?」と手をハルカの肩に乗せた時、かなり大きい声で「いやぁぁぁ!触んないで!」と声を荒げてしまった。
人から体を触られるのも怖くて怖くて仕方なかった。人から人へ伝わる肌の温もりというものに嫌悪感を抱くようになった。
男たちが変わる変わるハルカをレイプした時の体と体が触れ合うベタつきや感触、温かさなどをハルカは恐怖とともに鮮明に覚えている。
とりわけ手首と足首、太ももは抵抗させないように男たちから強く握られ、駐車場のような場所に固定されたのでそれらの部位を触られるのはハルカはもう耐えられなかった。
大きな声を出してしまい母の顔には驚きと悲しみが広がってきた。ハルカは「ごご、ごめん。でも…急に体に…触れないで」とガクガクと震えながら伝える。
母は大丈夫よ、急に触ってごめんねというような顔をしてそっとハルカの体の震えが止まるのを待ってくれた。
そんな感じで人混み(特に男性と男性のグループ)が多いとハルカは体調を崩し、その都度、フリーズしてしまうのでなかなか帰省は大変だった。
本当は車で帰省するという方法もあったが、ハルカはもう車には怖くて乗れなかった。
車の中に押し込められた記憶がフラッシュバックして何度も吐いた。あの時はまだレイプされてない最後の自分だった。あの時…あの時に…誰かに助けてもらえてたら…と思わずにはいられない。そう考えても虚しいだけだった。過去は変えられない。これが何より辛かった。いっそのことこの恐怖の記憶が…記憶だけが消滅してくれればっ!と何度も思った。
過去が変えられないのが1番辛いのではなく、この辛い記憶とともにこれからもずっと生きてかなくてはいけないのが、最大の絶望だとハルカは思う。
まだ帰省してから1週間。ハルカはこれから先の未来に絶望しかないのではないかと思うと再び死にたい気持ちになっていくーーーー
0
作者の早坂悠です。よろしくお願いします。すでにこの作品は完結まで書き終わってます。
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
【1/23取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
わたしのことはお気になさらず、どうぞ、元の恋人とよりを戻してください。
ふまさ
恋愛
「あたし、気付いたの。やっぱりリッキーしかいないって。リッキーだけを愛しているって」
人気のない校舎裏。熱っぽい双眸で訴えかけたのは、子爵令嬢のパティだ。正面には、伯爵令息のリッキーがいる。
「学園に通いはじめてすぐに他の令息に熱をあげて、ぼくを捨てたのは、きみじゃないか」
「捨てたなんて……だって、子爵令嬢のあたしが、侯爵令息様に逆らえるはずないじゃない……だから、あたし」
一歩近付くパティに、リッキーが一歩、後退る。明らかな動揺が見えた。
「そ、そんな顔しても無駄だよ。きみから侯爵令息に言い寄っていたことも、その侯爵令息に最近婚約者ができたことも、ぼくだってちゃんと知ってるんだからな。あてがはずれて、仕方なくぼくのところに戻って来たんだろ?!」
「……そんな、ひどい」
しくしくと、パティは泣き出した。リッキーが、うっと怯む。
「ど、どちらにせよ、もう遅いよ。ぼくには婚約者がいる。きみだって知ってるだろ?」
「あたしが好きなら、そんなもの、解消すればいいじゃない!」
パティが叫ぶ。無茶苦茶だわ、と胸中で呟いたのは、二人からは死角になるところで聞き耳を立てていた伯爵令嬢のシャノン──リッキーの婚約者だった。
昔からパティが大好きだったリッキーもさすがに呆れているのでは、と考えていたシャノンだったが──。
「……そんなにぼくのこと、好きなの?」
予想もしないリッキーの質問に、シャノンは目を丸くした。対してパティは、目を輝かせた。
「好き! 大好き!」
リッキーは「そ、そっか……」と、満更でもない様子だ。それは、パティも感じたのだろう。
「リッキー。ねえ、どうなの? 返事は?」
パティが詰め寄る。悩んだすえのリッキーの答えは、
「……少し、考える時間がほしい」
だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる