5 / 26
夢の中で
05
しおりを挟む「ランクあがると魔物の情報が増えるってハナシは聞いていたが、本当だったんだな」
リトはいま、ランクが上がらない限り入れない文献部屋であらゆる魔物の詳細が記載している書物を読んでいるところである。
冒険者のランクはSSからDまであり、ギルドからランクに合った依頼が届く。ランクを上げるには数をこなすか、あえて高レベルを挑戦して早いこと上げるかのどちらかになる。
ただ俺は上位ランクを目指していた訳ではなく、報酬がほしい時に依頼を受けていたためランクはB止まりだったが、ここ最近積極的に受けてきたからか、いつの間にかAに上がっていた。
いつものように依頼を済ませギルトに向かうと、ランクが上がっていることをギルドスタッフから教えてもらった。ついでに文献部屋も入れるようになるのことも。——もしかしたらインキュバスの詳細が得られるのではと思い、早速入ってみたのだ。
高レベルの魔物やエリアなどが詳しく記載しているであろう文献をいくつかピックアップし、パラパラとめくってみたがどれも記載していなかった。
とりあえず窓口カウンターにいるギルドスタッフなら知っているだろうかと考え、確認してみる。
「なぁ、インキュバスっていう魔物が載っている文献はあるのか?」
「インキュバスですか……。ここにあるのはほとんど撃滅対象だけですので、あるかどうかは。とりあえず調べてみますね」
撃滅対象か…そこまで考えたことなかったな。ただ、インキュバス・サキュバスだと撃滅することは難しいだろうな。人間の性欲が無くならない限り、居続ける存在なのだから。
「確認してみましたがやはりありませんでした。もしかしたらランクSかSSだと記載しているかもしれませんね」
「ここで確認することは出来ないのか?」
「申し訳ございません。ここのギルドはランクAまでなんです。SとSSは城下町に行かないと……」
「そうなのか」
ここの町から少し離れたところに城下町がある。俺には縁がないと思っていたが、インキュバスの情報が手に入る可能性があるなら、さらにランク上げるしかないな。
「まずはレベルアップしなきゃいけないってことだな。なんか大きい依頼とかないか?」
「そうですね。これなんかはどうでしょう──」
◇
「……なぁ、なんでインキュバスのことを調べてるの?」
目の前にずっと会いたかった顔があった。
「あれ? なんでいるのお前」
「夢だよ。俺がいる時点で気付け」
確か、俺はギルドでインキュバスのことを調べて、結局見つからずランク上げるために依頼を教えてもらい……あれ? 確かそのまま宿に戻ったはず……だよな?
いま俺が立っている場所はギルドで、窓口カウンターの向こうにはあの時のインキュバスがいた。
「へー、あんた冒険者なんだ。まぁ冒険者が集まるギルドではインキュバスやサキュバスの情報なんて無いぜ」
「……俺に会いに来てくれたのか?」
するとインキュバスはため息つく。
「あんたの情欲がめちゃくちゃ俺を引き寄せてんだよ。どれだけ無視しても、全然治まらないでやんの。仕方ないから来てやっただけ」
ギルドでスタッフが立っていたところにインキュバスがいる。現実と同じかどうかはわからないが、依頼が載っているであろう書類を読んでいる…いやフリかもしれない。
「なぁ、お前の名前教えてくれよ」
手に持っていた書類を取り出し、顔に近づけたがスッと避けられる。ちっ、唇を奪おうと思ってたのに。
「やだね。教える理由はないし、俺はお前の精気をもらいに来ただけ」
「……俺はリトだ。最中に名前を呼んでくれると、極上の精気ってやつを与えてやれると思うんだがな?」
極上の精気ってどうやって出来るのかは知らんが。
「ふぅん、リトっていうんだ」
唇の端から下唇をベロリと舐め、間にあったカウンターに登り座った。そして綺麗な指が俺のフェイスラインを撫でていく。
無精髭にもサワサワと触れられ、ゾワゾワとする。
「今回はやけに積極的だな……?」
「まぁね。前回とは違って最初から入ると決めてたんだし」
インキュバスが着ていたベストとレザーパンツがみるみるとギルドスタッフが着ていた上衣とズボンに切り替わって、角と尻尾も隠されていく。
……あの尻尾、触りたかったな。次は触らせてもらおう。
「——たくさんの人がいるギルドでヤるっていうシチュエーションってわけか」
「その方が燃えるだろう?」
「夢って自覚してなければな。でも悪くはない」
触り心地の良い髪を梳いて、そのまま後頭部を掴み唇を奪った。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
性的イジメ
ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。
作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。
全二話 毎週日曜日正午にUPされます。
公開凌辱される話まとめ
たみしげ
BL
BLすけべ小説です。
・性奴隷を飼う街
元敵兵を性奴隷として飼っている街の話です。
・玩具でアナルを焦らされる話
猫じゃらし型の玩具を開発済アナルに挿れられて啼かされる話です。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
壁穴奴隷No.19 麻袋の男
猫丸
BL
壁穴奴隷シリーズ・第二弾、壁穴奴隷No.19の男の話。
麻袋で顔を隠して働いていた壁穴奴隷19番、レオが誘拐されてしまった。彼の正体は、実は新王国の第二王子。変態的な性癖を持つ王子を連れ去った犯人の目的は?
シンプルにドS(攻)✕ドM(受※ちょっとビッチ気味)の組合せ。
前編・後編+後日談の全3話
SM系で鞭多めです。ハッピーエンド。
※壁穴奴隷シリーズのNo.18で使えなかった特殊性癖を含む内容です。地雷のある方はキーワードを確認してからお読みください。
※No.18の話と世界観(設定)は一緒で、一部にNo.18の登場人物がでてきますが、No.19からお読みいただいても問題ありません。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる