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断罪前の根回し
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とりあえず引きこもる事には成功したけど、これからどうするかよね。
ここは2階だから下に降りることは出来ないし…
もういっその事、体調を崩してパーティーを欠席しようかしら。
でも、そうしたら欠席裁判のような感じで、私がいないところで対象者不在の断罪が行われてしまうかもしれない。
そうなったら、この屋敷に騎士がきて国外追放ルートになってしまう。
だいたい、王子が国王の決めた婚約を勝手に破棄することは出来ないはずよ。
だから、国王が不在の今日に断罪を強行するんだわ。
国王夫妻は宰相と隣国へ5日間行っているのよね。
帰国予定はたしか明日だったわね。
そもそも、私は義妹を虐めてなんかいないし、むしろ私の方が邪険にされてるほうだわ。
普通に考えたらわかるものでしょう。
夫、義母、先妻の娘、夫と後妻との間の娘
こう来たら私だけが仲間はずれだと分かりそうなものだけど…
王子は目が曇ってるわ。
それとも、私が虐めていないと知っていて、断罪をするのかしら。
悪魔の証明だから、虐めていないことは立証出来ないと知っていて、敢えて言っているのかしら。
もし、王子が真実を知っているなら、王子の説得に時間を割くのは時間の無駄ね。
それにしても、理知的な王子がこの1ヶ月で変わりすぎだわ。公務が忙しいからかと思っていたけれど、シエンナが何かしたのかしら。
惑わす魔法のようなものでもかけたのかしら。
でも、あと数時間で原因をみつけることは不可能ね。
この3時間では外に出ることも出来ないから、とりあえず私の方が虐げられている証拠を集めて持っていく準備をしないと。
王子を説得出来なくても、周りの人を説得出来るかもしれないわ。
ー会場ー
「あら…見て…オリヴィア様はエスコートもつけずにいらっしゃってるわ」
「ええ。たしか殿下はシエンナ様をエスコートされてらしたわ」
「シエンナ様といえばオリヴィア様の義理の妹でらっしゃるんですよね」
「そうそう。どうして婚約者ではなくて婚約者の妹をエスコートされるのでしょうか?」
「オリヴィア様の素行に問題があるのかしら?」
「あ…見て…オリヴィア様がこちらに気づいておられるわ」
私の方を指差していますわ。
まずい…まずいわ。
前回も前々回も、
「皆様ご機嫌よう。貴女達なにをおっしゃってますの?私は悪くありませんわ」
って否定したのに、火に油で私が素行が悪いかのような噂があっという間に広まってしまったんだわ。
逆の戦法でいきましょう。
「皆様ご機嫌よう。殿下はたしかに婚約者の私をおいて義妹のエスコートをしてますわ。
でも2人の事を悪くは言わないでくだいませ。
私が悪いんですの。私が婚約者でなければ…
でも、国王様は義妹ではなく私を指名されましたので、国王様の許可なく婚約をやめることなどできませんもの…」
一筋涙を流してみせます。
悔しさを堪えていたら悔し涙って出るものですね。
「あっ…いえ…オリヴィア様は悪くありませんわ」
「国王様の決められた婚約者を蔑ろにする殿下と、姉の婚約者に付き纏うシエンナ様が悪いんですわ」
「そのような悲しい顔をしないでくださいませ」
風向きがこっちに向いてきましたわ。
もう一押ししておきましょう。
「いいえ、私が悪いんですわ。同じ父の元に生まれたのにどうしてってシエンナも…あ、なんでもありませんわ」
俯いて悲しい顔を作ってみせる。
「まさか、シエンナ様はオリヴィア様を虐げてらっしゃったのですか?」
「いいえ、そんなことはありませんわ。シエンナが着ないドレスを私にくれたり…先妻の娘に気を遣ってくれるよい義妹ですわ」
これは本当のこと。
シエンナのドレスが私の所に回されるから、私は今ドレスは買ってませんわ。
気づいた時からそうですわね?
「まぁ、なんてひどい」
「ドレスを買わないなんて、侯爵夫人もオリヴィア様を虐げてますのね。
そういえば仕立て屋がシエンナ様はお得意様だといってましたが、そういうことでしたのね。
お可哀想に」
俯いてハンカチで目元を押さえてみせますわ。
シエンナを批判する声がかなり多くなりましたわ。
これで手を打てるところは打ちましたわ。
さぁ、メインイベントの断罪ですわ。
ここは2階だから下に降りることは出来ないし…
もういっその事、体調を崩してパーティーを欠席しようかしら。
でも、そうしたら欠席裁判のような感じで、私がいないところで対象者不在の断罪が行われてしまうかもしれない。
そうなったら、この屋敷に騎士がきて国外追放ルートになってしまう。
だいたい、王子が国王の決めた婚約を勝手に破棄することは出来ないはずよ。
だから、国王が不在の今日に断罪を強行するんだわ。
国王夫妻は宰相と隣国へ5日間行っているのよね。
帰国予定はたしか明日だったわね。
そもそも、私は義妹を虐めてなんかいないし、むしろ私の方が邪険にされてるほうだわ。
普通に考えたらわかるものでしょう。
夫、義母、先妻の娘、夫と後妻との間の娘
こう来たら私だけが仲間はずれだと分かりそうなものだけど…
王子は目が曇ってるわ。
それとも、私が虐めていないと知っていて、断罪をするのかしら。
悪魔の証明だから、虐めていないことは立証出来ないと知っていて、敢えて言っているのかしら。
もし、王子が真実を知っているなら、王子の説得に時間を割くのは時間の無駄ね。
それにしても、理知的な王子がこの1ヶ月で変わりすぎだわ。公務が忙しいからかと思っていたけれど、シエンナが何かしたのかしら。
惑わす魔法のようなものでもかけたのかしら。
でも、あと数時間で原因をみつけることは不可能ね。
この3時間では外に出ることも出来ないから、とりあえず私の方が虐げられている証拠を集めて持っていく準備をしないと。
王子を説得出来なくても、周りの人を説得出来るかもしれないわ。
ー会場ー
「あら…見て…オリヴィア様はエスコートもつけずにいらっしゃってるわ」
「ええ。たしか殿下はシエンナ様をエスコートされてらしたわ」
「シエンナ様といえばオリヴィア様の義理の妹でらっしゃるんですよね」
「そうそう。どうして婚約者ではなくて婚約者の妹をエスコートされるのでしょうか?」
「オリヴィア様の素行に問題があるのかしら?」
「あ…見て…オリヴィア様がこちらに気づいておられるわ」
私の方を指差していますわ。
まずい…まずいわ。
前回も前々回も、
「皆様ご機嫌よう。貴女達なにをおっしゃってますの?私は悪くありませんわ」
って否定したのに、火に油で私が素行が悪いかのような噂があっという間に広まってしまったんだわ。
逆の戦法でいきましょう。
「皆様ご機嫌よう。殿下はたしかに婚約者の私をおいて義妹のエスコートをしてますわ。
でも2人の事を悪くは言わないでくだいませ。
私が悪いんですの。私が婚約者でなければ…
でも、国王様は義妹ではなく私を指名されましたので、国王様の許可なく婚約をやめることなどできませんもの…」
一筋涙を流してみせます。
悔しさを堪えていたら悔し涙って出るものですね。
「あっ…いえ…オリヴィア様は悪くありませんわ」
「国王様の決められた婚約者を蔑ろにする殿下と、姉の婚約者に付き纏うシエンナ様が悪いんですわ」
「そのような悲しい顔をしないでくださいませ」
風向きがこっちに向いてきましたわ。
もう一押ししておきましょう。
「いいえ、私が悪いんですわ。同じ父の元に生まれたのにどうしてってシエンナも…あ、なんでもありませんわ」
俯いて悲しい顔を作ってみせる。
「まさか、シエンナ様はオリヴィア様を虐げてらっしゃったのですか?」
「いいえ、そんなことはありませんわ。シエンナが着ないドレスを私にくれたり…先妻の娘に気を遣ってくれるよい義妹ですわ」
これは本当のこと。
シエンナのドレスが私の所に回されるから、私は今ドレスは買ってませんわ。
気づいた時からそうですわね?
「まぁ、なんてひどい」
「ドレスを買わないなんて、侯爵夫人もオリヴィア様を虐げてますのね。
そういえば仕立て屋がシエンナ様はお得意様だといってましたが、そういうことでしたのね。
お可哀想に」
俯いてハンカチで目元を押さえてみせますわ。
シエンナを批判する声がかなり多くなりましたわ。
これで手を打てるところは打ちましたわ。
さぁ、メインイベントの断罪ですわ。
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