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ジェシカのお茶会
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木漏れ日の差し込む庭園に並んだテーブルの周りを色とりどりの花が彩っている。
すでに2人のご令嬢が着席されているようだが、見知った顔ではない。
(ジェシカのご親戚かお友達かしら…
ジェシカは噂好きで悪目立ちしているけどあとの2人はよくはわからないわね)
一人がジェシカの従妹の男爵令嬢で、もう一人はそのお友達らしい。
にこやかに花を愛でながら会話をされている姿はとてもかわいらしい。
「マリーナ様、お目にかかれて光栄です。私マリーナ様にとても憧れてますの」
「私もですわ。マリーナ様の洗練された仕草、美貌すべてが理想です。今日はマリーナ様にお会いできると聞いて昨日からよく寝れておりませんの」
きゃぴきゃぴと明るく元気に話す姿は見てて微笑ましい。
「あら、私のほうこそとても楽しみにしておりましたのよ。ジェシカ様やお二人のお話を是非聞かせてくださいませ」
紅茶のフルーティーな香りと洋菓子の甘い香りが鼻をくすぐる。
「ジェシカ様、素敵な庭園ですこと。紅茶のこの爽やかで繊細な香りもこの景色にあってますわね」
優雅に一口飲んで口を綻ばせると、庭園をゆっくりと見渡す。
「お褒めいただきありがとうございます。マリーナ様がいらっしゃるので最高の紅茶を用意しましたのよ。
庭園といえば、先日マリーナ様がいかれたお茶会はいかがでしたか?
あちらの庭園は我が家の倍以上もあるとても立派なものだと伺っていますわ。
洋菓子も隣国の珍しいものをお取り寄せなさったとか…」
ジェシカも二人も下級貴族のため前回のお茶会には参加していないが、さすがジェシカだ。
庭園のことだけじゃなく、お茶会に出された軽食の内容まで知っている。
(まだ、お茶会から数日しか経っていないのにさすがだわ。それともお茶会の様子がかなり噂になっていたのかしら)
「ええ。可愛らしい花が並んだこちらの庭園とは違って、落ち着いて重厚感のある庭園でしたわ。どちらも甲乙つけがたいわ。
お料理も堪能したかったのだけど私体調を崩してしまってあまり口にできておりませんの」
「アマンダ様が粗相されて、そのせいでお倒れになられたと聞いてますわ。
こう言っては何ですが、アマンダ様は少し無作法なところがありますもの。
マリーナ様もご苦労なさっているのではありませんか?」
私を心配しているような口ぶりだが、ジェシカは大きな目をくるくるとさせており、興味ありげな様子がありありと浮かんでいる。
「マリーナ様、お倒れになられたのですか?」
「マリーナ様、もうお身体は大丈夫ですの?」
心配そうな表情を浮かべる2人のご令嬢。
(初めて聞いて心から私のことを心配している表情ね。どうやら情報通なのはジェシカだけのようね)
「よくご存じね。アマンダのせいではありませんわ。私の体調管理がなっていなかったせいですわ。
ふふっ、皆様ご心配ありがとうございます。ジェシカ様はアマンダのことよくご存じですのね」
お恥ずかしいわ…と肩をすくめてジェシカへ笑顔を向ける。
「えぇ、アマンダ様は同じクラスですのでよく存じあげております。マリーナ様の義妹とは思えない奔放な方で驚きましたわ。
娼婦のように婚約者のいる男性にすり寄って…お茶会でも呼ばれてもいないのに殿下方のテーブルに行って粗相をなさったと噂になっておりますの。
普段から公爵家を継ぐのは義姉ではなく自分だから、私が殿下と婚姻すると嘯いておられますのよ」
「アマンダがご迷惑をかけてごめんなさいね。注意してもあまり聞くような子ではないから…
でも…公爵を継ぐ…とアマンダが?」
「ええ、ご冗談でしょうけど、お姉様には権利がないのよと何度もおっしゃられて…」
「ない?」
(私には権利がない?何か理由があるのかしら)
顔が青くなって黙りこくる私を心配そうに2人が見つめる。
「きっとジェシカがアマンダ様に揶揄われたのよ。お気になさらないで」
「きっとアマンダ様がご冗談を言われたのですわ」
「そうね、きっとアマンダ様が男爵令嬢の私をお揶揄いになったのかもしれませんわ。
でもアマンダ様はマリーナ様にライバル意識をもたれているように思いますわ。
マリーナ様はくれぐれもご用心された方がよろしいかと思います」
ジェシカは今までの好奇な目つきではなく、真剣な眼差しを私に向けてくる。
「ご忠告ありがとうございます、ジェシカ様。男爵といえば、ジェシカ様はオルティス男爵家のダグラス様とは交流がありまして?」
無理やりこじつけてオルティス家のことを話題にする。
「ダグラス様ですか?親しくはしておりませんが、男爵家同士横の繋がりはございますのでお話しはしたことはありますわ。ダグラス様が何かありまして?」
「疎遠となっていますが、我が家の親戚筋ですのでどのような方なのか興味がありましたの」
ジェシカの探るような視線を笑顔で躱す。
「たしかお母さまのご実家でしたかしら?ダグラス様はとても爽やかで実直な方ですわ」
「そうなのですね。オルティス男爵家にエディ様という方はいらっしゃるかしら?」
「エディ様ですか………いらっしゃらなかったと思います。存じ上げませんわ。その方がどうかされましたの?」
「いいえ、そのような名前の使用人がいると耳にしたことがありまして…思い違いかもしれませんわ。うふふ。
でも、ジェシカ様が爽やかで実直と褒めたたえられるダグラス様に一度お会いしてみたいですわ」
私がではなく、ジェシカが褒めたから会いたいという点を強調しておこう。
疑問を持たれるような言動は慎まないと…
すでに2人のご令嬢が着席されているようだが、見知った顔ではない。
(ジェシカのご親戚かお友達かしら…
ジェシカは噂好きで悪目立ちしているけどあとの2人はよくはわからないわね)
一人がジェシカの従妹の男爵令嬢で、もう一人はそのお友達らしい。
にこやかに花を愛でながら会話をされている姿はとてもかわいらしい。
「マリーナ様、お目にかかれて光栄です。私マリーナ様にとても憧れてますの」
「私もですわ。マリーナ様の洗練された仕草、美貌すべてが理想です。今日はマリーナ様にお会いできると聞いて昨日からよく寝れておりませんの」
きゃぴきゃぴと明るく元気に話す姿は見てて微笑ましい。
「あら、私のほうこそとても楽しみにしておりましたのよ。ジェシカ様やお二人のお話を是非聞かせてくださいませ」
紅茶のフルーティーな香りと洋菓子の甘い香りが鼻をくすぐる。
「ジェシカ様、素敵な庭園ですこと。紅茶のこの爽やかで繊細な香りもこの景色にあってますわね」
優雅に一口飲んで口を綻ばせると、庭園をゆっくりと見渡す。
「お褒めいただきありがとうございます。マリーナ様がいらっしゃるので最高の紅茶を用意しましたのよ。
庭園といえば、先日マリーナ様がいかれたお茶会はいかがでしたか?
あちらの庭園は我が家の倍以上もあるとても立派なものだと伺っていますわ。
洋菓子も隣国の珍しいものをお取り寄せなさったとか…」
ジェシカも二人も下級貴族のため前回のお茶会には参加していないが、さすがジェシカだ。
庭園のことだけじゃなく、お茶会に出された軽食の内容まで知っている。
(まだ、お茶会から数日しか経っていないのにさすがだわ。それともお茶会の様子がかなり噂になっていたのかしら)
「ええ。可愛らしい花が並んだこちらの庭園とは違って、落ち着いて重厚感のある庭園でしたわ。どちらも甲乙つけがたいわ。
お料理も堪能したかったのだけど私体調を崩してしまってあまり口にできておりませんの」
「アマンダ様が粗相されて、そのせいでお倒れになられたと聞いてますわ。
こう言っては何ですが、アマンダ様は少し無作法なところがありますもの。
マリーナ様もご苦労なさっているのではありませんか?」
私を心配しているような口ぶりだが、ジェシカは大きな目をくるくるとさせており、興味ありげな様子がありありと浮かんでいる。
「マリーナ様、お倒れになられたのですか?」
「マリーナ様、もうお身体は大丈夫ですの?」
心配そうな表情を浮かべる2人のご令嬢。
(初めて聞いて心から私のことを心配している表情ね。どうやら情報通なのはジェシカだけのようね)
「よくご存じね。アマンダのせいではありませんわ。私の体調管理がなっていなかったせいですわ。
ふふっ、皆様ご心配ありがとうございます。ジェシカ様はアマンダのことよくご存じですのね」
お恥ずかしいわ…と肩をすくめてジェシカへ笑顔を向ける。
「えぇ、アマンダ様は同じクラスですのでよく存じあげております。マリーナ様の義妹とは思えない奔放な方で驚きましたわ。
娼婦のように婚約者のいる男性にすり寄って…お茶会でも呼ばれてもいないのに殿下方のテーブルに行って粗相をなさったと噂になっておりますの。
普段から公爵家を継ぐのは義姉ではなく自分だから、私が殿下と婚姻すると嘯いておられますのよ」
「アマンダがご迷惑をかけてごめんなさいね。注意してもあまり聞くような子ではないから…
でも…公爵を継ぐ…とアマンダが?」
「ええ、ご冗談でしょうけど、お姉様には権利がないのよと何度もおっしゃられて…」
「ない?」
(私には権利がない?何か理由があるのかしら)
顔が青くなって黙りこくる私を心配そうに2人が見つめる。
「きっとジェシカがアマンダ様に揶揄われたのよ。お気になさらないで」
「きっとアマンダ様がご冗談を言われたのですわ」
「そうね、きっとアマンダ様が男爵令嬢の私をお揶揄いになったのかもしれませんわ。
でもアマンダ様はマリーナ様にライバル意識をもたれているように思いますわ。
マリーナ様はくれぐれもご用心された方がよろしいかと思います」
ジェシカは今までの好奇な目つきではなく、真剣な眼差しを私に向けてくる。
「ご忠告ありがとうございます、ジェシカ様。男爵といえば、ジェシカ様はオルティス男爵家のダグラス様とは交流がありまして?」
無理やりこじつけてオルティス家のことを話題にする。
「ダグラス様ですか?親しくはしておりませんが、男爵家同士横の繋がりはございますのでお話しはしたことはありますわ。ダグラス様が何かありまして?」
「疎遠となっていますが、我が家の親戚筋ですのでどのような方なのか興味がありましたの」
ジェシカの探るような視線を笑顔で躱す。
「たしかお母さまのご実家でしたかしら?ダグラス様はとても爽やかで実直な方ですわ」
「そうなのですね。オルティス男爵家にエディ様という方はいらっしゃるかしら?」
「エディ様ですか………いらっしゃらなかったと思います。存じ上げませんわ。その方がどうかされましたの?」
「いいえ、そのような名前の使用人がいると耳にしたことがありまして…思い違いかもしれませんわ。うふふ。
でも、ジェシカ様が爽やかで実直と褒めたたえられるダグラス様に一度お会いしてみたいですわ」
私がではなく、ジェシカが褒めたから会いたいという点を強調しておこう。
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