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騎士団と不調
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後ろから突然抱き上げられて見上げると、兄上だった。
「兄上!どうされたんですか?」
「可愛いユランが見学に来ると聞いて、私も第4の団長に訓練参加の許可をもらってきたんだよ」
え…兄上、第一騎士団の訓練に参加するんだ…兄上の活躍はみたいけど、ゲームに近づいているみたいで胸騒ぎがする…
「……あ、あにうえ…嬉しいです。僕、兄上の勇姿楽しみにしてます」
「ふふっ…」
兄は笑うと団員の方へ向かった。
*
屈強な騎士達の中でも父上の剣捌きは圧巻だった。
「父上!さすがです!」
やはり父はすごかった。屈強な騎士達を圧倒的な剣捌きで倒していく姿は戦いの神みたいで目が離せかった。
兄は兄で第一の団員を華麗な剣捌きで無駄なく急所を攻撃しており、格好良い。
*
「噂には聞いていたが、さすがキャボット伯爵家の長男だな」
(それに比べて次男は…)
「ああ…たしか今25歳だろ?恐ろしい戦闘能力だよな」
(無能の次男とそんなに歳変わらないのにな…)
「このままだと団長を上回るんじゃないか」
(団長の才能は長男にいったんだな。残念ながら次男は…)
「彼がいればキャボット伯爵家は安泰だな」
(キャボット伯爵家には彼さえいればよい…次男は…)
*
おかしい。僕どうしたんだろう。
大好きな兄上が褒められると嬉しいはずなのに…
兄を称える声と、頭の中で僕をこきおろす声が聞こえる。
兄が羨ましい。憎い。あいつのせいで僕は…
いや、違う。大好きな兄…優しい兄…
頭の中で僕を貶す声がなんども繰り返される。
違う。ちがう…
ちがうんだ…
*
ユランの表情は固まり、血の気がなくなったように真っ白になっていった。
突然何かに抗うかのように髪を掻きむしったかと思うとぱたりと膝から崩れ落ち、側にいたレイスが抱きとめた。
「兄上!どうされたんですか?」
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