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きょうだいの話。②

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「ねぇ、竜兄?神楽愛灯さんと僕がどんな風に遊んでたのか教えてあげるね?」
「ちょ…!」
「んぅ!っ…ゃ……ん…」
「うわっ、と…」
「ごめ、っ……」
「いーえ…」
    にこりと満面の笑みを竜太に向けた後、朦朧としている神楽の顎を掬い上げると抵抗をする間も与えず唇を重ねた。するりと滑り込んできた舌に絡めとられ吸われるとようやく顔を逸らして逃れるが、脱力しバランスを崩した体を一弥が慌てて受け止めた。
「こんのっ!蘭獅!!一弥、お前もちゃんとアキん事守っとけっ!!」
「僕にあたらんで!蘭獅に怒ってよっ!!」
「じゃあ僕が神楽愛灯さんを支えてあげますよぉ?ほら、こっちに来て下さい🖤」
「…なんぼ許せる事と許せへん事があるで?」
「やだぁ、竜兄こわぁーい🖤」
    一弥は思わず神楽の体を抱き締め伸びてくる蘭獅の腕に背中を向けると短い舌打ちが聞こえ一弥は強く睨み返した。
    そして神楽も再び勃発した理解の出来ない兄弟喧嘩に軽口をたたきながら少しも笑っていない蘭獅の目が怖いと一弥の体越しに垣間見えてしまいぞくりと背筋を震わせた。
「兄弟喧嘩はいくらでもしてもらっていいけど、血を見るような事はやめといてくれよ?片付けとか色々めんどくせーから」
「ムツ…そんな言い方はないでしょ?蘭獅、今日のところは大人しく帰ろ?飛行機の時間も迫ってるしぃ」
「神楽愛灯さんが一緒なら帰る」
「「はぁっ?!」」
「だぁって、竜兄は僕を受け入れてくれないでしょ?!だから神楽愛灯さんを貰っていこうかなぁって思ってます🖤」
    不穏な発言を受けて黒髪で褐色の肌の体躯の良いムツと呼ばれた男が慣れたように竜太と蘭獅の間に割って入りどちらの血も流れないように壁になると、もう一人の金髪の優男が蘭獅の胸ぐらを掴んで発言の撤回を求めているがそんなことどこ吹く風というように蘭獅は素知らぬ顔だ。
    一方、竜太はミオが宥めているが「拳銃はまずいって!!」などとこちらも不穏な単語が聞こえてくる。
    この茶番がいつまで続くか分からないが神楽の体はかなり限界までキテいて、今ではシーツが肌に擦れる感触だけで達してしまいそうな程ギリギリの状態だ。
「りゅ、たぁ…」
    大声で叫んだつもりの神楽だがそれは自分でも驚くほどか細く、竜太に届いたかすら怪しいところだったがミオを置いてすぐに神楽の元に飛んできたところを見ると声はちゃんと届いていたらしい。
    震えながら伸ばした手を竜太に掴まれると心臓が大きく跳ねた気がした。
「大丈夫か、アキ…」
「りゅ……た…」
    神楽の体を一弥から奪うように支えると神楽は安心して緊張を解いて体を預けた。
「…気に入らない…」
    その光景に蘭獅は小さく舌打ちするが二人から視線を外すことは出来ずその光景を脳裏に焼き付けていた。それを見ていた優男が大きく息を吐いて肩を落とすと横にいたムツに目配せをする。
「ムツ!」
「へぇーいっと!」
「っ!!ちょっと!!下ろしてくれないっ?!」
「じゃあ、りゅんりゅん!お邪魔しましたぁ!!アデュー!」
「帰らないって言ってるでしょ!!ねぇっ!!」
「…あ、そうだ。こいつ盗聴器仕掛けてるからパソコンとか部屋中隅から隅まで調べた方がいいぞ?じゃあな」
「ムツ!なんでバラすのっ?!ちょっと待って!!嫌だ!帰らないっ!!嫌だってばぁぁーー!!」
    一瞬の隙をついてムツが蘭獅の体を肩に担ぐと蘭獅は手足をバタつかせて抵抗してくるがそれすらも押さえ込んで風のように去っていく三人に呆気に取られながら見送ると、突然、竜太が神楽の体を抱きかかえた。
「とりあえずアキの体を綺麗にせんと…」
「その間に部屋綺麗にして盗聴器を調べときますよ。…神楽さん、辛そうだからあんま無理させんであげてや?」
「…約束はでけへんな」
「はっ、最低…」
    先ほどから不穏な言葉が頭の上を交錯しているが、シーツ越しに伝わってくる竜太の体温に神楽は心地好さを感じていた。
    シーツにくるまれたままバスルームに運ばれ床に下ろされるとおもむろに顎を上げられ真っ直ぐに見つめられる。
    神楽を見下ろす眼差しは体温と違い予想外に冷たいものだった。
「りゅ…」
「ずいぶん酷くされたんやな…」
    怒ってる…?
    荒い呼吸を繰り返し纏うシーツを強く握り締める神楽は大きく体を震わせる。
    顎に添えられていた手が首筋を滑りシーツを剥がすようにさらに下に下りてくるのを身を捩り拒否すると怯えながら竜太を見上げる。
「俺はアキにも怒っとるんやで?蘭獅に色々触らせたんやろ?」
「ち、がぅ…」
「ほんなら蘭獅と何しとったか教えてもらおうか?」
    いつもより低い声に神楽の体が竦むと竜太の親指がカサつく唇を意味深になぞる。
「蘭獅とのキスはめっちゃ良さそうやったやん?」
「ち、が……は…っ!ゃ、ん……ぁ、んんっ!!」
    乱暴で荒々しいキスで口内を蹂躙されると神楽の体が数回大きく跳ね、隠すように膝をすり合わせるがシーツのシミは無情にも大きく広がってしまった。
「キスだけでイクとか随分感度ええやん…」
    呆れる竜太に生理的に溜まった涙が頬を流れ蘭獅との行為を否定するために首を振るが竜太には話を聞く気はないようだった。
「蘭獅のキスは気持ち良かったん?」
    竜太の言葉にさらに強く首を振り神楽は否定する。
「あいつ…あんたと間接キスだって…言ってて…」
「ふーん…」
「あ…!」
    荒い呼吸を繰り返す神楽をよそに竜太は強引にシーツを剥ぎ取ると首から胸にかけて広がる無数の赤い印に驚いた後、吐き出したばかりの白濁にまみれながら頭を擡げ震える神楽自身に眉を顰めた。
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