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 あらためて、伊住の住んでいるマンションをしみじみ眺める。ここに泊めてもらったんだよなぁ、と思いながら、招かれるまま中に入った。廊下の奥から、とたた、と猫が走ってきて、伊住のすねに頭突きをする。
「ただいま。」
伊住は、猫の頭を一撫ですると、棚に眼鏡を置いて、どうぞ、と先に歩いて行ってしまった。慌てて靴をそろえて脱ぎ、おじゃまします、とついていく。気のせいかもしれないが、伊住の纏う空気が、すこしピリついている気がする。
なんだろう。気に障るようなことを言っただろうか。
地雷を踏んだ気配に、肩をすくめる。機嫌を損ねた気配を察するのも、その機嫌を取るのも得意な方だが、好きではない。どうしたものかと窺っていると、何か飲みます?と聞いてきた。
「・・・お任せします。」
「じゃぁ、ご飯の支度するので、テレビでも見ててください。」
伊住はそう言うと、エプロンのひもを結びながらキッチンの方へ行き、手を洗った。
「あの、手洗いとうがいしたいので、洗面所借りていいですか?」
「どうぞ。好きに使ってください。ゆっくりしてほしいので。」
機嫌が直ったらしい口調にほっとして、洗面所に向かった。

 伊住の用意した夕ご飯は、シーフードのカレーと、サラダだった。お酒は、お風呂の後にゆっくり飲みましょうとのことで、テーブルにはお茶のグラス。お腹ぺこぺこで、カレーの良い香りにわくわくしてしまう。いただきます、と伊住が手を合わせるのを、不思議に思うが、きっと日本育ちなのだろうと思い直し、自分も手を合わせる。スプーンで口に運ぶと、スパイスの香りが鼻に抜けた。皿の手前でご飯と混ぜながら、ぺろりと食べ終えてしまう。サラダに取りかかろうとするタイミングで、おかわりありますよ、と伊住が笑った。
「口に合ったみたいで嬉しいです。」
空いた皿を持ち、キッチンでまた一人前よそってきてくれる。
ふと伊住を見ると、大きな口で美味しそうに食べていて、頭の中には動画で見たフレーズがリフレインしてしまった。
いっぱい食べる君が・・・。
続く歌詞にドキリとして、サラダのフレンチドレッシングがむせた。けほけほと苦しんでいると、お水いります?と伊住が席を立つ。
「だいっ・・・じょうぶ・・・っ・・・。」
コップに注いであったお茶を一口して、おさまるのを待つ。
ないだろ・・・それは・・・。
伊住の容姿は好感が持てる。気が利くところも、料理上手なところも、素敵だと思う。女性はほっとかないだろうな、とも。・・・もし自分が女だったら・・・とも。でも、自分は男で、こんなハイスペックな人とどうにかなるなんて、ないと思っている。付き合っている人はいないと聞いた今も。
「ゆっくり食べてくださいね。サラダもまだありますよ。あ、でもデザートがあるので、そのぶん空けておいてほしいです。」
こんなにおいしいカレーのほかに、デザートもあるのか。
これ、好きにならない人、いるのかな・・・。
そういえば、上げ膳据え膳で甘やかされるなんて、今まで生きてきた中であっただろうか。多分ない。
胃袋握られたら、男は恋に落ちるんじゃないの・・・?
これはもう伊住がいい男すぎるのが悪いだろ。

 食事の皿を下げた伊住が、デザートです、とシンプルなガラスの器を二つ持ってくる。クリーム色に近いジェラートが盛り付けられていて、フラゴラのラインナップにはない色だな、と思う。
「お話した、試作品です。食べてみてください。」
頷いて、スプーンで一掬い舌にのせる。甘さと、独特の香り。
「これ・・・なんだっけ。知ってる味のような気もするけど・・・。」
なんだったかな、ともう一口。慎重に味わって、果物なのは突き止めるが、名前が出てこない。
「なんでしたっけ、これ。」
「ライチです。隠し味、わかりますか?」
隠し味?
うーんと唸りながら、もう一口。爽やかな苦みがあるような気がするが・・・。
「これ・・・もしかして、お茶、ですか?」
「正解!台湾のウーロン茶を少し入れてます。ライチは味がぼんやりしてるので、締めようと思って。」
どうです?と問われて、知らず笑顔になる。
「美味しいです。好き。」
すると、伊住が今までにないくらいに嬉しそうに笑った。
「よかった!その顔が見たかったんです。」
あんまり嬉しそうに笑うので、自分なんかが試食していいのかな、と思っていた気持ちが消えていく。
「・・・良かったんですか?試作品って社外秘では?」
「まぁ。・・・実はそれ、没なんです。」
伊住の笑顔が、申し訳なさそうなそれに変わる。
「売らないってこと?」
「売れないってことです。ライチの加工が難しいのと、コスト的に。量も作れないので、お店と期間を限定しても難しいかな、という判断で。」
でも、美味しかったので、食べて欲しくて、と苦笑する。
そうだよな。そう簡単に、商品化できたら苦労しないよな。
「美味しかったです。没ってことは、もう同じものは二度と食べられないってことですよね。」
「そうですね。」
「ちょっと残念かも・・・。」
好きな味だなぁ、と溶けかけをスプーンに乗せて味わう。
「もっと美味しいもの作るので。」
また、食べて欲しいです、と伊住が微笑んだ。
「・・・それはそうと・・・その・・・。以前、履歴書をお預かりしたので、知ってしまったんですが。同い年、なんですよ。」
は?
伊住が不意に言った言葉に、びっくりしてしまう。絶対に年上だと信じて疑わなかったからだ。あまりの社会的格差に愕然としてしまう。
「それでその・・・。もしよかったら、敬語やめませんか?」
「えぇ・・・。いや、バイト先の本社の社員って、直属じゃないけど、立場は伊住さんの方が上でしょ?」
敬語以外無理無理、と手を横に振る。
「高梨さんと会うのは、完全にプライベートですし。その・・・もう少し、親しくなりたいというか。」
それは、どういう意味なの。オレとどうなりたいの?
「あの・・・。」
「ダメです?友達からでいいので、これからもお付き合いしたいです。」
えぇ・・・。
それは、こんなイケメンが友達だったら、楽しいかもしれないけど。
「コーヒーの市場調査しましょうって言ったの、覚えてませんか?休みの日を一緒に過ごしたいんです。」
・・・覚えてる。
覚えてるけど・・・本気だと思ってなかった。
泊りにまで来ている立場で、無理だと断るのもおかしな話だし、なによりアパートには帰りたくなかった。少しでも外で過ごせるなら、伊住は極上の口実だった。
利用してるみたいで心苦しいけど・・・。
「・・・急には無理なので・・・ゆっくりで。」
告げると、伊住の顔がまた、嬉しそうにほころんだ。
この顔には弱いのかも。
そんなに嬉しそうにされると罪悪感がある。
でもまぁ。友達なら、いいか。
「あの、名前で呼んでいい?」
距離を詰めてきた伊住に、苦笑して頷いた。

 フラゴラの学生組も、ランさんって呼んでたし、そんなに深く考えることないのかもなぁ。
風呂につかりながら思い出す。飲み会の席で、たしか久我がそう呼んでいた。年下のバイトにもそう呼ばせているのだから、意外とフレンドリーなタイプなのかも。お店もそんな雰囲気だし、大学生二人とは年も近い。
「ランさん・・・藍。」
名刺にあった名前の漢字を思い起こして呟く。
下の名前で呼び合うような関係は、兄弟以外作ってこなかった。初めてでは?と思うと、気恥ずかしい。
アイっていう字でランか・・・。
色素の薄い髪や目の色によく合っている。いい名前だな、と羨ましく思ってしまう。
さす、とももの痣を手のひらで摩る。自分の名前は、秋に生まれたことと、この楓のような痣からつけられている。「ふうり」という響きは気に入っているが、楓はあまり好きになれない。それは、この痣を母親が良くないものだと思っていたからだ。ならなんで、楓李なんて名前にしたのか。つけたのは、ほとんど育児には関わらなかった父親だ。種をまいて、名前を付けたら、子育て終了じゃない。もっとちゃんと、父親らしいことをしてくれていたら・・・。
たらればを考え始めて、ばしゃりと顔を拭った。
止めよう。
伊住は・・・いいお父さんになりそうだなぁ・・・。
ミルク色の入浴剤が入ったお湯をかき混ぜて、湯気の立つ浴室を後にした。

 返そうと思って用意したお金の封筒、忘れてきちゃったな。
ぼんやり思い出したのは、二杯目の梅酒ソーダが空になってからだった。
風呂を上がると、前に来た時に借りたパジャマと同じタイプのものが用意されていた。当たり前のように、サイズがぴったりで、申し訳なく思ったが、やはり肌触りが抜群だ。なにより楽だったので、ありがたく袖を通した。他にも、自分のために用意されたものに気付くたび、伊住の心理を推し量ってしまう。
おもてなし、なんだろうか。
確か、本社で初めて会った時も、そんなことを言っていた気がする。
お金のことは、伊住も触れてこないし、次に会った時でいいだろうか。
次・・・か。
きっとまた会うだろう。来週?その次?どちらにしろ、泊りだったらラッキーだなと思ってしまう。
リビングのソファーに隣同士で座って、テレビには洋画を流しながら、酒を飲んでいる。
伊住も風呂上がりで、同じボディーソープを使っているのに、いい匂いがする。前に来た時に借りたパジャマを着ていて、サイズ違いのお揃いだ。そういえば、また、髪を乾かしてもらった。風呂上がりに、きつめに入れた冷房が心地よく、つまみも美味しい。まさか手作りではないだろうが、皿には何種類かの漬物が並んでいた。食のジャンルの幅が広い。感心していると、伊住がこちらを窺う気配がした。
「楓李、映画つまらない?」
風呂から上がると、伊住はさっそく、名前で呼んだ。慣れなくて、ソワソワしてしまう。
「・・・あんまり集中できないかも。」
正直に言うと、伊住はふふと笑い、俺も、とグラスに口をつけた。
「楓李が隣にいて、一緒にお酒飲んでるなんて、映画見てる場合じゃないよね。」
ナチュラルに口説くな。
付き合ってる人がいないんじゃなくて、特定の人と付き合ってないだけなんじゃないの?
そんな態度でこられたら、普通の人はみんな落ちるでしょ。
オレも・・・そういう人たちのうちの一人なんじゃないの?
「楓李?」
伊住が首をかしげている。
「あ・・・いや。ごめん。伊住さんは・・・友達多そうだなって。」
セックスをする友達。
「・・・ラン、って呼んでみてくれない?」
う・・・。
「・・・ラン・・・。」
口にしてみるが、何ともこそばゆい。本当にこれでいいんだろうか。目で、伊住に問いかけると、嬉しそうに口角をあげている。
「会ったら少し話をする程度の付き合いは、多いかな。会社でも、ジムでも。」
ジム、か。あぁ確か・・・。
「不破、店長ともジム仲間だって。」
「うん。君の話も、聞いたりするよ。」
そうか。フラゴラで、伊住のことを相談したりはしないでおこう。変な風に耳に入ったら嫌だから。友達、に昇格したばかりだ。伊住の友人というポジションは、おそらく自分にとってもプラスなはず。
っと・・・損得勘定とか・・・。
素直に喜べない自分に嫌気がさす。高校も、大学も、メリットのある付き合いしかしてこなかった。そんな自分に、卒業後は誰も連絡をくれない。上辺だけの付き合いは、その場が過ぎれば何も残らない。
伊住とは・・・ずっと付き合っていく・・・?
自分がフラゴラでバイトを続ける限り、関係は続く気がする。
嫌われて気まずくなるのは、望ましくない。でも、機嫌を取るのは嫌だな・・・。
「眠くなっちゃった?水持ってくるね。」
スマホで時計を見ると、日付が変わろうとしていた。酔ったわけではないが、いつもなら寝る時間で。
「はいどうぞ。そろそろ寝ようか。」
頷くと、伊住は空いた酒のグラスを下げ始めた。
「手伝う?」
「大丈夫。あ、洗面台に歯ブラシ出しておいたのでどうぞ。」
「ありがとう。いろいろ用意させちゃって。次来るときは、なにかお土産用意したいな。好きな物とか、何かある?」
尋ねると、伊住が少し驚いた顔をして、嬉しそうに笑う。
「俺のこと、聞いてくれるの?嬉しいな。気を使わせるつもりはないんだけど・・・。」
あ。そういう風に受け取るのか。
伊住は本当に、自然体で人たらしなんだな。こんな風に笑われたら、秒で落ちる。もっと、喜ばせたい、なんて自分でも思ってしまった。
「なんでも嬉しいけど、ジェラートが好きだよ。コンビニのアイスとかも。楓李が好きなものを一緒に食べたいな。」
わ・・・。
あんまり幸せそうに微笑むから・・・。
「・・・ん。わかった。」
いろいろどうでもよくなった。
自分が、大勢いるであろう友達の一人であったとしても、一緒にいる時は、伊住のことだけ考えよう。
これはもう、伊住に落ちかけているのを、認めざるを得ない。
小さく苦笑して、ラン、と呼ぶ。
「友達にしてくれて、ありがとう。」
言葉にすると、伊住は一瞬眉を寄せ、うん、と笑った。

 「おやすみ。」を言い合って客間に入ると、意に反して、寝ていたアドリーナが出て行った。どこで寝るつもりなのか、申し訳ない気持ちになる。今日は、冷房がよく効いていて、すぐにでも眠れそうだった。
ベッドに入ってからしばらくして、天羽が気を付けてと言っていたことを思い出したが、伊住が「食べに」くる気配はない。思い過ごしでは、とため息をつく。

目覚ましは七時にセットした。

 目が覚めると、室内は薄明るくなっていて、時刻は六時半。
アラームを解除して、ベッドを出る。トイレに寄ってから、洗面所を借りて口をすすぎ、リビングに行くと、ランはもう起きていて、キッチンで何かしているようだった。
「おはよう。」
声を掛けると、おはよう、と返ってくる。近くなっている距離感に、昨夜のことは夢ではないんだな、と思う。と、同時に、頭の中の彼の呼び方も、伊住から『ラン』に変わっていることに気がついた。思ったよりも慣れるのが早い自分に驚いてしまう。苦笑して、キッチンの方に行くと、どうやらアドリーナのご飯を用意していたらしい。ランの足元を、尻尾を立ててうろつく彼女がなんとも可愛い。皿を差し出すと、すねに頭突きしてから食べ始めた。
「俺たちのご飯は、どうしようか。お昼は外でランチのつもりだけど、まだ早いししっかり食べても大丈夫だと思う。」
「んー・・・。お任せするけど、ランはどうするの?」
昨夜もがっつり食べたのに、お腹は空いている。二十代前半なんて、まだまだ食べ盛りだ。背だって伸びている。
ちら、とランの頭の上を見やる。自分との差は十センチ以上ありそうだ。決して小さい方ではないけれど、ランの隣に立つと、見劣りはやむなしといったところ。男女の身長差とまではいかないけれど、もしも恋人だったなら・・・。そこまで考えて、恋人だったなら?と思い直す。自分が恋人だったらどうだろうかと考えたことに唖然としてしまう。ランが男を恋人にするかどうかなんて、本人の口からはっきり聞いたわけではない。それに、自分だって今まで、男をそういう目で見たことなどない。
それなのに・・・。
女性と付き合う気はない。でもそれは、男と付き合いたいわけでも、男なら恋人にできるわけでもない。誰とも付き合えなくてもいいつもりで今まで生きてきた。
友達くらいは、いてもいいとは思うけど・・・。
「どうかした?」
不思議そうに首をかしげるランに、あいまいに濁して離れる。
「ご飯、食べたいものある?」
いつもはパン?ご飯?と尋ねるランに、ご飯と返した。
「じゃぁ、卵がたくさんあるから、オムレツか目玉焼きかな。」
男同士の恋人って、どっちも彼氏・・・だよな。
風呂上がりに髪の手入れをしてくれたり、ご飯の支度をしてくれたり・・・甘やかされてるのは自分だけれど・・・。
でも、ランはたぶん、雄。
「楓李?」
「あっ・・・いや。ごめん。・・・目玉焼きがいい。」
「うん。・・・醤油?塩コショウ?」
「醤油!」
やっとかみ合った会話に頷いて、ランが冷蔵庫に向かう。
「座ってて。あ、テレビつけていいよ。ご飯炊けててよかった。」
「うん。ありがとう。・・・手伝うことある?」
テーブル拭いてもらおうかな、とダスターを渡される。
ランが雄ってことなら、じゃぁ・・・もし付き合ったら自分は雌なんだろうか・・・。
考えたこともなかったから、リアルの男同士の恋人が、どうしているのか全く分からない。普通はどうなのかと思うが、その時点でもう普通でないとも思う。
なんで、こんなこと考えちゃうんだろう。ランとは、昨夜友達になったばかりなのに・・・。
なんで・・・?

 朝食を食べ終えて、たまっているという洗濯などの家事をランが済ませるのを、リビングで眺めている。休日に朝からよく動くその姿を見て、いい夫になりそうだなと思ってしまい、また頭を抱える。それだけじゃない。昨日は、いい父親になりそうだとも思った。
ランが良い雄だというのは、もう言うまでもない。ただそれを、雌の目線で、パートナー候補として見ている自分がいる。
子を生す気のない自分は、雄として欠陥品だとは思うが、だからと言って、ランをそういう意味で見る理由にはならない。
ランが優れているというなら、相応の女性に譲るべきでは?
もやぁっ・・・。
なにオレェ・・・嫌なの?
友達でしょ?友達の幸せを願うべきでは?
「楓李?」
掃除機を手にしたランが、腰をかがめてこちらを覗き込んでいる。
「んにゃぁっ?」
「・・・まだ眠い?」
何度か呼んだんだけど、と首をかしげて聞かれた。
「いや、大丈夫。」
「そう?あと、モップ掛けたら出るから、支度してくれる?」
掃除機だと、猫の毛取り切れなくて、と苦笑する。
「そうなんだ・・・。支度、してくる。」
緑がかった瞳を直視できなくて、そそくさとリビングを後にした。

 マンションの一階部分にある駐車場は、当然日陰だが、それでも夜に来た時よりは色や形がはっきり見て取れた。綺麗な青色の車体は、ランによく似合っている。そしてそのエンブレムを目にした時、膝から力が抜けて、ぬるいアスファルトにへなへなとしゃがみ込んでしまった。
なんども見た、あのお守りの星によく似た配列。「すぐにわかる」と言った、占い師の言葉。
こういうこと・・・かぁ。
「楓李!?大丈夫?どうかした?」
ランが慌ててとなりに膝をつく。覗き込まれて、目が合い、思わず乾いた笑いが漏れる。
「大丈夫・・・。」
近い距離のランは今日は柑橘系の甘い匂いがした。
どんなに理性で否定しても、ランを意識していたのはこういうことかと、納得した。
だめ・・・あらがえない・・・。
ごめん、大丈夫とランを頼って立ち上がり、膝の砂を払う。立ち上がったランの手が、そっと腰に手が添えられた。薄いシャツ越しに、手のひらの温度が伝わるのを、不思議に感じ、そっとため息した。
「貧血?出かけるのやめようか。」
「・・・そういうのじゃないから、大丈夫。」
心配そうな顔に、どうしようかと思う。
「とりあえず、乗る?ちょっと休んでから決めよう。」
「・・・うん。ごめん。ありがとう。」
こんな優しい人、今まで関わりのあった人の中にいたか?
ランの隣は心地いい。
でも、それはこっちの都合で。
ランは友達って言ってたし。
オレ、これからどうしたらいいの・・・?

 「その人のそばにいることで、よりよい未来になります。」
だったか。
占い師の言葉を、注意深く思い出す。
そうだ。「その人」がランだったとして、なにも恋人になれと言われたわけではない。まして、男同士。友達、が最適解であるように思う。
 ランが軽快に走らせる車の助手席で、ちら、と隣を窺いながら考え事。今日のランは、白のかりゆしを着ていて、車内には、流行りの曲が流れている。なんともデートっぽい雰囲気で、よけいに意識してしまう。
「そばにいること。」が自分の幸せの条件だとして、ランの好意に甘えるのは、少しもやもやする。ランにはランの、「幸せの条件」があると思うからだ。
はぁーっと、ため息すると、ランが耳ざとく反応する。
「調子悪い?よく眠れなかった?」
「大丈夫。ちゃんと眠れたよ。」
ランの家の客間は居心地がいい。静かだし、パジャマも寝具も肌触りが良くて、ふわりといい匂いがする。
「そうだ。あのパジャマ・・・高価なものなんじゃない?」
思い出して問いかけると、ランは何でもないことのように、前を向いたままだ。
「あのクオリティなら、安いくらいかな。気に入ってくれたんなら、それだけで嬉しいし。」
着心地はもちろんいいが、コンプレックスをさりげなく隠してくれるデザインにほっとする。
「・・・ありがとう。」
「うん。うちに来た時に着てくれたらいいよ。楽だから、休みの日はパジャマって言うよりは、部屋着みたいに着てるんだ。」
なるほど、とランの優雅な休日を想像して、羨ましい気持ちになる。自分のアパートはと言えば、最近は隣人のせいで、寛げる状態にない。
「・・・居心地よすぎて、帰りたくなくなっちゃうくらい。」
苦笑して呟くと、ランが首を傾げた。
「良ければ、月曜の夜送るから、ゆっくりしていったら?」
「えぇ?それは・・・甘えすぎでしょ。」
かなり魅力的な提案ではあるけど。仕事帰りに、着の身着のまま来てしまったし、これ以上貸しを作っていいものか。
「あ、そうだ。飲み会の、立替ぶん。良かったら、食事代で払わせてくれない?」
「いそがなくていいよ。ランチは俺が連れていきたいから、また別の時がいいかな。」
そう・・・そうなのか。
お金の借りは、早く返さないと、落ち着かない。家を出る前に現金で渡してしまえばよかった。どうにかスマートに返そう、とか考えるんじゃなかったな・・・。
「楓李、お金気になる?」
「そりゃぁまぁ。お世話になってる上に、借りたお金も返してないとか、駄目でしょ。」
ランは、赤信号で止まってから、思案気にこちらを見た。
「・・・提案なんだけど。帰りに、食材を買おうと思ってるから、それはどう?」
「それでいいなら!」
即答すると、ランは満足そうに笑って、アクセルを踏んだ。

 小一時間ドライブして、郊外のイタリアンに来ている。
白い壁に、オレンジ色の瓦屋根、テラス席のある小ぢんまりとした作りで、どちらかと言うと素朴な印象だ。テラスの屋根には、ブドウの木が絡みついていて、葉が茂っていた。
猫の名前もそうだが、なんとなく、ランの半分はイタリア由来なんじゃないかな、と推測している。
窓のあるテーブルに通され、レモンの浮いたお冷を飲みながら、メニューブックをめくる。スペアリブの香草焼きに釘付けになるが、ランがご馳走したいというので、オーダーはまかせることにした。
今、昼食を頼んだばかりなのに、話題は夕ご飯のリクエストについて。考えがまとまらずに唸っていると、チーズがたくさん乗ったサラダが運ばれてきた。ランが手際よく取り分けてくれ、さぁどうぞと差し出される。四種類ほどのチーズが乗っていて、それぞれ特徴はあるものの、癖が強いというほどではなく、食べやすい味だった。野菜も新鮮でおいしい。半分ほど食べたところで、かなり大きなサイズのピザがやってくる。店員が、テーブルで六等分にカットして去って行った。熱気が伝わってくるほど、熱々だ。
「ここのは、石窯焼きだから、この大きさでもペロリだよ。」
ランが嬉しそうに勧めてくる。フレッシュバジルと、オリーブオイルのいい香りがする、マルゲリータだ。
「いただきまーす。」
カットされたそれを手に取り、折り畳んでそのまま口へ。香ばしい生地のもちもちと、トマトソースが美味しい。
「どう?」
「おいひい。」
もぐもぐ答えてしまい、慌てて飲み込む。ランはふふふと笑って、ピザを手にし、がぶりと食べた。
美味しそうに食べるなぁ・・・。
モリモリ食べ進めていくランに見とれてしまう。
「楓李もいっぱい食べて!まだパスタも来るから。」
「うん。」
これは多分、ちゃんとした水牛のモッツァレラだな・・・。
そう思いながら味わっていると、ランはもう三切れ食べてしまい、もう一枚欲しい?と聞いてきた。
「まって、パスタも来るでしょ?」
「うん。トマトのと、ボンゴレビアンコ。でも、楓李チーズ気に入ったみたいだから、クワトロフォルマッジ追加しない?」
食べられる、とは思うけど・・・それより・・・。
「デザートとかは?」
首をかしげると、ランはにっこり笑った。
「それはもちろん、ジェラートでしょ。」
「さすが。楽しみー。」
つられて笑ってしまい、苦笑に変わる。
「ほら、ピザは冷めたら美味しくないよ!」
どんどん食べて、と促され三切れ目を手に取ったところで、大皿に乗ったトマトのパスタが運ばれてきた。
「・・・一人前・・・じゃないよね・・・。」
「シェアするでしょ?」
悪気ないランの食欲が、いっそすがすがしい。
「よし。」
気合を入れ直して、フォークを手にした。

 デザートは、桃とミルクの二種類のジェラートで、生の桃が添えられていた。スプーンで一掬い口に入れると、ヒンヤリと舌に広がる、桃のいい香りがたまらない。
「んー・・・美味しい。」
大事に少しずつ食べたいけれど、ジェラートは溶けてしまうのである。美味しいうちにと口に運んでいると、ランが手を止めてこちらを見ているのに気付いた。
「楓李は、ほんとにジェラートが好きだね。このお店は、ピザももちろん売りなんだけど、ジェラートも手作りしていて、材料もかなりこだわってるんだよ。」
連れてきたいって思ってた、と笑う。
「それは、市場調査、の結果なの?」
誰かと来たのかな。
もやりとして眉を寄せると、ランは慌てたように続けた。
「ここは、母の知人のお店でね。だから、美味しいのは知ってたんだ。」
友達を連れてくるのは、楓李が初めてだよ、と笑う。
「そっか。」
よかった。・・・よかった?
嬉しい気持ちと、そんなわけないという疑念がぐるぐるしだす。面倒な彼女のようだ。自分の前に連れてきた人がいるだろうことを、隠されているのではないかと思ってしまう。
付き合ってるわけでもないのに。
いやいや。別に、恋人になりたいわけじゃないだろ・・・。
「楓李?」
「ごめん、何でもない。・・・うわ溶ける。」
ミルクと桃の混ざり合った境目をスプーンに乗せる。
とりあえず食べちゃお。
大き目にカットされた皮付きの桃にフォークを刺して、一口で口に入れた。
ランと、どうにかなりたいとして、でもきっとそれは、純粋な気持ちじゃない。
あの占い師の言葉がなければ、こんなに意識しなかっただろう。
だからこれは恋とかじゃないと思う・・・。
友達というポジションすら、引け目を感じてしまう。
ケンゼンじゃないよなぁ・・・。
オレの幸せのために、ランを利用するのは・・・やだな。

 帰り道は、遠回りだけどと、海沿いの道を走った。行きの倍くらいの時間をかけ、ランのマンションに帰る頃には、夕方になっていた。
ランは、月曜までいていいと言ったけれど、家族以外とそんなに長い時間を過ごしたことがなくて、少し不安だったから、帰るよと言ってみたのだが。とりあえず疲れているだろうから、今日は泊っていきなよと説得された。
途中でスーパーに寄り、食材を調達。メインは魚だ。アジを刺身にしてもらい、クーラーボックスに入れて帰ってきた。
夕食を家で作るつもりだったランに、キッチンを借りて米を炊き、みそ汁とサラダを作って、食卓に並べる。一日運転してもらったランには、ソファーでくつろいでもらった。留守番だったアドリーナをかまいながら、ニュースを見ている。
「ご飯できたけど・・・。足りる?」
あおさの味噌汁と、玉ねぎとレタスのサラダ、アジとイカと、マグロの刺身、炊き立てご飯。
ランは嬉しそうにやってくると、ありがとう、と笑った。
人にご飯作るの久しぶり。というか、ご飯作ってありがとうとか言われたことなかったな。
「いただきます。」
ランの冷蔵庫に味噌があったのが意外だったが、いい塩加減にできている。
「作ってもらったご飯を、家で食べられるなんて、なんて幸せなんだろう。」
ランはご飯の茶碗を手に、感慨深げにつぶやいた。
「作ってくれる人・・・。」
突っ込んだことを聞きそうになり、途中で止める。
「母は、あんまり料理を作らなかったから。ここに他人をあげるのは、楓李が初めてだしね。」
少し淋しそうに言うのを、バツが悪く聞いていると、箸が止まってしまった自分に、ランが苦笑した。
「なんて顔してるの?」
「だって・・・親のこととか、聞いていいのかなって。」
自分はあんまり聞かれたくないし、だったら詮索すべきじゃないし。そもそも、それを聞いていい関係じゃないかもしれないし。
「一緒に住んでないだけで生きてるし、元気だよ。ちょっと、仕事の方が好きなだけで。」
「そっか。なら、いいんだけど。」
ランの顔が見られずに、俯いた。家庭より仕事だった父を思い、歪んでいる自分と、ランを比べてしまう。彼だって、歪なところはあるだろうけど、自分よりキラキラして見えるのだ。容姿もさることながら、気配りができて優しい。少しの間なのに、一緒にいて、居心地がいい。
「楓李?」
「あ、ごめん。オレの親父も、仕事ばっかりだったから。」
ランは首をかしげたが、優しい声音で、淋しい?と問うた。
「淋しい・・・?かな。どうだろ。あんまりそうは思わなかったけど。まぁ、もう大人だし。」
ランは、大人になったって、淋しい気持ちを殺すことはないよ、と伏し目がちに言った。
「そうかなぁ。」
「確かに大人だから、その気持ちを親に向けなくてもいいんじゃないかな、とは思う。楓李がもし、その淋しさとか、孤独感とかを抱えてるなら・・・。」
覗き込むように、見つめられて目が合う。
抱えてる・・・なら?
緑がかった瞳が伏せられた。
「ラン?」
「・・・うん。その気持ち、オレも共感できるかも。」
微笑んだランの表情がなんとなく、本音を隠したように見える。
「・・・共感?」
「俺の父も、家にはほとんどいなかったから。」
そうか。「ほとんど家にいない父親」は、なにも自分の家だけじゃない。世界にいくらでもいる。むしろ、家で仕事ができる環境でなければ、当たり前のことかもしれない。家にいない理由は、仕事だけじゃないだろうし。
納得して、そっか、と返した。
「その・・・気付いてると思うけど、俺、ハーフなんだよ。日本人の母と、イタリア人の父の間にできた子で・・・。父はあまり日本にいなかったんだ。」
「あ・・・。そうなんだ。」
うん。と俯きがちに頷いて、小さくため息し、顔をあげたランは、不安そうな表情だった。
「ラン?」
「・・・嫌じゃない?」
え?
思わず首をかしげる。
「ハーフって、良いことばかりじゃなかったから・・・。」
暗く淀んだ言い方に、闇の気配を察して息が止まる。
差別的な扱いを受けたことがあるのだろうか・・・?
いじめ・・・とか・・・。
「オレは、嫌じゃない。ランの目、キレイで好きだよ。カッコイイなって思ってるし。」
「ほんと?」
「うん。」
頷くと、ランはいつもの笑顔に戻った。
「隠してたわけじゃないけど、言うのが少し怖かったんだ。・・・やっぱり、楓李は優しいね。そういうので差別したりしない価値観で嬉しい。良かった。」
「ランにも、怖いことがあるんだね。」
苦笑すると、ランは一瞬目を丸くし、あるよ、と笑った。
「楓李に嫌われるのが、今は一番怖いかな。」
 みそ汁は飲み頃に冷めていたが、味がよくわからなくなっていた。

 「アドリーナってどこで寝てるの?」
彼女の普段の寝床は、客間のベッドだという。自分が寝るときには、出て行ってしまうから、行く先が気になった。
「あぁ。昨夜はリビングにいたよ。・・・保護猫を譲ってもらった子だから、一人で寝たいみたいで。」
結局、泊めてもらうことになり、風呂に入ってリビングでくつろいでいる。冷えた麦茶を飲みながら、映画を見ていた。
今日もまた、ランに髪を手入れしてもらい、滑らかでいい匂いがする。よそよそしい自分の髪にも、違和感は少ない。触れられる事にも、少しだけ慣れて、最初のようにびくついたりはしなくなっていた。うっとりするほど気持ちいい。けれど、同じく風呂上がりのランは、昼間とは違う雰囲気になるから、つい目で追ってしまう。襟のある服を着ていることが多い印象だが、丈の長いパジャマは胸元が開いていて、首の筋や鎖骨が見える。それがなんとも男らしい色気なのだ。
流れている映画も悪い。ラブコメディーなのだが、時々少しえっちなシーンが織り交ぜられている。
わざとなのか・・・?
そうだとして、自分を相手にそうする意図が読めない。天羽は、あんなことを言っていたが・・・。誰彼かまわず、「食べて」しまうようなタイプには見えないからだ。
ランは、これだけ一緒にいても、崩れたところを見せることはない、そつのないイケメンだ。抱かれたい人は多いだろう。
抱かれる、ってどんな感じだろう・・・。
妹に借りた漫画では、なんだかとても気持ちよさそうで。あんなのはフィクションだろうと思うが、ランはきっと、上手なんじゃないかな、と想像してしまう。
・・・何考えてるんだろ・・・。
上手だったとして、気持ちよかったとして・・・。
オレはそういうの、欲しくないって思ってたじゃないか。
そのことしか考えられなくなるような「快楽」は知りたくない。癖になるのが怖い。快楽のためだけに、自分本位なセックスをするような男には、絶対なりたくない。女も子供も、不幸にしない。
「楓李?見てる?」
ソファーで隣り合って画面を見ていたランが、こちらを向いた。
「あ・・・。ちょっと考え事してた。」
「そっか。見てないなら、そろそろ寝ようか?映画はあんまり好きじゃない?」
リモコンを手にするのをいったん止めて、ごめんと謝った。
「ランが見てるなら、まだここにいる。」
「そう?無理しないでいいよ。俺は何度も見てるから。」
「・・・うん。」
アドリーナは、人恋しくなったりしないみたいだけど・・・。
オレは違うかも。
ほんの数日なのに、密な時間を過ごして、離れがたくなっている。そばにいると、よりよい未来になるという占い師の言葉がなかったとしても、ランの隣は心地よい。
こういう関係って、友達・・・なんだっけ?
家に上がり込んだり、泊ったり、なんて付き合い方は初めてのことで、ランが友達だというから、そうなのだと受け入れているけれど・・・。
ちょっと違わないか?
「ふうりー。眠い?」
「んー・・・。オレさ、なんかランとはずっと一緒にいたんじゃないかって言うくらい、なんていうか・・・しっくりくる?っていうか。居心地よくて。不思議だな、って。」
前世でも会ったことあったりしてね、と笑って見せた。するとランは、少し目を丸くして、嬉しそうに微笑んだ。
「よかった。」
「うん。なんか、もっと前から知ってたような気がするんだよなぁ・・・。」
首をかしげると、ランは一瞬眉根を寄せた。すぐに、そうかもね、と笑ったのを見て、同じことを感じてたのならいいなと思った。
「前世で兄弟とか恋人とか・・・親友とか?だったら面白いかも。」
「そうだね。・・・嫌われないように頑張らなきゃね。」
ランは苦笑して、ぬるくなった麦茶をあおった。


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