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切り刺ジャック
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〈登場人物〉
●若久ひさし 二十七歳。男。(わかひさひさし) 新人刑事。若久は読み方をジャクとも読める。更に、ひさしは否刺しと無理に漢字を当てはめると刺さない方のジャックとも読み取れる。
●おやっさん 五十代。男。ベテラン刑事。
●店員 二十代。女。居酒屋店員。
(新人刑事の若久とベテラン刑事の おやっさんが、仕事が終わった後に居酒屋でお酒を飲もうとしている)
おやっさん「とりあえずビール二つ、あとつ まみに枝豆」
店員「生二つに枝豆一つですね」
若久「おやっさん、すみません。僕、枝豆は苦手なんですよ」
おやっさん「若久、頼むよ~。ビールのつまみと言ったら枝豆だろうが。仕方ないな。他のつまみも頼んどけ」
若久「じゃあ、刺身」
店員「生二つに枝豆一つに刺身一つですね」
おやっさん「はい」
店員「生二丁、枝豆一丁、刺身一丁」
若久「今、追ってる事件、なかなか解決しそうにないですね」
おやっさん「あぁ、切り刺しジャック事件か迷宮入りしそうだわな」
若久「ちなみに、なぜ『切り裂き』じゃなく『切り刺し』なんですか?」
おやっさん「ばかやろ『切り裂き』だとイギリスの事件のパクリになってしまうじゃないか」
若久「いやいや、『ジャック』って言っている時点でパクってるじゃないですか」
おやっさん「『ジャック』と言ったとしても『切り裂き』じゃなく『切り刺し』だからパクリじゃなくて御饅頭になるんだよ」
若久「御饅頭ってなんですか(笑)オマージュですよね」
おやっさん「人の揚げ足を取るな」
店員「ビールお待たせしました。えぇと、御饅頭も注文します?」
おやっさん「いや、いいから」
若久「日本の警察が海外の事件のネーミングをパクるって問題でしょう」
おやっさん「だからオマージュだ」
店員「御饅頭、注文します?」
おやっさん「いや、いいから。」
若久「切り刺しジャックかぁ」
店員「枝豆とお刺身、お待たせしました」
おやっさん「…『刺身』って、『身を刺す』と書くよなぁ。居酒屋のメニューでいろいろあるなか、これを頼んだってのは、まさか、若久、お前が切り刺しジャック!?」
若久「フッフッフッ。ばれましたか。実は…」
おやっさん「…そんなわけないよな」
若久「そんなわけないじゃないですか」
おやっさん「まてよ。『若久』って漢字は『若い』に『久しい』で『若久』だが、読み方を変えると『ジャク』とも読めるぞ。まさか、お前が切り刺しジャック!?」
若久「フッフッフッ。ばれましたか。実は…」
おやっさん「…そんなわけないよな」
若久「そんなわけないじゃないですか。そもそも、僕の下の名前は『ひさし』ですよ。無理に漢字を当てはめると否定の『否』に『刺し』で刺さない方のジャックです」
おやっさん「刺さないジャック…イギリスにもいたな(サゲの伏線です)」
若久「店員さん、すみません。厚切りカルビ一つ」
おやっさん「厚『切り』だと!まさか、お前が切り刺しジャック!?」
若久「フッフッフッ。ばれましたか。実は…」
おやっさん「…そんなわけないよな」
若久「そんなわけないじゃないですか。何回言わせるんですか」
若久「あっ店員さん。ひややっこ一つ頼みます」
おやっさん「ひややっこ!まさか、お前が切り刺しジャック!?」
若久「フッフッフッフッフッフッフッフッフッフッ(フを十回で、とうふ)」
おやっさん「…そんなわけないよな」
若久「そんなわけないじゃないですか。ひややっこから切り刺しジャックは連想できませんよ」
店員「御饅頭、お待たせしました」
若久「いや、頼んでないです。もう御饅頭、怖い」
おやっさん「俺は熱いお茶が怖い」
若久「…サゲじゃないですよねぇ。違う話になってしまいますけど」
店員「失礼しました。厚切りカルビとひややっこ、お待たせしました」
しばらく酒を飲んだりつまみを食べたりする。おやっさんが酔っぱらう。
おやっさん「本場イギリスでは未解決になってしまっているが、日本の切り刺しジャック事件は必ず解決してみせる。こんな飲んでなんかいられない帰るぞ」
若久「えぇ!まだ、飲み足りませんよ」
おやっさん「いいから帰るぞ」
会計を済ませて居酒屋を出る二人。外 は丁度、雨が降っている。
若久「雨が降ってますね。折りたたみ傘をささないと」
おやっさん「傘を『さす』だと、まさか、お前が、切り刺しジャック!?」
若久「あぁ、もういいです。そういうことでいいです。」
若久「あれ?折りたたみ傘に、さっき、おやっさんが頼んだ枝豆が紛れ込んでるんですけど!」
おやっさん「なんだと!家に帰ったら庭にでも捨てておけ」
若久「なぜです?」
おやっさん「だって、お前は刺さない方のジャックなんだろ」
若久「あぁ。若久(ジャック)と豆の木ですね」
●若久ひさし 二十七歳。男。(わかひさひさし) 新人刑事。若久は読み方をジャクとも読める。更に、ひさしは否刺しと無理に漢字を当てはめると刺さない方のジャックとも読み取れる。
●おやっさん 五十代。男。ベテラン刑事。
●店員 二十代。女。居酒屋店員。
(新人刑事の若久とベテラン刑事の おやっさんが、仕事が終わった後に居酒屋でお酒を飲もうとしている)
おやっさん「とりあえずビール二つ、あとつ まみに枝豆」
店員「生二つに枝豆一つですね」
若久「おやっさん、すみません。僕、枝豆は苦手なんですよ」
おやっさん「若久、頼むよ~。ビールのつまみと言ったら枝豆だろうが。仕方ないな。他のつまみも頼んどけ」
若久「じゃあ、刺身」
店員「生二つに枝豆一つに刺身一つですね」
おやっさん「はい」
店員「生二丁、枝豆一丁、刺身一丁」
若久「今、追ってる事件、なかなか解決しそうにないですね」
おやっさん「あぁ、切り刺しジャック事件か迷宮入りしそうだわな」
若久「ちなみに、なぜ『切り裂き』じゃなく『切り刺し』なんですか?」
おやっさん「ばかやろ『切り裂き』だとイギリスの事件のパクリになってしまうじゃないか」
若久「いやいや、『ジャック』って言っている時点でパクってるじゃないですか」
おやっさん「『ジャック』と言ったとしても『切り裂き』じゃなく『切り刺し』だからパクリじゃなくて御饅頭になるんだよ」
若久「御饅頭ってなんですか(笑)オマージュですよね」
おやっさん「人の揚げ足を取るな」
店員「ビールお待たせしました。えぇと、御饅頭も注文します?」
おやっさん「いや、いいから」
若久「日本の警察が海外の事件のネーミングをパクるって問題でしょう」
おやっさん「だからオマージュだ」
店員「御饅頭、注文します?」
おやっさん「いや、いいから。」
若久「切り刺しジャックかぁ」
店員「枝豆とお刺身、お待たせしました」
おやっさん「…『刺身』って、『身を刺す』と書くよなぁ。居酒屋のメニューでいろいろあるなか、これを頼んだってのは、まさか、若久、お前が切り刺しジャック!?」
若久「フッフッフッ。ばれましたか。実は…」
おやっさん「…そんなわけないよな」
若久「そんなわけないじゃないですか」
おやっさん「まてよ。『若久』って漢字は『若い』に『久しい』で『若久』だが、読み方を変えると『ジャク』とも読めるぞ。まさか、お前が切り刺しジャック!?」
若久「フッフッフッ。ばれましたか。実は…」
おやっさん「…そんなわけないよな」
若久「そんなわけないじゃないですか。そもそも、僕の下の名前は『ひさし』ですよ。無理に漢字を当てはめると否定の『否』に『刺し』で刺さない方のジャックです」
おやっさん「刺さないジャック…イギリスにもいたな(サゲの伏線です)」
若久「店員さん、すみません。厚切りカルビ一つ」
おやっさん「厚『切り』だと!まさか、お前が切り刺しジャック!?」
若久「フッフッフッ。ばれましたか。実は…」
おやっさん「…そんなわけないよな」
若久「そんなわけないじゃないですか。何回言わせるんですか」
若久「あっ店員さん。ひややっこ一つ頼みます」
おやっさん「ひややっこ!まさか、お前が切り刺しジャック!?」
若久「フッフッフッフッフッフッフッフッフッフッ(フを十回で、とうふ)」
おやっさん「…そんなわけないよな」
若久「そんなわけないじゃないですか。ひややっこから切り刺しジャックは連想できませんよ」
店員「御饅頭、お待たせしました」
若久「いや、頼んでないです。もう御饅頭、怖い」
おやっさん「俺は熱いお茶が怖い」
若久「…サゲじゃないですよねぇ。違う話になってしまいますけど」
店員「失礼しました。厚切りカルビとひややっこ、お待たせしました」
しばらく酒を飲んだりつまみを食べたりする。おやっさんが酔っぱらう。
おやっさん「本場イギリスでは未解決になってしまっているが、日本の切り刺しジャック事件は必ず解決してみせる。こんな飲んでなんかいられない帰るぞ」
若久「えぇ!まだ、飲み足りませんよ」
おやっさん「いいから帰るぞ」
会計を済ませて居酒屋を出る二人。外 は丁度、雨が降っている。
若久「雨が降ってますね。折りたたみ傘をささないと」
おやっさん「傘を『さす』だと、まさか、お前が、切り刺しジャック!?」
若久「あぁ、もういいです。そういうことでいいです。」
若久「あれ?折りたたみ傘に、さっき、おやっさんが頼んだ枝豆が紛れ込んでるんですけど!」
おやっさん「なんだと!家に帰ったら庭にでも捨てておけ」
若久「なぜです?」
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若久「あぁ。若久(ジャック)と豆の木ですね」
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