247 / 498
第三章「寵愛の帳」
91
しおりを挟む
殿は、次の標的を長島の一向衆と決めた。
折よく、船の用意も整った。
前回、船の仕度ができずに、長島を取り囲むことができなかった。
大湊の会合衆が非協力的であったのだが、詳しく調べさせると、長島の要請で足弱衆(女子ども)が逃げる手助けをしていたようで、殿はこれを酷く叱責し、
『協力せぬのなら、余計な手出しをするな』
と、これの責任者を処刑した。
此度は、九鬼氏の船である。
織田の配下である九鬼嘉隆が安宅船を率いて参戦するという。
九鬼氏は、もともと北畠氏の配下であったが、信長との戦でその勢力が弱まると独立、そのまま信長に付いた。
水軍を操る武将としては、毛利水軍とともに特質すべき存在である。
七月十三日、信長は大軍を率いて出陣 ―― 天下(畿内)の采配を任されていた明智光秀、越前一向一揆に対応していた羽柴秀吉を除く、連枝衆、家臣団総出の戦である ―― その数、七万とも、八万とも………………
信長は、これを三軍に分け、四方八方から攻め立てる。
東の市江口からは、信忠を大将とし、織田信包(信長の弟)、秀成(信長の弟)、長利(信長の弟)、信成(信長の従弟)、信次(信長の叔父)の連枝衆、そこに斎藤新五、簗田広正、森長可、坂井越中守、池田恒興、長谷川与次、山田勝盛、梶原景久、和田定利、中島豊後守、関成政、佐藤秀方、市橋利尚、塚本小大善………………
西の賀鳥口は、佐久間信盛、柴田勝家、稲葉一鉄・貞通親子、蜂屋頼隆………………
早尾口からは、信長を総大将として、羽柴秀長(秀吉の弟)、浅井政澄、丹羽長秀、氏家直通、安藤守就、飯沼長継、不破光治・直光親子、丸毛長照・兼利親子、佐々内蔵助成政、市橋長利、前田又左衛門利家、中条家忠、河尻秀隆、織田信広、飯尾尚清………………
海上を、九鬼嘉隆の安宅船に加え、滝川一益、伊藤実信、水野直盛らの安宅船、島田秀満、林秀貞らの囲舟、さらには北畠信雄(信長の次男)・神戸信孝(信長の三男)らも大船を率いて参戦、長島一帯を取り囲んだ。
七月十五日、海上封鎖が完了すると、信長は総攻撃を下し、敵の立て籠もる城を次々に落としていく。
四方から攻め寄られた一向門徒は、篠橋・大鳥居・屋長島・中江・長島に立て籠った。
信長は、これに対して、部隊を再度編成しなおし………………
篠橋方面 ―― 織田信広、織田信成、織田信次、氏家直通、安藤守就、飯沼長継、
浅井政澄、水野信元、横井雅楽助
………………
大鳥居方面 ―― 柴田勝家、稲葉一鉄・貞通親子、蜂屋頼隆………………
長島方面 ―― 市橋長利、不破直光、丹羽長秀………………
加路戸島方面 ―― 織田信包、林秀貞、島田秀満………………
大島方面 ―― 北畠信雄、神戸信孝………………
後詰 ―― 佐久間信盛・信栄親子………………
大船や安宅船から、絶え間なく大鉄砲を撃ち込ませる。
流石の一向門徒もこれには弱りはて、篠橋・大鳥居に立て籠もっていた連中が赦免を願い出た。
が、殿はこれを許さなかった。
折よく、船の用意も整った。
前回、船の仕度ができずに、長島を取り囲むことができなかった。
大湊の会合衆が非協力的であったのだが、詳しく調べさせると、長島の要請で足弱衆(女子ども)が逃げる手助けをしていたようで、殿はこれを酷く叱責し、
『協力せぬのなら、余計な手出しをするな』
と、これの責任者を処刑した。
此度は、九鬼氏の船である。
織田の配下である九鬼嘉隆が安宅船を率いて参戦するという。
九鬼氏は、もともと北畠氏の配下であったが、信長との戦でその勢力が弱まると独立、そのまま信長に付いた。
水軍を操る武将としては、毛利水軍とともに特質すべき存在である。
七月十三日、信長は大軍を率いて出陣 ―― 天下(畿内)の采配を任されていた明智光秀、越前一向一揆に対応していた羽柴秀吉を除く、連枝衆、家臣団総出の戦である ―― その数、七万とも、八万とも………………
信長は、これを三軍に分け、四方八方から攻め立てる。
東の市江口からは、信忠を大将とし、織田信包(信長の弟)、秀成(信長の弟)、長利(信長の弟)、信成(信長の従弟)、信次(信長の叔父)の連枝衆、そこに斎藤新五、簗田広正、森長可、坂井越中守、池田恒興、長谷川与次、山田勝盛、梶原景久、和田定利、中島豊後守、関成政、佐藤秀方、市橋利尚、塚本小大善………………
西の賀鳥口は、佐久間信盛、柴田勝家、稲葉一鉄・貞通親子、蜂屋頼隆………………
早尾口からは、信長を総大将として、羽柴秀長(秀吉の弟)、浅井政澄、丹羽長秀、氏家直通、安藤守就、飯沼長継、不破光治・直光親子、丸毛長照・兼利親子、佐々内蔵助成政、市橋長利、前田又左衛門利家、中条家忠、河尻秀隆、織田信広、飯尾尚清………………
海上を、九鬼嘉隆の安宅船に加え、滝川一益、伊藤実信、水野直盛らの安宅船、島田秀満、林秀貞らの囲舟、さらには北畠信雄(信長の次男)・神戸信孝(信長の三男)らも大船を率いて参戦、長島一帯を取り囲んだ。
七月十五日、海上封鎖が完了すると、信長は総攻撃を下し、敵の立て籠もる城を次々に落としていく。
四方から攻め寄られた一向門徒は、篠橋・大鳥居・屋長島・中江・長島に立て籠った。
信長は、これに対して、部隊を再度編成しなおし………………
篠橋方面 ―― 織田信広、織田信成、織田信次、氏家直通、安藤守就、飯沼長継、
浅井政澄、水野信元、横井雅楽助
………………
大鳥居方面 ―― 柴田勝家、稲葉一鉄・貞通親子、蜂屋頼隆………………
長島方面 ―― 市橋長利、不破直光、丹羽長秀………………
加路戸島方面 ―― 織田信包、林秀貞、島田秀満………………
大島方面 ―― 北畠信雄、神戸信孝………………
後詰 ―― 佐久間信盛・信栄親子………………
大船や安宅船から、絶え間なく大鉄砲を撃ち込ませる。
流石の一向門徒もこれには弱りはて、篠橋・大鳥居に立て籠もっていた連中が赦免を願い出た。
が、殿はこれを許さなかった。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説


1333
干支ピリカ
歴史・時代
鎌倉幕府末期のエンターテイメントです。
(現在の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』から、100年ちょい後の話です)
鎌倉や京都が舞台となります。心躍る激しい合戦や、ぞくぞくするようなオドロオドロしい話を目指そうと思いましたが、結局政治や謀略の話が多くなりました。
主役は足利尊氏の弟、直義です。エキセントリックな兄と、サイケデリックな執事に振り回される、苦労性のイケメンです。
ご興味を持たれた方は是非どうぞ!

大航海時代 日本語版
藤瀬 慶久
歴史・時代
日本にも大航海時代があった―――
関ケ原合戦に勝利した徳川家康は、香木『伽羅』を求めて朱印船と呼ばれる交易船を東南アジア各地に派遣した
それはあたかも、香辛料を求めてアジア航路を開拓したヨーロッパ諸国の後を追うが如くであった
―――鎖国前夜の1631年
坂本龍馬に先駆けること200年以上前
東の果てから世界の海へと漕ぎ出した、角屋七郎兵衛栄吉の人生を描く海洋冒険ロマン
『小説家になろう』で掲載中の拙稿「近江の轍」のサイドストーリーシリーズです
※この小説は『小説家になろう』『カクヨム』『アルファポリス』で掲載します

【完結】電を逐う如し(いなづまをおうごとし)――磯野丹波守員昌伝
糸冬
歴史・時代
浅井賢政(のちの長政)の初陣となった野良田の合戦で先陣をつとめた磯野員昌。
その後の働きで浅井家きっての猛将としての地位を確固としていく員昌であるが、浅井家が一度は手を携えた織田信長と手切れとなり、前途には様々な困難が立ちはだかることとなる……。
姉川の合戦において、織田軍十三段構えの陣のうち実に十一段までを突破する「十一段崩し」で勇名を馳せた武将の一代記。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
故郷、甲賀で騒動を起こし、国を追われるようにして出奔した
若き日の滝川一益と滝川義太夫、
尾張に流れ着いた二人は織田信長に会い、織田家の一員として
天下布武の一役を担う。二人をとりまく織田家の人々のそれぞれの思惑が
からみ、紆余曲折しながらも一益がたどり着く先はどこなのか。

永き夜の遠の睡りの皆目醒め
七瀬京
歴史・時代
近藤勇の『首』が消えた……。
新撰組の局長として名を馳せた近藤勇は板橋で罪人として処刑されてから、その首を晒された。
しかし、その首が、ある日忽然と消えたのだった……。
近藤の『首』を巡り、過去と栄光と男たちの愛憎が交錯する。
首はどこにあるのか。
そして激動の時代、男たちはどこへ向かうのか……。
※男性同士の恋愛表現がありますので苦手な方はご注意下さい

本能のままに
揚羽
歴史・時代
1582年本能寺にて織田信長は明智光秀の謀反により亡くなる…はずだった
もし信長が生きていたらどうなっていたのだろうか…というifストーリーです!もしよかったら見ていってください!
※更新は不定期になると思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる