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第一章「宿命の子どもたち」 前編
第7話
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手を引きながらの帰り道、弟が何度も手をぎゅっと握ってきた。
ときには、汗で滑ってすっぽぬけそうになった。
顔を覗き込むと、首をわずかに傾げ、眠たそうな目をしている。
「弟成、疲れたん? 大丈夫?」
彼女の問い掛けに、ただ首を縦に振った。
雪女と弟成は、他の子どもたちから遅れていった。
「遊び疲れたんやないの? ええわよ、雪女の枝木持ってあげるから。負ぶってあげたら?」
雪女と一緒に歩いていた絹女は、彼女の方に両手を差し出した。
「大丈夫やわ、歩けるし」
「ええから、ええから」
絹女は雪女の後ろに回ると、半ば強引に彼女の背中から荷物を降ろし、両手で抱えるようにして持った。
「ごめんな」
絹女に礼を言った雪女は、弟成の前にしゃがみ込み、
「弟成、乗り」
と言って、彼を促した。
弟成ももう限界だったのか、彼女に逆らうことなく、その柔らかい背中へと体を預けた。
春の夕日は、山肌を黄金色に照らす。
子どもたちの影が大地に這う。
雪女の影は、一人分大きい。
弟成は、彼女の背中で静かな寝息を立てている。
雪女は、背中に伝わる温かさと、自分の手から離れいくという寂しさに囚われながら山道を急いだ。
ときには、汗で滑ってすっぽぬけそうになった。
顔を覗き込むと、首をわずかに傾げ、眠たそうな目をしている。
「弟成、疲れたん? 大丈夫?」
彼女の問い掛けに、ただ首を縦に振った。
雪女と弟成は、他の子どもたちから遅れていった。
「遊び疲れたんやないの? ええわよ、雪女の枝木持ってあげるから。負ぶってあげたら?」
雪女と一緒に歩いていた絹女は、彼女の方に両手を差し出した。
「大丈夫やわ、歩けるし」
「ええから、ええから」
絹女は雪女の後ろに回ると、半ば強引に彼女の背中から荷物を降ろし、両手で抱えるようにして持った。
「ごめんな」
絹女に礼を言った雪女は、弟成の前にしゃがみ込み、
「弟成、乗り」
と言って、彼を促した。
弟成ももう限界だったのか、彼女に逆らうことなく、その柔らかい背中へと体を預けた。
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雪女の影は、一人分大きい。
弟成は、彼女の背中で静かな寝息を立てている。
雪女は、背中に伝わる温かさと、自分の手から離れいくという寂しさに囚われながら山道を急いだ。
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