21 / 498
第一章「純愛の村」
21
しおりを挟む
確かに筵は板の間に敷かれ、十兵衛もいた。
が、なぜか姉もいた。
それなら別段問題もないのだが、いや、十兵衛と姉がふたりっきりでいることが、すでに権太の心をかき乱すのだが、そのふたりが睦合っている姿を見て、権太の心はまるで野分の海のように荒ぶった。
はじめは何をしているのか分からなかった。
月のお蔭で、様子はしっかりと見て取れた。
十兵衛が、仰向けに寝そべる姉の上にのり、体をゆっくりと動かしていた。
ときおり、姉の首筋や肌蹴た胸元に顔を埋める。
そのたびに姉は細い眉を寄せ、苦しいのか、霞んだ声をあげていた。
音は、姉のそれだ。
そして、十兵衛の身体が前の方に大きくせりあがったかと思うと、姉は体を仰け反らせ、閉じられた唇が、花がぱっと咲くかのように艶やかな声が零れ落ちた。
それが何度か続いた………………十兵衛が体を動かすたびに、おえいは眉を顰め、苦悶とも喜びともいえぬ、弟が聞いても恥ずかしくなるような声をあげた。
月の光に照らされた筵は乱れ、まるで水面に広がる波紋のようにふたりの周りに広がっていく。
そうか、これがあれなのだ。
はじめて言葉と行為が一致した瞬間だった。
確かに恥ずかしい行為だ。
見ているこっちも恥ずかしくなる。
だが………………変だ。
なんだろう、先ほど尿を出したところが異様にむずむずする。
出したばっかりなのに、また?
でも、このむずむずはいつもの小便を催すときのそれとは違うことは権太にも分かっていた。
権太は、自分のものを弄った ―― 大きくなっているのが分かった。
十兵衛と姉の行為を見ながら、まさぐり続けた。
いけないことだと思った
してはいけない気がしたが、正直乱れた心が落ち着く………………というか、別の気が高ぶり、おえいたちへの気持ちが消えていくような、不思議な感覚だった。
月は、なおも明るい。
男の身体が激しく波打ち、岩に砕け散るような声を出したかと思うと、女も悲鳴に近いような声を出して、背中を仰け反らせ、権太も言い知れぬ快感を覚えた。
終わって、権太は全身に汗をかいていた。
吹き付ける生温かい風が、変に心地よかった。
なぜか疲れたので、ぼぅーっとしていた。
十兵衛と姉は、しばらく何事が話していたようだ、会話は聞こえなかったが。
しばらくすると、姉が客間を出ていく気配がした。
権太は慌てて家に戻る。
家に入ると、ばったり姉と出くわした。
幾分引き攣った顔をしている。
それは権太も同じだったろう。
どこに行っていたのだと煩く聞くので、尿とだけ答えた。
「ねぇは?」
と聞き返すと、答えず、寝転がった。
隣に寝転がると、姉の身体から十兵衛の匂いがした。
悔しくなって、姉に背中を向けて寝た。
が、なぜか姉もいた。
それなら別段問題もないのだが、いや、十兵衛と姉がふたりっきりでいることが、すでに権太の心をかき乱すのだが、そのふたりが睦合っている姿を見て、権太の心はまるで野分の海のように荒ぶった。
はじめは何をしているのか分からなかった。
月のお蔭で、様子はしっかりと見て取れた。
十兵衛が、仰向けに寝そべる姉の上にのり、体をゆっくりと動かしていた。
ときおり、姉の首筋や肌蹴た胸元に顔を埋める。
そのたびに姉は細い眉を寄せ、苦しいのか、霞んだ声をあげていた。
音は、姉のそれだ。
そして、十兵衛の身体が前の方に大きくせりあがったかと思うと、姉は体を仰け反らせ、閉じられた唇が、花がぱっと咲くかのように艶やかな声が零れ落ちた。
それが何度か続いた………………十兵衛が体を動かすたびに、おえいは眉を顰め、苦悶とも喜びともいえぬ、弟が聞いても恥ずかしくなるような声をあげた。
月の光に照らされた筵は乱れ、まるで水面に広がる波紋のようにふたりの周りに広がっていく。
そうか、これがあれなのだ。
はじめて言葉と行為が一致した瞬間だった。
確かに恥ずかしい行為だ。
見ているこっちも恥ずかしくなる。
だが………………変だ。
なんだろう、先ほど尿を出したところが異様にむずむずする。
出したばっかりなのに、また?
でも、このむずむずはいつもの小便を催すときのそれとは違うことは権太にも分かっていた。
権太は、自分のものを弄った ―― 大きくなっているのが分かった。
十兵衛と姉の行為を見ながら、まさぐり続けた。
いけないことだと思った
してはいけない気がしたが、正直乱れた心が落ち着く………………というか、別の気が高ぶり、おえいたちへの気持ちが消えていくような、不思議な感覚だった。
月は、なおも明るい。
男の身体が激しく波打ち、岩に砕け散るような声を出したかと思うと、女も悲鳴に近いような声を出して、背中を仰け反らせ、権太も言い知れぬ快感を覚えた。
終わって、権太は全身に汗をかいていた。
吹き付ける生温かい風が、変に心地よかった。
なぜか疲れたので、ぼぅーっとしていた。
十兵衛と姉は、しばらく何事が話していたようだ、会話は聞こえなかったが。
しばらくすると、姉が客間を出ていく気配がした。
権太は慌てて家に戻る。
家に入ると、ばったり姉と出くわした。
幾分引き攣った顔をしている。
それは権太も同じだったろう。
どこに行っていたのだと煩く聞くので、尿とだけ答えた。
「ねぇは?」
と聞き返すと、答えず、寝転がった。
隣に寝転がると、姉の身体から十兵衛の匂いがした。
悔しくなって、姉に背中を向けて寝た。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
1333
干支ピリカ
歴史・時代
鎌倉幕府末期のエンターテイメントです。
(現在の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』から、100年ちょい後の話です)
鎌倉や京都が舞台となります。心躍る激しい合戦や、ぞくぞくするようなオドロオドロしい話を目指そうと思いましたが、結局政治や謀略の話が多くなりました。
主役は足利尊氏の弟、直義です。エキセントリックな兄と、サイケデリックな執事に振り回される、苦労性のイケメンです。
ご興味を持たれた方は是非どうぞ!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
大航海時代 日本語版
藤瀬 慶久
歴史・時代
日本にも大航海時代があった―――
関ケ原合戦に勝利した徳川家康は、香木『伽羅』を求めて朱印船と呼ばれる交易船を東南アジア各地に派遣した
それはあたかも、香辛料を求めてアジア航路を開拓したヨーロッパ諸国の後を追うが如くであった
―――鎖国前夜の1631年
坂本龍馬に先駆けること200年以上前
東の果てから世界の海へと漕ぎ出した、角屋七郎兵衛栄吉の人生を描く海洋冒険ロマン
『小説家になろう』で掲載中の拙稿「近江の轍」のサイドストーリーシリーズです
※この小説は『小説家になろう』『カクヨム』『アルファポリス』で掲載します
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
【完結】電を逐う如し(いなづまをおうごとし)――磯野丹波守員昌伝
糸冬
歴史・時代
浅井賢政(のちの長政)の初陣となった野良田の合戦で先陣をつとめた磯野員昌。
その後の働きで浅井家きっての猛将としての地位を確固としていく員昌であるが、浅井家が一度は手を携えた織田信長と手切れとなり、前途には様々な困難が立ちはだかることとなる……。
姉川の合戦において、織田軍十三段構えの陣のうち実に十一段までを突破する「十一段崩し」で勇名を馳せた武将の一代記。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
故郷、甲賀で騒動を起こし、国を追われるようにして出奔した
若き日の滝川一益と滝川義太夫、
尾張に流れ着いた二人は織田信長に会い、織田家の一員として
天下布武の一役を担う。二人をとりまく織田家の人々のそれぞれの思惑が
からみ、紆余曲折しながらも一益がたどり着く先はどこなのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
本能のままに
揚羽
歴史・時代
1582年本能寺にて織田信長は明智光秀の謀反により亡くなる…はずだった
もし信長が生きていたらどうなっていたのだろうか…というifストーリーです!もしよかったら見ていってください!
※更新は不定期になると思います。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
【架空戦記】蒲生の忠
糸冬
歴史・時代
天正十年六月二日、本能寺にて織田信長、死す――。
明智光秀は、腹心の明智秀満の進言を受けて決起当初の腹案を変更し、ごく少勢による奇襲により信長の命を狙う策を敢行する。
その結果、本能寺の信長、そして妙覚寺の織田信忠は、抵抗の暇もなく首級を挙げられる。
両名の首級を四条河原にさらした光秀は、織田政権の崩壊を満天下に明らかとし、畿内にて急速に地歩を固めていく。
一方、近江国日野の所領にいた蒲生賦秀(のちの氏郷)は、信長の悲報を知るや、亡き信長の家族を伊勢国松ヶ島城の織田信雄の元に送り届けるべく安土城に迎えに走る。
だが、瀬田の唐橋を無傷で確保した明智秀満の軍勢が安土城に急速に迫ったため、女子供を連れての逃避行は不可能となる。
かくなる上は、戦うより他に道はなし。
信長の遺した安土城を舞台に、若き闘将・蒲生賦秀の活躍が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる