死のうとしたらセックスしてからにしようと言われた話

梅星たね

文字の大きさ
上 下
12 / 12

12※

しおりを挟む
 二人で脱衣所へ行き服を脱ぐ。
 悠が裸を見せるのが恥ずかしくてもたもたしていると、平内は先に入ってるねと言った。
 男同士なのに意識しすぎているほうが逆に恥ずかしいのではと思い、意を決して下着まで脱ぐと、お風呂のドアを開けた。
 
 交代でシャワーを浴びている間、これからすることを想像してしまい、緊張や恥ずかしさで吐きそうになった。
  
 体を拭き歯磨きも済ませ、ベッドに腰をかける。
  薄暗い部屋にカーテンの隙間から月明かりが差し込んでいる。今日は満月だ。
  
 なにか話したほうがいいのだろうか、緊張で声を出せないでいると、平内がこちらを向いた。
 
 「なんだか緊張するね」
  
 困ったように笑う平内を見て、彼も自分と同じ気持ちなのだと嬉しくなった。
  平内の大きな手が悠の頬を包む。彼の顔が近くなり、鼓動が早くなる。
  
 「キスしてもいい?」
  
 平内の問いに悠は小さく頷くと、彼の唇がそっと触れた。そのままグッと腰を引き寄せられ、先ほどより甘く深い口づけをされた。
  
 後ろに優しく押し倒され、平内の手が素肌の上を撫でる。彼の手が胸元の突起を掠めたとき、悠は体をビクつかせた。
  
 「ここ気持ちいい?」
 「わ、わかんない」
  
 男なのにそんなところで感じるなんて恥ずかしい。そんな悠の気持ちを知ってか知らずか、平内は胸元に舌を這わせる。突起を吸い上げたり、舌で転がしたりするので堪らない。
 
 「んっ……」
  
 内側から湧き上がるような快感に、体の中心が熱くなる。
  
 平内の手が肌の上を滑り、悠のモノに触れた。そこは既に膨らんでおり、先端からはぷっくりと蜜が溢れていた。
  
 「濡れてる」
  
 耳元でそう囁かれ、悠は顔を真っ赤にした。平内の手のひらが悠のモノを包む。彼に触れられていると思うと頭が真っ白になった。
 
 「あっ……」
 
 手のひらの中で弄ぶように触れられ、体が震える。下からいやらしい水音が聞こえてくる。油断したら声が漏れそうで、手の甲で口を押さえた。
 
 「ふっ……んっ」
 
 平内の手の動きが性急なものになってくる。気持ちの良いとこばかり責められ、中から熱いものが込み上げてくる。
 
 「んッ……そんなにしたら、イッちゃ、んんっ――」
 
 体を仰け反らせ、悠はあっけなく達した。
 自分だけ先に達してしまったのが恥ずかしくて、思わず顔を背けた。
 
 悠の熱が冷めないうちに、平内は悠の後ろの窄まりに指を滑らせた。
 
 「ここ、普段いじったりするの」
 「し、しない」
 
 平内は指にワセリンのようなものをまとわせると、悠の後孔に塗り込むように触れた。十分なくらい周辺をマッサージされ、徐々に気持ちよくなってくる。
 
 「大丈夫、ゆっくりするからね」
 
 そう言うと、悠の中に指をゆっくりと沈めてきた。最初は異物感が拭えなかったが、平内の指がある一点を掠めたとき、全身に電気が走ったかのような感覚が悠を襲った。
 
 「ンンっ」
 「ここかな」
 
 指の腹でおなか側を小刻みに押され、悠は何も考えられなくなった。 
 
 「んっ、そんなにしたら、声、我慢できない、からぁあ」
 「大丈夫。うち角部屋だし、隣は君の部屋だしね」
 
 隣はいなくても上や下の階の人もいるだろう。しかし、そんなことを考える余裕など悠にはなかった。
 
 悠の中から指を引き抜いた。損失感を感じていると、窄まりに硬いモノが充てがわれた。
 
 「挿れていい?」
 「ん……んあッ!」
  
 指とは比にならない質量と熱を持ったモノが入ってきて、悠は思わず声を上げた。
 
 「痛い?」
 
 平内が動きを止める。彼の心配そうな表情を見て、愛おしい気持ちが溢れてくる。
 
 「痛くない、から、もっときて……」
  
 平内を全身で感じたい、全部受け止めたい。微笑みながら平内を見上げると、彼は何とも言えない顔をしていた。
 
 「きみは……痛かったらすぐ言うんだよ」
  
 そう言って再び悠の脚を掴むと、ぐっと腰を入れてきた。平内の怒張が押し入ってくる。まるで、体の中心を熱い杭で打たれているようだ。
  
 「大丈夫?」
  
 お腹が苦しい。でも、平内の全部を感じることができてこの苦しさも心地好い。
  
 「だい、じょうぶ……平内さんの、おっきい……」
  「そりゃそうだよ。きみが可愛いから」
  「かわいくなんか、ないっ、あっ」
  
 不意に腰を動かされ声が漏れる。悠の好いところを抉るように突かれ、あまりの快感に涙が出てくる。
 
 「あっ、それすき、きもちい、もっと……」
 「……そんな煽り方、どこで覚えてきたの」
 「煽ってない、ああっん」
 
 さっきより一層激しく動かされ、自分でも驚くくらい甘い声が出る。

 「中原くん、顔見せて」
 「や、ひどい顔してる、から」
 
 涙や汗でぐちゃぐちゃの顔を見られたくない。

 「キスしたいな」
 
 そんなふうに言われたら手をどけないわけにもいかない。悠がそっと手をどけると、貪るようなキスをされた。
 唇でくちを塞がれながら突かれるともうダメだった。気持ちがいいこと以外なにも考えられない。

 「あっ、きもち、ああっ、イッちゃう、ああっ」
 「っ……僕も、イきそう」

 平内の声を聞いて彼も限界が近いのだと悟った。自分の中で気持ちよくなってくれてるのが嬉しい。彼の腰の動きが速くなって、高みへ上りつめていく。頭にチカっと何かが走ったかと思うと、先ほどより長く深い快感が悠をおそった。

 脱力した平内がのしかかってきて、優しい口づけをされた。

 「好きだよ」

 あまりにも優しい声で言うものだから、悠は泣きたい気持ちになった。

 「俺も……すき」

 声に出ていたか分からないが、まどろみの中で平内が微笑みながら頭を撫でてくれたのは覚えている。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした

亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。 カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。 (悪役モブ♀が出てきます) (他サイトに2021年〜掲載済)

【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。

桜月夜
BL
 前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。  思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目

カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

俺の彼氏は俺の親友の事が好きらしい

15
BL
「だから、もういいよ」 俺とお前の約束。

処理中です...