悪役令嬢の父に転生しました

西楓

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殿下の初夜 ※

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フローレンスの再教育はひとまず成功した。
気の強いところは残っているが、我儘で身勝手なところは鳴りを潜めた。
卒業パーティーに出席もしなかったし、断罪されることもなかった。
予定通り二人は婚姻し、殿下はタウフェン侯爵家に婿入りした。




「タウフェン侯爵…いや…オリヴァー」

「で…で…で…殿下…なっ…」
間抜けにも口を開けてしまう。

なぜ、王子が私のベッドの上にいるんだ?

「もう殿下ではない。アレックスと呼んでほしい…」
私の手を取り手の甲に唇を寄せる。

キッ…キッ…キス⁉︎
えーっ?
今日は初夜ですよ。

「フ…フ…フローレンスは?」
そう、何度も言うが初夜である。
新妻を蔑ろにして、義父の寝室に婿が来るなんてありえない。

「あぁ、フローレンスからは父上は押しに弱いから、積極的にアプローチした方が良いと言って応援してもらったよ。
養子をとるように提案もしてくれた。この部屋に手引きしてくれたのもフローレンスだ」

フローレンス…一体なぜそのような協力をしたのだ?
最近のフローレンス…叔母の教育により身勝手なところはなくなったが、ひとつだけ我儘を言うようになった。
叔母のように冒険家になりたいと…
今ではちょくちょくと家を開けては叔母も一緒に冒険に出ている。
更生は成功したものの…困ったものだ。

「フローレンスが…なぜ?」
声が掠れてうまく出ない。

「あぁ、フローレンスは初対面の時から私の気持ちに気付いていたからな。
フローレンスに向ける其方の笑顔に一目惚れした私に腹を立て、それから私にぞんざいな態度を取るようになっていた。大好きな父上を取られたくなかったのかな」
呆然としている私に、目を細めて妖しく笑う。

「一目惚れ…」
ただ繰り返しつぶやくことしか出来ない私の頬を優しく撫でる。

「オリヴァー、私の目には最初から其方しか見えていない。フローレンスに盲目的な愛情を示す其方であれば諦めようと思っていた。
だが、其方は自分で自分の過ちに気づき、相変わらずの愛情で…いや…今まで以上の深い愛情でフローレンスを正しき道へと導いた」

いや、導いたのは叔母なんですけど…
冒険家が侯爵令嬢として正しき道かはわかりませんけど…
熱を含んだ美しいブルーの瞳で見つめられ、思わず視線をそらそうとすると、しなやかな指で私の顎を掴んだ。

「殿下…」
瞳に魅入られた私の唇に王子が優しくキスをしてきた。

「嫌なら好きなだけ抵抗してほしい」
王子が私の耳、頸へと唇を落とすと、私の服をゆっくりと脱がせていく。
下腹部へと手を伸ばし、露わになった私のペニスに手をかける。

「あっ……殿下っ!」
快感で思わず声を上げる私をみて嬉しそうに、ペニスをゆるゆると擦りだす。

「オリヴァー……かわいい……ずっと夢見ていた」






「っ……っ……ぅっ……」

ぱんぱんという音とぐちゅぐちゅと淫らな音が響く。無抵抗なまま、快楽に侵されていく。
いい歳をして自然と漏れる声を止められない自分への羞恥心と、ふと漏れる嬌声への恥ずかしさで、思わず両手で口を塞ぐ。

「オリヴァーの声を聞かせてほしい。オリヴァーの中すごくヒクヒクと締め付けてるよ。暖かくてねっとりしてる。あぁ、気持ちいいんだね」

口に当てている手にキスをすると、腰を持って思い切り奥へ突き刺してくる。
少しの刺激で何度も射精をして頭が朦朧とし下半身がジンジンと痺れてくる。

「やっ…もっ…イクッ…アレックス…」

「あぁ、絡み付いてきてるよ。気持ちいいよ、オリヴァー、私も…一緒に」
激しく腰を打ち付けられ勢いよく射精すると同時に、奥に熱い液体を放たれ、私は意識を失った。
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