短編BL

まこ

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◇兄弟

プリン兄弟の日常②

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拘束/擽りのみ?

攻→弟
受→兄/視点

◇ ◆

「おい…これ何処で手に入れたんだよ」

ガチャガチャと金具の音を鳴らして問い掛けると、弟は今まで見た事ない位に怒りに満ちた恐ろしい顔をしていた。

流石にその表情に背筋がゾワッとする程にビビったが、この状況は見過ごせない。

何故なら床に押し倒されて万歳した状態で手錠をかけられたからだ。しかも下ろせない様にベッドの足に通され、外れないようにされた。

「兄ちゃんさぁ。俺に謝る事あるよな?」

「は?お前が俺に謝る事はあっても俺はねーよ!手錠外せ!何処で買ったんだよこんなの!!」

「手錠は先輩からもらった。彼女さんとそういうプレイしてたんだって。んな事はどうでもいいんだよ。兄ちゃん、俺のプリン食っただろ?」

その言葉にサァッと青ざめた。

今日の昼間、一人暮らしをしている大学生の姉貴が彼氏を紹介するために家に帰ってきた。手土産としてもらったプリンは中々に美味で、いつもの仕返しも兼ねて弟の分も食べたのだ。

『お前がいつも俺のプリン食べるから仕返しだ!』と強気に言えれば良かったが、弟のキレ具合を見る限り言葉が出てこなかった。

(つーかプリン食われただけでこんな恐ろしい顔出来るこいつやばくね?)

「今何考えてんの?謝罪の言葉は出ねーのか?お姉ちゃんから美味しかった?ってメッセージきたけど誰かさんの所為で返せないんですけどぉ?」

嫌味たらしい言葉に内心イラッとしたが、腕を拘束されて足に乗られていたら強く出れない。

かなり悔しかったが、唇を噛み締めて気合いを入れた後、謝罪の言葉を口にした。

「…ごめん。お前の分もプリン食べた。けど、それは…いつもお前が、俺のプリンを…食べ…る、か、ら…で…」

自分でも分かる程に段々と弱々しくなる語尾。チラッと見ると、怒りのオーラは少し落ち着いていたが、代わりにニヤけた表情に変化していた。

「お姉ちゃんからのプリン、今すげー人気ある店のプリンらしいじゃん?並ばないと買えないやつみたいなんだよね~」

「ごめ…ん、なさい。今度、またお姉ちゃんに、頼む、から…っ」

「いやそこは兄ちゃんが買いに行けや」

「な!?何すんの!待って!俺が買いに行きます!今度バイト代入るからそれまで待って下さい!!」

「兄ちゃんが食べてなかったら俺は今頃美味しくプリン食べてたのにな~?って事で、お仕置きな?」

わきわきと目の前で手を動かされると、一気に汗が吹き出した。

「ま、て!待ってっ!待って!!」

服の中へ侵入した手は脇腹に当てがわれてこちょこちょと動き出した。

「んはぁぁっ!!」

ビクンっと激しく床で体を跳ねさせて逃げようと試みるが、弟の手は容赦なくこちょこちょと動く。

「あっ、はぁぁっ!あは!っあ、ひははっ…ごめ、ごめんっ!ゆるっ…ひゃはぁっ!」

弱い触り方を探る様に動く指は、脇腹をこちょこちょと擽ったりグニグニと揉んでみたりと忙しい。

「やぁっ、ははははぁ!ごめ、んなさっい、こちょこちょやっ、だ!、しないで!しないでぇぇぇ!!!」

ジタバタと必死に動けないなりに体を捩ると、一緒についてくる弟の手。脇腹から胸の横を擽られると更に大きく体が飛び跳ねた。

「あーーーっっ!!!やっ、め、てッ!下さっ、ぎゃあああ!!んははは!」

ツンツンと胸の横を突かれると我慢出来ずに激しい笑い声が飛び出した。ガンガンと手錠の繋ぎ目がベッドの足に当たりそこからも激しい音が鳴った。

「はっ!ぁっ!!ぁぁぁっ、あ"っ…!!」

俺の口から出たのはもう笑い声ではなくただ苦しくて堪らない呻き声。飲み込めない唾液が口から垂れ、瞳からは涙がボロボロとこぼれ落ちた。

ある程度俺が悶えた後、指は上へ移動するとこちょこちょと腋の下を擽り出した。

「~~----ッッ!!」

「お、やっぱりここ弱いんだ」

今までに無い程に手錠がガンッと音を立てて体を悶えさせると、それに気付いた弟がニヤけながら指を激しく動かしてきた。

「ひゃははは!あっ!ははははぁっ…!!や、だッ!そこまじで無理ぃぃぃぃッッ!!」

「へぇ~無理なんだぁ?頑張れ?」

「ぁぁぁああ"ッッ、---~っ、む、りぃぃ"っ!むりっ、無理だっ、て、ぇぇえっっ」

サワサワと擽り方を変えられると更に我慢出来なくてひたすら笑い転げた。

その時の弟の顔は腹が立つ程にニヤニヤと笑っていて、とても楽しそうだった。

「ゆるしっ、てっ、許してっ、ごめ、なさいっ!ごめんなさぃぃっ!!!」

「はぁ?そんな簡単に許すと思う?」

「ぎゃあああああ!!」

謝れば謝る程擽る手は激しくなり、俺はただ体をバタバタとさせながら笑い続けるしか出来なかった。

「汗だくじゃん。暴れ過ぎ」

「だ…れの、所為だよばかぁぁ……流石に、やりすぎ…っ、いい加減、しろやっ…てめぇ…プリン、食ったくらいで、ここまで、しやがって……」

やっと止まった手に安堵し、必死に酸素を取り込む様に大きく呼吸をすると、弟はふぅん?と言いながら太腿から降りて足を開かせ、その間に腰掛けた。

「は…っ、何…っ」

「兄ちゃん足はどうかなー?」

「え…っ?も、!やめ、ろッ…っ!」

移動した指が次に狙いを定めたのは内股。5本の指でサワサワと動き出すと何やら擽ったいような感じてはいけない何かが襲った。

「ひぁっ…ぁ!ははっあ、ぁっ!!」

ゆっくりとなぞる様に動く指にゾワッとした感覚を覚えると、それに気付いたのか足の付け根を優しく擽り出した。

「はぁ…っ!やめ、ちょ、待てばか!やめろ!ちょっと待ってって!!」

「何?」

部屋着で着用しているダボっとした短パンの隙間から手を差し込まれ、下着の上から際どい箇所に触られた。

「んなぁっ…ま、てっ変なとこっ、触んな!きもすぎる!きもいんだよぶっ飛ばす、ぞ!!やめなさい!」

「は?何のこと?勝手に変な事考えんなよ。誰がてめーのチンコ触ろうとするかよ」

「…っ!うるさい!違うっ、ていうか、兄ちゃんに向かっててめーって言うのはやめなさい!!」

「ま、おもしれー反応見れたからやめてやるよ。ちょっと感じてたくせに」

「感じてねーよばか!!」

「童貞は擽られただけで勃っちゃうとか難儀やね~」

「何だよその喋り方は!!ほっとけよばか!早く外せ!」

「何言ってんのー?最後のメインが残ってんじゃん」

「!…待って!待って!やめて!」

ニヤァと面白いくらいに口元を緩めた弟は、体を反転させて俺に背中を向けると、ガシッと足の親指を掴んで足の裏をピンと伸ばした。

「ぎぃああああああ!!!」

次の瞬間、カリカリと爪で引っ掻かれた足の裏。激しい擽ったさが襲い、必死に足をバタつかせた。

「無駄無駄」

「ぎゃぁぁぁあ!!ァァァァあ"っっ!!ははははははは!やぁぁぁぁあ!!めろやぁぁぁぁあ!!!」

「足の裏雑魚じゃん。腋もヤバかったけど」

「あっ、あっ!、それ、それやだっ!やばぃぃぃ」

わしゃわしゃと5本の指で掻かれるとビクンと背中がのけ反った。

(やばい!!くすぐったい!死ぬ!俺はプリンで死ぬ!!)

「ごめんなさいぃぃぃぃっっ!!ごめん、なさいっっ!!ごめんなさいいいい!!!」

「謝るくらいなら最初から食うなよ」

カリカリと爪で土踏まずを掻かれたり、指の付け根を優しく擽られたりを繰り返していると、次第に息が続かなくなり、苦しさが強くなってきた。

(あぁ……最後の食事がプリンになろうとは…)

遠のく意識の中、生理的に溢れた涙で歪んだ視界には、少しだけ焦った弟の顔が見えた気がした。


◇ ◆


「擽っただけでぶっ倒れるとか何事だよ」

汗でびしゃびしゃのまま放置されていた俺は、弟の声で意識を覚醒させた。

腕は解かれていたが、床に寝転んだまま。何故か汗で濡れた体の上には毛布がかけられていた。

「いや…せめて、汗拭いてくれよ…」

「風邪引いたらやばいと思って」

「じゃあ尚更汗拭いてくれ…」

そこでふと弟を見ると、何故か俺が食べたはずのプリンを食べていた。

「え…?お前、何でそのプリン……」

「お母さんに『兄ちゃんに食われた』って伝えたら、じゃあお父さんの分食べちゃいなさいって言われたから」

「まじか…父さん…ごめん…」

「それにしても本当に美味いな」

「うん、美味かったよ…お前の分、食べちゃってごめん」

「いいよ。兄ちゃんで遊べて楽しかったし。今度は喧嘩せず一緒に食おうぜ」

「…うん」

機嫌を良くした弟は嬉しそうにプリンを食べており、その表情がとても子供っぽくて、何だか癒された。

end.
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