一口BL小説

あさきりゆうた

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腐女子二人が呑むだけ-20代が終わっても-

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 とある居酒屋にて二人の女性が生ビール片手に盛り上がっていた。

「30歳になっちまったよ~~20代が終わっちまった~~!!」

 嘆くようにテーブルにもたれているのは天野ヒロミという女性だ。今日が彼女の誕生日で、女友達一人を強引に誘って居酒屋に来ているところだ。

「そうか」

 天野ヒロミの友人は素っ気ない態度をとって生ビール大ジョッキを1/3程飲み干した。

「なに言ってんのよ、しーちゃんも私も同いd」

がしっ

 天野ヒロミの言葉を遮るように、彼女は即座に自分の右手で彼女の口を塞いだ。天野ヒロミの頬が変形するぐらい握力をくわえている。

「それ以上先の言葉を発するな、いいな?」

 天野ヒロミは頷き、彼女の友人は手を離した。

「はぁ、こういう口の塞ぎ方ってBLだったら燃えるシチュなのにね」

「言わんとしていることは分かるが、一般人が多い場で話すようなことではないな」

 その後も天野ヒロミの愚痴・嘆き、主に20代の終わりを何度も何度も話され、彼女の友人はうんざりとしていた。どうにかこの流れを断ち切りたいと思っている。

「嘆くことはない。どれだけ歳をとろうがお前も私も腐女子だ」

「だから何さ!」

 天野ヒロミはいつの間にか麦焼酎ロックを飲んでいて顔は真っ赤になっている。

「腐っていれば女子・・になる。つまり、10代の女の子と同じ若々しい呼ばれ方だ」

「!? しーちゃん、あんた天才か!!」

「だからいつまでも腐った心を持て。そうすればいつになっても私達は女子だ」

「ありがとう! そう言われたら元気出てきた! こうなったら40歳になっても60歳になっても腐女子だい!!」

 そう言うと、彼女は自然と眠りについた。酔いが回りすぎたようである。

「やれやれ、仕事終わりだというのに友人の面倒も見なきゃならんか。いつも生徒の面倒を見て疲れているというのに」

 と言いながらも、天野ヒロミの友人は彼女を家まで付き添いで送ってやった。
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