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第二章「性愛の山」
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夢を見た。
何の夢なのか覚えていないが、父や村人たち、姉が出てきた。
彼らが何をしていて、どんな表情をしていたか覚えていない。
そのせいか、目を覚ましたとき、村にいると思った。
むしろ、村を出て、山賊に襲われ、八郎に売られ、御山の麓にいることのほうが夢ではなかったかと思った。
起き上がらずに顔だけ横に向けると、ぴょんぴょんと跳ねる蚤の向こうに囲炉裏があり、その向こうに横たわる爺さんの姿が見えた。
夢ではなかった。
確かに、村を出たのだ。
もう父には会えないのだ。
そして、姉にも………………
覚悟を持って ―― 姉に触発され、偶発的なところがあったが、それでも十兵衛に会いたいという決心を持って村を出たのに、急にひとり知らない場所に置いてけぼりをくらって、心細くなってしまった。
父は、どうしているのだろう?
姉や権太がいなくなって、慌てて捜しまわっているだろうか?
ひとりになって、寂しくはないだろうか?
村は、どうなっているだろうか?
姉や権太たちを捜しているだろうか?
姉は、どうしているだろうか?
八郎に、伴天連というやつらに売られたのだろうか?
南蛮というところに連れていかれたのだろうか………………いや、もしかして、十兵衛のところに連れて行ってもらったのではないか?
八郎だけここに置いて、二人して十兵衛のもとに行ったのではないか?
もしかして、姉はあれをしたのではないか………………山賊たちにやったように、権太の知らないところで八郎にもその手を使って、自分だけ十兵衛のもとに連れて行ってもらえるように頼んだのでないか?
悔しかった。
姉が憎かった。
その一方で、女である姉が羨ましかった。
何の夢なのか覚えていないが、父や村人たち、姉が出てきた。
彼らが何をしていて、どんな表情をしていたか覚えていない。
そのせいか、目を覚ましたとき、村にいると思った。
むしろ、村を出て、山賊に襲われ、八郎に売られ、御山の麓にいることのほうが夢ではなかったかと思った。
起き上がらずに顔だけ横に向けると、ぴょんぴょんと跳ねる蚤の向こうに囲炉裏があり、その向こうに横たわる爺さんの姿が見えた。
夢ではなかった。
確かに、村を出たのだ。
もう父には会えないのだ。
そして、姉にも………………
覚悟を持って ―― 姉に触発され、偶発的なところがあったが、それでも十兵衛に会いたいという決心を持って村を出たのに、急にひとり知らない場所に置いてけぼりをくらって、心細くなってしまった。
父は、どうしているのだろう?
姉や権太がいなくなって、慌てて捜しまわっているだろうか?
ひとりになって、寂しくはないだろうか?
村は、どうなっているだろうか?
姉や権太たちを捜しているだろうか?
姉は、どうしているだろうか?
八郎に、伴天連というやつらに売られたのだろうか?
南蛮というところに連れていかれたのだろうか………………いや、もしかして、十兵衛のところに連れて行ってもらったのではないか?
八郎だけここに置いて、二人して十兵衛のもとに行ったのではないか?
もしかして、姉はあれをしたのではないか………………山賊たちにやったように、権太の知らないところで八郎にもその手を使って、自分だけ十兵衛のもとに連れて行ってもらえるように頼んだのでないか?
悔しかった。
姉が憎かった。
その一方で、女である姉が羨ましかった。
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