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第二章「性愛の山」
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「泣いてるんか?」
おみよが覗き込んでいた。
涙を見られたくはなかったが、拭うこともしなかった。
代わりに、おみよが拭ってくれた。
「大丈夫や、うちがついてるから、心配いらん」
そう言うと、彼女は権太の筵に入り込み、顔を胸に押し当てるようにして抱きかかえた。
幾分肌蹴た襟元から、浅黒い谷間が見える。
女の甘い匂いと饐えたような汗の臭いが入り混じった、噎せ返るような香りが鼻孔をつく。
女の身体は、柔らかい。
抱きしめられていると、心が落ち着いてくる。
不思議だ。
だから男は、女を求めるのだろうか?
だから十兵衛や山賊たちは、姉を求めたのだろうか?
権太は、おみよをぎゅっと抱きしめる。
おみよも、権太を抱き返してくれた。
権太は母を知らない。
襁褓が取れる前に亡くなったらしい。
姉に育てられたが、甘やかしてくれるような人ではなかった。
だから、女を知らない。
女の身体がこれほど柔らかく、優しく、甘い香りが漂って、高ぶっていた感情の火がゆっくりと消えていくような
不思議な感触があるとは知らなかった。
その癖、下半身のほうは火照り、徐々に熱がこもって、病み上がりというのに、あそこが膨らんでいくのである。
慌てて腰を引く。
と、おみよがそれに気が付き、両足で彼の腰を抱きかかえるようにして引き寄せた。
おみよが覗き込んでいた。
涙を見られたくはなかったが、拭うこともしなかった。
代わりに、おみよが拭ってくれた。
「大丈夫や、うちがついてるから、心配いらん」
そう言うと、彼女は権太の筵に入り込み、顔を胸に押し当てるようにして抱きかかえた。
幾分肌蹴た襟元から、浅黒い谷間が見える。
女の甘い匂いと饐えたような汗の臭いが入り混じった、噎せ返るような香りが鼻孔をつく。
女の身体は、柔らかい。
抱きしめられていると、心が落ち着いてくる。
不思議だ。
だから男は、女を求めるのだろうか?
だから十兵衛や山賊たちは、姉を求めたのだろうか?
権太は、おみよをぎゅっと抱きしめる。
おみよも、権太を抱き返してくれた。
権太は母を知らない。
襁褓が取れる前に亡くなったらしい。
姉に育てられたが、甘やかしてくれるような人ではなかった。
だから、女を知らない。
女の身体がこれほど柔らかく、優しく、甘い香りが漂って、高ぶっていた感情の火がゆっくりと消えていくような
不思議な感触があるとは知らなかった。
その癖、下半身のほうは火照り、徐々に熱がこもって、病み上がりというのに、あそこが膨らんでいくのである。
慌てて腰を引く。
と、おみよがそれに気が付き、両足で彼の腰を抱きかかえるようにして引き寄せた。
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