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苦しむヒース ※
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ヒースが苦しそうに胸元を押さえながら、激しい呼吸を何度も繰り返している。
「ヒース、落ち着いて…ゆっくり…そうっ…お腹から息を吸って…ふぅっと吐いて…苦しい?床に手をついて…前屈みになってみようか」
ヒースの症状は前世で僕がよく起こした過呼吸の症状に似ていた。
記憶を頼りにあつしくんが僕にしてくれたように、ヒースに声をかける。
僕の治癒魔法は本来持つ回復能力を高めるだけの力しかないので、今のヒースには役に立たない。
(たしか…袋を被せるのは危険も伴うから、なるべく腹式呼吸を意識するようにって言ってたんだよな)
少しだけ呼吸が浅くなったヒースを椅子に座らせ、身体を前屈みにすると、背中を優しく撫でる。
(このままもう少しヒースの様子を見て、それでも回復しないようなら、医師を呼びに行こう)
「ハーハーハー…」
「吸って吐いて吐いて…」
ヒースは椅子に座り、低いテーブルに腕をだらんと投げ出している。ぐったりとしたまま、ゆっくり呼吸を繰り返していくうちに、ヒースの呼吸は安定してきて目にも力が宿ってきた。
「…フー…ユラン様…」
「ヒース‼︎大丈夫?無理しないで」
ヒースが少しでも安心出来るように、ヒースの細い空色の髪を何度も撫でる。
そのまま30分くらい経過したころだろう。真っ白だったヒースの頬にようやく赤みが差してきた。
「ユラン様、醜態を晒してしまい申し訳ありません。その上お手を煩わせてしまうなんて…私は如何なる処分でも…」
「っ‼︎やめて、ヒースっ‼︎」
表情のない顔が蝋人形のように冷たい。ヒースの感情のこもらないよそよそしい話し方が心に突き刺さる。
これ以上ヒースの口から冷たい言葉を聞きたくなくて、僕はヒースの顎を掴んでくいと顔をあげさせると、寒々とした唇を唇で塞いだ。
「んっーーー!やめっ…ゆ、ユラン様……ユラン様」
突然のキスにヒースは瞠目し、腕で僕の胸を押して引き剥がそうとジタバタと抵抗をする。
口を固く閉じて抵抗を試みるヒースの口に、無理矢理口内に舌をねじ込む。
舌で歯列を執拗に嬲り口内を蹂躙し、逃げる舌を絡め取ると、ヒースの身体がビクッと痙攣し無抵抗になった。
「んっ…ふっ…」
「っ…ん…んんっ…ふっ…」
口の端から涎が糸を引いて溢れてくると、ヒースの小刻みに震える舌がおずおずと反応して絡めてくる。
(ヒースが返してくれた…嬉しい…)
ゆっくりと舌を引き抜こうとすると、逆に絡め取られ、歯で甘噛みされる。下半身にジンジンと痺れるような快感が走り、身体が熱くなってきた。
敏感な舌先をざらりとした舌で刺激返されると、腰が重くなり頭の中が溶かされとろとろになる。
激しいキスの快感の渦に呑まれ、膝が抜けてしまいガクンと崩れ落ちてしまう。力が抜けて寄りかかる身体をヒースが強く抱きしめてくれた。
「んっ…ふっ…ヒースっ?ヒースっ⁉︎僕のことわかる?」
声を上げて泣きじゃくる僕に、ヒースが甘く蕩けるような笑顔で微笑んだ。
「ええ、親愛なるユラン様…勿論です」
「ヒース、落ち着いて…ゆっくり…そうっ…お腹から息を吸って…ふぅっと吐いて…苦しい?床に手をついて…前屈みになってみようか」
ヒースの症状は前世で僕がよく起こした過呼吸の症状に似ていた。
記憶を頼りにあつしくんが僕にしてくれたように、ヒースに声をかける。
僕の治癒魔法は本来持つ回復能力を高めるだけの力しかないので、今のヒースには役に立たない。
(たしか…袋を被せるのは危険も伴うから、なるべく腹式呼吸を意識するようにって言ってたんだよな)
少しだけ呼吸が浅くなったヒースを椅子に座らせ、身体を前屈みにすると、背中を優しく撫でる。
(このままもう少しヒースの様子を見て、それでも回復しないようなら、医師を呼びに行こう)
「ハーハーハー…」
「吸って吐いて吐いて…」
ヒースは椅子に座り、低いテーブルに腕をだらんと投げ出している。ぐったりとしたまま、ゆっくり呼吸を繰り返していくうちに、ヒースの呼吸は安定してきて目にも力が宿ってきた。
「…フー…ユラン様…」
「ヒース‼︎大丈夫?無理しないで」
ヒースが少しでも安心出来るように、ヒースの細い空色の髪を何度も撫でる。
そのまま30分くらい経過したころだろう。真っ白だったヒースの頬にようやく赤みが差してきた。
「ユラン様、醜態を晒してしまい申し訳ありません。その上お手を煩わせてしまうなんて…私は如何なる処分でも…」
「っ‼︎やめて、ヒースっ‼︎」
表情のない顔が蝋人形のように冷たい。ヒースの感情のこもらないよそよそしい話し方が心に突き刺さる。
これ以上ヒースの口から冷たい言葉を聞きたくなくて、僕はヒースの顎を掴んでくいと顔をあげさせると、寒々とした唇を唇で塞いだ。
「んっーーー!やめっ…ゆ、ユラン様……ユラン様」
突然のキスにヒースは瞠目し、腕で僕の胸を押して引き剥がそうとジタバタと抵抗をする。
口を固く閉じて抵抗を試みるヒースの口に、無理矢理口内に舌をねじ込む。
舌で歯列を執拗に嬲り口内を蹂躙し、逃げる舌を絡め取ると、ヒースの身体がビクッと痙攣し無抵抗になった。
「んっ…ふっ…」
「っ…ん…んんっ…ふっ…」
口の端から涎が糸を引いて溢れてくると、ヒースの小刻みに震える舌がおずおずと反応して絡めてくる。
(ヒースが返してくれた…嬉しい…)
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「んっ…ふっ…ヒースっ?ヒースっ⁉︎僕のことわかる?」
声を上げて泣きじゃくる僕に、ヒースが甘く蕩けるような笑顔で微笑んだ。
「ええ、親愛なるユラン様…勿論です」
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