翡翠堂の店主

結城 鈴

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 「ねぇ未知。お店、やるかは別にして、残したら駄目かな?」
とは、翌日の夕ご飯時の話だ。
「やらないのに、お店残すんですか?」
「うん。何年住む家になるかわからないけど、やりたくなる日が来るかもしれないし。」
それでね、と将典が少し神妙な顔をする。
「廃材使ったり、再利用も考えたんだけど、三階建てにするとなると、木造はやっぱり厳しくて。軽量鉄骨にしようかなって。屋根も、太陽光のパネル一体型のにして、蓄電池もつけて。」
「・・・それはまた、すごい方向転換。最新の家にしようってことですか?」
「うん。気密性高い方が、光熱費も下げられるし。」
「ああ。それは僕も考えてました。新しい家の方が、電気代安そうかなって。」
「オール電化にしたら、お風呂も電気だから、ガス代かからなくなるしね。」
ガスコンロともお別れかぁ、とため息をつく。
「なんで急に?」
「それはもちろん、未知とずっと一緒にいたいから。あと、住むにしても貸すにしても、丈夫な方がいいでしょう?」
まぁ、それはそうだけど。今の翡翠堂の面影はなくなりそうだなと思った。
「それでさ、店内の雰囲気も、アンティーク調にして、壁は翡翠色にしようかと思ってて。だから、残せるのは本棚と看板くらいかな。」
「そこまでするのに、お店開けないんですか?時計は残してほしいです。鳩の。」
「鳩時計ね。いいよ。仕事が終わった夜だけ開けておいてもいいけど、疲れちゃうでしょ?とりあえずは閉店して、また気が向いたらやればいいよ。価値のある本はネットでも売れるだろうし。」
「将典さん、それ、僕の逃げ道を作ってない?」
仕事がうまくいかなかったときの。
「そんなつもりはないよ。俺が残したいの。未知は、未知の好きなことをしたらいいよ。」
着々と、プランを練っているような将典に、まだ先のことなのにという感が否めない。
「もう十月だよ?あっという間だよ?未知は何か要望ないの?キッチンとかお風呂とか。」
お風呂は、今より広くて、二人で入れたらいいなぁっておもうけど・・・。
お金を出すのは将典なのに、自分の要望をを聞きたいとは。将典はどこまでも自分に甘い。お店のことだって、まるで、いつでも戻ってくる場所はあるとでも言いたいような。
「・・・新卒逃してるって・・・やっぱりハンデ大きいですよね。」
「未知、敬語。・・・未知は未知の信念を通したんだから。ただ遊んでて逃したのとはわけが違うよ。俺だったら評価するけどな。」
「うん。ありがと。」
敬語を指摘して、しかし将典は優しい。そう言われると、少し自信になる。でもそれは、約束の一年をやり切ってからの話だ。
「僕、このまま春までお店開けてていいのかな。就職活動、した方がいいよね?」
「それはまぁ・・・そうだね。春から働ける会社の内定は欲しいよね。・・・どんな仕事したいの?」
「本が扱えたらいいな、とは思います。でも、前も言ったけど、司書には早々空きは出ないし、大手の書店も社員採用あるのか・・・バイトからなのかなとか。」
「俺と遊んでて、調べる時間ない?少し、会うの控えようか。」
「それは・・・。」
「家が建ったら、毎日一緒だよ?寝るときも。今は大事な時なんだし、就職活動に集中してみる?」
ハロワ行ったり、意外と面倒だよ?と将典が言う。
「転職、になるんですかね?」
「うーん。家業手伝い、無職と言えないこともない。」
やっぱり、仕事だと思っていたのは自分だけかもしれない。
「未知、確定申告はするの?」
「たぶん。でも、やり方わからないです。」
「ほとんど収入ないんだもんね。しなくてもいいと言えばいいけど・・・。」
もし、両親がいなかったら、生活保護待ったなしだ。
思わず頭を抱える。
「未知?」
「僕、いろいろと甘いですよね。」
今日のメニューは、スパゲッティーミートソースとサラダとコンソメスープ。それに、将典はビールを空けていた。
「飲食店で働く気はないの?」
未知のご飯美味しいよ、と将典が言う。
「今日のは、パスタ茹でて、ミートソースのレトルトをかけただけです。」
手抜きです、と言うと、ファミレスならその程度の調理しかしないよ、と返されてしまう。
「飲食店、っていか・・・学生時代は、ずっとドーナツ屋さんでバイトしてました。販売の方でしたけど。」
「へぇ。スピード勝負でしょう?ついていけてたんだ?」
「まぁ。あぁいうの嫌いじゃなくて。だから本当は、忙しいところで働きたくて。」
「スーパーとかも向いてそう。」
「レジ打ちですか?」
「総菜作ったりも。」
うーん。ピンとこない。
「やっぱり、社員食堂こない?近いところで働けるの魅力だな。」
パートで・・・いいのかな。
「たぶん、いろいろ天引きされて、手元にあんまり残らないだろうけど、一緒に住むなら食費入れてくれたらいいし、あとは貯金に回しなよ。そしたら、自分の住民税くらい払えるよ。」
無理なく働くって難しい。
でも、帰ってくる将典のご飯は作りたい。
甘えるなら、甘えるなりの理由を、両親に説明せねばならない。
理解、してくれるのかな・・・。

 まずは、と。将典が言っていた社員食堂に電話をかけてみた。募集があるのかどうか。すると、アルバイト希望なら、履歴書はいらないので、面接に来てくださいとのこと。とりあえず、行くだけ行ってみようかと、こぎれいな格好をして、出かけてみた。
夕方。待ち合わせ時間少し前に、食堂の表から入る。レジカウンターには、人のよさそうなおばさんがいた。面接に来た旨伝えると、責任者らしき人を呼んでくれ、奥へと通された。
「こんにちは。電話を受けた韮崎です。アルバイトをしたいということで良かったですか。」
韮崎は、年の頃なら四十代くらいの、中肉中背のおじさんだった。コックコート姿が妙に似合っている。
「初めまして。花田未知と言います。よろしくお願いします。」
「参考までに、うちが求人出してるのは何で知りましたか?」
「・・・このビルに入っている会社の、友人に聞いて。」
「あぁ。そうでしたか。広告も出していたので、そちらからかなと思ったんですけどね。なるほどなるほど。」
韮崎はそう言って、知人からの紹介、とA4サイズの紙にメモをした。その下に、花田、と書きかけ、ミチはどんな字ですか?と問うてきた。
「未知の生物とかの・・・。」
「あぁ。はいはい。未知、と。」
それから、何点か質問が続いた。包丁は使えるかとか、レジの経験はとか、週にどれくらい入りたいかとか。自分なりにそつなく、用意した答えを返した。
「そうですか。いつから入れます?ちょっと人が抜けちゃって、すぐにでも来てほしいんだけど。」
「時間はどんな感じですか?」
「ピークタイム回せればいいから、十一時から、三時まで通しで洗浄と雑用、手が空いたらレジのフォローなんかをしてもらいたいんだけど・・・できそうですか?」
「はい。それならいつからでも。」
慣れないうちは大変だと思うが、三時までなら、夕方少し店を開けられる。悪くない条件のように思えた。
「時給は、初めのうちは最低賃金だけど、できることが増えるにしたがって、上がっていくので心配しないでください。」
「ありがとうございます。」
そうして、面接は、三十分くらいで終了した。どうやら、働けることになったらしい。その後、レジにいた人がやってきて、ユニフォームのサイズを聞かれたりしたが、五時前には店に戻ってきていた。
父に、報告した方がいいだろう。まだ、仕事をしている時間だ。とりあえずは、メールを作る。『アルバイトをすることにしました。今後の事を相談したいので、あとで電話します。』
送信して一息ついた。今日は水曜日。店は出かける前に、休憩中の張り紙を出していた。シャッターを開けて、ガラス戸を開ける。外の風は冷たい。そろそろポットはお湯に変えようかと思っていた。今は、ホットの麦茶が入っている。
「お茶とコーヒー見てこよう。」
紅茶と、緑茶と・・・ハーブティーなんかもいいかもしれない。コーヒーはカフェラテのスティックを買って・・・。
思案しながら、予算を組む。
いっそ、オフィス用のショップから、ネットで買った方が安かったりして。
思案しながら、思い立ってパソコンを立ち上げた。普段は一日に一度、家計簿をつける時くらいしか使っていないのだが。
有名なショップを入れて検索する。
「だよねー。もうホットの季節だもんねー。」
お得なセット商品が売られている。
これ、いいかもしれない。パッケージも可愛いし。
将典にも相談してみよう。
今日も多分、店には寄ってくれる。もう、表から入ってくることは滅多になくなっていたが。
少し早いが、花に水でもやっておこうか。
手持ち無沙汰になり、店の外に出てみる。ガザニアは寒さにも強いようだった。元気に色とりどりの花を咲かせている。マリーゴールドも調子がいい。
庭に回って、じょうろに水を汲み、花に水をやっていると、駅の方から見知った顔が歩いてきた。いつもの重たそうな鞄。
将典だ。
「将典さん!どうしたの?」
「今日は外で打ち合わせがあって。今帰り。一度会社に戻って、書類整理して・・・からまた来るね。」
じゃぁ、と反対方向に去ってゆく。
アルバイト決まったこと、言いそびれちゃったな。
歩いてゆく将典を見送って、店に戻った。

 夕方、帰宅したのか、父から電話があった。
『未知。どうしたんだ急に、アルバイトなんて。』
生活費足りないのか?と問われる。
「この間の、お彼岸の時に紹介した、将典さん覚えてる?
彼の会社が入ってるビルの食堂で、募集掛けてるの教えてもらって。行ってみたら、とんとん拍子に話が進んじゃって。
来週から働くことになったよ。生活費に困ってるわけじゃなくて・・・ほら、来春から無職になっちゃうから、ちゃんと就職活動する前のリハビリみたいな?」
『リハビリってお前・・・。そんな気持ちじゃ、その食堂だって迷惑だろう。』
「うん。慣れてきたら時間数増やしてもらって、生活費の援助してもらわなくてもいいようにできないかなって。」
『だってお前、来春にはうちに帰ってくるんだろう?』
「その事なんだけど・・・。翡翠堂の跡地って、もう買い手決まってるの?」
『いや。まず、不動産屋を仲介に入れるかどうか悩んでいるところだ。どこがいいのか・・・。』
「あのね・・・。将典さんが、買うって言ったら、どうする?」
『樺山さんがか?なんでまた?』
「翡翠堂、残したいって言ってくれてて。それで、立て替えたら、一緒に住んでもいいって言ってくれてるの。」
『な・・・。だってお前・・・それは少し仲が良すぎじゃないか?お前と暮らして、彼には何かメリットがあるのか?』
「・・・家事とか。ハウスキーパーしてくれたら、家賃はいらないって言ってくれてて・・・。」
『うーん。失礼な話だが、予算とかは聞いてるか?』
「ううん。相場だったらいいねって話はした。」
『そうか・・・。うん。そうか・・・。樺山さん、社長なんだったな。お金の心配は無用かな。とはいえ、間に不動産屋を入れなければ、手数料なんかもかからないし、多少安くできると思う。おじさんたちには打診してみるよ。買い手がなかなかつかないよりはいいだろう。くれぐれもよろしくと伝えておいてくれ。』
「えっ?いいの?」
『土地の件はな。未知が、樺山さんと住むとか、就職をどうするかとかはまた別の話だ。近々一度帰ってきなさい。』
「うん。・・・わかった。」
『都合が合えば、樺山さんも一緒に。』
「なんで?」
『なんでってお前・・・。』
言い淀む父に、背筋を嫌な汗が伝う。
ただの友達じゃないってバレた?
『ハウスキーパーってことは、雇い主になるんだろう?その辺どうするつもりなのか、聞いておかないといけないからな。』
ヤバイ。連れて行ったらバレるパターンだ。
それで、将典さんが、変なこと言っちゃったりするんだ。
両親を前に、嫁にくれと言い出す姿を想像して、冷や冷やする。
「僕も昼間は、ちゃんと保険に入れてもらえる仕事をするつもりだから、年金も税金も払うし、雇い主だなんてそんな堅苦しい関係じゃないよ。間借りさせてもらうだけ。」
『・・・多少は考えてるのか・・・。そろそろ独り立ちをと思っていたが、まさか友達のヒモになったりしないだろうな?』
「ないない。ちゃんと食費とか、払えるところは払うから。ちゃんと仕事するから心配しないで。」
『・・・わかった。とにかく一度、二人でうちに来なさい。』
電話では、説得できそうにない。諦めて、はいと返事をした。

 仕事が終わって、八時ごろやってきた将典に、まずはアルバイトの件を報告し、その後父との電話の顛末を話した。
今日の夕ご飯は、カジキの西京焼きと、豚汁とサラダとビール。将典には枝豆がついていた。
「近々って、今週?土日空いてるけど・・・。」
と、将典は手帳をパラパラと捲って確認している。
「もう。どうしてそんなに積極的なの。」
「だって、いい機会じゃない。俺たちがどんなに仲良しか、知ってもらおうよ?」
「えぇ?!」
びっくりして声を上げると、将典がいたずらっぽく笑う。
まぁ、それは冗談だけど、と。
「土地を買う意思があるのは、直接伝えておいた方がいいよ。
他の買い手がつかないうちに、念書なり作っておいた方がいい。」
「あ、そうか。おじさんたちだって動いてるかもしれないものね。」
将典は、そうそう、と頷いた。
「春までに、話しをまとめておいた方がいいよ。あぁ。でも、現実味が出てきたね。家を買うのはもう少し後でもいいかと思っていたけど、きっとそういう流れなんだね。」
そういうものかと、あいまいに頷く。将典は、また少し鋭い目をして、敵がいないといいなぁと言った。
「敵?」
「他にこの土地を買いたい人。まぁ、そうしたら、翡翠堂の看板だけいただいて、俺のマンションで暮らせばいいね。」
かぁっと、耳が熱くなる。
それでは本当にお嫁さんではないか。
「予算、どれくらい?」
「お父さんに聞かれたの?内緒。なるべく安く買いたいからね。・・・ごめんね?」
ふわりと相好を崩して、将典が笑う。
「ううん。そうだよね。僕は売り手の身内なんだもんね。でも、お父さん、将典さんのことお金持ちだと踏んでるよ?相場でとは話したけど。」
「両隣と同じくらいの敷地だから、同じくらいの価格なら買うよ。それ以上はなぁ。上物にお金かけたいし。」
「うわもの?」
「家とか設備とか、外構とか。」
土地の上のモノって意味かな?そういうことに疎い生活をしているのだと、あらためて痛感する。
「店舗の、改装改築は手掛けるけど、自分の家は初めてだから、やっぱりワクワクするね。」
君が一緒だからなおさら、と将典が笑う。それに微笑み返して、サラダをつつく。今日のサラダはシーザードレッシングがかかっていた。
「キッチン周りは、君の身長に合わせて作ろうか。高くても低くても腰に来るから。未知、身長どれくらい?」
「176センチです。」
「俺が187だから、やっぱり俺に合わせちゃうと、未知に負担だな。家電は今使ってるのがまだ新しいから、そのまま使えるとして、あとはお風呂だなー。」
二人で入りたい?とニヤニヤしながら聞いてくる。それに、小さく頷いて、つられて笑った。
「なんかいいですね。先のこと話すの楽しい。
僕は、なんだか・・・翡翠堂を閉めたら、そこで時間が止まっちゃうような気がしてて、ずっと先のことを考えられなかったんです。でも、春なんてあっという間ですよね。その頃にはもうちょっと働けるようになっていたいなぁ。」
「未知がバイト決めてくるとは正直思ってなかったから驚いたよ。意外と行動力あるんだね。」
「将典さんの言葉を借りるなら、そういう流れだったんだと思います。履歴書もなくてあっさり決まっちゃったから。」
「そうなの?」
「ほんとにすぐ、人が欲しかったみたいで。」
「ならよかったじゃない。頑張り次第だけど、きっと大事にしてもらえるよ。」
「そうですかね?」
「あー未知、また敬語。」
「あ。」
どうも、やはり将典相手だと敬語になってしまう。いつか慣れるのだろうか。

 洗い物をしに席を立つと、将典が空いたお皿を、ご馳走さまでしたと下げてきてくれる。
「将典さん、たまには早く帰ります?」
「帰りません。いつもの電車でいいよ。帰ったらシャワー浴びて寝るだけだし。」
「将典さんの社長業って、あんまり忙しくなさそう。」
「ちがいます。要領がいいんです。俺も、部下も。定時で上がらせるのが俺の使命だからね。土日じゃないと対応できないクライアントもいるから、そういう時無理してもらってるの。俺も時々は休日出勤あるからね?あと深夜対応。閉店時間が遅い飲食店なんかを相手にするときは、現場を見ないとどうしようもないからね。俺は数字だけ見て動くタイプじゃないから。」
それにしては、この一か月余り、土日はほとんど一緒に過ごせているような?
「大丈夫だよ。未知にうつつを抜かして仕事をおろそかになんてしてないから。ちゃんとやってます。というか、ちゃんとやってるから、帰れるし、休めるんだよ?」
そういうものかと頷いて、少しホッとする。洗い物を再開しようとしたら、キスを求められた。応じて、軽いキスをいくつか交わす。将典はそんなじゃれ合いを好んだ。そんなことをしているうちに、捲り上げた袖が落ちてきてしまう。手が泡だらけで困っていると、将典が後ろから捲ってくれた。
「ありがとう。」
「いえいえ。こういうの、夢だったんだー。今度、エプロンしてみせて?あ、食堂に行ったらもしかして会えるのかな?」
こういうの?と思いつつ、僕は裏方ですよ、と答えた。
「だよね。表はレジのおばちゃんくらいだもんね。セルフサービスの食堂って味気ない。」
将典はがっくりと和室に戻っていった。
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