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親慶と義経のはなし。
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「キス…嫌じゃない…?」
「っ…ヤじゃないって…ゆった…」
「…舌、挿れていい?」
「んっ!!ぁ…ゆっくり……なら…」
「ぅん…」
「ん、っ…ぁ…」
逃げられないように腰に腕を回して、無遠慮に奥に奥に入り込んでくる舌に義経の舌が恐る恐る触れると「こんな時まで義経らしい」と親慶は思わず微笑むと唇を離して目尻にキスを落とす。肩を上下させて呼吸を整える義経の手が震えながら親慶の服をしっかり掴んでいることに気付くと無意識だと分かっているものの不覚にもときめいた余裕のない親慶は図らずもどんどん追いつめられていく。
「大丈夫か?」
「…ん……腰、びりびりして……立ってらん…ない…」
くたっと凭れ掛かってくる義経に驚きやら複雑な感情で激しく肩を跳ねさせると動揺を隠しつつ優しく小さな体を支える。
俺…なんか試されてんのかな…。
背中を撫で耳にキスをしながら脱力する体を強く抱き締めた。
怖がらせたくない。でも、このままの関係でも居続けたくない。
「…義経、ベッドに…移動しても、いい?」
「…オレ…今、歩けなくて……っ、わっ!!」
「ちゃんと掴まっててな」
義経の了承を得る前にお姫様抱っこの格好で小さな体を抱き抱えると首に強くしがみつく震える腕に愛しさが増して、ゆっくりベッドに横たえ義経の顔を覗き込むが視線が重なることはなかった。「どうしたものかと」戸惑いながら反応を試すために親慶が義経の体に覆い被さると、視線を逸らしたままの義経の喉がごくりと大袈裟に鳴った。抵抗はない。緊張を解すために義経の髪を撫で額や頬にキスを落としていくが、少し動く度にベッドが軋んで緊張が煽られ静かな部屋に二人の鼓動だけが響いている気がして羞恥心に襲われる。
「義経」
「ん…なに…?」
絞り出した声は掠れて上手く音に出来なかったが、義経は少し体勢を変えながら空をさ迷っていた視線を親慶の胸辺りに落ち着いて小さく返事をした。
「嫌だったら言って?本当に、もう無理矢理とかするつもりないから…」
重ならないと分かっていながら義経の目を見つめ誓うように決意を伝えると、ベッドに投げ出されていた義経の手が親慶の腕を弱々しく掴んだ。
「チカ…」
「うん」
少しだけ義経に体を寄せて髪にキスを落として…これだけでも十分幸せだと親慶は胸がいっぱいになった。これ以上義経を追い詰めるのは自分の本意ではないと分かっていながらそれでも「俺を求めて欲しい」などと我が儘を押し付けて、「また今度にしよう」なんてそんな言葉が親慶の口から溢れることもなく義経に決意を委ねている。いや、委ねるなんてそんな優しいものではない。親慶は強要していた。「俺を欲しがれ」と。ギリギリの理性を掻き集めて見栄を張ったところで結局中身は愚かなガキのまま。
信じろと言った舌の根も乾かない間に…無理矢理、犯してしまいたくなる…。
「チカ?」
「悪ぃ…このままじゃまた無理矢理しそうだからちょっと離、っ!!」
「イヤじゃないから!」
「ぅ、わっ!!」
一度、義経の上から退こうと体を捩ると遠慮がちに掴んでいたはずの義経の手に胸ぐらを強く掴まれ、親慶はバランスを崩しながら義経の顔の横に両手をついた。
「義経…?」
「…イヤじゃないけど…まだ……こゎ……っ…!」
やっと重なった視線に、緊張していた心がほどけていく気がした。
「…うん。絶対優しくする…」
ふわふわの髪にまたキスを落として…ゆっくりと固く結ばれた唇にも触れる。
「んっ……っ、は…ん、ん、っ…」
重ねた唇で何度も啄めば義経の苦し気な息が漏れて。甘い空気に取り囲まれてしまえば年頃の二人はすぐに成す術もなく飲み込まれていく。義経の腰を引き寄せて、角度を変えながら何度も、何度も…。縋るように親慶の袖を掴む義経の手が、まるでこの先を強請っているように錯覚させる。
唇を離した瞬間、溢れる吐息さえも飲み込んで俺の物にしたくなるほど義経が愛しい。
「んっ!ふ…」
「嫌?」
「ふぁ…ん、ゃ…じゃない…」
「触るよ」
「ん、んん…ぁ…」
ジャージの前を開き半袖シャツの脇腹から白い肌を探れば義経の体が小刻みに跳ねて、口を押さえている両手から漏れる吐息に混じる嬌声がどんどん親慶の理性を削っていく中、あの夜の義経の顔がフラッシュバックして消えかけていた理性を取り戻させる。
「ん、ぁ、ぁ…ゃっ、あん…」
「平気?」
「んっ、んっ!」
ツン、と存在を主張する胸の頂に辿り着くとピンク色のそれを指先で転がしながら義経の様子を窺うと、義経は相変わらず両手で口を押さえたまま大きく頭を上下に動かして返事をしてくれた。まだ余裕がありそうな義経の服を捲り上げて許可なく胸の突起を唇で食むと小さな体が大きく跳ね上がる。
「あっ…チカぁ…」
「ん、ごめん。嫌だった…?」
弱い声に、早急だったかと慌てて顔を上げると熱に潤む瞳が親慶を捉えて小さく左右に揺れる。
「…ん……優しく…して…っ…」
「っ!!」
吐息混じりの懇願は中心に熱を集めるのに効果的で、このまま食らい尽くしたい衝動をすり減ってきた理性で無理やり抑え込みながら義経の白い首筋に強く吸い付いて痕を残していく。
「っ…ヤじゃないって…ゆった…」
「…舌、挿れていい?」
「んっ!!ぁ…ゆっくり……なら…」
「ぅん…」
「ん、っ…ぁ…」
逃げられないように腰に腕を回して、無遠慮に奥に奥に入り込んでくる舌に義経の舌が恐る恐る触れると「こんな時まで義経らしい」と親慶は思わず微笑むと唇を離して目尻にキスを落とす。肩を上下させて呼吸を整える義経の手が震えながら親慶の服をしっかり掴んでいることに気付くと無意識だと分かっているものの不覚にもときめいた余裕のない親慶は図らずもどんどん追いつめられていく。
「大丈夫か?」
「…ん……腰、びりびりして……立ってらん…ない…」
くたっと凭れ掛かってくる義経に驚きやら複雑な感情で激しく肩を跳ねさせると動揺を隠しつつ優しく小さな体を支える。
俺…なんか試されてんのかな…。
背中を撫で耳にキスをしながら脱力する体を強く抱き締めた。
怖がらせたくない。でも、このままの関係でも居続けたくない。
「…義経、ベッドに…移動しても、いい?」
「…オレ…今、歩けなくて……っ、わっ!!」
「ちゃんと掴まっててな」
義経の了承を得る前にお姫様抱っこの格好で小さな体を抱き抱えると首に強くしがみつく震える腕に愛しさが増して、ゆっくりベッドに横たえ義経の顔を覗き込むが視線が重なることはなかった。「どうしたものかと」戸惑いながら反応を試すために親慶が義経の体に覆い被さると、視線を逸らしたままの義経の喉がごくりと大袈裟に鳴った。抵抗はない。緊張を解すために義経の髪を撫で額や頬にキスを落としていくが、少し動く度にベッドが軋んで緊張が煽られ静かな部屋に二人の鼓動だけが響いている気がして羞恥心に襲われる。
「義経」
「ん…なに…?」
絞り出した声は掠れて上手く音に出来なかったが、義経は少し体勢を変えながら空をさ迷っていた視線を親慶の胸辺りに落ち着いて小さく返事をした。
「嫌だったら言って?本当に、もう無理矢理とかするつもりないから…」
重ならないと分かっていながら義経の目を見つめ誓うように決意を伝えると、ベッドに投げ出されていた義経の手が親慶の腕を弱々しく掴んだ。
「チカ…」
「うん」
少しだけ義経に体を寄せて髪にキスを落として…これだけでも十分幸せだと親慶は胸がいっぱいになった。これ以上義経を追い詰めるのは自分の本意ではないと分かっていながらそれでも「俺を求めて欲しい」などと我が儘を押し付けて、「また今度にしよう」なんてそんな言葉が親慶の口から溢れることもなく義経に決意を委ねている。いや、委ねるなんてそんな優しいものではない。親慶は強要していた。「俺を欲しがれ」と。ギリギリの理性を掻き集めて見栄を張ったところで結局中身は愚かなガキのまま。
信じろと言った舌の根も乾かない間に…無理矢理、犯してしまいたくなる…。
「チカ?」
「悪ぃ…このままじゃまた無理矢理しそうだからちょっと離、っ!!」
「イヤじゃないから!」
「ぅ、わっ!!」
一度、義経の上から退こうと体を捩ると遠慮がちに掴んでいたはずの義経の手に胸ぐらを強く掴まれ、親慶はバランスを崩しながら義経の顔の横に両手をついた。
「義経…?」
「…イヤじゃないけど…まだ……こゎ……っ…!」
やっと重なった視線に、緊張していた心がほどけていく気がした。
「…うん。絶対優しくする…」
ふわふわの髪にまたキスを落として…ゆっくりと固く結ばれた唇にも触れる。
「んっ……っ、は…ん、ん、っ…」
重ねた唇で何度も啄めば義経の苦し気な息が漏れて。甘い空気に取り囲まれてしまえば年頃の二人はすぐに成す術もなく飲み込まれていく。義経の腰を引き寄せて、角度を変えながら何度も、何度も…。縋るように親慶の袖を掴む義経の手が、まるでこの先を強請っているように錯覚させる。
唇を離した瞬間、溢れる吐息さえも飲み込んで俺の物にしたくなるほど義経が愛しい。
「んっ!ふ…」
「嫌?」
「ふぁ…ん、ゃ…じゃない…」
「触るよ」
「ん、んん…ぁ…」
ジャージの前を開き半袖シャツの脇腹から白い肌を探れば義経の体が小刻みに跳ねて、口を押さえている両手から漏れる吐息に混じる嬌声がどんどん親慶の理性を削っていく中、あの夜の義経の顔がフラッシュバックして消えかけていた理性を取り戻させる。
「ん、ぁ、ぁ…ゃっ、あん…」
「平気?」
「んっ、んっ!」
ツン、と存在を主張する胸の頂に辿り着くとピンク色のそれを指先で転がしながら義経の様子を窺うと、義経は相変わらず両手で口を押さえたまま大きく頭を上下に動かして返事をしてくれた。まだ余裕がありそうな義経の服を捲り上げて許可なく胸の突起を唇で食むと小さな体が大きく跳ね上がる。
「あっ…チカぁ…」
「ん、ごめん。嫌だった…?」
弱い声に、早急だったかと慌てて顔を上げると熱に潤む瞳が親慶を捉えて小さく左右に揺れる。
「…ん……優しく…して…っ…」
「っ!!」
吐息混じりの懇願は中心に熱を集めるのに効果的で、このまま食らい尽くしたい衝動をすり減ってきた理性で無理やり抑え込みながら義経の白い首筋に強く吸い付いて痕を残していく。
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