21 / 61
保健室とヒロイン
しおりを挟む
保健室の先生は席を外しているらしくガランとしており、入り口には外出中の札がかけられていた。
諦めて引き返そうとしたが、中から微かに人のいる気配を感じたのでノックをした。
ドアが開けられ、見知った顔が出迎えてくれた。
「おお、ユラン、顔色がよくないな。大丈夫なのかい?」
兄はヒースから僕をうけとると、手前のベッドに横たえた。
「少し目眩が…兄上はどうしてここへ?」
「あぁ、式の途中で倒れた女生徒がいてね。殿下の指示でここまで運んできたんだよ」
保険医がもどるのを待っていたらしい。
「女生徒には僕が先生に付き添いますので、兄上はどうぞニコラス王子のところへ戻ってください」
「よいのかい?では、頼んだよ。ユランもゆっくり休んでいなさい」
僕の額に口づけをすると、兄は保健室を後にした。
「もうっ、せっかくのシチュがっ!」
先ほどまで沈黙していた奥のベッドから、女生徒の声が響いてきた。
音を立てて勢いよくカーテンを開けると、こちらをジロリと睨む。
「もう、治ったからいいわっ!」
怒鳴ると逃げるように保健室を出ていった。
「…とても元気なご令嬢ですね…」
ヒースが呆れたような戸惑ったような声で呟いた。
僕の耳にはヒースの声が入ってこなかった。血の気が引いて顔がこわばっていくのを感じた。
「…(イザベラ=ウェスト…シチュってシチュエーションのこと?彼女も生まれ変わり?)
…うん…」
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い…
「⁉︎ユラン様っ⁉︎顔色がっ!すぐ先生を呼んで参ります」
すぐにも先生を呼びに向かおうとするヒースの腕を必死でつかんで引き留めた。
「やだっ…行かないで…おねがい………っ…」
「…っ⁉︎」
ヒースは目を見開いてぐっと喉を鳴らすと、僕に覆い被さり、貪るような激しい口づけをしてきた。
「…んっ…んっ…もっと…」
「ユラン様…もっと感じてください…」
口の奥を舌で蹂躙され身体をぎゅっと密着させた。
息もできないほどの濃厚な口づけに、頭が蕩けそうになっていった。
諦めて引き返そうとしたが、中から微かに人のいる気配を感じたのでノックをした。
ドアが開けられ、見知った顔が出迎えてくれた。
「おお、ユラン、顔色がよくないな。大丈夫なのかい?」
兄はヒースから僕をうけとると、手前のベッドに横たえた。
「少し目眩が…兄上はどうしてここへ?」
「あぁ、式の途中で倒れた女生徒がいてね。殿下の指示でここまで運んできたんだよ」
保険医がもどるのを待っていたらしい。
「女生徒には僕が先生に付き添いますので、兄上はどうぞニコラス王子のところへ戻ってください」
「よいのかい?では、頼んだよ。ユランもゆっくり休んでいなさい」
僕の額に口づけをすると、兄は保健室を後にした。
「もうっ、せっかくのシチュがっ!」
先ほどまで沈黙していた奥のベッドから、女生徒の声が響いてきた。
音を立てて勢いよくカーテンを開けると、こちらをジロリと睨む。
「もう、治ったからいいわっ!」
怒鳴ると逃げるように保健室を出ていった。
「…とても元気なご令嬢ですね…」
ヒースが呆れたような戸惑ったような声で呟いた。
僕の耳にはヒースの声が入ってこなかった。血の気が引いて顔がこわばっていくのを感じた。
「…(イザベラ=ウェスト…シチュってシチュエーションのこと?彼女も生まれ変わり?)
…うん…」
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い…
「⁉︎ユラン様っ⁉︎顔色がっ!すぐ先生を呼んで参ります」
すぐにも先生を呼びに向かおうとするヒースの腕を必死でつかんで引き留めた。
「やだっ…行かないで…おねがい………っ…」
「…っ⁉︎」
ヒースは目を見開いてぐっと喉を鳴らすと、僕に覆い被さり、貪るような激しい口づけをしてきた。
「…んっ…んっ…もっと…」
「ユラン様…もっと感じてください…」
口の奥を舌で蹂躙され身体をぎゅっと密着させた。
息もできないほどの濃厚な口づけに、頭が蕩けそうになっていった。
14
お気に入りに追加
1,594
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

俺が総受けって何かの間違いですよね?
彩ノ華
BL
生まれた時から体が弱く病院生活を送っていた俺。
17歳で死んだ俺だが女神様のおかげで男同志が恋愛をするのが普通だという世界に転生した。
ここで俺は青春と愛情を感じてみたい!
ひっそりと平和な日常を送ります。
待って!俺ってモブだよね…??
女神様が言ってた話では…
このゲームってヒロインが総受けにされるんでしょっ!?
俺ヒロインじゃないから!ヒロインあっちだよ!俺モブだから…!!
平和に日常を過ごさせて〜〜〜!!!(泣)
女神様…俺が総受けって何かの間違いですよね?
モブ(無自覚ヒロイン)がみんなから総愛されるお話です。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?


王道学園のモブ
四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。
私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。
そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
リクエストの更新が終わったら、舞踏会編をはじめる予定ですー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる