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第四章「白村江は朱に染まる」 後編
第20話
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「何だと? キサマ、誰に口を利いてるんだ!」
二人の兵士が、前に進み出る。
黒万呂も、立ち上がり睨みつける。
「お前、奴だな? 奴の分際で、俺たちに意見するのか!」
この争いを聞きつけて、他の兵士たちもこちらにやって来た。
「如何した、何かあったか?」
「おう、こいつらが、俺たちの酒が飲めねえってんだよ!」
「なに? お前ら、斑鳩寺の家人や奴婢だな! 家人や奴婢の分際で、俺たちの酒が飲めんのか? なら、お前ら、踊れ!」
「おお、そうだ! 踊れ! 踊れ!」
周囲の兵士たちが囃し立てる。
黒万呂が、一歩前に踏み出す。
「キサマ、やるつもりか! 俺たちは大伴の正規兵だぞ! そこいらの農民の兵とは違うのだぞ! 分かっているのだろうな!」
兵士たちが、腰の物に手を掛けた。
「黒万呂!」
弟成は、黒万呂の腕を掴んで引き止める。
黒万呂と兵士の間に、次麻呂が割って入った。
「申し訳ございません。こいつはまだ若くて、ものを知りませんので、今日のところはご容赦ください。黒万呂、お前からも謝れ!」
次麻呂は、深々と頭を下げた。
それで事は丸く収まるかと思った。
「邪魔だ、退け! 俺は、あいつに話があるんだ」
「えっ?」
「退けと言ってるだろうが!」
兵士のひとりが剣を抜き、次麻呂の左肩目掛けて振り下ろす。
刹那、絶叫とともに次麻呂が崩れ落ちた。
「次麻呂!」
「キサマ!」
黒万呂は、弟成の腕を振り解き、兵士に躍り掛かった。
弟成も、止めるつもりはない ―― 黒万呂と同様に、兵士に踊り掛かっていた。
二人の兵士が、前に進み出る。
黒万呂も、立ち上がり睨みつける。
「お前、奴だな? 奴の分際で、俺たちに意見するのか!」
この争いを聞きつけて、他の兵士たちもこちらにやって来た。
「如何した、何かあったか?」
「おう、こいつらが、俺たちの酒が飲めねえってんだよ!」
「なに? お前ら、斑鳩寺の家人や奴婢だな! 家人や奴婢の分際で、俺たちの酒が飲めんのか? なら、お前ら、踊れ!」
「おお、そうだ! 踊れ! 踊れ!」
周囲の兵士たちが囃し立てる。
黒万呂が、一歩前に踏み出す。
「キサマ、やるつもりか! 俺たちは大伴の正規兵だぞ! そこいらの農民の兵とは違うのだぞ! 分かっているのだろうな!」
兵士たちが、腰の物に手を掛けた。
「黒万呂!」
弟成は、黒万呂の腕を掴んで引き止める。
黒万呂と兵士の間に、次麻呂が割って入った。
「申し訳ございません。こいつはまだ若くて、ものを知りませんので、今日のところはご容赦ください。黒万呂、お前からも謝れ!」
次麻呂は、深々と頭を下げた。
それで事は丸く収まるかと思った。
「邪魔だ、退け! 俺は、あいつに話があるんだ」
「えっ?」
「退けと言ってるだろうが!」
兵士のひとりが剣を抜き、次麻呂の左肩目掛けて振り下ろす。
刹那、絶叫とともに次麻呂が崩れ落ちた。
「次麻呂!」
「キサマ!」
黒万呂は、弟成の腕を振り解き、兵士に躍り掛かった。
弟成も、止めるつもりはない ―― 黒万呂と同様に、兵士に踊り掛かっていた。
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