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第二章「性愛の山」
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権太は、なおも首を傾げる。
不邪淫 ―― 犯さず
在家は、むやみやたらと相会ない、夫婦以外のものと行為をしない、無理やり関係を持たない……と、教えられる。
が、坊主はいかなるものとの性行為も禁じる。
はずだが………………
女と交わることは駄目だが、男 ―― 稚児とはいいのか?
そもそも、どうやるのか?
疑問だらけだ。
「先ほども申したでしょう、稚児は人ではありません。観音菩薩の化身です。仏ですから、交わっても問題はありません。むしろ、仏と交わることで、煩悩の炎を消し去り、至高の真理を得るのです」
そんなものかと、権太は思った。
「やり方は……、まあ、ひと月のうちに学んでいきましょう。様々な決まりごとがありますので」
その夜、権太は考えた。
安仁の夜の世話をしなければならない ―― つまり、夫婦の真似事をする。
おみねとの行為を思い出す。
初めての事で、何が起こったのかほとんど分からなかったが、酷く興奮した。
あれをするのか?
あれが、男同士でできて、夫婦のような関係になれるのなら………………
―― 十兵衛と一緒になれる!
姉から奪い取り、十兵衛と一緒になれるんだ!
なるほど、ならばこれから学ぶことは、酷く重要なことなのだと思った。
そんなこと考えながら寝たせいか、夢に十兵衛が出てきた。
ふたりとも一糸纏わぬ姿で、権太は男の厚い胸に顔を埋めていた。
男は、権太の頭を優しく弄る。
己のものが大きくなっているのが分かる。
それに、ごつごつと硬いものが当たる感触も………………
木魚の音で目を覚ますと、立っていた。
稚児灌頂ではそれを、「無明火」という。
「無明」とは、煩悩に悩まされている状態、欲望に塗れて仏の根本を理解できないことをいう。
それに「火」がついてる状況なのだから、察しのとおり。
ちなみに、男性器の隠語である「まら」も仏教からきているともいわれる ―― 釈迦が悟りを開くため、座禅をしたとき、それを邪魔しようとしたのが、「魔羅(マーラ)」といわれる。
ともかく、それを静めるために、稚児が世話をするらしい。
そのため、必要になるのが、「法性の花」である。
「法性」とは、物事の本性、真理をいい、「無明」と対になる言葉である。
その「法性の花」を使えば、「無明火」が消える ―― すなわち、煩悩がなくなり、真理を得る………………という理屈だ。
「法性の花」とは何か?
権太は問うた。
安寿は、すんなりと答えた、「尻の穴です」
「若気」とも、「能」ともいうらしい。
言われて、尻が疼いた。
不邪淫 ―― 犯さず
在家は、むやみやたらと相会ない、夫婦以外のものと行為をしない、無理やり関係を持たない……と、教えられる。
が、坊主はいかなるものとの性行為も禁じる。
はずだが………………
女と交わることは駄目だが、男 ―― 稚児とはいいのか?
そもそも、どうやるのか?
疑問だらけだ。
「先ほども申したでしょう、稚児は人ではありません。観音菩薩の化身です。仏ですから、交わっても問題はありません。むしろ、仏と交わることで、煩悩の炎を消し去り、至高の真理を得るのです」
そんなものかと、権太は思った。
「やり方は……、まあ、ひと月のうちに学んでいきましょう。様々な決まりごとがありますので」
その夜、権太は考えた。
安仁の夜の世話をしなければならない ―― つまり、夫婦の真似事をする。
おみねとの行為を思い出す。
初めての事で、何が起こったのかほとんど分からなかったが、酷く興奮した。
あれをするのか?
あれが、男同士でできて、夫婦のような関係になれるのなら………………
―― 十兵衛と一緒になれる!
姉から奪い取り、十兵衛と一緒になれるんだ!
なるほど、ならばこれから学ぶことは、酷く重要なことなのだと思った。
そんなこと考えながら寝たせいか、夢に十兵衛が出てきた。
ふたりとも一糸纏わぬ姿で、権太は男の厚い胸に顔を埋めていた。
男は、権太の頭を優しく弄る。
己のものが大きくなっているのが分かる。
それに、ごつごつと硬いものが当たる感触も………………
木魚の音で目を覚ますと、立っていた。
稚児灌頂ではそれを、「無明火」という。
「無明」とは、煩悩に悩まされている状態、欲望に塗れて仏の根本を理解できないことをいう。
それに「火」がついてる状況なのだから、察しのとおり。
ちなみに、男性器の隠語である「まら」も仏教からきているともいわれる ―― 釈迦が悟りを開くため、座禅をしたとき、それを邪魔しようとしたのが、「魔羅(マーラ)」といわれる。
ともかく、それを静めるために、稚児が世話をするらしい。
そのため、必要になるのが、「法性の花」である。
「法性」とは、物事の本性、真理をいい、「無明」と対になる言葉である。
その「法性の花」を使えば、「無明火」が消える ―― すなわち、煩悩がなくなり、真理を得る………………という理屈だ。
「法性の花」とは何か?
権太は問うた。
安寿は、すんなりと答えた、「尻の穴です」
「若気」とも、「能」ともいうらしい。
言われて、尻が疼いた。
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