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カールへの説明
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カールは王子と対面していた。
カールの容態の安定を確認した後ユランは伯爵邸に帰宅した。すっかり回復したカールも数日後には王宮の一室から伯爵邸に戻る。
その報告を受けて、王子はカールの帰宅前に昏睡していた間の経過説明をすることにした。
(これは当事者のユランではなく、私の口から話すべき事案であろう)
イザベラの企み、メデオの協力、そしてユランが襲われたこと。
イザベラやその取り巻きと保護者の処分、メテオの処分が科されたこと。
一連の話を聞いて、カールの肩が激しい怒りに震えた。
「彼女達は具体的にどのような処分となったのですか?」
「イザベラは隣国から違法薬物を密入所持と使用の罪により、退学と2年間の労役処分となった。父親のウエスト男爵には爵位取り上げの処分を科した。
イザベラの取り巻きの3人の子息は、イザベラの確保に協力したことを鑑み、半年間の停学と奉仕活動を科した。
メテオについては事件への積極的な関与はなかったが、イザベラの犯行を知りつつも学園に報告しなかった件、危険な薬の抽出に携わった事を重く見て、3ヶ月の謹慎処分となった」
「メテオとやらは…イザベラの暴行事件に便乗しているにも関わらず積極的ではないと…バカですか⁉︎」
カールはフンと鼻を鳴らすと、王子にかみついた。
「すまない。あくまでもユランへの暴行罪ではなく違法薬物使用の罪のため軽い処分となった」
カールの不敬な態度を王子は咎めることなく、ただ受け入れた。
「わかりました。では、メテオをユランと金輪際接触させぬよう私の方から学園に働きかけましょう」
「それは…」
王子が眉を顰め、小さく俯いた。
「伯爵家から学園に対しての個人的な抗議ですので、特に問題はないでしょう?」
王子の発言を否定と捉えたカールは苛立ちを隠せない。
「いや、学園への抗議を反対しているのではない。メテオとの接触の可否だが…それは難しいだろう……
………………
実はメテオは君の治療に協力し、それにあたり交換条件を提示してきた………」
「交換条件だと⁉︎」
「あぁ…ユランがメテオのものになることを条件として、君の治療法を教えると…」
カールが怒りのあまり卒倒しそうな顔で王子を見ていると、部屋がコンコンとノックされた。
執事に案内されたヒースが入ってきて礼をする。
「ニコラス殿下、お話中のところ申し訳ありません。主よりカール様へ火急の伝言を承っております」
王子が小さく頷くと、ヒースはカールの側へ駆けつけた。耳元で何事か囁くとカールの顔色が変わった。
「ユランが⁉︎」
カールの発言に王子の耳がぴくっと反応する。
「君はユランの従者のヒースだったよね。ユランがどうしたんだい?」
二人の尋常でない様子に、ユランの身にただならぬ事が起きたのだと推測する。話を聞いたカールの顔面は蒼白を通り越して真っ白になっていた。
「発言を失礼いたします。当家のユラン様がウエスト男爵家のイザベラ様に刺されました」
ヒースの発言に王子の頭の中は真っ白になった。自分の耳を疑い、信じられぬ思いでヒースを見る。
ヒースは緊張の中に不安と怒りの入り混じった複雑な表情をしている。
「刺された⁉︎一体どうして…ユランは?」
王子は自分の口元に手を当てわなわなと震える。
「理由はわかりません。アンギュー子爵邸でイザベラに刺されたとしか…意識不明の重体で子爵邸で駆けつけた当家の医師が治療を施しております」
「アンギュー子爵?メテオの……カール、君は先にユランの元へ向かうと良い。私も用意出来次第、魔術師を連れて子爵邸に向かおう」
カールの容態の安定を確認した後ユランは伯爵邸に帰宅した。すっかり回復したカールも数日後には王宮の一室から伯爵邸に戻る。
その報告を受けて、王子はカールの帰宅前に昏睡していた間の経過説明をすることにした。
(これは当事者のユランではなく、私の口から話すべき事案であろう)
イザベラの企み、メデオの協力、そしてユランが襲われたこと。
イザベラやその取り巻きと保護者の処分、メテオの処分が科されたこと。
一連の話を聞いて、カールの肩が激しい怒りに震えた。
「彼女達は具体的にどのような処分となったのですか?」
「イザベラは隣国から違法薬物を密入所持と使用の罪により、退学と2年間の労役処分となった。父親のウエスト男爵には爵位取り上げの処分を科した。
イザベラの取り巻きの3人の子息は、イザベラの確保に協力したことを鑑み、半年間の停学と奉仕活動を科した。
メテオについては事件への積極的な関与はなかったが、イザベラの犯行を知りつつも学園に報告しなかった件、危険な薬の抽出に携わった事を重く見て、3ヶ月の謹慎処分となった」
「メテオとやらは…イザベラの暴行事件に便乗しているにも関わらず積極的ではないと…バカですか⁉︎」
カールはフンと鼻を鳴らすと、王子にかみついた。
「すまない。あくまでもユランへの暴行罪ではなく違法薬物使用の罪のため軽い処分となった」
カールの不敬な態度を王子は咎めることなく、ただ受け入れた。
「わかりました。では、メテオをユランと金輪際接触させぬよう私の方から学園に働きかけましょう」
「それは…」
王子が眉を顰め、小さく俯いた。
「伯爵家から学園に対しての個人的な抗議ですので、特に問題はないでしょう?」
王子の発言を否定と捉えたカールは苛立ちを隠せない。
「いや、学園への抗議を反対しているのではない。メテオとの接触の可否だが…それは難しいだろう……
………………
実はメテオは君の治療に協力し、それにあたり交換条件を提示してきた………」
「交換条件だと⁉︎」
「あぁ…ユランがメテオのものになることを条件として、君の治療法を教えると…」
カールが怒りのあまり卒倒しそうな顔で王子を見ていると、部屋がコンコンとノックされた。
執事に案内されたヒースが入ってきて礼をする。
「ニコラス殿下、お話中のところ申し訳ありません。主よりカール様へ火急の伝言を承っております」
王子が小さく頷くと、ヒースはカールの側へ駆けつけた。耳元で何事か囁くとカールの顔色が変わった。
「ユランが⁉︎」
カールの発言に王子の耳がぴくっと反応する。
「君はユランの従者のヒースだったよね。ユランがどうしたんだい?」
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