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一級・二級土木施工管理技士編

こうして合格したー経験記述の書き方ー安全管理編

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 一級土木施工管理技士を今後受験する方へ向けた文章となる。筆者が実際に受けて合格した安全管理をテーマにした経験記述の概要を一部示す。  工事名、発注者名、工事場所、工期、主な工種、立場等は個人特定につながるので省かせて頂く。
 ①安全管理で特に留意した技術的課題 
 本工事は震災により被災した堤防の復旧工事となり、既存の堤防を解体し、新たに堤防を構築していくものとなる。  盛土構築後の作業は三割勾配の法面における作業が多くなり、作業員の法面からの転落・滑落の危険性があった。さらに夏場は疲労がたまりやすく、冬場は凍結により法面が滑りやすくなり、朝礼時のKY活動や安全教育等で注意喚起するだけでは、事故を完全に防ぐことは難しい状態であった。  そこで、法面作業における転落・滑落防止の対策をし、転落・滑落事故0で工事完了とすることを課題とした。

 ②技術的課題を解決するために検討した項目と検討理由及び検討内容  

作業員の法面の転落を防ぐために、次の対策を健闘した。 1,作業員に転倒しづらい安全靴を装着させることを検討した。 2,作業員の体幹を向上させる健康増進のための工夫を検討した。 3,法面を極力通らない様にすむ仮設の通路を検討した。 4, 雨天後に法面の土砂の含水率が高くならない方法を検討した。 問.3 上記検討の結果、現場で実施した対応処置とその評価 検討の結果、以下の方法で安全対策を行った。 
(1)スパイク付きの安全靴を作業員に支給し、着用を義務づけた。 
(2)朝のラジオ体操の他、けんせつ体幹体操を加えた。
 (3)法面昇降用に、仮設の階段の設置、仮設道路の造成を行った。
 (4)天気予報で気候の情報を知り、雨天が予想される場合は盛土法面仕上げ箇所をブルーシートで養生した。やむを得ず養生できなかった場合、セメントにより法面の土質改良を行った。 
 以上の結果、工事中に作業員が転落・滑落する事故は発生せず、工事は無事に完了した。 といった文章をあらかじめ用意したが、実際にはうろ覚えなところもあり、また、安全管理の評価をどうしたか?という例年ない問い方もあり、全くこの通りに欠けていない、臨機応変にしてしまったところがあった。ちなみに評価に関しては、現場で転倒事故が一切起きませんでした、定期的にパトロールで4つの対策もしているか見て皆やっていました、といった内容を本番で思いついて合格に至った。
  さて、ここで経験をふまえて実地試験の論文のコツを伝授していこうと思う。

 ①重要なキーワードだけ覚えておけば、言葉を肉付けして文章は完成できる 

 例年の受験者が文章を丸暗記する方法をおよくとっているが、私個人としては、重要なワードを覚えるだけに留めた方が被害が少なく応用が利くといっておく。
  例えば、安全管理で書くことをおおざっぱに、スパイク付きの安全靴、けんせつ体幹体操、仮設通路、雨対策の4つだったなぁ、と頭の中で覚えておき、後は試験中にそれらをもとに良い感じの言葉をつなげて肉付けするだけだ。人間というのは思い出すきっかけさえあればチェーンのように物事を思い出せるのだ。  自分の場合だとけんせつ体幹体操と思いつけば、ラジオ体操に加えてやったな、転びづらくする身体を作り上げる等連鎖的に思い出せた。  だから今後、一級土木を受ける方、もしくは他の試験で論文を書く方は、文章を作った後は重要なキーワードのみを覚えておけばなんとでもなるのだ。実際私はその方法で二級も一級もどうにかなったし、一発合格で決めた。

 ②面白くてもいい。オリジナリティある対策を入れよう。

  近年、施工管理技士の不正が多く発覚していると聞く。受験者が参考書やネットの答えを丸暗記して受かったという話は良く聞き、おそらく採点担当者も何度も同じような答えを見てきただろう。だから、論文の丸ぱくりはオススメしない。リスキーである。  確かに0から答えを産み出すのは難しいが、あなたが本当に現場にいたなら、現場に答えのヒントはあるはずである。基本は怪我をしないために何をしたか、これさえ書ければ安全管理は大丈夫なのである。
  では、オリジナルな答えとはなんであろうか?
  例えば、山奥の現場だったら、熊が出る可能性も高く、作業員が熊に襲われないためにで論文を書いても良い。作業員に熊鈴を所持させた、熊撃退スプレーを用いた、熊がよらないように生ゴミを捨てないといった事を論文に書くのだ。一応、参考書な答えも出すなら、緊急時の連絡体制を決める、作業員にトランシーバや携帯電話等連絡手段を必ず所持させる。監視カメラをつけてリモートでも現場の様子が分かるようにするといった感じだろう。
  おいおい、こういうちょっとおふざけ入ったテーマでも大丈夫なのか?と思う人はいるだろう、大丈夫だ。実際に自分もけんせつ体幹体操をしましたという面白い答えを書いた、調べればサッカーの有名な選手がモデルとして動画で出て面白い体操をしている。それに試験主催側も採点基準も出していない。参考書や基準書や仕様書的な答えを書けなんて一言も言ってないのだ。

 ③ばれにくい嘘もある 

 まず、私は試験中に嘘の記述、というより、誤った記述をしてしまった。施工数量の数字を間違えてしまったのである。具体的にいうと0一つ多くしてしまったのである。不合格かなと心配していたが、合格してしまった。恐らく、採点側も施工数量を各受験者の工事の詳細を調査するのは現実的に難しく、工事内容に合った施工数量や単位だけしか見ていないかと思う。実際に経験年数を会社で嘘で証明してもらったと笑い話で話す作業員もゼネコンでみてきたから実際にやっている人はかなり多いのではと予想する。
  そう、採点者は受験者が現場でなにをやったか細かく調査するのは現実的に難しいのだ。これが近年の不正の発覚の理由にもなっている。断っておくが、私のやった安全対策は全部真実に基づいているし、工事の資料も大事に保管しているので提出も可能だ。
  嘘の記述は後々がリスキーなので、おすすめしないが、現状、嘘がばれにくいのも事実なのである。それをふまえて、受験者には良心を持っていただきたいと私は思う。
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