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終章「春の夢」
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内与力澤田久太郎は、出仕前に二体の位牌に手を合わせる。
一体は妻理恵のもので、もう一体は娘波江のものである。
この日も、彼の儀式は変わることなく実行された。
ただ、いつもより幾ばくか手を合わせる時間が長かった。
手を下ろして、すっと小さな位牌に目をやる。
「波江、お七というお姉ちゃんがそっち行ったから、仲良く遊んでもらいなさい……、波江……」
久太郎の肩が、小さく震えていた。
一体は妻理恵のもので、もう一体は娘波江のものである。
この日も、彼の儀式は変わることなく実行された。
ただ、いつもより幾ばくか手を合わせる時間が長かった。
手を下ろして、すっと小さな位牌に目をやる。
「波江、お七というお姉ちゃんがそっち行ったから、仲良く遊んでもらいなさい……、波江……」
久太郎の肩が、小さく震えていた。
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