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2章

ネックレス

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まるで何年も何百年も逢えなかった穴を埋めるように、唇をお互いに重ね合わせる。ここに存在していることを確かめるように。


唇が離れたらカルマは、とても愛しそうな顔をして微笑んでいた。


「真理亜……」


もっと名前を呼んで、だけど切なくなるから呼ばないで。そんなおかしな感情にまた支配されている。


すると突然彼の目が何かを捉えて、私の首に伸びた。そして触れたのはずっと持っているお気に入りのネックレス。


「……これ、ずっと持っていたのか?」

とても嬉しそうな笑顔を見せたカルマに、私は え? と間抜けな声を出してしまった。確かにこれはお気に入りでずっと持っているものだけど。


「……こ、これはお気に入りで」


「そうか……お前が買って欲しいとねだってきて買ったものだからな。俺も大切に持ってんだ」



カルマが……買ってくれたもの??

突然の真実に私は少し混乱気味。もしかしたらご先祖様が婚約者に買ってもらったのかも……とは思っていた。だけどまさか書物では、恐ろしいと書かれているヴァンパイアにプレゼントされたものだなんて。



証拠を見せるといったように彼は少し私から離れると、同じような形をしたネックレスをどこからともなく取り出した。


「ほんとだ……同じデザイン……」


「……また巡り会えると信じて、ずっと大切にしてきたがやはり正解だったな。」



カルマさんのなんとも言えない顔は、私の心を大きく揺さぶってくる。

信じざるを得ない。私は、マリアさんの生まれ変わりだと。簡単に受け入れることなんて出来なかったけれど、信じてもいい条件はいくつも私の前に差し出された。


「……もっと教えて欲しい。貴方のこと。」


「…………いきなりどうしたんだ?」

「いけない? 何か教えてもらえば思い出せるかもしれない」



何かとても大切なことを忘れてしまっているような感覚は、ずっとあった。それは満月をみたときにいつも感じていたこと。


「……なら俺もお前のことが知りたい」

「え、わ、私?」


「マリアとは違う真理亜のことを……」



優しく頬に触れられたら、心がひどく満たされた気がした。また夢を見られたらそれが良いのに。記憶を呼び起こすような夢をたくさん見たら、貴方とのことをもっと思い出せそうなのに。



真実がなんなのかわからなくなった。
瑠偉が運命の相手なら、私がこの人を愛しく思うのはおかしいことなのだろうか。


それとも彼のこの艶っぽい美しさに、洗脳されてしまってるだけ?


まだ答えがわからない。
だけど愛しいというこの気持ちだけは確かで、不確かな記録への疑いの方が正直強い。


 「……まだ時間はあるか?」

 「え、うん。大丈夫」

 「ウトに茶を淹れさせよう。 話せないこともあるが、お前のことをもっと知っておきたいからな。」


 カルマさんの言葉はいつも真っ直ぐで、心臓がもつだろうかと不安になるほどドキドキしていた。


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