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一章 獣化ウイルス
1-10 真夜中の訪問者
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(ひぇぇぇぇぇ……!)
「おい」
聞こえた声に、恐る恐る振り返ってみる。
闇に浮かぶ黄金の髪。人を小馬鹿にしたような感情をたたえる鮮紅色の瞳。昼間と服装は違えど、首をかしげて私を見下ろすのは。
「せっ……赤斗?」
「他に誰がいる。お前がここにいるということは、連絡があったのか? なら部屋へ……と。どうした?」
謎の足音の主が赤斗だと分かり、情けないが私はその場にへたり込んでしまった。
「……驚かさないでよ……」
「なら、後ろから抱きしめれば安堵したのか?」
言いながら手を差し伸べる赤斗。大人しくそれを支えにして立ち……上がれない……。
どうやら……腰を抜かしてしまったらしい。
「幽霊を恐れて腰を抜かす、とはな。相変わらず可愛い奴だ」
「ひゃぁっ……!」
ひょいと横抱きに抱き上げられ、反射的に声がでる。
下ろせ、と抗議しようかとも思ったが、下ろされたところでどうしようもない。今は従うしかなさそうだ。
「珍しく文句を言わないな」
「言ったって……本当に腰抜けたんだからしかたないでしょう」
「素直に俺にこうされたいと言えばいいだろう? いつでもやってやるぞ?」
「気持ちだけありがたく受け取っておきますわ。赤斗王子」
わざと恭しく言ってやれば、こつんと額を小突かれる。
まったく。この男の曲がりくねった性格だけは、いくら医学が進歩したって治せそうもない。
赤斗の部屋の前には、兵士が一人いた。
彼が目配せすると、兵士はちょっと頬を赤らめ、一つ目礼をしてからその場を足早に立ち去る。
……あの兵士が考えていることが……手に取るように分かる……。
「どうせなら……ここの見張りを永にしてくれればよかったのに」
「なるほど。それは気づかなかった」
意地の悪い笑みでいけしゃぁしゃぁと言ってくれる。
絶対わざとだ……。
「それで? 希亜から連絡があったのだろう?」
私をベッドへ座らせ、自分も隣に腰かける。
ありがとう、と軽くお礼を言ってから、私は報告を始めた。
回避法はまだ分からないこと。
このままでは死が確定していること。
そして。
謁見を控えたのは……まずかったこと。
「ならば、明日からは通常通りにしたほうがいいということか?」
「そこが問題なんだよね……そんなに大きな行事が控えているわけではないし……普通の謁見なら問題ないんじゃないかなぁ」
どうにも煮え切らない私の態度にしかし赤斗は頷いた。
彼らしくも、ない表情で。
「どうしたの?」
「何がだ?」
すぐに表情を元に戻すが、こういう態度のときの赤斗は必ず何かを隠している。
それを何か考える時間はほんの一瞬。
一瞬後には、私は口を開いていた。
「大丈夫だよ赤斗。王を助ける為に今動いているんだから」
その言葉に、珍しく彼は目を見開いた。
「あんたを王にするなんてそんな恐ろしいことにはさせないよ。王が隠居するには早すぎ……」
ぎゅっ……。
言葉を最後まで紡ぐことなく。
いきなり私は赤斗に強く抱きしめられた。
「せき……」
「羅日斗は」
声色はいつもの通り。しかしその声は呟きを通り越して囁きの域だった。
大人しく耳を傾ける。
「羅日斗は、母の顔、温もりを知らない。まだ十二歳のあいつから父上を……奪いたくない」
回避方が分からない。
これは思ったより彼にとって、ダメージが大きかったらしい。
「世流。俺は羅日斗を哀しませたくない。が、それ以上に。俺にとって父上というものは……絶対なんだ」
そんなことは知っている。
彼が……赤斗が。どれほど架那斗王を敬愛しているかなんて。
そんなの今更だ。
だから私は、私を痛いくらいに抱きしめる赤斗の腕を拒絶することができない。
それでも今、私は彼に言わなければならないことがある。
「こら、赤斗! しっかりしろ!」
ぺちり。
身体を放し、両手で彼の頬を音を立てて挟み込む。
視線を交わらせれば、そこには不安の色を称えた鮮紅色の瞳。
「王はまだ生きている。私たちも生きている。まだ、何も起きていない」
「……」
「希亜の占いは、ほとんど外れない。ってことは、私たちにはまだ、回避できる道が残されている。今はその道を進むことだけ、考えよう?」
悲観的になるなんて、らしくないよ、と付け加えてから、手を離した。
すると彼は、一瞬泣きそうな表情をしてもう一度、私を力強く抱きしめる。させるがままにしておいて……数瞬。
「まさか、お前が俺を慰めるとはな。惚れた弱みというやつか?」
身体を離しながら彼はいつもの不敵な表情でいつもの科白を吐き出した。
「誰が誰によ」
「お前が俺に」
「そんな戯言が出てくれば、もう大丈夫よね」
ちょん、と彼の鼻面を小突いてやると立ち上がる。
皺になったスカートをぽんぽん軽くはたいてから、さらりと髪を手で梳く。
「もう戻るのか?」
「用件は済んだしね」
またあの暗い廊下をカツカツ歩いて部屋へ戻るかと思うと気が滅入るが、そんなことも言っていられない。
あまりに遅くなりすぎると、神殿の方に鍵がかかってしまうし、何より朝までここにいたのではまたいらぬ誤解を招きかねない。
……実は前に一度、赤斗の部屋に来ていて夜遅くになってしまったことがある。と、言っても朝までここにいたわけではないのだが、赤斗に送ってもらい集落まで戻った為、その後暫く貴族の女性たちの視線が痛かったこと痛かったこと。
あれはあまりいただけない……。
「朝までここにいればいいだろう。お前の嫌いな幽霊も出はしないぞ?」
「……それ、嫌味?」
頬を膨らしてみても、赤斗にわしわしと頭を撫でられてはぐらかされてしまう。
「昨日寝てないって言ったでしょ? いい加減、疲れちゃった」
「ならなおさらだ。ここで休めば、朝まで優しくしてやるぞ?」
瞬間、彼の言葉に頬が熱くなる。
どうしてこの男は恥ずかしげもなくこんな科白が吐けるのだろうか……。
私は無視を決め込んでさっさと部屋の扉へ向かった。
「素直じゃないな」
送って行く、と付け加えて彼もまた立ち上がりこちらへ歩いてくる。
扉を開けて廊下へ……。
ーーー ……せっ! 嫌…………っ!! ……う……!!!
「え……?」
唐突に、頭に響き渡った声にぴたりと動きが止まる。
ーーー ……っ………さ………め…! ……とっ!!!
ーーー ………り!! …い……………ら……! ……ろっ!
ド ク ン !
「っ!!」
ガクン!
あまりに強く響いた声と、鼓動に堪らずその場に膝をつく。
「世流?」
赤斗が何か声をかけているが、認識は、できなかった。
(血? いや、これは……)
声と共に私の目には頭には、何かの映像が流れ込んできた。
何か、大きな何かと横たわるおびただしい数の屍。兵士だろうか、それぞれ鎧を身に纏った者がほどんどだ。
場所は……どこかの遺跡?
ーーー ……えっ!!
今まで、曖昧だった声が急に鮮明に、聞き覚えのある声になった。
大きな何かに向かって……否、大きな何かに掴まれている何かに向かって必死に叫んでいる。あれは、人?
ーーー ちっ……!!
少しずつ、聞き覚えのある声が実際のそれとリンクしてくる。
そう、叫んでいるこの人物を、私は知っている。
(この、声……は)
思った瞬間、それは確信へと変わり、同時にビジョンが鮮明に映し出された。
血まみれの人間。大きな何かに掴まれた人へ向かって必死で呼びかけ、手を差し伸べる……黄金の髪。
(! 赤っ)
ーーー 父上っ!!!!!!!
「世流っっ!!!!!!」
名前を呼ばれたことに気がついて、私ははっと顔を上げた。
力強く、抱きかかえられる感覚。座り込んでしまった私を抱きかかえて険しい顔をするのは、当然のこと、健康きわまりない、今の今まで私にふざけた科白を吐いていた赤斗。
「あ……」
震える身体を抑えることができない。
赤斗が安心させるように私を力強く抱き寄せるが、それでも。
何に震えているのか、分からない。
「どうした……? 一体……」
赤斗の声もどこか遠くで聞こえるようで。
そのまま両手で自分の顔を覆った。
(今のは……まさ……か……)
信じられない。いや、信じたくない。
しかし今の映像と声。あれは……。
「世流?」
何も言わず、ただ震えて脅えるだけの私に心配げな赤斗の声がかかる。
そうしてやっと私は顔を上げて彼の顔を見た。
……赤斗。
「……赤……斗……」
体の震えが止まらない。
何故、あんなものが見えたのか。
何故。あんな声が聞こえたのか。
何故……赤斗の姿と声だけが……はっきりとしていたのか。
「! 世流っ!?」
私は意識を手放した。
「おい」
聞こえた声に、恐る恐る振り返ってみる。
闇に浮かぶ黄金の髪。人を小馬鹿にしたような感情をたたえる鮮紅色の瞳。昼間と服装は違えど、首をかしげて私を見下ろすのは。
「せっ……赤斗?」
「他に誰がいる。お前がここにいるということは、連絡があったのか? なら部屋へ……と。どうした?」
謎の足音の主が赤斗だと分かり、情けないが私はその場にへたり込んでしまった。
「……驚かさないでよ……」
「なら、後ろから抱きしめれば安堵したのか?」
言いながら手を差し伸べる赤斗。大人しくそれを支えにして立ち……上がれない……。
どうやら……腰を抜かしてしまったらしい。
「幽霊を恐れて腰を抜かす、とはな。相変わらず可愛い奴だ」
「ひゃぁっ……!」
ひょいと横抱きに抱き上げられ、反射的に声がでる。
下ろせ、と抗議しようかとも思ったが、下ろされたところでどうしようもない。今は従うしかなさそうだ。
「珍しく文句を言わないな」
「言ったって……本当に腰抜けたんだからしかたないでしょう」
「素直に俺にこうされたいと言えばいいだろう? いつでもやってやるぞ?」
「気持ちだけありがたく受け取っておきますわ。赤斗王子」
わざと恭しく言ってやれば、こつんと額を小突かれる。
まったく。この男の曲がりくねった性格だけは、いくら医学が進歩したって治せそうもない。
赤斗の部屋の前には、兵士が一人いた。
彼が目配せすると、兵士はちょっと頬を赤らめ、一つ目礼をしてからその場を足早に立ち去る。
……あの兵士が考えていることが……手に取るように分かる……。
「どうせなら……ここの見張りを永にしてくれればよかったのに」
「なるほど。それは気づかなかった」
意地の悪い笑みでいけしゃぁしゃぁと言ってくれる。
絶対わざとだ……。
「それで? 希亜から連絡があったのだろう?」
私をベッドへ座らせ、自分も隣に腰かける。
ありがとう、と軽くお礼を言ってから、私は報告を始めた。
回避法はまだ分からないこと。
このままでは死が確定していること。
そして。
謁見を控えたのは……まずかったこと。
「ならば、明日からは通常通りにしたほうがいいということか?」
「そこが問題なんだよね……そんなに大きな行事が控えているわけではないし……普通の謁見なら問題ないんじゃないかなぁ」
どうにも煮え切らない私の態度にしかし赤斗は頷いた。
彼らしくも、ない表情で。
「どうしたの?」
「何がだ?」
すぐに表情を元に戻すが、こういう態度のときの赤斗は必ず何かを隠している。
それを何か考える時間はほんの一瞬。
一瞬後には、私は口を開いていた。
「大丈夫だよ赤斗。王を助ける為に今動いているんだから」
その言葉に、珍しく彼は目を見開いた。
「あんたを王にするなんてそんな恐ろしいことにはさせないよ。王が隠居するには早すぎ……」
ぎゅっ……。
言葉を最後まで紡ぐことなく。
いきなり私は赤斗に強く抱きしめられた。
「せき……」
「羅日斗は」
声色はいつもの通り。しかしその声は呟きを通り越して囁きの域だった。
大人しく耳を傾ける。
「羅日斗は、母の顔、温もりを知らない。まだ十二歳のあいつから父上を……奪いたくない」
回避方が分からない。
これは思ったより彼にとって、ダメージが大きかったらしい。
「世流。俺は羅日斗を哀しませたくない。が、それ以上に。俺にとって父上というものは……絶対なんだ」
そんなことは知っている。
彼が……赤斗が。どれほど架那斗王を敬愛しているかなんて。
そんなの今更だ。
だから私は、私を痛いくらいに抱きしめる赤斗の腕を拒絶することができない。
それでも今、私は彼に言わなければならないことがある。
「こら、赤斗! しっかりしろ!」
ぺちり。
身体を放し、両手で彼の頬を音を立てて挟み込む。
視線を交わらせれば、そこには不安の色を称えた鮮紅色の瞳。
「王はまだ生きている。私たちも生きている。まだ、何も起きていない」
「……」
「希亜の占いは、ほとんど外れない。ってことは、私たちにはまだ、回避できる道が残されている。今はその道を進むことだけ、考えよう?」
悲観的になるなんて、らしくないよ、と付け加えてから、手を離した。
すると彼は、一瞬泣きそうな表情をしてもう一度、私を力強く抱きしめる。させるがままにしておいて……数瞬。
「まさか、お前が俺を慰めるとはな。惚れた弱みというやつか?」
身体を離しながら彼はいつもの不敵な表情でいつもの科白を吐き出した。
「誰が誰によ」
「お前が俺に」
「そんな戯言が出てくれば、もう大丈夫よね」
ちょん、と彼の鼻面を小突いてやると立ち上がる。
皺になったスカートをぽんぽん軽くはたいてから、さらりと髪を手で梳く。
「もう戻るのか?」
「用件は済んだしね」
またあの暗い廊下をカツカツ歩いて部屋へ戻るかと思うと気が滅入るが、そんなことも言っていられない。
あまりに遅くなりすぎると、神殿の方に鍵がかかってしまうし、何より朝までここにいたのではまたいらぬ誤解を招きかねない。
……実は前に一度、赤斗の部屋に来ていて夜遅くになってしまったことがある。と、言っても朝までここにいたわけではないのだが、赤斗に送ってもらい集落まで戻った為、その後暫く貴族の女性たちの視線が痛かったこと痛かったこと。
あれはあまりいただけない……。
「朝までここにいればいいだろう。お前の嫌いな幽霊も出はしないぞ?」
「……それ、嫌味?」
頬を膨らしてみても、赤斗にわしわしと頭を撫でられてはぐらかされてしまう。
「昨日寝てないって言ったでしょ? いい加減、疲れちゃった」
「ならなおさらだ。ここで休めば、朝まで優しくしてやるぞ?」
瞬間、彼の言葉に頬が熱くなる。
どうしてこの男は恥ずかしげもなくこんな科白が吐けるのだろうか……。
私は無視を決め込んでさっさと部屋の扉へ向かった。
「素直じゃないな」
送って行く、と付け加えて彼もまた立ち上がりこちらへ歩いてくる。
扉を開けて廊下へ……。
ーーー ……せっ! 嫌…………っ!! ……う……!!!
「え……?」
唐突に、頭に響き渡った声にぴたりと動きが止まる。
ーーー ……っ………さ………め…! ……とっ!!!
ーーー ………り!! …い……………ら……! ……ろっ!
ド ク ン !
「っ!!」
ガクン!
あまりに強く響いた声と、鼓動に堪らずその場に膝をつく。
「世流?」
赤斗が何か声をかけているが、認識は、できなかった。
(血? いや、これは……)
声と共に私の目には頭には、何かの映像が流れ込んできた。
何か、大きな何かと横たわるおびただしい数の屍。兵士だろうか、それぞれ鎧を身に纏った者がほどんどだ。
場所は……どこかの遺跡?
ーーー ……えっ!!
今まで、曖昧だった声が急に鮮明に、聞き覚えのある声になった。
大きな何かに向かって……否、大きな何かに掴まれている何かに向かって必死に叫んでいる。あれは、人?
ーーー ちっ……!!
少しずつ、聞き覚えのある声が実際のそれとリンクしてくる。
そう、叫んでいるこの人物を、私は知っている。
(この、声……は)
思った瞬間、それは確信へと変わり、同時にビジョンが鮮明に映し出された。
血まみれの人間。大きな何かに掴まれた人へ向かって必死で呼びかけ、手を差し伸べる……黄金の髪。
(! 赤っ)
ーーー 父上っ!!!!!!!
「世流っっ!!!!!!」
名前を呼ばれたことに気がついて、私ははっと顔を上げた。
力強く、抱きかかえられる感覚。座り込んでしまった私を抱きかかえて険しい顔をするのは、当然のこと、健康きわまりない、今の今まで私にふざけた科白を吐いていた赤斗。
「あ……」
震える身体を抑えることができない。
赤斗が安心させるように私を力強く抱き寄せるが、それでも。
何に震えているのか、分からない。
「どうした……? 一体……」
赤斗の声もどこか遠くで聞こえるようで。
そのまま両手で自分の顔を覆った。
(今のは……まさ……か……)
信じられない。いや、信じたくない。
しかし今の映像と声。あれは……。
「世流?」
何も言わず、ただ震えて脅えるだけの私に心配げな赤斗の声がかかる。
そうしてやっと私は顔を上げて彼の顔を見た。
……赤斗。
「……赤……斗……」
体の震えが止まらない。
何故、あんなものが見えたのか。
何故。あんな声が聞こえたのか。
何故……赤斗の姿と声だけが……はっきりとしていたのか。
「! 世流っ!?」
私は意識を手放した。
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