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親慶と義経のはなし。

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「…義経?大丈夫か?」
    とりあえず問題を先送りして義経の髪を撫でると汗に濡れる茶色の髪が艶めいた。
「………ん……だぃ、じょぶ……」
    はぁ、と熱い吐息とともに吐き出された言葉はぴくりとも動かない体とのギャップはあるが意識は大丈夫そうだと親慶は安堵した。そして義経の体に意識を落としてようやく自分達がまだ繋がったままだということを思い出した。感じたことのない快感の余韻から抜け出しこの状況を理解してしまえば、突きつけられた現実に体は簡単に新たな熱を生み出す。
    このままだとまずい!!
    若い体は熱を二度吐き出したくらいでは満足などせず、恋人の中で自身が再び臨戦態勢になる前にこの物理的な繋がりを断たなければと親慶は焦り出す。まだ敏感な義経の体を刺激するのは憚られたがこれ以上はもっとつらい思いをさせてしまうと意を決して義経の腰を両手で支える。
「義経……抜くぞ…」
「え?っ、んっ!!…ゃ、あぁ…」
    返事を聞く前に硬度をなくした自身をずるりと引き抜くと困惑する義経は慣れない感覚に反射的に親慶に抱きつくと、短く悲鳴を上げびくりと体を跳ねさせるとその後も義経はふるふると震え続けていた。
「ゃ……ゃだ……ん、ふっ…」
「義経…?」
    膝立ちになった義経は嬌声に合わせるように親慶に縋りつく腕の力をどんどんと強くし、体は相変わらず小動物のように震えている。
    どうしたんだ…?
    ふと義経の太腿辺りに視線を落とした親慶は思わず「あ!」と声を上げた。目に写ったのは先ほど自身を引き抜いたソコから無遠慮に吐き出され塞ぐモノがなくなった白濁液が義経に微弱な快感を与えながら溢れていたのだ。
「悪いっ!中、掻き出すな?」
「んぁっ!!っ、や!あ、ぁ…」
    義経の腰を支えて腕を肩に置き体を起こさせると親慶は焦りながらもゆっくりと指を突き立て中を探ると、すぐにこぽっと音を立て白い粘着質な液体が義経の太腿を伝う。
「やだ……これ、ゃぁ…っ…」
「もうちょっと頑張って、義経…」
「んっ、ん……ふぁ…っ…あ、ぁ…」
    なるべく内壁を刺激しないように奥を抉り白濁を掻き出し続けると、義経自身に変化が現れ始め親慶は息をのんだ。今、自分がしていることは義経を苦しめることだと理解している。しかし、奥深くに注入された異物をなるべく早く取り除いておかないと後で苦しむのも義経だ。
『義経のため』。そう言い聞かせるように自分に言い訳をしながら、それでも涌き出た下心が親慶を唆す。わざと音を立てて義経の羞恥心をくすぐると涙を浮かべながら頭を左右に振り耐える姿に、ごくりと喉が鳴った。
「も、ゃだ…!……ゃぁ…」
「………悪い。指、抜くぞ…」
「ぃっ、あ!……ん…ぅ…」
    指を引き抜いてからも内腿を伝う白濁のせいかなおも震えている義経の体を引き寄せ目の前のしっとりと汗ばむ肌に唇を寄せると義経の腕は親慶を引き離そうと試みるがまだ力の入らない腕は長い髪を撫でるだけで終わってしまう。抵抗がないことをいいことに親慶はさらなる行動に移っていく。
「ひぁっ!!やっ!なにッ?!」
    突然、自身にぬるりと湿ったナニかが這ったと思った瞬間、陰茎全てが温かいものに包まれ義経は腰に回された親慶の腕を掴んだ。しかし親慶の腕は力を緩めることはなく、それどころか温かいものにさらに押し付けるようにがっちりと締め付けられてしまう。親慶に支えられ、いや、正しくはしがみつかれ無理やりに起こされた体は逃げ出すことも出来ず義経は目の前の信じがたい光景に腰を震わせた。
「やだッ!!ひっ!はな、して…」
    力の入らない抵抗を続ける義経は自身が親慶の口腔内で蹂躙されていると理解すると出しきったはずの熱がソコに集まるのが分かった。
「あっ!ひ、ゃ…ゃだ……はなして…っ…」
    親慶の髪を引き離しているつもりが力の入らない義経の腕ではやはりそれは叶わず、混乱する義経を置き去りに親慶は唇と舌で陰茎を蹂躙し続ける。
「うぁ…やだ……っ、ん、でちゃ…!」
    ぐじゅ、ぐじゅ、と激しい音を立てながら容赦なく絶頂に追い立てられる義経はそれでも親慶の口に欲望を吐き出すのだけは避けたいと腰を引こうとするもがっちりと押さえつける親慶の腕は弛むことはない。
「ゃ、ちか…!はな、し…っぅ、あっゃ、や…っ、出る!でちゃ…からぁ…ッッ!!」
    限界を訴えようが親慶の責めは変わらず義経は腰を大きく震わせると親慶の口内に薄くなり量も少なくなった白濁を吐き出した。数回、口腔内で自身を震わせるとようやく義経は解放され親慶に支えられながら優しくベッドに下ろされた。霞む視界の中で親慶を見つめていると無理やりとはいえ自分が口内に吐き出した白濁液を大袈裟に喉を揺らし見せつけるようにごくりと飲み込む様子を目の当たりにしてしまった。
「………な、っ……でぇ……」
    襲い掛かる羞恥の嵐に義経の頭は理解が追い付かず大粒の涙を溢しながらベッドに倒れこんでしまう。
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