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セックスをするという約束がなくなった今、平内を避けることも出来なくなった。
職場が同じ住んでるところも隣同士だからか、悠がすっかり元気になってからも平内は夕食に誘ってきた。変に断るのも不自然だと思い、今まで通り平内と過ごすしかなかった。
平内と一緒にいるのが苦痛なのではない。むしろずっと一緒にいたい、触れたい、触れられたい……。一緒にいればいるほど浅ましい欲望が膨らんでいくのが怖かったのだ。
そんな悠の気持ちを知らないであろう平内は、今日もあたりまえのように夕食に誘ってきた。
本日のメニューはオムライス。卵がトロトロでとても美味しい。
「平内さんさ、何が楽しくて俺なんかと毎日のように飯食ってんの」
悠は、目の前に座ってオムライスを大きな口で頬張っている男に話しかけた。
「だって、一人分作るの大変じゃない?余るともったいないし」
「まあ、そうだけど」
「それに、きみと一緒にご飯食べるの楽しいよ」
平内がさらっとそんなことを言うので、悠は動揺してしまった。
「な、なに言ってんの。平内さんさ、他にも一緒にご飯食べる人とかいないわけ?たとえば、恋人とか……」
「いないよ。だから、きみが一緒に食べてくれて嬉しいよ」
にこにこしながらそんなことを言うので、悠はさらに動揺してしまう。
「……どうしたの平内さん。なんか変なものでも食べた?」
「失礼だなぁ。僕は感謝の気持ちを伝えただけなのに」
平内は笑いながら言った。
食事後、テレビを見ながらまったりしていると平内が言った。
「中原くん、ほっぺにまつ毛付いてるよ」
「え」
「違う、こっち」
平内の長い指が頬に触れる。そんな些細なことにも悠の心臓は速度を増すのに、平内はそのままこちらをじっと見つめてきた。
「中原くんって、まつ毛長いよね……」
平内の顔が近い。彼はこちらの気持ちを知っててわざとしてるのだろうか。顔が熱くなってくる。
「……俺、ちょっと用事思い出したから帰る」
耐えられなくなった悠は平内の返答も待たず、立ち上がってそそくさと部屋を出た。
職場が同じ住んでるところも隣同士だからか、悠がすっかり元気になってからも平内は夕食に誘ってきた。変に断るのも不自然だと思い、今まで通り平内と過ごすしかなかった。
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そんな悠の気持ちを知らないであろう平内は、今日もあたりまえのように夕食に誘ってきた。
本日のメニューはオムライス。卵がトロトロでとても美味しい。
「平内さんさ、何が楽しくて俺なんかと毎日のように飯食ってんの」
悠は、目の前に座ってオムライスを大きな口で頬張っている男に話しかけた。
「だって、一人分作るの大変じゃない?余るともったいないし」
「まあ、そうだけど」
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「な、なに言ってんの。平内さんさ、他にも一緒にご飯食べる人とかいないわけ?たとえば、恋人とか……」
「いないよ。だから、きみが一緒に食べてくれて嬉しいよ」
にこにこしながらそんなことを言うので、悠はさらに動揺してしまう。
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