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きょうだいの話。②

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「…これは……そうですね…」
「んっ!っ、ん…」
    意味不明な呟きに反応も出来ず虚ろな頭のまま固まっていると、荒い呼吸を塞ぐように押し当てられた唇は先程の自己中心的なキスではなく優しく、まるで恋人同士のような官能的なもので神楽はされるがままに応えてしまう。
「素直な貴方も可愛いですね」
「…ぁ……っ…」
    薬に強制的に欲情させられているだけだ。興味がない、ましてや男にこんな感情になるなんてあり得ない。
    そう自分にも扇情的な神楽の表情に簡単に煽られた自身に戸惑いつつ、頬や首にキスを落とし続ける。短い呼吸を振り返し時々それに甘い声が混じれば名前も知らない感情が蘭獅の中に生まれては心を満たしていく。
    竜兄にも感じた事ないな、こんなの…。
    両手を拘束していた紐を外された神楽は逃げ出そうと蘭獅の体を押し返すが力が入らず、その隙に神楽の残りの服も全て脱がせるとその体をベッドに引き上げた。そして、拘束の痕が残る腕をベッドに縫い付けた。
「痕が残ってしまいましたね…」
「ん、ゃ…っぅ…」
    指先が神楽の手首に残った痕をなぞると蘭獅は恍惚とした表情を見せた後、鎖骨に肩、胸に鬱血痕を広げ最後に右手の手首の痕に重ねるようにキスを繰り返し、独占欲が満たされていく感覚と同時に小さなしこりのような歪な感情を見つけた。
    独占欲とこれは……どちらに?
    生まれた新たな感情に蘭獅は訝し気に顔を顰める。
    軽い愛撫にも神楽の体は強い刺激を享受してしまい抵抗をしようにも上手くいかない。それでも諦めずにこちらに向かっているだろう竜太が到着するまでの時間稼ぎに努めるが蘭獅の指が再び下腹部の方へ下りてくると全身から汗が吹き出るのを感じた。
「…この前…ここで竜兄と繋がったんですよね…?」
「なん、っ!ぃ、ぅ…うぅ…」
    中を傷付けないようどこから取り出したか分からない潤滑剤を纏わせながら今度はゆっくりと奥へ進んでくる蘭獅の指は『検体』を探るそれではなく神楽を悦ばせるための愛撫に変わった。神楽は口許を手で押さえ声を殺しながら自分の反応を窺う視線に睨み返した。
「竜兄はどんな感じでしたか?」
「ん、っ…なんで……知っ……て…」
「痛かったですか?それとも苦しかった?」
「あ、っ!!…ぅ…うぅ…」
「いつもを触ってもらって可愛い声を上げてましたもんね」
「やっ!!そこ…っ、や、嫌…だっ…!!」
    世間的に決してバレてはいけない竜太と神楽の秘密の関係をなぜ蘭獅が全て知っているのかという疑問は慣らされ調教された中を抉られてしまえば思考はままならない。
「竜兄が何も知らなかった貴方の体をこんな風に変えたんですね」
「ぃゃ…ッ、やっ!!ひ、んぅ…嫌……いゃ、だ…」
「…悔しいなぁ…」
    感情を置き去りにして口をついてでた言葉に蘭獅は再び顔を顰めた。
    強すぎる快楽に頭を振り否定と嬌声しか発しない神楽の口を唇で塞ぐと目尻に溜まった生理的な涙が溢れた。指を引き抜くと責められ続けた体はぐったりと脱力しベッドに沈み荒い呼吸以外ぴくりとも動かない。
「そのまま大人しくしてて下さいね」
    カチャリと響く金属音に神楽の虚ろな頭は強烈な警告を発した。慌てて頭を上げそちらを確認すると蘭獅が下着から自身を取り出し自分の足に手をかけようとしているところだった。
「嫌だッ!!来るな!離せっ!!」
「暴れないで下さい。大丈夫、大人しくしてくれていればすぐに済ませますから…」
「ぁ…っ!ゃ…や、っ…」
    足を開かれ先ほど指でほぐされた後腔に蘭獅自身が侵入してくる感覚に力の入らない腕で必死に抵抗するがやはり意味はない。嫌悪と悔しさが入り交じった制御出来ない涙が溢れるが拭う気力もなくただこれ以上蘭獅の自由にさせまいと暴れ回るが両手を纏められ頭の上に縫いとめられてしまい抵抗すらも叶わなくなってしまった。
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