8 / 12
8
しおりを挟む
今日も平内のもとでご飯を食べる。今日のメニューはミートスパゲッティだ。ミートソースが濃厚で美味しい。
食事をしながら、この前上田とした会話を思い出す。自分は目の前に座るこの人が好き……なのだろうか。
「僕の顔に何かついてる?」
不意に平内が顔を上げた。悠は慌てて視線を逸らす。
「いや、なにも」
「そういえば中原くん、すっかり仕事に慣れてきたよね。手際が良いって上田が褒めてたよ」
「別に、まだまだだし」
「また謙遜して。きみはちゃんとやってると思うよ。さすが、僕が見込んだだけあるね」
そんな風に言われると嬉しい半面、なんと返したらいいのか分からず戸惑ってしまう。
「ありがとう、ございます」
「なにその嬉しくなさそうなお礼は」
「だって、褒められるのなんて久しぶりだし」
大人になって褒められることなんて、ほとんどないだろう。
「よく頑張ってるね。えらいよ」
「……少し面白がってるでしょう」
平内は少し大げさにねぎらいの言葉を並べた。それでも悠は嬉しく感じた。
自分の部屋に戻った悠はシャワーを浴び、ベッドにダイブした。
平内と一緒の空間にいるとドキドキする。最近ずっとこんな調子だ。やっぱり自分は平内のことを、そういう意味で好きなのかもしれない。
そういう意味でということは、恋人同士でするようなこともしたいのだろうか。
悠はふと自分の下半身に手を伸ばしてみた。
平内は恋人とする時、どんな風に触れるのだろうか。彼の大きな手が自分のモノを包むのを想像すると、体の中心が熱くなった。
我慢できずに下着の中に手を入れる。平内はあの色っぽい唇で、どんなキスをするのだろうか。下からいやらしい水音が聞こえてくる。
あのタレ目がちな瞳が自分を見つめる。低い声で悠の名前を呼ぶ。悠の欲望を擦る速度が増す。
『気持ちいい?』
平内が耳元でそう囁くと、全身に電気が走るような感覚を覚えた。その瞬間頭が真っ白になり、悠の手は生暖かいもので汚れていた。
やってしまった。平内に触れられることを想像して気持ちよくなってしまった。罪悪感に駆られているその時、玄関のチャイムが鳴った。
慌ててズボンを履いて玄関のドアを開けると、そこにはたった今おかずにしてしまった本人が立っていた。
「中原くん、うちにスマホ忘れてたよ」
どうやら平内の家に忘れ物をしていたようだ。そんなことすら気づかなかった。
「ああ、ありがとう」
「なんか顔赤いけど、どうしたの?」
平内が悠の顔を覗き込むので、動揺してしまった。
「ちょっと筋トレしてたんだ」
なおも平内がじっと見つめてくる。彼の視線の先を辿ると、慌ててズボンを履いたせいか、服装が乱れていた。
「……もしかして、僕邪魔しちゃったかな」
「ッ……!」
カッと顔に熱が集まった。これでは一人で慰めていたことを肯定したことになってしまう。
「でも良かった。一人でするくらい元気になったみたいで。じゃあまた明日」
そう言うと、平内は帰っていった。
あまりの羞恥に、悠は少しの間その場で立ち尽くしていた。
食事をしながら、この前上田とした会話を思い出す。自分は目の前に座るこの人が好き……なのだろうか。
「僕の顔に何かついてる?」
不意に平内が顔を上げた。悠は慌てて視線を逸らす。
「いや、なにも」
「そういえば中原くん、すっかり仕事に慣れてきたよね。手際が良いって上田が褒めてたよ」
「別に、まだまだだし」
「また謙遜して。きみはちゃんとやってると思うよ。さすが、僕が見込んだだけあるね」
そんな風に言われると嬉しい半面、なんと返したらいいのか分からず戸惑ってしまう。
「ありがとう、ございます」
「なにその嬉しくなさそうなお礼は」
「だって、褒められるのなんて久しぶりだし」
大人になって褒められることなんて、ほとんどないだろう。
「よく頑張ってるね。えらいよ」
「……少し面白がってるでしょう」
平内は少し大げさにねぎらいの言葉を並べた。それでも悠は嬉しく感じた。
自分の部屋に戻った悠はシャワーを浴び、ベッドにダイブした。
平内と一緒の空間にいるとドキドキする。最近ずっとこんな調子だ。やっぱり自分は平内のことを、そういう意味で好きなのかもしれない。
そういう意味でということは、恋人同士でするようなこともしたいのだろうか。
悠はふと自分の下半身に手を伸ばしてみた。
平内は恋人とする時、どんな風に触れるのだろうか。彼の大きな手が自分のモノを包むのを想像すると、体の中心が熱くなった。
我慢できずに下着の中に手を入れる。平内はあの色っぽい唇で、どんなキスをするのだろうか。下からいやらしい水音が聞こえてくる。
あのタレ目がちな瞳が自分を見つめる。低い声で悠の名前を呼ぶ。悠の欲望を擦る速度が増す。
『気持ちいい?』
平内が耳元でそう囁くと、全身に電気が走るような感覚を覚えた。その瞬間頭が真っ白になり、悠の手は生暖かいもので汚れていた。
やってしまった。平内に触れられることを想像して気持ちよくなってしまった。罪悪感に駆られているその時、玄関のチャイムが鳴った。
慌ててズボンを履いて玄関のドアを開けると、そこにはたった今おかずにしてしまった本人が立っていた。
「中原くん、うちにスマホ忘れてたよ」
どうやら平内の家に忘れ物をしていたようだ。そんなことすら気づかなかった。
「ああ、ありがとう」
「なんか顔赤いけど、どうしたの?」
平内が悠の顔を覗き込むので、動揺してしまった。
「ちょっと筋トレしてたんだ」
なおも平内がじっと見つめてくる。彼の視線の先を辿ると、慌ててズボンを履いたせいか、服装が乱れていた。
「……もしかして、僕邪魔しちゃったかな」
「ッ……!」
カッと顔に熱が集まった。これでは一人で慰めていたことを肯定したことになってしまう。
「でも良かった。一人でするくらい元気になったみたいで。じゃあまた明日」
そう言うと、平内は帰っていった。
あまりの羞恥に、悠は少しの間その場で立ち尽くしていた。
0
お気に入りに追加
34
あなたにおすすめの小説
病み男子
迷空哀路
BL
〈病み男子〉
無気力系主人公『光太郎』と、4つのタイプの病み男子達の日常
病み男子No.1
社会を恨み、自分も恨む。唯一心の支えは主人公だが、簡単に素直にもなれない。誰よりも寂しがり。
病み男子No.2
可愛いものとキラキラしたものしか目に入らない。溺れたら一直線で、死ぬまで溺れ続ける。邪魔するものは許せない。
病み男子No.3
細かい部分まで全て知っていたい。把握することが何よりの幸せ。失敗すると立ち直るまでの時間が長い。周りには気づかれないようにしてきたが、実は不器用な一面もある。
病み男子No.4
神の導きによって主人公へ辿り着いた。神と同等以上の存在である主を世界で一番尊いものとしている。
蔑まれて当然の存在だと自覚しているので、酷い言葉をかけられると安心する。主人公はサディストではないので頭を悩ませることもあるが、そのことには全く気づいていない。
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話
あかさたな!
BL
潜入捜査官のユウジは
マフィアのボスの愛人まで潜入していた。
だがある日、それがボスにバレて、
執着監禁されちゃって、
幸せになっちゃう話
少し歪んだ愛だが、ルカという歳下に
メロメロに溺愛されちゃう。
そんなハッピー寄りなティーストです!
▶︎潜入捜査とかスパイとか設定がかなりゆるふわですが、
雰囲気だけ楽しんでいただけると幸いです!
_____
▶︎タイトルそのうち変えます
2022/05/16変更!
拘束(仮題名)→ 潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話
▶︎毎日18時更新頑張ります!一万字前後のお話に収める予定です
2022/05/24の更新は1日お休みします。すみません。
▶︎▶︎r18表現が含まれます※ ◀︎◀︎
_____
エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので
こじらせた処女
BL
大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。
とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…
【BL】SNSで人気の訳あり超絶イケメン大学生、前立腺を子宮化され、堕ちる?【R18】
NichePorn
BL
スーパーダーリンに犯される超絶イケメン男子大学生
SNSを開設すれば即10万人フォロワー。
町を歩けばスカウトの嵐。
超絶イケメンなルックスながらどこか抜けた可愛らしい性格で多くの人々を魅了してきた恋司(れんじ)。
そんな人生を謳歌していそうな彼にも、児童保護施設で育った暗い過去や両親の離婚、SNS依存などといった訳ありな点があった。
愛情に飢え、性に奔放になっていく彼は、就活先で出会った世界規模の名門製薬会社の御曹司に手を出してしまい・・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる