357 / 458
第四章「偏愛の城」
82
しおりを挟む
殿は、三月二十三日には上洛。
殿の命を受けた信忠は岐阜から、信意(信雄)、信孝、信包、信澄の連枝衆もそれぞれの兵を率いて、一益、長秀、蜂屋頼隆らも参陣、さらに十兵衛も丹後から引き返して大坂攻めの軍に加わった。
丹波から播磨への道の確保は、藤孝に任せているとのこと………………
四月四日、信忠を総大将として大坂への出陣。
五日、六日の二日間で大坂一帯の麦畠を薙ぎ払い、引き揚げた。
七日、殿は二条の邸宅に神保長住を呼び寄せ、黄金百枚・しじら百反を与え、斎藤利治、佐々長穐らをつけ、飛騨経由で越中へと向かわせた。
同じ日に、毛利の本隊が大群をもって東進してくるという報せを受けた。
三木城を包囲している秀吉だけでは対応できまいと、荒木村重を派遣。
同時に、丹波にも一益、長秀、そして十兵衛の三将を遣わす。
丹波は十兵衛の差配だが、毛利に備えるために、そうそうに防衛線を抑えよとの殿の命から、一益、長秀のふたりが助力に加わった。
十日、波多野氏家臣荒木氏綱の居城である荒木城(細工所城)を包囲、城に流れ込む水路を止め、干上がるのを待った。
抵抗をつづけた氏綱であったが、これまでと首を垂れ、城を受け渡し、十兵衛が留守居役として城に残って丹波一帯の防衛線を築いた。
報せの通り、毛利軍が播磨・備前・美作の国境まで攻め寄せてきた。
尼子勝久が守る上月城を包囲。
ひと時は、山陰・山陽八か国にまで勢力を広げた尼子氏であったが、居城月山富田城を失い滅亡。
勝久の父義久は毛利に幽閉、勝久は逃げ延び、家臣山中鹿介幸盛とともに信長の配下に入り、尼子氏再興のときを待っていた。
秀吉が播磨攻めを行うと、その時が来たと進んで先陣をかけ、宿敵毛利氏との戦に備えて最前線の上月城を守っていた。
勝久ら尼子勢とすれば、敵が向こうからやってきてくれたのだから、願ったり叶ったり。
だが、守りは数千。
一方の毛利軍は、毛利輝元を総大将として、叔父の吉川元春、小早川隆景、宇喜多直家の弟忠家、さらに水軍も用いて、その数三万。
毛利軍は城を囲んだ後、むやみに攻めず、周囲に陣城や堀、柵を築き、連日連夜ほら貝を吹き鳴らし、太鼓を叩くなど敵を煽りながら、兵糧攻めとした。
秀吉も、村重とともに上月城救援のため、その東にある高倉山にあがったが、眼下の熊見川のせいで容易には近づけない。
東播磨には毛利に呼応した三木城の長治らの播磨衆、さらに播磨灘は毛利水軍 ―― 気がつけば、秀吉は完全に包囲されていた。
殿の命を受けた信忠は岐阜から、信意(信雄)、信孝、信包、信澄の連枝衆もそれぞれの兵を率いて、一益、長秀、蜂屋頼隆らも参陣、さらに十兵衛も丹後から引き返して大坂攻めの軍に加わった。
丹波から播磨への道の確保は、藤孝に任せているとのこと………………
四月四日、信忠を総大将として大坂への出陣。
五日、六日の二日間で大坂一帯の麦畠を薙ぎ払い、引き揚げた。
七日、殿は二条の邸宅に神保長住を呼び寄せ、黄金百枚・しじら百反を与え、斎藤利治、佐々長穐らをつけ、飛騨経由で越中へと向かわせた。
同じ日に、毛利の本隊が大群をもって東進してくるという報せを受けた。
三木城を包囲している秀吉だけでは対応できまいと、荒木村重を派遣。
同時に、丹波にも一益、長秀、そして十兵衛の三将を遣わす。
丹波は十兵衛の差配だが、毛利に備えるために、そうそうに防衛線を抑えよとの殿の命から、一益、長秀のふたりが助力に加わった。
十日、波多野氏家臣荒木氏綱の居城である荒木城(細工所城)を包囲、城に流れ込む水路を止め、干上がるのを待った。
抵抗をつづけた氏綱であったが、これまでと首を垂れ、城を受け渡し、十兵衛が留守居役として城に残って丹波一帯の防衛線を築いた。
報せの通り、毛利軍が播磨・備前・美作の国境まで攻め寄せてきた。
尼子勝久が守る上月城を包囲。
ひと時は、山陰・山陽八か国にまで勢力を広げた尼子氏であったが、居城月山富田城を失い滅亡。
勝久の父義久は毛利に幽閉、勝久は逃げ延び、家臣山中鹿介幸盛とともに信長の配下に入り、尼子氏再興のときを待っていた。
秀吉が播磨攻めを行うと、その時が来たと進んで先陣をかけ、宿敵毛利氏との戦に備えて最前線の上月城を守っていた。
勝久ら尼子勢とすれば、敵が向こうからやってきてくれたのだから、願ったり叶ったり。
だが、守りは数千。
一方の毛利軍は、毛利輝元を総大将として、叔父の吉川元春、小早川隆景、宇喜多直家の弟忠家、さらに水軍も用いて、その数三万。
毛利軍は城を囲んだ後、むやみに攻めず、周囲に陣城や堀、柵を築き、連日連夜ほら貝を吹き鳴らし、太鼓を叩くなど敵を煽りながら、兵糧攻めとした。
秀吉も、村重とともに上月城救援のため、その東にある高倉山にあがったが、眼下の熊見川のせいで容易には近づけない。
東播磨には毛利に呼応した三木城の長治らの播磨衆、さらに播磨灘は毛利水軍 ―― 気がつけば、秀吉は完全に包囲されていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
24
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる