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夢を見ていた。
夢の中での僕は、孝利の猫で、膝の上に乗り、背中を撫でてもらって、喉を鳴らしている。大きな尻尾を時々パタつかせて、気持ちいいのだとあらわしている。
気持ちいい・・・。
ふと目を開けると、向かい合わせに寝ているはずの孝利と目が合った。
「ん・・・。まだ眠れないんですか?」
「ごめん。起こしちゃった?」
孝利の腕が背中に回っていて、ゆっくりとさすっている。
「気持ちいい夢見てました。・・・僕、孝利さんの猫で・・・。膝にのせてもらって、背中を撫でてもらってる夢。」
あふ、とあくびをすると、孝利にうつった。
「何時ですか?」
「まだ一時半。」
そうか。孝利にとっては、まだ、一時半なのだ。
「ゆっくり君の寝顔を見ている時間が取れるのも、今日までだからね。夜の仕事始まったら、こうはいかないから。」
ぽんぽん、と背中を叩いて、孝利は冷えた手を布団にしまった。
「冷たい・・・。」
そっと握って温める。なかなか温まらないので、さすっていると、孝利がありがとう、と囁いた。
「お正月のディスプレイも、華やかなんでしょうね。」
「クリスマスとはまた全然違う趣だね。でも、嫌いじゃないよ。」
「怪我には気を付けて仕事してくださいね。」
「うん。・・・ありがとう。」
タマはもう寝な、と布団をなおしてくれる。睡眠リズムの違う二人。同じベッドを共有するのは少し無理があった。でも、少しでも一緒にいたくて。
孝利の手を握ったまま、うと、と目を閉じた。
クリスマスが終わると、元旦まではすぐだった。孝利がいなかったり、眠ってたりする間に、せっせとおせち料理を作る。すべて、ネットの情報頼りだったが。本当は、孝利が、デパートの豪華なおせちを注文するつもりだったらしいのだが、暇なのでやらせてもらっている。もちろん、買えるものは買って、重箱に詰めるだけだったが。
今日は大晦日。パントリーにあったとろろ蕎麦を茹でて、夕食にする。孝利は今夜も仕事だ。体が冷えないように、温かい蕎麦つゆを用意した。天ぷらは、駅地下の総菜屋のものだ。海老、イカ、キスのほか、野菜も数種類買った。
今日はお酒を出さなくていい。その代り、明日帰ってきてから開ける日本酒を用意していた。
「あ、いけない。おやつ用意しなきゃ。」
二時を少し回ったところ。今日は、仕事の打ち合わせをアトリエでするとかで、今日の現場の監督が来る予定だった。おやつを二つ、アトリエに配達することになっている。
コートを着込むと、手袋をして、ケーキ屋に向かった。
良かった営業してる。今日、明日は、休みにしてしまう個人店も多い。ケーキ屋は元旦も営業しますと張り紙がしてあった。コンビニスイーツも美味しいが、やはり、お客様に出すものは、いつものケーキ屋のものを出したかった。
甘いものが得意かどうかわからないので、柚子のゼリーと、レアチーズケーキ。自分用にショートケーキを買った。フルーツはイチゴだ。たまにメロンの時もあるが、それもまた美味しい。箱を二つに分けてもらい、帰宅して、紙皿と紙コップと使い捨てのフォークを用意する。それからペットボトルのお茶。アトリエに食器は置いていない。普段は、そこで何か食べたりしないのだ。
三時少し前に、家を出て、ケーキとお茶の用意を運び入れる。
すると、アトリエに孝利といたのは、かなりの美人な女性だった。パンツスーツに、薄手のダウンジャケットを羽織っている。華のある人だった。
「え?」
「え?ってどうしたの?こちら現場監督の鈴井さん。長年お世話になっている方です。」
孝利が体をずらすと、鈴井と紹介された女性が、長い髪をひとくくりにした姿で、こちらにペコリと頭を下げた。
「鈴井です。よろしくお願いします。」
「あ、えっと・・・環です。すみません。ケーキ、てっきり男性の方だと思ったので、さっぱり目のものを用意してしまって・・・。」
どれ、と孝利が箱の中身を見る。
「あぁ。柚子のやつ。丁度食べたかったんだ。鈴井さん、レアチーズケーキ、お好きでしたよね?」
「はい!」
鈴井が、目をキラキラさせて、ケーキの箱を窺っている。
「じゃぁ、ボクが柚子の方いただくよ。」
「あ、じゃぁお皿に出しますね。」
鈴井は、女性らしい物腰で、とても現場監督なんて堅苦しいイメージの役職が似合うような雰囲気ではない。でも、アート関係の仕事なら、そういうこともあり得るのかな。
こんな美人と何年も一緒にいて、何もなかったのかな・・・。
ケーキの好みを把握する程度には親しいようなのに。
チリチリと胸が騒ぐ。
孝利は、アトリエのテーブルのコーナーに座って、鈴井と打ち合わせを続けていた。そこに、ケーキの乗った紙皿を置く。
「お茶、すみません。温かいものを用意したかったんですけど。」
「いいよ。充分。もう少しかかりそうだから、帰っていいよ。
夕ご飯には帰るから。」
「・・・はい。」
どうしたって、覇気がなくなってしまう。だって、はたから見たら、バランスのいいカップルにみえるもの。これからしばらく、一緒に仕事するんだろうな。
そう思うだけで胸がふさがれた。
帰り道。とぼとぼ歩いていると、エントランスで佐川に会った。
「こんにちは。環君、元気ないね、どうしたの?」
「あー・・・。ちょっと、どうにもならないことです。」
俯いたまま答えると、佐川は、聞こうか?と問うてきた。
「うー・・・。吐き出したら、マシになると思いますか?」
「今よりは。」
談話室行こう?と誘われ、ついていく自分がいた。
「ふうん・・・。女性ねぇ。」
「はい・・・。長い付き合いみたいで。」
佐川は、談話室につくと、自販機で紙コップのココアとコーヒーを淹れ、ココアの方を自分に手渡した。御馳走さまですと受け取る。
「あの人、バイなの?」
「って言っていました。女性の経験はあるって。」
「あぁ、それで心配してるの。」
コク、と頷いて見せる。すると、佐川は話をそらした。
「あれから、体の関係って、どこまでいった?」
「へっ?」
思わず変な声が出てしまう。そんなことを聞かれるとは思って今なかったからだ。
「あぁ。はいはい。イケるとこまで行ったのね。御馳走さまです。」
佐川が何かを察して、手を合わせた。
「まだ何も言ってないです・・・。」
「だって、セックスしたんでしょ?」
「・・・しました。」
どうだった?死ぬほど痛かったでしょ?と楽し気に聞いてくる。
「死ぬほどって程じゃ・・・。」
「え?そうなの?もう二度とごめん、っていうくらい痛かったかと思ったのに。」
「初めてって、そんなに痛いものなんですか?」
「俺が下手なのか、大きいか、北倉さんがめちゃくちゃうまいかのどれか。」
あんまりな言い様に項垂れる。
「上手なんじゃないんですか?一緒にイケたし。」
「うっそ!それはすごい。」
佐川は大仰に驚いた。
「そんなにすごいんですか?」
「初めてだと、たいがいイケないし、イかせてもらえたとしても、その後タチがイクのに激痛だし。」
一緒にイケるってめちゃくちゃハッピーなことだよ。とニヤニヤされる。
「そうなんだ・・・。ネコ?が先にイクと、なんでその後激痛?」
「感じてる間は我慢できても、イッちゃうと痛覚の方が勝るから、愛情がないと我慢できないね。ただひたすらに痛い。」
佐川の言いように、ぷるっと身震いする。
「そんなに・・・?」
「そんなに。」
ネコがイクときに締まるから、それでイケちゃう場合もあるけど、キツ過ぎてイケないことが多いから、タチはネコがイッてる間苦痛だし、まぁ・・・うまくいったんなら良かったね。」
佐川がは嬉しそうだ。
「で?そんな相性ばっちりのセックスをしたのに、何が心配?」
「だって、すごい美人で・・・これからも一緒に仕事するみたいだし。」
「だって、仕事でしょう?あの人が仕事に私情を挟むとは思えないな。オレにはめちゃ厳しいし。」
それは、好きじゃないからで、とはさすがに言えず。
「バイだから心配でも、今はパートナー決めてるんだから、大丈夫でしょ。」
「そうかなぁ。・・・僕、可愛いですか?」
「なにそれ?」
「前に、孝利さんが、可愛いから気になったみたいなこと言ってて。でも、僕にはそんな自覚ないし・・・。」
「好みじゃないけど、可愛いよ?」
好みじゃないんだ?なのに、話しに付き合ってくれるの?
それは、孝利のことだから?
「とにかく、今は君のことしか眼中にないと思うから大丈夫だと思うよ。」
佐川は、冷めたコーヒーを飲み干すと、そろそろ帰るね、と席を立った。
「あ、僕も。ご飯の支度しなきゃ。」
「・・・あの人家でご飯食べてるの?」
「え?あぁはい。たいがい何でも食べてくれますよ。」
「マジでか。・・・あの人は外食ばっかりしてたんだよ。心配になるレベルでね。」
「え?でも、ハンバーグとか得意料理だって。」
「それは、パートナーに食べさせる用のメニューでしょ。」
自分には時間かけないタイプだよ。と佐川が言った。
「コンビニのおにぎりだけ買って仕事に行ったりするのよく見かけたから、食には頓着しないはず。」
そんな・・・だって、仕事中は食べる暇ないからお弁当いらないって・・・。
「どうしたの?」
「お弁当、断られたんです。」
「仕事の前に車で食べてたんじゃない?」
ありうる。お弁当だと、車の中で済ませるのは少し難しいかもだ。じゃぁ、コンビニおにぎりを買って出勤してたってこと?
「おにぎりくらい作るのに。」
「そんなにへこむなって。手を煩わせたくなかったんじゃないの?」
そうなのかな。
「それか、余程食べたいおにぎりがコンビニにあるかのどっちか。」
もしくは店員目当て、と、とんでもないことを言ってくる。
「それこそないです。」
「そうかな?深夜のバイトの子、君に似た感じで結構可愛いんだよ。」
えぇー?
それは、今度孝利が出かけた後に見に行かないと!
「なんてね。とにかく、浮気の心配はいらないと思うから、元気出して!」
ポンポンと、肩を叩かれる。その感触が、孝利とは全然違う。
あ・・・男の人だから好きになったわけじゃないのかも。
佐川はなんか、ちがう。
「ん?」
「あ、ありがとうございました。これ、ご馳走さまです。」
ココアは冷たくなってしまっていた。飲み干して、佐川のカップと重ねる。
「なんかちょっと、わかった気がします。お騒がせしました。」
「んん?」
首をかしげる佐川にペコリとお辞儀して、談話室を出る。
孝利が、誰を好きでも・・・僕が孝利を好きなんだ。
それでいいじゃないか。
あとを追って、一緒にエレベーターに乗り込んだ佐川に、再度礼を言う。
「あーあー。なんか吹っ切れた顔してる。」
「え?そのために誘ってくれたんじゃないんですか?」
「あわよくば破局を目指して・・・。」
「意地悪ですね。」
「あはは。うそうそ。あの人タチなんじゃ好きになってもしょうがないからね。応援してます。今度はセックスがマンネリ化した時にでも相談しに来てね。」
佐川はそう言うと、七階で降りて行った。
「いいねぇ!お蕎麦!大晦日って感じ。」
「おせちも開けちゃいますね。お腹いっぱい食べてください。」
帰ってきた孝利に、蕎麦と天ぷらを出す。天ぷらは、グリルで温めて、油を落としたものだ。サクサクに仕上がる。なんてことも、すべてネットで調べた。自分で揚げるより、美味しく仕上がっていると思う。案の定・・・。
「天ぷら美味しい。買ってきたやつ、美味しくするの知ってたんだ?」
とお褒めの言葉?をいただく。
「いろいろ勉強はしてます。美味しいもの食べてほしいから。」
「俺がお店リサーチするのと同じようなものだね。」
そうかも。
「あーあ・・・。仕事がなければ、タマと二年参り行って、帰ってお風呂入って姫はじめするのになぁ。」
「姫はじめ?」
「その年の最初のえっちのことだよ。そろそろいいよね。」
言われて、かぁっと耳が熱くなる。
「ふふ。赤くなってる。耳かわいい。タマは案外こういうことに免疫ないよね。そのくせ素直で貪欲。」
「気持ちいいこと好きですもん。」
佐川の言葉を思い出し、次も一緒にイケたらいいなと思う。
痛いのは遠慮したい。
「どうしたの?」
食べないの?蕎麦伸びるよ?とニヤニヤされる。
「えっちなこと考えてたでしょう?」
「考えますよそりゃ。孝利さんが変なこと言うのがいけないです。」
「変かな?」
「・・・食べながらえっちなこと言うとか・・・。」
「だって、欲求不満だよ。これから毎日夜は仕事だしね。元旦休みのところもあるから、そっちは昼もだし。」
「えっ?明日何時に帰ってくるんですか?」
「朝にはいったん帰るよ。で、仮眠取って、おやつ食べたら出かけるよ。夕ご飯はいらないかな。そのまま夜の部に突入するから。で、帰りは二日の早朝かな。」
「え、じゃぁ・・・おせちもっと食べてください。」
促すと、孝利は伊達巻を小皿に取った。相変わらず甘いものがお好きなようで。
「黒豆も美味しいですよ。お重に入らなかった分は、冷蔵庫に入ってるので、食べたら足しますね。」
「あぁなるほど。買ったおせちじゃないと、足すってことができるんだねぇ。いつまでもなくならないね。」
「なくなりますって。食べてくださいよ。あ、ブリも煮ましたよ。」
「へぇ。君、身魚なんか作れるの。」
「ネットにレシピ載ってますから。」
いい時代だなぁ。と、そばを啜る。
「なんで、俺の仕事アナログなんだろ。」
「誰にもできないから、求められてるんじゃないですか。」
特殊な仕事だ。ディスプレイの仕上げの照明の位置を決める。
数字上で角度を決めることができても、色味や明るさは感性の部分だ。それを、お店側は求めている。
「夜、いなくてごめんね?」
アンといっぱい遊んでやって、と二個目の伊達巻に手を伸ばす。
「年賀状たくさん来ますか?取りに行っておいた方がいいですよね?」
「うん。よろしく。」
このまま仕事に行くってことは、紅白の最後も一人で見るし、ゆく年くる年も一人だ。で、元旦の朝に会って、おせちとお雑煮で朝ご飯を食べて、仮眠を取って、おやつを出して・・・。
結構一人だな・・・。
思っていると、スマホが鳴った。電話の着信だ。実家から。
「出てもいいですか?」
食事中だ。
いいよというので、通話にする。
『こんばんはー。ってなんか変ね。健斗元気?帰ってこないの?』
ドキッとした。
確かに、ここにいるより、実家に帰った方が淋しくないだろう。アンもつれて・・・。でも。
「帰らないよ。ハウスキーパーだもん。明日の朝お雑煮作るんだよ。」
『へぇ。健斗が?』
「そうなの!だから帰らないよ。」
話していると、スマホを取られた。
「もしもし?お母さまですか?」
『えっ?あ。北村さん?』
慌てていると、いいから、と手で制された。
「すみません。大晦日にまで健斗君お借りしてて。夕食食べ終わったら、アンと一緒にそちらに帰るようにしますので、よろしくお願いします。」
え?
「ちょっと、孝利さん!?」
抗議の声を上げるが、孝利はステイのポーズを崩さない。思わずマテしてしまう。
「ええ。こちらで夕食は済ませますので、その心配はいらないです。えぇはい。では、遅くならないうちに帰しますね。」
では、と通話は切られてしまう。
「え?僕、帰るんですか?」
「うん。一人でここにいても淋しいでしょう?今日明日はお店も休みで、バイトの子も来ないらしいから、お腹壊さなくて済むよ。」
いやいや。問題はそこじゃなくて。
「え?じゃぁ、あしたのご飯どうするんですか?」
「下にコンビニあるの知ってるでしょう?」
おせちもあるし。と苦笑される。
「急いで食べてくれる?仕事、タマの家の方通るから、一緒に出よう。荷物はアンとスマホと着替えだけで十分でしょう?」
「着替えもうちにありますけど・・・。」
いつまで?
いつ迎えに来てくれるの?
「仕事忙しいから、七日くらいまで実家にいてくれると助かるな。」
胸のうちを読んだように答えをくれるが。
長すぎないか?
「冬休みだと思ってゆっくりしてきなよ。」
「やだ。」
あ。
嫌だと思った思いは、声に出てしまっていた。
「タマ?」
「やだよ・・・。七日も離れるのやだ。」
「・・・かまってやれないし、タマがいると抱きたくなる。
その代り、仕事落ち着いたらめいいっぱいかわいがるから。」
ね?と首を傾げられる。そのしぐさには弱い。
「わかりましたけど。ご飯、ちゃんと三食以上食べてくださいね。」
「以上?」
「おやつも!」
わかったわかったと苦笑される。
「ほら、片付けて出かける支度して。君の家寄るとギリギリなんだ。」
「・・・はぁい。」
しぶしぶ頷いて、重箱に蓋をする。食べ終えた丼を食洗機に入れてスタート。テーブルを拭いて、スマホの充電器をコートのポケットに入れる。スマホと財布と、アンのキャリーバッグがあれば、荷物はそれだけだ。
「いつでも出られますよ。」
「よし。じゃぁ行こうか。」
頷いて外に出る。今夜も冷えている。アンを抱えて、車に乗った。
やり場のない怒り。やるせない気持ち。
こんな気持ちで年越すの嫌だなぁ。そう思っていると、隣から孝利が身を乗り出した。頬にお詫びのキス。
「こんなんじゃ騙されませんからね。」
「ごめん。本当に、一人にしたくなかっただけなんだ。」
孝利の言い訳をため息で流して、窓の外を見た。
キラキラしている・・・。
街の明かりに、もう一つため息をついた。
夢の中での僕は、孝利の猫で、膝の上に乗り、背中を撫でてもらって、喉を鳴らしている。大きな尻尾を時々パタつかせて、気持ちいいのだとあらわしている。
気持ちいい・・・。
ふと目を開けると、向かい合わせに寝ているはずの孝利と目が合った。
「ん・・・。まだ眠れないんですか?」
「ごめん。起こしちゃった?」
孝利の腕が背中に回っていて、ゆっくりとさすっている。
「気持ちいい夢見てました。・・・僕、孝利さんの猫で・・・。膝にのせてもらって、背中を撫でてもらってる夢。」
あふ、とあくびをすると、孝利にうつった。
「何時ですか?」
「まだ一時半。」
そうか。孝利にとっては、まだ、一時半なのだ。
「ゆっくり君の寝顔を見ている時間が取れるのも、今日までだからね。夜の仕事始まったら、こうはいかないから。」
ぽんぽん、と背中を叩いて、孝利は冷えた手を布団にしまった。
「冷たい・・・。」
そっと握って温める。なかなか温まらないので、さすっていると、孝利がありがとう、と囁いた。
「お正月のディスプレイも、華やかなんでしょうね。」
「クリスマスとはまた全然違う趣だね。でも、嫌いじゃないよ。」
「怪我には気を付けて仕事してくださいね。」
「うん。・・・ありがとう。」
タマはもう寝な、と布団をなおしてくれる。睡眠リズムの違う二人。同じベッドを共有するのは少し無理があった。でも、少しでも一緒にいたくて。
孝利の手を握ったまま、うと、と目を閉じた。
クリスマスが終わると、元旦まではすぐだった。孝利がいなかったり、眠ってたりする間に、せっせとおせち料理を作る。すべて、ネットの情報頼りだったが。本当は、孝利が、デパートの豪華なおせちを注文するつもりだったらしいのだが、暇なのでやらせてもらっている。もちろん、買えるものは買って、重箱に詰めるだけだったが。
今日は大晦日。パントリーにあったとろろ蕎麦を茹でて、夕食にする。孝利は今夜も仕事だ。体が冷えないように、温かい蕎麦つゆを用意した。天ぷらは、駅地下の総菜屋のものだ。海老、イカ、キスのほか、野菜も数種類買った。
今日はお酒を出さなくていい。その代り、明日帰ってきてから開ける日本酒を用意していた。
「あ、いけない。おやつ用意しなきゃ。」
二時を少し回ったところ。今日は、仕事の打ち合わせをアトリエでするとかで、今日の現場の監督が来る予定だった。おやつを二つ、アトリエに配達することになっている。
コートを着込むと、手袋をして、ケーキ屋に向かった。
良かった営業してる。今日、明日は、休みにしてしまう個人店も多い。ケーキ屋は元旦も営業しますと張り紙がしてあった。コンビニスイーツも美味しいが、やはり、お客様に出すものは、いつものケーキ屋のものを出したかった。
甘いものが得意かどうかわからないので、柚子のゼリーと、レアチーズケーキ。自分用にショートケーキを買った。フルーツはイチゴだ。たまにメロンの時もあるが、それもまた美味しい。箱を二つに分けてもらい、帰宅して、紙皿と紙コップと使い捨てのフォークを用意する。それからペットボトルのお茶。アトリエに食器は置いていない。普段は、そこで何か食べたりしないのだ。
三時少し前に、家を出て、ケーキとお茶の用意を運び入れる。
すると、アトリエに孝利といたのは、かなりの美人な女性だった。パンツスーツに、薄手のダウンジャケットを羽織っている。華のある人だった。
「え?」
「え?ってどうしたの?こちら現場監督の鈴井さん。長年お世話になっている方です。」
孝利が体をずらすと、鈴井と紹介された女性が、長い髪をひとくくりにした姿で、こちらにペコリと頭を下げた。
「鈴井です。よろしくお願いします。」
「あ、えっと・・・環です。すみません。ケーキ、てっきり男性の方だと思ったので、さっぱり目のものを用意してしまって・・・。」
どれ、と孝利が箱の中身を見る。
「あぁ。柚子のやつ。丁度食べたかったんだ。鈴井さん、レアチーズケーキ、お好きでしたよね?」
「はい!」
鈴井が、目をキラキラさせて、ケーキの箱を窺っている。
「じゃぁ、ボクが柚子の方いただくよ。」
「あ、じゃぁお皿に出しますね。」
鈴井は、女性らしい物腰で、とても現場監督なんて堅苦しいイメージの役職が似合うような雰囲気ではない。でも、アート関係の仕事なら、そういうこともあり得るのかな。
こんな美人と何年も一緒にいて、何もなかったのかな・・・。
ケーキの好みを把握する程度には親しいようなのに。
チリチリと胸が騒ぐ。
孝利は、アトリエのテーブルのコーナーに座って、鈴井と打ち合わせを続けていた。そこに、ケーキの乗った紙皿を置く。
「お茶、すみません。温かいものを用意したかったんですけど。」
「いいよ。充分。もう少しかかりそうだから、帰っていいよ。
夕ご飯には帰るから。」
「・・・はい。」
どうしたって、覇気がなくなってしまう。だって、はたから見たら、バランスのいいカップルにみえるもの。これからしばらく、一緒に仕事するんだろうな。
そう思うだけで胸がふさがれた。
帰り道。とぼとぼ歩いていると、エントランスで佐川に会った。
「こんにちは。環君、元気ないね、どうしたの?」
「あー・・・。ちょっと、どうにもならないことです。」
俯いたまま答えると、佐川は、聞こうか?と問うてきた。
「うー・・・。吐き出したら、マシになると思いますか?」
「今よりは。」
談話室行こう?と誘われ、ついていく自分がいた。
「ふうん・・・。女性ねぇ。」
「はい・・・。長い付き合いみたいで。」
佐川は、談話室につくと、自販機で紙コップのココアとコーヒーを淹れ、ココアの方を自分に手渡した。御馳走さまですと受け取る。
「あの人、バイなの?」
「って言っていました。女性の経験はあるって。」
「あぁ、それで心配してるの。」
コク、と頷いて見せる。すると、佐川は話をそらした。
「あれから、体の関係って、どこまでいった?」
「へっ?」
思わず変な声が出てしまう。そんなことを聞かれるとは思って今なかったからだ。
「あぁ。はいはい。イケるとこまで行ったのね。御馳走さまです。」
佐川が何かを察して、手を合わせた。
「まだ何も言ってないです・・・。」
「だって、セックスしたんでしょ?」
「・・・しました。」
どうだった?死ぬほど痛かったでしょ?と楽し気に聞いてくる。
「死ぬほどって程じゃ・・・。」
「え?そうなの?もう二度とごめん、っていうくらい痛かったかと思ったのに。」
「初めてって、そんなに痛いものなんですか?」
「俺が下手なのか、大きいか、北倉さんがめちゃくちゃうまいかのどれか。」
あんまりな言い様に項垂れる。
「上手なんじゃないんですか?一緒にイケたし。」
「うっそ!それはすごい。」
佐川は大仰に驚いた。
「そんなにすごいんですか?」
「初めてだと、たいがいイケないし、イかせてもらえたとしても、その後タチがイクのに激痛だし。」
一緒にイケるってめちゃくちゃハッピーなことだよ。とニヤニヤされる。
「そうなんだ・・・。ネコ?が先にイクと、なんでその後激痛?」
「感じてる間は我慢できても、イッちゃうと痛覚の方が勝るから、愛情がないと我慢できないね。ただひたすらに痛い。」
佐川の言いように、ぷるっと身震いする。
「そんなに・・・?」
「そんなに。」
ネコがイクときに締まるから、それでイケちゃう場合もあるけど、キツ過ぎてイケないことが多いから、タチはネコがイッてる間苦痛だし、まぁ・・・うまくいったんなら良かったね。」
佐川がは嬉しそうだ。
「で?そんな相性ばっちりのセックスをしたのに、何が心配?」
「だって、すごい美人で・・・これからも一緒に仕事するみたいだし。」
「だって、仕事でしょう?あの人が仕事に私情を挟むとは思えないな。オレにはめちゃ厳しいし。」
それは、好きじゃないからで、とはさすがに言えず。
「バイだから心配でも、今はパートナー決めてるんだから、大丈夫でしょ。」
「そうかなぁ。・・・僕、可愛いですか?」
「なにそれ?」
「前に、孝利さんが、可愛いから気になったみたいなこと言ってて。でも、僕にはそんな自覚ないし・・・。」
「好みじゃないけど、可愛いよ?」
好みじゃないんだ?なのに、話しに付き合ってくれるの?
それは、孝利のことだから?
「とにかく、今は君のことしか眼中にないと思うから大丈夫だと思うよ。」
佐川は、冷めたコーヒーを飲み干すと、そろそろ帰るね、と席を立った。
「あ、僕も。ご飯の支度しなきゃ。」
「・・・あの人家でご飯食べてるの?」
「え?あぁはい。たいがい何でも食べてくれますよ。」
「マジでか。・・・あの人は外食ばっかりしてたんだよ。心配になるレベルでね。」
「え?でも、ハンバーグとか得意料理だって。」
「それは、パートナーに食べさせる用のメニューでしょ。」
自分には時間かけないタイプだよ。と佐川が言った。
「コンビニのおにぎりだけ買って仕事に行ったりするのよく見かけたから、食には頓着しないはず。」
そんな・・・だって、仕事中は食べる暇ないからお弁当いらないって・・・。
「どうしたの?」
「お弁当、断られたんです。」
「仕事の前に車で食べてたんじゃない?」
ありうる。お弁当だと、車の中で済ませるのは少し難しいかもだ。じゃぁ、コンビニおにぎりを買って出勤してたってこと?
「おにぎりくらい作るのに。」
「そんなにへこむなって。手を煩わせたくなかったんじゃないの?」
そうなのかな。
「それか、余程食べたいおにぎりがコンビニにあるかのどっちか。」
もしくは店員目当て、と、とんでもないことを言ってくる。
「それこそないです。」
「そうかな?深夜のバイトの子、君に似た感じで結構可愛いんだよ。」
えぇー?
それは、今度孝利が出かけた後に見に行かないと!
「なんてね。とにかく、浮気の心配はいらないと思うから、元気出して!」
ポンポンと、肩を叩かれる。その感触が、孝利とは全然違う。
あ・・・男の人だから好きになったわけじゃないのかも。
佐川はなんか、ちがう。
「ん?」
「あ、ありがとうございました。これ、ご馳走さまです。」
ココアは冷たくなってしまっていた。飲み干して、佐川のカップと重ねる。
「なんかちょっと、わかった気がします。お騒がせしました。」
「んん?」
首をかしげる佐川にペコリとお辞儀して、談話室を出る。
孝利が、誰を好きでも・・・僕が孝利を好きなんだ。
それでいいじゃないか。
あとを追って、一緒にエレベーターに乗り込んだ佐川に、再度礼を言う。
「あーあー。なんか吹っ切れた顔してる。」
「え?そのために誘ってくれたんじゃないんですか?」
「あわよくば破局を目指して・・・。」
「意地悪ですね。」
「あはは。うそうそ。あの人タチなんじゃ好きになってもしょうがないからね。応援してます。今度はセックスがマンネリ化した時にでも相談しに来てね。」
佐川はそう言うと、七階で降りて行った。
「いいねぇ!お蕎麦!大晦日って感じ。」
「おせちも開けちゃいますね。お腹いっぱい食べてください。」
帰ってきた孝利に、蕎麦と天ぷらを出す。天ぷらは、グリルで温めて、油を落としたものだ。サクサクに仕上がる。なんてことも、すべてネットで調べた。自分で揚げるより、美味しく仕上がっていると思う。案の定・・・。
「天ぷら美味しい。買ってきたやつ、美味しくするの知ってたんだ?」
とお褒めの言葉?をいただく。
「いろいろ勉強はしてます。美味しいもの食べてほしいから。」
「俺がお店リサーチするのと同じようなものだね。」
そうかも。
「あーあ・・・。仕事がなければ、タマと二年参り行って、帰ってお風呂入って姫はじめするのになぁ。」
「姫はじめ?」
「その年の最初のえっちのことだよ。そろそろいいよね。」
言われて、かぁっと耳が熱くなる。
「ふふ。赤くなってる。耳かわいい。タマは案外こういうことに免疫ないよね。そのくせ素直で貪欲。」
「気持ちいいこと好きですもん。」
佐川の言葉を思い出し、次も一緒にイケたらいいなと思う。
痛いのは遠慮したい。
「どうしたの?」
食べないの?蕎麦伸びるよ?とニヤニヤされる。
「えっちなこと考えてたでしょう?」
「考えますよそりゃ。孝利さんが変なこと言うのがいけないです。」
「変かな?」
「・・・食べながらえっちなこと言うとか・・・。」
「だって、欲求不満だよ。これから毎日夜は仕事だしね。元旦休みのところもあるから、そっちは昼もだし。」
「えっ?明日何時に帰ってくるんですか?」
「朝にはいったん帰るよ。で、仮眠取って、おやつ食べたら出かけるよ。夕ご飯はいらないかな。そのまま夜の部に突入するから。で、帰りは二日の早朝かな。」
「え、じゃぁ・・・おせちもっと食べてください。」
促すと、孝利は伊達巻を小皿に取った。相変わらず甘いものがお好きなようで。
「黒豆も美味しいですよ。お重に入らなかった分は、冷蔵庫に入ってるので、食べたら足しますね。」
「あぁなるほど。買ったおせちじゃないと、足すってことができるんだねぇ。いつまでもなくならないね。」
「なくなりますって。食べてくださいよ。あ、ブリも煮ましたよ。」
「へぇ。君、身魚なんか作れるの。」
「ネットにレシピ載ってますから。」
いい時代だなぁ。と、そばを啜る。
「なんで、俺の仕事アナログなんだろ。」
「誰にもできないから、求められてるんじゃないですか。」
特殊な仕事だ。ディスプレイの仕上げの照明の位置を決める。
数字上で角度を決めることができても、色味や明るさは感性の部分だ。それを、お店側は求めている。
「夜、いなくてごめんね?」
アンといっぱい遊んでやって、と二個目の伊達巻に手を伸ばす。
「年賀状たくさん来ますか?取りに行っておいた方がいいですよね?」
「うん。よろしく。」
このまま仕事に行くってことは、紅白の最後も一人で見るし、ゆく年くる年も一人だ。で、元旦の朝に会って、おせちとお雑煮で朝ご飯を食べて、仮眠を取って、おやつを出して・・・。
結構一人だな・・・。
思っていると、スマホが鳴った。電話の着信だ。実家から。
「出てもいいですか?」
食事中だ。
いいよというので、通話にする。
『こんばんはー。ってなんか変ね。健斗元気?帰ってこないの?』
ドキッとした。
確かに、ここにいるより、実家に帰った方が淋しくないだろう。アンもつれて・・・。でも。
「帰らないよ。ハウスキーパーだもん。明日の朝お雑煮作るんだよ。」
『へぇ。健斗が?』
「そうなの!だから帰らないよ。」
話していると、スマホを取られた。
「もしもし?お母さまですか?」
『えっ?あ。北村さん?』
慌てていると、いいから、と手で制された。
「すみません。大晦日にまで健斗君お借りしてて。夕食食べ終わったら、アンと一緒にそちらに帰るようにしますので、よろしくお願いします。」
え?
「ちょっと、孝利さん!?」
抗議の声を上げるが、孝利はステイのポーズを崩さない。思わずマテしてしまう。
「ええ。こちらで夕食は済ませますので、その心配はいらないです。えぇはい。では、遅くならないうちに帰しますね。」
では、と通話は切られてしまう。
「え?僕、帰るんですか?」
「うん。一人でここにいても淋しいでしょう?今日明日はお店も休みで、バイトの子も来ないらしいから、お腹壊さなくて済むよ。」
いやいや。問題はそこじゃなくて。
「え?じゃぁ、あしたのご飯どうするんですか?」
「下にコンビニあるの知ってるでしょう?」
おせちもあるし。と苦笑される。
「急いで食べてくれる?仕事、タマの家の方通るから、一緒に出よう。荷物はアンとスマホと着替えだけで十分でしょう?」
「着替えもうちにありますけど・・・。」
いつまで?
いつ迎えに来てくれるの?
「仕事忙しいから、七日くらいまで実家にいてくれると助かるな。」
胸のうちを読んだように答えをくれるが。
長すぎないか?
「冬休みだと思ってゆっくりしてきなよ。」
「やだ。」
あ。
嫌だと思った思いは、声に出てしまっていた。
「タマ?」
「やだよ・・・。七日も離れるのやだ。」
「・・・かまってやれないし、タマがいると抱きたくなる。
その代り、仕事落ち着いたらめいいっぱいかわいがるから。」
ね?と首を傾げられる。そのしぐさには弱い。
「わかりましたけど。ご飯、ちゃんと三食以上食べてくださいね。」
「以上?」
「おやつも!」
わかったわかったと苦笑される。
「ほら、片付けて出かける支度して。君の家寄るとギリギリなんだ。」
「・・・はぁい。」
しぶしぶ頷いて、重箱に蓋をする。食べ終えた丼を食洗機に入れてスタート。テーブルを拭いて、スマホの充電器をコートのポケットに入れる。スマホと財布と、アンのキャリーバッグがあれば、荷物はそれだけだ。
「いつでも出られますよ。」
「よし。じゃぁ行こうか。」
頷いて外に出る。今夜も冷えている。アンを抱えて、車に乗った。
やり場のない怒り。やるせない気持ち。
こんな気持ちで年越すの嫌だなぁ。そう思っていると、隣から孝利が身を乗り出した。頬にお詫びのキス。
「こんなんじゃ騙されませんからね。」
「ごめん。本当に、一人にしたくなかっただけなんだ。」
孝利の言い訳をため息で流して、窓の外を見た。
キラキラしている・・・。
街の明かりに、もう一つため息をついた。
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