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訓練シリーズ
24 悪い子にはお仕置きを
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組織に入ったばかりの柚木が先輩二人に擽り責めされる話。
拘束/擽りのみ
攻→桜花+風見(途中から)
受→柚木/視点
◇ ◆
「柚木ぃ。近付いちゃダメって言われてる部屋、どんな所か知ってる?」
食堂で朝ご飯を食べていると、思い出したかのように七彩がそう切り出した。
「知らない。そういえばここに来てすぐ、桜花先輩にそんな事言われたなぁ」
「先週さぁ、俺たちよりちょっと先にIrisに入った先輩がそっちの方に行くの見たんだ!なんかちょっと深刻そうな顔しててさ。その後風見先輩も同じ方向に向かったから気になっちゃってさ」
七彩の顔は少しいたずらっ子のような笑みを浮かべており、「行ってみない?」と誘っているようにも見える。
行くなと言われれば行きたくなるのが人間だ。「自分の知らない場所」は全て知りたいと思う気持ちが芽生えた。
「──行ってみる?」
七彩の求めてる言葉を問いかけると、ニヤッと口角を上げた七彩が小さく頷いた。
◇ ◆
辺りを見渡し、先輩達にバレないように目的の部屋へ向かった。廊下を進んで奥の方へ行くと、次第に雰囲気が暗くなっていっている気がする。明るさは同じなのに、何故こんなことを思うのか分からなかったが、横目で七彩を見てみると同じことを考えているのか言い出しっぺのくせに足取りが重くなってきている。
しかし、好奇心も未だ消えていないので更に奥へ進むと二つの扉が現れた。俺達の部屋や、先輩達の部屋へ繋がる扉とは違う見るからに頑丈な扉。
七彩と顔を見合わせ、俺が扉のドアノブを握り、下方向へ力をかけた。恐る恐る力を加えたからか、ガチャン…と重ための音がなり、扉が前へ開いていく。
部屋の中が見える程に扉が開くと、そこは明るい廊下や外とは違い、薄暗い。
「うわぁ、何あれ?台?」
薄暗いとは言え、中が全く見えないわけではない。部屋の中央に置かれた台のようなものを見つけた七彩はドアノブを持ったままの俺の横を通り過ぎて中へ入って行った。
「わぁ…何だこれ?」
七彩が台に取り付けられた物を指差したので見に行くと、そこには手足を拘束するであろう枷のような物が設置されていた。部屋を見渡すと、他にも色んな物が置かれていたのだが、何に使うのか分からない物がたくさんあった。
「俺、あっちの部屋も見てきていい?」
「うん、向こうの部屋も同じなのかなー」
二人で簡単に会話を交わした後、俺はもう一つの同じような扉へ向かった。
今回はそこまで躊躇うことなくドアノブを掴んで中へ入ると、さっきと同じような台が置かれていた。
「七彩、こっちもその部屋と──」
"同じだよ"と伝えようと振り返った瞬間、ドンッと勢いよく体を押されて台の上に転がる事になった。
「えっ」
七彩がこっちに来た気配もないので、あまりのことに驚いていると、右手がガチャンと枷に繋ぎ止められた。
「……! お、桜花先輩っ」
「柚木くん。この部屋には近付かないように言ったはずだけど、こんなところで何してるのかな?」
ニコッといつもと変わらない優しい笑顔を向けられたが、言葉の強さや行動が伴っておらず恐怖を覚えた。
「ぁ…」
台に転がって右手を固定されていた俺は、恐怖と驚きで何も出来ずに居ると、すぐに左手も掴まれて枷に固定された。
「この台はね、こうやって手足を固定することが出来るんだよ?」
両手を拘束した後、先輩は足元へ向かうと唖然としている俺の両足も固定し始めた。腕は万歳、足は開いた状態で動けなくなった俺は、タラリとこめかみに汗が伝う。
「ご、めんなさい…あの、…」
「柚木くんと七彩くんがこの組織に慣れて、正式に通達があるまでは近付けないように言われてたんだ。けど、俺たちの言い方が悪かったかな。近付くなって言われたら気になっちゃうもんね。因みに向こうの部屋に居る七彩くんの方には、風見くんが向かったから」
桜花先輩は俺を台に固定した後、扉を閉めて中から鍵をかけた。初めて動きを封じられたことにより焦りを覚えて手足をバタつかせても、ガチャガチャと小さく音を立てるだけで大した動きは出来なかった。それが余計心を焦らせていき、暑くもないのに汗が噴き出してくる。
「あれ、大丈夫? 普段全然汗かかないのにどうしたの?」
俺の様子を見てクスッと笑う先輩は、人差し指で顔を伝う汗を拭った。薄暗いと思っていた部屋だが、外からの光が入らなくても小窓から入る光の影響で真っ暗にはならず、先輩の顔がよく見える。その表情は今まであまり見たことのない笑みも含まれている気がして、ゾクッとした。
「またキチンと伝えるけどね、この部屋は"訓練"するために使用する場所だよ」
「くん、れん…?」
「うん。前にも伝えたけど、俺達が外で行う任務には様々な危険度があってね。一番危険なものは敵の組織に潜入することなんだ。もし失敗して捕まったりしたら──お相手さんは色々俺達のことを聞き出そうとしてくるだろうからね。その時に口を割らないように、訓練をするんだよ。まぁ、また詳しく話すけど…今日は悪いことをしたいたずらっ子にお仕置きするために手足を固定させてもらっただけだから、そんなに怯えないでね?」
「……」
知らない情報が与えられて混乱してしまうが、それ以上に動けない現実がただただ不安で仕方ない。相手が桜花先輩だからまだマシだが、別の人に見つかってこんなことされたらもっと不安と恐怖があっただろう。
「…もう、勝手に、入ったりしません…ごめんなさい」
「うん。いい子だね」
よしよしと頭を撫でてもらえると不安が少し和らいだ。しかし次の瞬間、頭を撫でていた先輩の手が突然服の上から脇腹を掴むと、グニグニと動かされた。
「っひゃあああ!?」
その刺激に、激しい声が出た。それを聞いた先輩はニヤッと笑うと、グニグニと揉むような動きからさわさわとした動きへ変えた。
「ひっはははははは!!」
くすぐったさに声を弾かせ、思いっきり暴れると手足からは激しい音が響いた。
「いやだぁぁぁあ!! 先輩それやだぁぁぁあ!!」
「ふふ。お仕置きだから嫌なことしないと意味ないじゃん」
プチプチとシャツのボタンを外されると、下に着ていたタンクトップのインナーが現れた。その間、擽る動きは止んだので息を整えていると、インナーを捲り上げられ、脇腹が晒された。
「直接いじめてあげるね」
「やっ、だ!やぁ!やだやだやっ…、ぁははははは!きゃあああああ!!」
指の腹が両方の脇腹に添えられ、そのまま触れるか触れないかの状態でサワサワと擽られると、ビクンと大袈裟に体が跳ね、今まで自分でも聞いたことないような絶叫が出た。
「いやっ、やだ!やっだあははははは! 先輩やだぁぁぁぁぁあ!ひゃはははははっ」
先輩の指が動く度に跳ねる体。声と共に制御することは出来なくて。
「いやははははははは!! やめっ、やめてぇぇ!!」
「だーめ。悪い子には体に教えてあげないとね?」
こちょこちょと脇腹を動く指に盛大な笑い声が出た。
「あ"はははははは!!いやぁああああ!!」
「普段の柚木くんは声荒げたり、こんなに暴れたりしないから新鮮だね」
「ゃははははは!! 先輩やめて、下さいっ…んひゃっ、ぁははははは!!」
「こっちはどうかな? 脇腹と同じくらい苦手な人が多いみたいだよ?」
先輩は俺の頭上辺りに移動すると、シャツを少しはだけさせて曝け出した脇に指を置いた。タンクトップのおかげで素肌が触りやすい場所だが、そんなとこ誰かに直接触られたことなんてない。
指がちょん、と置かれただけで腰が跳ねてぞわっとした感覚が襲う。
(指動かされたらやばそう!!)
そう思って必死に腕を下げようとすると、添えられた指が一本だけ優しく動き出した。
「ひっ……」
ビクッと激しく悶えると、人差し指がくるくると動き出してぞわわっとした感覚を生み出した。
「やっ、め、やめっ……ぁ、ぁあ、あ、あ、!!それ、そ、こ、やだ! やですっ…そこやだぁぁぁぁぁ!!」
「そっか。柚木くんはここが弱点なんだね。教えてくれてありがとう」
クスクスと笑いながら先輩は5本の指全てを動かした。
「ひっ、ぁぁあ"はははははは!!」
「擽られた経験はあんまりないのかな?こうやって、耳元で声かけてあげると、余計耐えれなかったりするけど柚木くんはどうかな?」
「ひゃははははは! あっ、ぁ!? ──~~ッッ!?」
指の動きはそのままに、先輩は耳元に唇を持ってくると「こちょこちょこちょ」と囁き出した。
「やははははははははは!やめっ、やめてぇぇっ、ぁはははは!! 外してぇぇっ!!これ外してやめて許してぇぇぇぇっっ」
「やめて欲しかったら腕、下げてごらん?そしたらやめてあげるよ? …そっかそっか。いい子に万歳してるってことはいっぱい擽られたいんだね」
「ひっ、きょぉっ、だぁ、やめっ、腕取ってぇぇぇぇっ!!ひゃははははははは!!」
「卑怯って俺が? そんな事言っていいのかな?」
「──ッッ!? ぃあ"ぁぁぁぁあァァァ!!」
ふぅ、と耳に息を吹きかけられた後、こちょこちょと動いていた指が窪みを押すように動き出すと、さっきよりも耐えられない刺激が襲った。
「ずっと優しく擽ってたら慣れちゃうからね。次は指でツボを押す感じにしてあげる。それも慣れてきたらまた優しくいじめてあげるからね」
親指が絶妙な力加減でクニクニと動かされると、腰が浮くくらいに体が跳ねた。
「ぃやははははぁぁ!! あはっ、ぁ"ぁぁあ!!やめろっ、ふざけんなぁぁぁぁぁあ!!」
どれだけ暴れても取れない拘束と、やめてほしくて堪らない刺激が与え続けられると、苛立ちが大きくなり、人に向かって初めて暴言を吐いてしまった。
マズイと思う余裕もないくらいに感情が乱れた俺は、声と口調を荒げて必死にやめろと叫び続けた。
「あらあら。そんなに余裕ない柚木くん初めてだね。珍しくて逆に愛しく思っちゃうけど、俺に向かってそんな口聞いたことは反省しようね?」
「っ、ぁははははははは!! もぉ、やめてっ、やめでぇぇぇぇぇ!!」
少しずつ強めの刺激に慣れた頃、予告通り先輩はこちょこちょと優しい動きに変化させた。
最初に擽られた時よりも擽ったく感じてしまい、ボロボロ泣きながら暴れ狂うと、カチャンと外から鍵を開ける音が聞こえると、扉が開いた。
「お、柚木はまだ元気そうだな」
鍵を持って入ってきたのは風見先輩。七彩の指導者なので、俺はそこまで仕事での接点はないが、休みの日はよく話したりしていた。
「だっ、ず、けでぇぇぇぇ!! 風見先輩助けてぇぇぇえ!! ぁっ、あ"ぁぁあははははは!くすぐんないでっ、ゆるしっ、でぇぇえ!!」
「風見くん。早いね。七彩くんは?」
「随分脇腹が弱くて、徹底的にいじめたら泣き叫んで寝ちゃった」
「あらまぁ。柚木くんも脇が弱そうだけど、まだまだ元気そうだよ。足はまだ触ってないから、お願いしていい?」
「おっけ。足の裏用に色々準備したり任せろ」
その会話を聞き、絶望を覚えた俺は必死に叫んで許しを乞うた。
「ごめんなさぃぃっ!もう、悪いことしません!許して下さいっ、先輩…っ、ねぇ、やめ…っ、きゃぁあああああ!!ひぁぁっ、ぁ"はッ、やぁぁぁぁぁあ!!」
「柚木はこうやって優しく触んのと櫛で激しくやんのどっちが効くかな~」
サワサワと優しい動きが足の裏を襲うと、出来上がった体は耐えられるはずもない。
ビクンビクンと思いっきり体をしならせると、風見先輩は嬉しそうに笑った。
「そうかそうか。足も弱いんだな~んじゃ次は櫛でゴシゴシしようか」
「ぃっ、ああ"ぁぁあ、ひゃぁああああッ、ぁはっ、やっ、め…!!──~~ッッ」
ゴシゴシと櫛が土踏まずの辺りを擦り、その後に踵、その次に母指球付近と左右に動くと、優しく擽られるよりも効果があった。
勿論反応を見てバレているので、より強い反応を示した部分をゴシゴシと刺激された。
「ひゃはぁぁぁぁぁあ!! くるっ、しぃ、くるしぃやめてぇっ、ゃはははははは!!」
「柚木くんは足も弱いんだね。可愛い顔しちゃって。俺も居るの忘れないでね?」
こちょこちょと脇の下にある指が動き出すと、両方の耐えがたい刺激に激しく飛び跳ねた。
「こっちはどうかな」
脇から指が離れると、次に狙われたのは首筋。サワサワと指を動かされた。
「──っっ!? ん"ぅぅぅっ」
「うわぁ。すごい鳥肌立ったね。首筋の方が弱いの?」
「やぁあぁっ、やらぁ、やっ、ぁぁ…!」
首を窄めてもあちこち動き回る指から完全に逃れられず、ビクビクと体を震わせた。
今までのどうしても耐えれない刺激というより、体が温まるような。少しだけ違う種類の刺激に背中がゾクゾクとした。
すると、見計らったかのように風見先輩も動き出し、足の裏から離れると、脛から膝、そして太腿にかけてゆっくりと服の上から指を滑らせた。直接触られているわけではないのに、首と同じようなゾワッとした刺激に更に鳥肌が立った。
「ひゃあぁぁぁぁぁ……っ」
ぞわぞわするような刺激に、頭が痺れるようなよく分からない感覚。今までと全然違う刺激だが、こっちの方が少しだけ気持ち良い。
「こうやって優しく擽ると、気持ち良いでしょ?」
もどかしいような不思議な感覚に、コクコクと頷くと、桜花先輩は「いい子だね」と頭を撫でてくれた。
「せ、ん、ぱぃぃ…ごめ、なさぃ…もうやめてぇ……」
ポロポロ泣きながら訴えると、桜花先輩はいつもと同じ優しく笑顔を見せてくれた。
(あ、終わってくれる…)
そう思って安堵した瞬間、桜花先輩の指は脇の下に戻り、風見先輩は脇腹に手を添えた。
「うん。もう二度と悪いこと出来ないように体がしっかり覚えたらやめてあげるね」
こちょこちょと指が動き出すと、さっきの気持ち良い刺激を受けて更に敏感になった体は擽りに耐えきれずにのけ反った。
「あっ、はははははははぁぁ!! ひっ、ぃ、ひぁぁっ、ぐるしっ、や、めでっ、ひははははは!?」
「ふふ。ぶちゃいくになってるよ、柚木くん」
涙を流して鼻水も垂らして、ついでに口の端から涎も垂れているので今まで見たことない自分が先輩の目に映っているんだろう。けど今の俺には何か出来る手立てはない。
「そんな顔も可愛いよ、柚木くん。これからたくさん強くなってね」
「ひっ、ぁ"、ぁははははは!もぉっ、もぉやめれっ…くらさっ、せんぱっ、い"ぃぃ、ひゃははははぁ!!」
その後、二人のくすぐり責めは長らく続けられた。慣れないように上半身から下半身に刺激がうつったり、足の裏や脇等、服がはだけて素肌が見えた部分にぬるぬるするものを塗られて更に感度を上げられたり、櫛や耳掻きでピンポイントに弱点を突かれたり。
本当に呼吸が続かなくなったら数分の休憩を与えられたが、回復したらすぐにまた耐えがたい刺激を与えられた。
(七彩、みたいに…寝たい、気絶、したい…)
酸欠になって頭がぼやけてそんな事を思っても、桜花先輩はしっかりと俺の意識を保つようにしながら攻めてくる。
これならあっさり気絶させた風見先輩の方が優しいんじゃないか、と思うほどに桜花先輩は鬼畜だった。
痛みを与えられるわけでもない、ただ肌を優しく撫でられたりするだけなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。
「ぁはっ、…はぁ、あっ、ははぁ……!!」
ビクビクと体全体が痙攣し、声も最初の頃よりも掠れて服が汗でぐっちょりと濡れた頃、桜花先輩は優しく耳元で囁いた。
「──次に悪さしたら限界突破するまでお仕置きだからね」
上手く理解出来ない程に疲弊はしていたが、俺はコクン、と小さく頷いた。
その後、解放された俺は七彩と合流した後、二度と先輩達の言うことに逆らわないでおこうと誓った。
end.
拘束/擽りのみ
攻→桜花+風見(途中から)
受→柚木/視点
◇ ◆
「柚木ぃ。近付いちゃダメって言われてる部屋、どんな所か知ってる?」
食堂で朝ご飯を食べていると、思い出したかのように七彩がそう切り出した。
「知らない。そういえばここに来てすぐ、桜花先輩にそんな事言われたなぁ」
「先週さぁ、俺たちよりちょっと先にIrisに入った先輩がそっちの方に行くの見たんだ!なんかちょっと深刻そうな顔しててさ。その後風見先輩も同じ方向に向かったから気になっちゃってさ」
七彩の顔は少しいたずらっ子のような笑みを浮かべており、「行ってみない?」と誘っているようにも見える。
行くなと言われれば行きたくなるのが人間だ。「自分の知らない場所」は全て知りたいと思う気持ちが芽生えた。
「──行ってみる?」
七彩の求めてる言葉を問いかけると、ニヤッと口角を上げた七彩が小さく頷いた。
◇ ◆
辺りを見渡し、先輩達にバレないように目的の部屋へ向かった。廊下を進んで奥の方へ行くと、次第に雰囲気が暗くなっていっている気がする。明るさは同じなのに、何故こんなことを思うのか分からなかったが、横目で七彩を見てみると同じことを考えているのか言い出しっぺのくせに足取りが重くなってきている。
しかし、好奇心も未だ消えていないので更に奥へ進むと二つの扉が現れた。俺達の部屋や、先輩達の部屋へ繋がる扉とは違う見るからに頑丈な扉。
七彩と顔を見合わせ、俺が扉のドアノブを握り、下方向へ力をかけた。恐る恐る力を加えたからか、ガチャン…と重ための音がなり、扉が前へ開いていく。
部屋の中が見える程に扉が開くと、そこは明るい廊下や外とは違い、薄暗い。
「うわぁ、何あれ?台?」
薄暗いとは言え、中が全く見えないわけではない。部屋の中央に置かれた台のようなものを見つけた七彩はドアノブを持ったままの俺の横を通り過ぎて中へ入って行った。
「わぁ…何だこれ?」
七彩が台に取り付けられた物を指差したので見に行くと、そこには手足を拘束するであろう枷のような物が設置されていた。部屋を見渡すと、他にも色んな物が置かれていたのだが、何に使うのか分からない物がたくさんあった。
「俺、あっちの部屋も見てきていい?」
「うん、向こうの部屋も同じなのかなー」
二人で簡単に会話を交わした後、俺はもう一つの同じような扉へ向かった。
今回はそこまで躊躇うことなくドアノブを掴んで中へ入ると、さっきと同じような台が置かれていた。
「七彩、こっちもその部屋と──」
"同じだよ"と伝えようと振り返った瞬間、ドンッと勢いよく体を押されて台の上に転がる事になった。
「えっ」
七彩がこっちに来た気配もないので、あまりのことに驚いていると、右手がガチャンと枷に繋ぎ止められた。
「……! お、桜花先輩っ」
「柚木くん。この部屋には近付かないように言ったはずだけど、こんなところで何してるのかな?」
ニコッといつもと変わらない優しい笑顔を向けられたが、言葉の強さや行動が伴っておらず恐怖を覚えた。
「ぁ…」
台に転がって右手を固定されていた俺は、恐怖と驚きで何も出来ずに居ると、すぐに左手も掴まれて枷に固定された。
「この台はね、こうやって手足を固定することが出来るんだよ?」
両手を拘束した後、先輩は足元へ向かうと唖然としている俺の両足も固定し始めた。腕は万歳、足は開いた状態で動けなくなった俺は、タラリとこめかみに汗が伝う。
「ご、めんなさい…あの、…」
「柚木くんと七彩くんがこの組織に慣れて、正式に通達があるまでは近付けないように言われてたんだ。けど、俺たちの言い方が悪かったかな。近付くなって言われたら気になっちゃうもんね。因みに向こうの部屋に居る七彩くんの方には、風見くんが向かったから」
桜花先輩は俺を台に固定した後、扉を閉めて中から鍵をかけた。初めて動きを封じられたことにより焦りを覚えて手足をバタつかせても、ガチャガチャと小さく音を立てるだけで大した動きは出来なかった。それが余計心を焦らせていき、暑くもないのに汗が噴き出してくる。
「あれ、大丈夫? 普段全然汗かかないのにどうしたの?」
俺の様子を見てクスッと笑う先輩は、人差し指で顔を伝う汗を拭った。薄暗いと思っていた部屋だが、外からの光が入らなくても小窓から入る光の影響で真っ暗にはならず、先輩の顔がよく見える。その表情は今まであまり見たことのない笑みも含まれている気がして、ゾクッとした。
「またキチンと伝えるけどね、この部屋は"訓練"するために使用する場所だよ」
「くん、れん…?」
「うん。前にも伝えたけど、俺達が外で行う任務には様々な危険度があってね。一番危険なものは敵の組織に潜入することなんだ。もし失敗して捕まったりしたら──お相手さんは色々俺達のことを聞き出そうとしてくるだろうからね。その時に口を割らないように、訓練をするんだよ。まぁ、また詳しく話すけど…今日は悪いことをしたいたずらっ子にお仕置きするために手足を固定させてもらっただけだから、そんなに怯えないでね?」
「……」
知らない情報が与えられて混乱してしまうが、それ以上に動けない現実がただただ不安で仕方ない。相手が桜花先輩だからまだマシだが、別の人に見つかってこんなことされたらもっと不安と恐怖があっただろう。
「…もう、勝手に、入ったりしません…ごめんなさい」
「うん。いい子だね」
よしよしと頭を撫でてもらえると不安が少し和らいだ。しかし次の瞬間、頭を撫でていた先輩の手が突然服の上から脇腹を掴むと、グニグニと動かされた。
「っひゃあああ!?」
その刺激に、激しい声が出た。それを聞いた先輩はニヤッと笑うと、グニグニと揉むような動きからさわさわとした動きへ変えた。
「ひっはははははは!!」
くすぐったさに声を弾かせ、思いっきり暴れると手足からは激しい音が響いた。
「いやだぁぁぁあ!! 先輩それやだぁぁぁあ!!」
「ふふ。お仕置きだから嫌なことしないと意味ないじゃん」
プチプチとシャツのボタンを外されると、下に着ていたタンクトップのインナーが現れた。その間、擽る動きは止んだので息を整えていると、インナーを捲り上げられ、脇腹が晒された。
「直接いじめてあげるね」
「やっ、だ!やぁ!やだやだやっ…、ぁははははは!きゃあああああ!!」
指の腹が両方の脇腹に添えられ、そのまま触れるか触れないかの状態でサワサワと擽られると、ビクンと大袈裟に体が跳ね、今まで自分でも聞いたことないような絶叫が出た。
「いやっ、やだ!やっだあははははは! 先輩やだぁぁぁぁぁあ!ひゃはははははっ」
先輩の指が動く度に跳ねる体。声と共に制御することは出来なくて。
「いやははははははは!! やめっ、やめてぇぇ!!」
「だーめ。悪い子には体に教えてあげないとね?」
こちょこちょと脇腹を動く指に盛大な笑い声が出た。
「あ"はははははは!!いやぁああああ!!」
「普段の柚木くんは声荒げたり、こんなに暴れたりしないから新鮮だね」
「ゃははははは!! 先輩やめて、下さいっ…んひゃっ、ぁははははは!!」
「こっちはどうかな? 脇腹と同じくらい苦手な人が多いみたいだよ?」
先輩は俺の頭上辺りに移動すると、シャツを少しはだけさせて曝け出した脇に指を置いた。タンクトップのおかげで素肌が触りやすい場所だが、そんなとこ誰かに直接触られたことなんてない。
指がちょん、と置かれただけで腰が跳ねてぞわっとした感覚が襲う。
(指動かされたらやばそう!!)
そう思って必死に腕を下げようとすると、添えられた指が一本だけ優しく動き出した。
「ひっ……」
ビクッと激しく悶えると、人差し指がくるくると動き出してぞわわっとした感覚を生み出した。
「やっ、め、やめっ……ぁ、ぁあ、あ、あ、!!それ、そ、こ、やだ! やですっ…そこやだぁぁぁぁぁ!!」
「そっか。柚木くんはここが弱点なんだね。教えてくれてありがとう」
クスクスと笑いながら先輩は5本の指全てを動かした。
「ひっ、ぁぁあ"はははははは!!」
「擽られた経験はあんまりないのかな?こうやって、耳元で声かけてあげると、余計耐えれなかったりするけど柚木くんはどうかな?」
「ひゃははははは! あっ、ぁ!? ──~~ッッ!?」
指の動きはそのままに、先輩は耳元に唇を持ってくると「こちょこちょこちょ」と囁き出した。
「やははははははははは!やめっ、やめてぇぇっ、ぁはははは!! 外してぇぇっ!!これ外してやめて許してぇぇぇぇっっ」
「やめて欲しかったら腕、下げてごらん?そしたらやめてあげるよ? …そっかそっか。いい子に万歳してるってことはいっぱい擽られたいんだね」
「ひっ、きょぉっ、だぁ、やめっ、腕取ってぇぇぇぇっ!!ひゃははははははは!!」
「卑怯って俺が? そんな事言っていいのかな?」
「──ッッ!? ぃあ"ぁぁぁぁあァァァ!!」
ふぅ、と耳に息を吹きかけられた後、こちょこちょと動いていた指が窪みを押すように動き出すと、さっきよりも耐えられない刺激が襲った。
「ずっと優しく擽ってたら慣れちゃうからね。次は指でツボを押す感じにしてあげる。それも慣れてきたらまた優しくいじめてあげるからね」
親指が絶妙な力加減でクニクニと動かされると、腰が浮くくらいに体が跳ねた。
「ぃやははははぁぁ!! あはっ、ぁ"ぁぁあ!!やめろっ、ふざけんなぁぁぁぁぁあ!!」
どれだけ暴れても取れない拘束と、やめてほしくて堪らない刺激が与え続けられると、苛立ちが大きくなり、人に向かって初めて暴言を吐いてしまった。
マズイと思う余裕もないくらいに感情が乱れた俺は、声と口調を荒げて必死にやめろと叫び続けた。
「あらあら。そんなに余裕ない柚木くん初めてだね。珍しくて逆に愛しく思っちゃうけど、俺に向かってそんな口聞いたことは反省しようね?」
「っ、ぁははははははは!! もぉ、やめてっ、やめでぇぇぇぇぇ!!」
少しずつ強めの刺激に慣れた頃、予告通り先輩はこちょこちょと優しい動きに変化させた。
最初に擽られた時よりも擽ったく感じてしまい、ボロボロ泣きながら暴れ狂うと、カチャンと外から鍵を開ける音が聞こえると、扉が開いた。
「お、柚木はまだ元気そうだな」
鍵を持って入ってきたのは風見先輩。七彩の指導者なので、俺はそこまで仕事での接点はないが、休みの日はよく話したりしていた。
「だっ、ず、けでぇぇぇぇ!! 風見先輩助けてぇぇぇえ!! ぁっ、あ"ぁぁあははははは!くすぐんないでっ、ゆるしっ、でぇぇえ!!」
「風見くん。早いね。七彩くんは?」
「随分脇腹が弱くて、徹底的にいじめたら泣き叫んで寝ちゃった」
「あらまぁ。柚木くんも脇が弱そうだけど、まだまだ元気そうだよ。足はまだ触ってないから、お願いしていい?」
「おっけ。足の裏用に色々準備したり任せろ」
その会話を聞き、絶望を覚えた俺は必死に叫んで許しを乞うた。
「ごめんなさぃぃっ!もう、悪いことしません!許して下さいっ、先輩…っ、ねぇ、やめ…っ、きゃぁあああああ!!ひぁぁっ、ぁ"はッ、やぁぁぁぁぁあ!!」
「柚木はこうやって優しく触んのと櫛で激しくやんのどっちが効くかな~」
サワサワと優しい動きが足の裏を襲うと、出来上がった体は耐えられるはずもない。
ビクンビクンと思いっきり体をしならせると、風見先輩は嬉しそうに笑った。
「そうかそうか。足も弱いんだな~んじゃ次は櫛でゴシゴシしようか」
「ぃっ、ああ"ぁぁあ、ひゃぁああああッ、ぁはっ、やっ、め…!!──~~ッッ」
ゴシゴシと櫛が土踏まずの辺りを擦り、その後に踵、その次に母指球付近と左右に動くと、優しく擽られるよりも効果があった。
勿論反応を見てバレているので、より強い反応を示した部分をゴシゴシと刺激された。
「ひゃはぁぁぁぁぁあ!! くるっ、しぃ、くるしぃやめてぇっ、ゃはははははは!!」
「柚木くんは足も弱いんだね。可愛い顔しちゃって。俺も居るの忘れないでね?」
こちょこちょと脇の下にある指が動き出すと、両方の耐えがたい刺激に激しく飛び跳ねた。
「こっちはどうかな」
脇から指が離れると、次に狙われたのは首筋。サワサワと指を動かされた。
「──っっ!? ん"ぅぅぅっ」
「うわぁ。すごい鳥肌立ったね。首筋の方が弱いの?」
「やぁあぁっ、やらぁ、やっ、ぁぁ…!」
首を窄めてもあちこち動き回る指から完全に逃れられず、ビクビクと体を震わせた。
今までのどうしても耐えれない刺激というより、体が温まるような。少しだけ違う種類の刺激に背中がゾクゾクとした。
すると、見計らったかのように風見先輩も動き出し、足の裏から離れると、脛から膝、そして太腿にかけてゆっくりと服の上から指を滑らせた。直接触られているわけではないのに、首と同じようなゾワッとした刺激に更に鳥肌が立った。
「ひゃあぁぁぁぁぁ……っ」
ぞわぞわするような刺激に、頭が痺れるようなよく分からない感覚。今までと全然違う刺激だが、こっちの方が少しだけ気持ち良い。
「こうやって優しく擽ると、気持ち良いでしょ?」
もどかしいような不思議な感覚に、コクコクと頷くと、桜花先輩は「いい子だね」と頭を撫でてくれた。
「せ、ん、ぱぃぃ…ごめ、なさぃ…もうやめてぇ……」
ポロポロ泣きながら訴えると、桜花先輩はいつもと同じ優しく笑顔を見せてくれた。
(あ、終わってくれる…)
そう思って安堵した瞬間、桜花先輩の指は脇の下に戻り、風見先輩は脇腹に手を添えた。
「うん。もう二度と悪いこと出来ないように体がしっかり覚えたらやめてあげるね」
こちょこちょと指が動き出すと、さっきの気持ち良い刺激を受けて更に敏感になった体は擽りに耐えきれずにのけ反った。
「あっ、はははははははぁぁ!! ひっ、ぃ、ひぁぁっ、ぐるしっ、や、めでっ、ひははははは!?」
「ふふ。ぶちゃいくになってるよ、柚木くん」
涙を流して鼻水も垂らして、ついでに口の端から涎も垂れているので今まで見たことない自分が先輩の目に映っているんだろう。けど今の俺には何か出来る手立てはない。
「そんな顔も可愛いよ、柚木くん。これからたくさん強くなってね」
「ひっ、ぁ"、ぁははははは!もぉっ、もぉやめれっ…くらさっ、せんぱっ、い"ぃぃ、ひゃははははぁ!!」
その後、二人のくすぐり責めは長らく続けられた。慣れないように上半身から下半身に刺激がうつったり、足の裏や脇等、服がはだけて素肌が見えた部分にぬるぬるするものを塗られて更に感度を上げられたり、櫛や耳掻きでピンポイントに弱点を突かれたり。
本当に呼吸が続かなくなったら数分の休憩を与えられたが、回復したらすぐにまた耐えがたい刺激を与えられた。
(七彩、みたいに…寝たい、気絶、したい…)
酸欠になって頭がぼやけてそんな事を思っても、桜花先輩はしっかりと俺の意識を保つようにしながら攻めてくる。
これならあっさり気絶させた風見先輩の方が優しいんじゃないか、と思うほどに桜花先輩は鬼畜だった。
痛みを与えられるわけでもない、ただ肌を優しく撫でられたりするだけなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。
「ぁはっ、…はぁ、あっ、ははぁ……!!」
ビクビクと体全体が痙攣し、声も最初の頃よりも掠れて服が汗でぐっちょりと濡れた頃、桜花先輩は優しく耳元で囁いた。
「──次に悪さしたら限界突破するまでお仕置きだからね」
上手く理解出来ない程に疲弊はしていたが、俺はコクン、と小さく頷いた。
その後、解放された俺は七彩と合流した後、二度と先輩達の言うことに逆らわないでおこうと誓った。
end.
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