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転科と実技
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騎士科の教室にはほとんどの生徒が着席をしていた。
(ニコラス王子は教室にはいないな。まだ外交から帰ってないのだろうか。
王子がいないということは、当然のことだが、兄もいない)
目でいつのまにか兄の姿を探してしまう。
兄が不在を確認し、僕はため息をついた。
教室を開けた瞬間から痛いほど視線を浴びる。僕は目を合わせぬように俯きながら、事前に確認しておいた自席に座った。
机の上には騎士科の制服と教科書が置かれている。
ヒソヒソと話し声が耳に飛び込んでくる。
(僕のことを噂しているのかな。こんな中途半端な時期に転科したから?
それともイザベラとのことが噂になっている?)
「この制服に着替えていた方が良いかな?」
「そうですね。1限は実技があるので、ローブじゃない方が良いと思います」
周りの話し声を無視して、隣席の子ににこりと挨拶をする。少しメテオに似た優しい面立ちの隣席の子は、僕を見て顔を赤らめながら優しく教えてくれた。
*
ローブを脱いで騎士服に着替えた。
なぜかLLサイズのためユランにはかなり大きいが、これは騎士はすぐに身体を鍛えて大きくなるからと将来を見越したものなのだろうか…
ゲームのユランの屈強な体格ならこの大きさでもピッタリであったかもしれないので、もしかしたらこれもゲーム補正なのだろうか…
着替えに手間取りチャイムよりも少し遅れて実演場に到着すると、クラスメイトの視線が突き刺さってきた。
僕のことを新参者と興味本位で見ている人が大半だが、中には刺々しい視線やネットリとした視線もあり、背筋がゾッとする。
(ここにもイザベラの味方がいるのかもしれない。
僕を敵と見做して攻撃をしてくるかもしれないから、注意をしておこう。
騎士科にはメテオみたいな明確な味方はいないもの…)
実技は2人でコンビを組んで対戦を行うようだ。
見学のつもりでいた僕は、一番弱いコンビの補助につくことになった。
防御魔法と回復魔法で後方支援をすることになった。
この世界の魔法はそれほど強力なものはない。僕が使える土魔法は防御といっても一方向からの攻撃を壁を作って妨げる程度のものだ。それに、回復魔法といっても僕のヒールは体力増強ぐらいの力しかない。
(記憶が戻るまでは剣の鍛錬もしていたけど、ひさびさの実演だから剣も握れない。僕の魔法って本当に攻撃方面ではあまり役に立たないなぁ。
足を引っ張らぬように、後方からの二人への防御支援に集中しよう)
2人対3人での対戦となるが、相手方の2人は屈強な体格をしていて、見るからに強そうな空気を纏っている。
なぜか僕を見てにやりと笑った、2人のうちの背の高い男性は剣に加えて、水魔法が使えるらしい。
僕のように騎士科を選んでいる人の中にも魔力を扱える人は数人いるらしい。
(ニコラス王子は教室にはいないな。まだ外交から帰ってないのだろうか。
王子がいないということは、当然のことだが、兄もいない)
目でいつのまにか兄の姿を探してしまう。
兄が不在を確認し、僕はため息をついた。
教室を開けた瞬間から痛いほど視線を浴びる。僕は目を合わせぬように俯きながら、事前に確認しておいた自席に座った。
机の上には騎士科の制服と教科書が置かれている。
ヒソヒソと話し声が耳に飛び込んでくる。
(僕のことを噂しているのかな。こんな中途半端な時期に転科したから?
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「この制服に着替えていた方が良いかな?」
「そうですね。1限は実技があるので、ローブじゃない方が良いと思います」
周りの話し声を無視して、隣席の子ににこりと挨拶をする。少しメテオに似た優しい面立ちの隣席の子は、僕を見て顔を赤らめながら優しく教えてくれた。
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僕のことを新参者と興味本位で見ている人が大半だが、中には刺々しい視線やネットリとした視線もあり、背筋がゾッとする。
(ここにもイザベラの味方がいるのかもしれない。
僕を敵と見做して攻撃をしてくるかもしれないから、注意をしておこう。
騎士科にはメテオみたいな明確な味方はいないもの…)
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2人対3人での対戦となるが、相手方の2人は屈強な体格をしていて、見るからに強そうな空気を纏っている。
なぜか僕を見てにやりと笑った、2人のうちの背の高い男性は剣に加えて、水魔法が使えるらしい。
僕のように騎士科を選んでいる人の中にも魔力を扱える人は数人いるらしい。
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