異世界転生したらαでした

プロローグ

ルークは７歳の時第二の性というものを知った。

子どもの時より前世の記憶を持つ俺にはこの第二の性というのがなかなか受け入れられないものだった。
男女の性とは別のαβΩという第二の性。　

能力が高い上流種とも言えるα、人口の大半を占める一般のβ、出産に特化した希少なΩ。
Ωには発情期というものがあり、αやβを誘うフェロモンを発するという。

ルークの両親は従兄弟の幼馴染でα同士である。
小さい頃より許嫁であった両親はともに能力が長けており、幼い頃より将来設計をたて、運命やΩのフェロモンに惑わされぬよう当家秘伝の抑制剤のようなものを用いて青春期を過ごした。

マウントの取り合いと言われるα同士の結婚だが、両親は夫婦というよりも同士という感じで仲良くやっている。
この理性的なαの両親のもとで、カリスマ性をもつαの兄ディラン、そしてαの俺の家族全員がαの一族として生まれてきた。

前世に比べて努力することなく何でも熟せるのは遺伝かなと思っていたが、これがこのαの特性だと知ったときは驚いた。