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心のさざ波
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学校への入学まであとひと月となってしまった。
相変わらず父上はお優しいし、兄上ともヒースとも仲良くしている。
強制力を思わせる異常事態は今のところあの1日だけだ。それでも、あの日のことを思うと怖くて震えが止まらない。自分で自分を制御できなくなる恐怖…
なぜ、あの時強制力が働こうとしたのか
なぜ、途中で解除されたのか
なぜ、他の人には行動面のみの強制力だったのか
なぜ、自分には精神面の強制力が働いたのか
あれから何度も考察を試みるがわからない。
何か条件のようなものがあるのだろうか。
イベントと同じような環境が揃っていたからなのだろうか。それとも条件が不一致、不完全だったから解除されたのだろうか。
原因がわからない以上、対処が出来ない。
訓練は少し、あの日の恐怖に似ている。
自分で自分を制御できない感覚…訓練時と同じだ。下半身が熱を帯び、痴態を止めることが出来ない。
兄上のペニスを舐めていると、それだけで昂り興奮する。
最近では2人から甘い眼差しだけで、条件反射のようにお尻の孔がキュッと締まり、奥に指を求めてしまう。
この制御不可能な状態は、もしかしたら強制力に対抗できうるのではないか…
この欲望に溺れたら不制御状態となり、意図せず強制力に抗うことができるのではないか。
言い訳のように益々この行為に溺れていった。
*
「来月には父上と離れて暮らさないといけないと思うと、とても寂しいです」
入学を回避できないか、自宅からの通いにできないかと何度も交渉したが、どうしても避けることは出来なかった。
僕にあれだけ優しく、どんなお願いでも聴いてくれた父親なのだが、これだけは僕が頼んでも泣いても叶えてくれなかった。
辛そうに断る父親の言動はゲームの強制力からくるものなのだろうか…
いずれ前世のときみたいに家族から嫌われてしまうのだろうか。最近では強制力のことばかり考えて眠れない日が増えてきた。
せめて、父との関係をより強固なものにするべく甘えたおすことにした。
姑息だが僕は父にアピールをしまくっている。
しかし、僕は本当に父のことが好きなので、これは別に演技をしているわけではなく、我慢をやめ心の赴くままに行動しているだけだ
「おお、私の天使ユラン。そんな辛そうな顔をしないでおくれ。お父さまも悲しくなってしまうよ」
自分から父の膝に座り、父の首に腕を絡ませ抱きついた。
「離れても僕のこと嫌いにならないでくださいね」
「何を言うんだよ。我が国家が滅びてもユランを嫌いになることなど決してないよ」
どんなに優しく抱きしめてくれても、どんどん不安な気持ちが湧いてくる。
「父上…」
「また眠れてないんだろう。これからはお父さまが一緒にユランと眠ってあげるから安心しなさい」
父は目を細めて微笑むと、僕の目の下のクマから頬にかけて指で優しく撫でて言った。
相変わらず父上はお優しいし、兄上ともヒースとも仲良くしている。
強制力を思わせる異常事態は今のところあの1日だけだ。それでも、あの日のことを思うと怖くて震えが止まらない。自分で自分を制御できなくなる恐怖…
なぜ、あの時強制力が働こうとしたのか
なぜ、途中で解除されたのか
なぜ、他の人には行動面のみの強制力だったのか
なぜ、自分には精神面の強制力が働いたのか
あれから何度も考察を試みるがわからない。
何か条件のようなものがあるのだろうか。
イベントと同じような環境が揃っていたからなのだろうか。それとも条件が不一致、不完全だったから解除されたのだろうか。
原因がわからない以上、対処が出来ない。
訓練は少し、あの日の恐怖に似ている。
自分で自分を制御できない感覚…訓練時と同じだ。下半身が熱を帯び、痴態を止めることが出来ない。
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最近では2人から甘い眼差しだけで、条件反射のようにお尻の孔がキュッと締まり、奥に指を求めてしまう。
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*
「来月には父上と離れて暮らさないといけないと思うと、とても寂しいです」
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「また眠れてないんだろう。これからはお父さまが一緒にユランと眠ってあげるから安心しなさい」
父は目を細めて微笑むと、僕の目の下のクマから頬にかけて指で優しく撫でて言った。
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