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第三章「寵愛の帳」
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翌日、玉子は朝から機嫌が悪く、
「太若丸殿、遠乗りに行きますよ」
と、無理やり馬に乗せられた。
いつもの場所に着くと、玉子は太若丸を押し倒し、馬乗りになっていつもより激しく腰を振った。
あれが引き千切れるかと思った。
何かあったのだろうか?
酷く怒っている。
いや、理由は分かっている。
太若丸が京に行くからであろう。
だからって、何もこんなに………………我慢できずに果てると、玉子も弓のように背中を仰け反らせ、何度か痙攣したのに、胸元に崩れ落ちた。
いつも以上に息が荒い。
満足したかと腰を上げようとすると、玉子は離さない。
まるで鼈のように吸い付いてくる。
そのまま何度も捩ると、再び『無明火』が灯ってくる。
二度も?
玉子は、太若丸にしがみ付いたまま、背中を突く。
稚児と僧の間では、後ろからしたいという合図だ ―― 玉子にせがまれ、そういった行為があることも教えたことがある。
玉子は、太若丸から降りると、背中を向け、真っ白な二つの丘を突き出す ―― 顔や手は焼けているのに、ここだけはまるで雪山である。
仕方なく、後ろから入れる。
そうしなければ、玉子が許してはくれないだろう。
何度も何度も腰を押し付けると、玉子の尻たぶが艶めかしく揺れ、湿った音を立てる。
少女は、狼の遠吠えのような叫び声を上げる。
刹那、全身を小刻みに震わせ、果てる。
しばし待っていると、ぶる、ぶるっと背中を揺さぶる。
太若丸のあれは、まだ煌々と燃えている。
玉子は振り向かず、二本の指で太若丸の臍をなぞる。
前から欲しいようだ。
少女は、少年に全てを晒すように両足を広げる。
少年が入り込むと、包み込むように抱く。
ゆっくり、ゆっくりと出し入れすると、普段の凛とした面持ちが嘘のように、目を背けたくなるほど淫らな面持ちで悦んでいる。
稚児であれば、相手にそんな淫らな顔を見せてはならない。
やはり、女は品がない………………と思った瞬間、太若丸は果てた。
玉子は、まだのようだ。
腰を浮かせて、求めるように揺さぶる。
絞られるような締め付けに、不思議とまた燃え上がってしまう。
なぜ、こうも『無明火』が灯るのか?
―― 吾もまだ、修行が足らん………………
欲望を必死に抑えながら、玉子の腰つきに付き合う。
玉子は、太若丸の欲望の汁を搾り取ろうと、激しく腰を動かす。
ああっと気が漏れたような声を発すると、女は漸くに満足したようだ。
太若丸の胸の中で、荒々しい息をしながら、汗で薄っすらと濡れた褐色の顔に妖艶な笑みを浮かべていた。
耳元に口を近づけ、何事か囁く。
「いまので、太若丸殿のお子ができたやもしれません」
冗談かと驚くと、玉子はにんまりと笑い、
「お帰り遊ばしたときには、まん丸とした赤子を抱いておりますよ」
あれほど、子を産むのは嫌だと言っていたのに………………
女の誇らしげで、勝ち誇ったような笑みに、頭とともに背中も冷たくなった。
「お早く、お帰り遊ばせ」
耳朶に吹きつけられた息が、妙にくすぐったくて、寒気がした。
「太若丸殿、遠乗りに行きますよ」
と、無理やり馬に乗せられた。
いつもの場所に着くと、玉子は太若丸を押し倒し、馬乗りになっていつもより激しく腰を振った。
あれが引き千切れるかと思った。
何かあったのだろうか?
酷く怒っている。
いや、理由は分かっている。
太若丸が京に行くからであろう。
だからって、何もこんなに………………我慢できずに果てると、玉子も弓のように背中を仰け反らせ、何度か痙攣したのに、胸元に崩れ落ちた。
いつも以上に息が荒い。
満足したかと腰を上げようとすると、玉子は離さない。
まるで鼈のように吸い付いてくる。
そのまま何度も捩ると、再び『無明火』が灯ってくる。
二度も?
玉子は、太若丸にしがみ付いたまま、背中を突く。
稚児と僧の間では、後ろからしたいという合図だ ―― 玉子にせがまれ、そういった行為があることも教えたことがある。
玉子は、太若丸から降りると、背中を向け、真っ白な二つの丘を突き出す ―― 顔や手は焼けているのに、ここだけはまるで雪山である。
仕方なく、後ろから入れる。
そうしなければ、玉子が許してはくれないだろう。
何度も何度も腰を押し付けると、玉子の尻たぶが艶めかしく揺れ、湿った音を立てる。
少女は、狼の遠吠えのような叫び声を上げる。
刹那、全身を小刻みに震わせ、果てる。
しばし待っていると、ぶる、ぶるっと背中を揺さぶる。
太若丸のあれは、まだ煌々と燃えている。
玉子は振り向かず、二本の指で太若丸の臍をなぞる。
前から欲しいようだ。
少女は、少年に全てを晒すように両足を広げる。
少年が入り込むと、包み込むように抱く。
ゆっくり、ゆっくりと出し入れすると、普段の凛とした面持ちが嘘のように、目を背けたくなるほど淫らな面持ちで悦んでいる。
稚児であれば、相手にそんな淫らな顔を見せてはならない。
やはり、女は品がない………………と思った瞬間、太若丸は果てた。
玉子は、まだのようだ。
腰を浮かせて、求めるように揺さぶる。
絞られるような締め付けに、不思議とまた燃え上がってしまう。
なぜ、こうも『無明火』が灯るのか?
―― 吾もまだ、修行が足らん………………
欲望を必死に抑えながら、玉子の腰つきに付き合う。
玉子は、太若丸の欲望の汁を搾り取ろうと、激しく腰を動かす。
ああっと気が漏れたような声を発すると、女は漸くに満足したようだ。
太若丸の胸の中で、荒々しい息をしながら、汗で薄っすらと濡れた褐色の顔に妖艶な笑みを浮かべていた。
耳元に口を近づけ、何事か囁く。
「いまので、太若丸殿のお子ができたやもしれません」
冗談かと驚くと、玉子はにんまりと笑い、
「お帰り遊ばしたときには、まん丸とした赤子を抱いておりますよ」
あれほど、子を産むのは嫌だと言っていたのに………………
女の誇らしげで、勝ち誇ったような笑みに、頭とともに背中も冷たくなった。
「お早く、お帰り遊ばせ」
耳朶に吹きつけられた息が、妙にくすぐったくて、寒気がした。
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