AV男優の生活 (完結)

まこ

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本編

01

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拘束/擽り/羞恥/挿入有/双葉視点

◇ ◆

「拘束プレイ?」

「うん、今回はあの大人気の若宮 湊わかみや みなとさんが相手なんだ。大ヒット間違いなしだよ」

興奮気味に言うのは俺のマネージャー。俺はネコ専門のAV男優をしている音海 双葉おとみ ふたば

自分でいうのもなんだが、デビューしてすぐに人気が出て順調にこの業界に馴染んできている。

「双葉に色んなリクエストがきててね。今までノーマルしかしたことなかったし、最初は拘束くらいのやつを受けてきた」

他にもハードなリクエストがきているらしいが、マネージャーが気を利かせてくれたらしい。

「分かりました、是非やらせて下さい。宜しくお願いします」

他のハードなものが先に来るよりマシだろうと思い、俺は快く了承した。そもそも基本的に感じる事が出来ない俺は、全ての撮影で演技をしていた。なので拘束された所で失態を晒す事はないだろうし、相手もベテラン男優ならリードしてくれるだろう。

その日はこれで終了となったので、帰宅することにした。撮影はすぐ行われるらしく、下調べに若宮湊の出演している作品に軽く目を通す。

甘いマスクでドS。それが彼の特徴だった。

ネコ専門でもおかしくないくらい綺麗な顔をしていた。可愛い系統で括れば俺と被っている気もするが、売れている理由は理解出来た。

軽い気持ちで臨んだこの撮影は、俺の男優生活を変えるものになるとは、この時は思いもしなかった。


◇ ◆


撮影当日、俺は直ぐに若宮の楽屋へ挨拶へ向かった。ドアをノックすると、少し高めの声ではいと返事があった。

「失礼します」

ドアを開くと映像で見るよりも可愛らしい、小柄な若宮が笑顔で迎え入れてくれた。

「初めまして、音海双葉と言います。本日は宜しくお願いします」

「初めまして、若宮湊です。こちらこそよろしくお願いします。双葉さんの出ている作品、全て見てきました。今日は感じてもらえる様に頑張りますね」

ニコッと微笑む若宮の言葉に俺は唖然とした。

若宮よりかは出演作品は少ないが、俺も今までかなりの作品に出演してきた。混乱しながらも同じ様にニコッと笑顔を返して、そそくさと楽屋を後にして撮影現場へ向かった。

内容的には甘々で、社会人カップルが少しだけ刺激のあるプレイに挑戦しよう!というもの。早速撮影が始まると、本当のカップルのように柔らかい表情で甘えてくる若宮は、相当可愛かった。今までガタイのいい男優としか撮影がなかったため、かなり新鮮な気持ちになる。

一応ザックリとした台本はあるが、基本的には攻めのプレイスタイルで行っていく事が多い。今回もキスから始まり、腕を拘束し、その後は若宮のプレイスタイルになる、位しか書かれていない。

「双葉くん、今日も可愛い」

音を立てて触れるだけのキスを贈られると、俺はそれに嬉しそうに応じる演技をした。そして人生初めての拘束をされる。拘束する道具は、マットレスの下へ通されたマジックテープタイプのモノ。痕がつかない様な素材なので多少暴れても問題ないような軽めの物だが、案外動きは制限された。

「ん…っ」

拘束された後、触れるだけのキスから深いキスへと変わっていく。舌先で口内をなぞられると、初めて腰がゾクリとした。テクニックがあると有名な人気男優なだけに、キスから上手い。

「んん」

「双葉くん」

唇が離れると、ちゅ、と耳へキスされる。そのまま息を吹きかけられ、舌先で耳たぶや耳裏をなぞられた。

「ぁ…っ?」

「…気持ち良い?」

今まで耳は触られたことがなかったので分からなかったが、軽く息がかかるだけでゾクゾクする。

「…や、」

「へぇ…耳弱いんだね」

押し返そうと腕を動かそうとするが、縛られているため動けない。それを自覚すると更に体が敏感になってしまう。

「若宮さん…あの、耳は…」

音声には入らないくらい小さく伝えると、ニヤリと口角が上がったのが見えた。再度耳へと口を近づけると、わざと音が出る様に舐めてくる。

「ひぁ…」

動かせる足をジタバタさせるが、やめてくれるはずもなく、耳を執拗に攻められた。

「あっ!?」

耳への刺激に気を取られている間に、スルスルと若宮の指が腋へと移動しており、軽く擽られた。

「ちょっ…!あぁっ!」

耳を舐められながら腋をなぞられ、堪らずに大きな声が出てしまう。ゾワゾワとして体が敏感になっていく感覚は初めてで耐えられそうにない。

「くすぐったい?」

「はぁぁ…っやだぁ、」

涙目になりながら訴えるも、ニヤニヤと黒い笑みは消えず指は止まらない。

「今までの映像見てたらさ、双葉くんってソフトタッチが効くかなって思ったんだ~。当たってたね」

音声には入らないように耳元で小さく囁かれる。

「こちょこちょ~」

「ふぁぁっやめっ!!」

くすぐったくて気持ち良い感覚が支配し、いつもの演技なんて忘れてとにかく逃れようと体を捩った。撮影は止まることなく続き、若宮の意地悪な攻めも続いた。そして胸へと指を移動させると、乳首を優しく引っ掻いてくる。

「んっ」

いつもは感じることのない乳首が主張していた時は自分でも驚いた。

「ここ、可愛く主張してる。気持ちよかった?」

ピンッと指で弾かれるとピクリと体が反応し、下半身に熱が集まるような感覚に囚われた。

「あら、こっちも元気になってるね?でもまだこっちだよ」

若宮はクスクスと可愛らしい顔で笑いながら、口を胸へのと近付けると片方の乳首へ軽く舌を這わす。

「んん…っ」

片方は舌先で転がされ、片方は指で優しく刺激されると自分でも恥ずかしい位に快感に襲われた。

「こっちも忘れないでね」

両方の乳首を刺激しながらそう言うと、空いている手でツゥ、と脇腹に指を這わせる。

「それっ、ゃぁ…やめ…っ!」

優しく指の動きはくすぐったさから快感へ変化していき、俺はイヤイヤと首を振って制止を求めた。

しかしどの刺激も止まらず、それどころか器用に足まで使い主張した自身も擦ってくる。

この辺りで射精感が強まり、焦る様に瞳を見つめてやめてくれと訴えた。

「いっ、イク…ゃめてぇ…」

こんなに早くイッてしまうと、撮影に支障が出るかもしれない。音声に入らないように気をつけながら涙ながらに訴えると、俺の耳へ口を近付けて同じくお互いにしか聞こえない音量で囁いた。

「もっと大きくイクって言ってみて?そしたら緩めてあげるから」

撮影時間を考えると言うしかないので、俺は声を震わせながら恥ずかしい言葉を呟いた。

「…っあっぁっ、イク…っ!」

「いいよ、イきなよ」

「え…?」

こいつ、約束が違うじゃないか!と思っても解放されると安堵していた体には我慢する事が出来なくて。

「あっやぁぁっ!!イッちゃ、」

全ての刺激を再開されると、俺は予定していたよりも早くに欲望を放ってしまった。

「たくさん出たねぇ」

「ひぁ…っ!ちょ、イッたばっかだからぁ…」

グイッと俺の足を広げると、俺の放った欲を指に絡めてそのまま再度扱いてくる。撮影も続行されて本気で焦り出した。

「また大きくなってきたよ」

「…ぁぁ、」

先端を指の腹で擦られると体が大きく跳ねる。広げられた足をアップで写すようにカメラが近付いてきた。

「…っ」

いつもはこんなこと思わなかったが、本気で絶頂した後なのもあり、羞恥に顔が染まる。足を閉じようとしても、力は入らずただされるがままだった。すると、一旦撮影ストップの合図が出た。

「はぁ…っはぁ」

「はーい若宮さん、音海さんお疲れ様。とっても良かったよ、次はこのローション使ってね」

「はーい。あ、監督さん。双葉くんの足も縛っちゃっていいですか?」

「うん、いいねェ」

「待…!」

「じゃあ少し休憩したら続行ね。音海さん」

拘束に関しては了承して撮影しているのでやめてくれとは言えず、無情にも撮影は再開した。

「双葉くん、足もいい子にしよっか」

鼻歌混じりに俺の膝裏を持ち上げてM字に開脚させると、そのまま上手にベッドへと固定した。達した後に中途半端に刺激された自身は主張したままなので、なんとも情けない姿になった。

「…ッ」

これは本気で恥ずかしい。顔が驚く程に熱くなって涙までジワリと目尻に浮かんでくる。

「あれ?顔が真っ赤だね、恥ずかしい?」

わざとらしく煽ってくる言葉に堪らなくなり、キッと睨み付けた。

「そんな反抗的な目をしても可愛いだけだよ。それとももっとしてほしくて誘ってるの?」

「…んっ」

キスをされ、そのまま舌を捻じ込まれて何も言えなくされると、優しく自身を揉みしだかれる。

「またイッちゃうの?淫乱さんだなぁ」

「くそ…ッぁぁ…もぉ…っ!」

グリグリと先端を擦られると、また簡単に達してしまった。

「可愛いね、双葉くん」

ドSというのは設定ではなく本物らしい。あとでしばいてやりたいくらいに恨めしい。

「じゃあ、次はこっちね」

若宮は足の間に顔を埋めると、舌で尻の間にある蕾をゆっくりとなぞってきた。

「っぁぁ!?」

いつも指で慣らされるので、舌の感触は初めてで背筋がゾクリと震えた。

「ん、ん…ッ」

ゾワゾワする感覚に必死に耐えていると、ある程度解れた所で先程用意されたローションを指にとった若宮の指がゆっくりと挿入される。

「…ッ」

何度も撮影をしてきたが、正直ここに指を入れるのはどれだけ経験しても体が強張ってしまう。

「双葉くん」

それに気付いたのかは分からないが、優しく名前を呼んでくれて、空いている手で自身を触ってくれた。その刺激で幾分か体の強張りが取れた所でゆっくりと指が進んでくる。

「…ふぅ」

指はゆっくりとした速度で進んでくれているので、痛みはなく、気持ち良いとは思えないが普段よりマシな気がする。

時々息を吐いて力を緩めていると、突如クイっと指を曲げられ、その瞬間に今まで経験したことのない刺激が襲った。

「ッ!!ーーっっ!?」

思いっきりビクンと体が跳ねた。あまりの事に声は出なかったが、一瞬電撃が走ったような刺激。

「ここかな?痛くない?」

指を動かされ、先程の刺激が襲う。指を動かされた分、体が跳ねた。

「ひゃぁあ!!!そこっなにっ、」

「ここはね、双葉くんのイイトコロだよ」

「ひぁァッ!!」

俺の反応に嬉しそうに微笑むと、可愛い笑顔とは裏腹にしつこく同じ場所を攻めてくる。

「やぁぁ…むりぃっ」

「無理?本当に?」

「若宮さ…っ」

「なーに?双葉くん」

愛しそうな眼差しを向けて見つめながら優しく返事をする若宮。指はもちろん動いたままなので目がチカチカと光が走り、今にもおかしくなりそうだった。

「指増やすけど、痛かったら言うんだよ?」

「ん…」

完全に若宮のテクニックに支配されながら、身を任せる。指が増えて少し体が強張りそうになると、すぐに自身を扱いてくれたり、悔しいけど感じさせられてばかりだ。

「双葉くん可愛い。入れるね?」

「…うん」

若宮の顔を見つめると、可愛い表情は変わらないが、少し余裕がないように見えた。ゆっくりと奥まで入ってくると、足が縛られている所為か普段よりも深く繋がっているような感覚。

「ひァッ!!」

先程指で見つけた箇所を若宮のモノで突かれると高い声が出た。普段の撮影では…というより、今まで一度も出したことがないような声で自分でも驚いた。

「ここ?」

「やっぁぁぁ!!そこだめ…ッ」

「ん、分かった、ここだね」

「あっあぁっぁ…っ!」

怖い、快感でおかしくなりそう。

恐怖に飲み込まれそうになったが、何とか撮影だと持ち堪えようとした時。

「…双葉くん、おいで」

それに気付いてくれた若宮が、突然動きを止めて繋がったまま器用に腕と足の拘束を解いた。

「…っわか、みやさん、」

ずっと縛られていたので少し痺れていたが、ぎゅっと抱きつくと、すぐに抱き返してくれて、優しくキスもしてくれた。その時の笑顔は優しくてとても安心した。

「動くね。もう大丈夫だからね」

「んん…ッ」

先程までの恐怖はなくなり、自分のいいところに当たると体がビクビク跳ねた。

「あ…ぁっ」

「ん、双葉くん。俺イキそう」

「あ…ぁ、若宮、さんっ…」

「ん?」

「好き…好き、好きだよっ、大好き…好きっ」

「…え?」

ぎゅっと抱き締める力を強めると、その直後に若宮は俺の中へ欲を吐き出した。ゴム越しにも注がれている感覚が分かり、ゾクリと背筋が震えた。

「はい、お疲れ様でした~すごく良かったよ」

初めて撮影で疲れ切り、ぐったりしていると若宮が後処理をしつつ、お疲れ様でしたーとスタッフさん達に笑顔を振り撒いている姿が見えた。

「…お疲れ様、でした」

脱力しながら声を絞り出すと、スタッフさんや若宮が心配そうに俺を見つめてきた。

「大丈夫?ちょっと休んでね」

「…はい、すいません。もう少し…このまま居させてもらいます」

お言葉に甘えて少し休憩させてもらい、動けるようになった所でシャワーを浴びて楽屋に戻った。

今回は本当に疲れた。初めてだった。今までたくさんの人と撮影をしたはずだったのに、あんなに感じたのは。思い出すだけで恥ずかしくなる。

一人で思い出してうわぁぁと悶えていると、コンコンとノックする音が聞こえた。

「…はい?」

「あ、若宮ですー。双葉くん、入ってもいい?」

「ま、」

待ってくれと言う前にガチャリと扉が開き、顔を見た瞬間に先程の自分の痴態を思い出して一気に顔が熱くなった。

「あは、顔真っ赤だよー」

「…あ、えっと。今日はお疲れ様でした。最後も後片付けとか、色々…ご迷惑かけちゃって」

「そんなの全然だよ。とっても楽しかった。マネージャーさんにも伝えたんだけど、これから俺の専属になってくれない?」

「…専属?」

「うん。今後別の人との撮影はNG、俺専用の相手役として活動してほしいの」

「す、すみませんが相談しないと俺からは」

「そうですよね、分かりました。マネージャーさん通してまた返事もらえると嬉しいです!じゃあ失礼します。今日は疲れたと思うんで気を付けて帰ってね」

ニコッと微笑み、体を気遣う言葉を言いながらペコリとお辞儀をして部屋を出て行った。若宮が去った後にマネージャーとすぐ話し合うことにした。

「あーそのお話し、聞きました聞きました。今の事務所じゃそういうのもアリみたいだよ。結構いい条件みたいですけど、どうする?契約解除したらまた今みたいな働き方に戻せるし、一回やってみる?…ま、今回の売上次第だけどね」

今日みたいな感じる撮影が今後ずっと続くのはおかしくなる、と思うが。…少しの好奇心が勝ってしまった。

「はい、やりたいです。専属」

「分かった。じゃあその方向で行こうか」

そうして俺のAV男優人生は、若宮湊一色になった。

01 end.
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