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イザベラ視点 1
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(イザベラ視点)
私はイザベラ。ウエスト男爵家の一人娘だ。
私には小さなころから前世の記憶があった。
前世では私はとても不細工な女で、勉強しか能のない学生だった。私の一つ下の妹は馬鹿だが可愛い顔をして家族からも同級生からも愛されていた。
顔がいいだけで誰からも愛されるこの妹のことが大嫌いで、私は何かにつけ妹をいじめてストレス発散をしていた。
誰からも愛されるこの妹を虐げることが人生の喜びだった。
妹が大切にしている服やアクセサリーは奪い取り、ハマっているゲームがは奪い取り妹の前で見せつけるようにプレイした。
ゲームになど興味はなかったが、妹の悔しそうな顔を見ることだけが生きがいだった。
妹の前で、私はネットで調べた攻略方法を元に、短時間でゲームをクリアしてすぐに捨てた。
『妹と比べて恐ろしいほどに不細工な女』と事あるごとに罵られ揶揄われ、卑屈な気持ちを妹への虐めと得意な勉強にぶつけていった。
優秀な私は大学では生物学科を専攻し、製薬関係の仕事に就職するため邁進していた。
その中で薬物を自分で調合しては、妹の身体で実験をする至福の喜びをみつけた。
黙って私を見守っている家族が、まさかあんなに思い詰めているなんて考えてもみなかった。
妹を虐待する私に耐えかねた母の手により、私は無理心中をさせられたのだった。
(あの女のせいで…あの顔だけの女のせいで…)
小さい頃から自分が転生したのだとわかっていた。前世の不細工な自分と比べこの世界の私はとても愛らしい顔をしていた。
ピンク色というあり得ない髪色をしていることは受け入れがたかったが、それ以外には何の不満もなかった。
しかし、前世の記憶を持つ私は子どもの頃から異常に大人びていたのか、家族も使用人も私のことを気味悪がっていた。
(いいのよ。私は顔がいいんだがら、いずれこいつらも私の事を大事に扱うはずだわ。私が頭が良すぎるからこいつらは理解できないんだわ)
いつものように使用人の話を盗み聞きしていると、私と同い年の優秀な王家の第2王子の話をしていた。
ニコラス=ロレーヌ
容姿にも才能にも恵まれた王子は誰からも認められ愛される存在だった。
(私は周囲から疎まれているのに…なんで?)
まだ見ぬ王子へのやるせない怒りが私を動かし、私は使用人の金をくすねこっそりと王家のパレードを覗き見に行った。
人込みの向こうに小さく見えるゴミ粒のような第2王子の姿を目にしたとき衝撃が走った。
(これは…ゲームの…)
それは見覚えがある、前世で妹から奪い取ったゲームの登場人物の姿だった。
そう思った時頭の中に電流のようなものが走った。
(あぁ、ここはゲームの世界なんだ。『華の君を離さない』…華離の世界なんだ…)
そう思った時身体の奥から溢れてくる喜びで身体が震えた。
(私は選ばれたヒロイン。誰からも愛されるヒロインなんだ。今私の事を煙たがっていてもいずれ私の事を皆が愛するようになるんだ。
いずれっていつなんだろう。ゲームが始まるとき?)
入学まであと5年もあった。私にはそれまで指を加えて待つだけでいることは耐えられなかった。
(何かできることはないだろうか…)
そう思ったときにゲームの話を思い出した。
ゲームの中でイザベラは華の君と呼ばれていた。男爵家の庭園には彼女の名前を示すオリエンタルユリが咲き誇っていた。
イザベラは感謝のしるしとしてその花を攻略対象によく渡していた。
彼女に好意を抱く攻略対象ははにかみながら『イザベラ』という名の花を受け取っていた。
(ゲームでは表現されていなかったけれど…もしかしてこの花がアイテムなのかもしれない)
手始めにユリを手にいれ、庭園で栽培した。
そんなとき庭師の態度が変わってきたことに気付いた。
それまで魔物でもみるかのように見ていた庭師が私に対し優しくなったのだ。
(もしかして、この花は私に好意を抱くアイテムなの?)
私は『イザベラ』を量産すると、使用人に渡し屋敷中に置いた。
むせ返るようなユリの臭いの中、徐々に皆の態度が変化したが長くは続かなかった。
(花は枯れてしまうから、長持ちしないのね。花の効果は見た目からでているのか、それとも臭いからでているのだろうか、
両方が合わさって初めて効果がでるのだろうか。まずそれを調べてみよう)
実験を重ね、花の効果はピンク色の見た目ではなく、芳醇な甘い香りにあることがわかった。
(香水かポプリにしてみたらどうだろう)
花を摘みくすねたアルコールに浸してみたが効果のある香水を作ることはできなかったが、乾燥させポプリにすると効果が長持ちすることがわかった。
私は『イザベラ』を乾燥させたポプリを入れてサシェを作り、家族と使用人に手渡した。
5年という時間を費やしたがようやく男爵家を支配することができた。
(これでゲームも楽に展開することができるはず)
私はイザベラ。ウエスト男爵家の一人娘だ。
私には小さなころから前世の記憶があった。
前世では私はとても不細工な女で、勉強しか能のない学生だった。私の一つ下の妹は馬鹿だが可愛い顔をして家族からも同級生からも愛されていた。
顔がいいだけで誰からも愛されるこの妹のことが大嫌いで、私は何かにつけ妹をいじめてストレス発散をしていた。
誰からも愛されるこの妹を虐げることが人生の喜びだった。
妹が大切にしている服やアクセサリーは奪い取り、ハマっているゲームがは奪い取り妹の前で見せつけるようにプレイした。
ゲームになど興味はなかったが、妹の悔しそうな顔を見ることだけが生きがいだった。
妹の前で、私はネットで調べた攻略方法を元に、短時間でゲームをクリアしてすぐに捨てた。
『妹と比べて恐ろしいほどに不細工な女』と事あるごとに罵られ揶揄われ、卑屈な気持ちを妹への虐めと得意な勉強にぶつけていった。
優秀な私は大学では生物学科を専攻し、製薬関係の仕事に就職するため邁進していた。
その中で薬物を自分で調合しては、妹の身体で実験をする至福の喜びをみつけた。
黙って私を見守っている家族が、まさかあんなに思い詰めているなんて考えてもみなかった。
妹を虐待する私に耐えかねた母の手により、私は無理心中をさせられたのだった。
(あの女のせいで…あの顔だけの女のせいで…)
小さい頃から自分が転生したのだとわかっていた。前世の不細工な自分と比べこの世界の私はとても愛らしい顔をしていた。
ピンク色というあり得ない髪色をしていることは受け入れがたかったが、それ以外には何の不満もなかった。
しかし、前世の記憶を持つ私は子どもの頃から異常に大人びていたのか、家族も使用人も私のことを気味悪がっていた。
(いいのよ。私は顔がいいんだがら、いずれこいつらも私の事を大事に扱うはずだわ。私が頭が良すぎるからこいつらは理解できないんだわ)
いつものように使用人の話を盗み聞きしていると、私と同い年の優秀な王家の第2王子の話をしていた。
ニコラス=ロレーヌ
容姿にも才能にも恵まれた王子は誰からも認められ愛される存在だった。
(私は周囲から疎まれているのに…なんで?)
まだ見ぬ王子へのやるせない怒りが私を動かし、私は使用人の金をくすねこっそりと王家のパレードを覗き見に行った。
人込みの向こうに小さく見えるゴミ粒のような第2王子の姿を目にしたとき衝撃が走った。
(これは…ゲームの…)
それは見覚えがある、前世で妹から奪い取ったゲームの登場人物の姿だった。
そう思った時頭の中に電流のようなものが走った。
(あぁ、ここはゲームの世界なんだ。『華の君を離さない』…華離の世界なんだ…)
そう思った時身体の奥から溢れてくる喜びで身体が震えた。
(私は選ばれたヒロイン。誰からも愛されるヒロインなんだ。今私の事を煙たがっていてもいずれ私の事を皆が愛するようになるんだ。
いずれっていつなんだろう。ゲームが始まるとき?)
入学まであと5年もあった。私にはそれまで指を加えて待つだけでいることは耐えられなかった。
(何かできることはないだろうか…)
そう思ったときにゲームの話を思い出した。
ゲームの中でイザベラは華の君と呼ばれていた。男爵家の庭園には彼女の名前を示すオリエンタルユリが咲き誇っていた。
イザベラは感謝のしるしとしてその花を攻略対象によく渡していた。
彼女に好意を抱く攻略対象ははにかみながら『イザベラ』という名の花を受け取っていた。
(ゲームでは表現されていなかったけれど…もしかしてこの花がアイテムなのかもしれない)
手始めにユリを手にいれ、庭園で栽培した。
そんなとき庭師の態度が変わってきたことに気付いた。
それまで魔物でもみるかのように見ていた庭師が私に対し優しくなったのだ。
(もしかして、この花は私に好意を抱くアイテムなの?)
私は『イザベラ』を量産すると、使用人に渡し屋敷中に置いた。
むせ返るようなユリの臭いの中、徐々に皆の態度が変化したが長くは続かなかった。
(花は枯れてしまうから、長持ちしないのね。花の効果は見た目からでているのか、それとも臭いからでているのだろうか、
両方が合わさって初めて効果がでるのだろうか。まずそれを調べてみよう)
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(香水かポプリにしてみたらどうだろう)
花を摘みくすねたアルコールに浸してみたが効果のある香水を作ることはできなかったが、乾燥させポプリにすると効果が長持ちすることがわかった。
私は『イザベラ』を乾燥させたポプリを入れてサシェを作り、家族と使用人に手渡した。
5年という時間を費やしたがようやく男爵家を支配することができた。
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