お前の雄っぱいを飲みたい♂

あさきりゆうた

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学園生活編

退学するな(2)

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 後日、俺と正義の特殊な事情を知っている人に相談してみることにした。

「えらく大変な事になったもんだな」

 まず頼ったのは保健室の弧ノ山先生である。

「なんとかならんもんですか?」

「私の力ではなんともならんな……いや、気になる情報があるな。ちょっと鍵を閉めよう、ついでにカーテンもだ」

 弧ノ山先生がカーテンを閉めるので俺も手伝った。

「カーテンどうもな清美、ついでに盗聴器の確認もしとくか」

「えっ? 流石に盗聴器はないんじゃないですか?」

 弧ノ山先生が何か小型の機械を取り出して作動させる。

「これは赤外線で盗聴器を探す機械でな。安いやつで5000円もあれば買える」

ぶぉーん ぶぉーん

 弧ノ山先生が持っている機械が反応を示した。どうやらコンセントにささっているもののようだ。名前は分からんが、よく家で見かけるコンセントの穴を増やすためのグッズだ。

「こいつか、よくあるんだよな。これが盗聴器とは思わんだろうし電源も供給されているし上手いもんだ」

「マジで盗聴器あったんですか……」

 弧ノ山先生はコンセントにささっている盗聴器を外した。

「なにかしら弱みを握りたい悪い輩がいるのだろう。多分私が今から話すことに関係がありそうだ」

「改めて、盗聴器を探してまでしてから話そうというからには、もしやえらくとんでもない話なんですか?」

「ふむ、そうなんだ。この学校には男子生徒が良からぬグループを作っていてな。女子生徒に春の売り方をさせているんだ」

「えっ!? それってヤバいやつじゃないですか!!」

「そう、この学校を大きく揺るがしかねない程だ。ここからは私の推測だが、大事ながらもばれていないところ見ると、教師の中にも協力者がいると見て良いかもな」

「マジのマジでやばいじゃねえか……」

「だがな、もしもお前がこれを逆手に取るようなことをすれば、正義の退学ぐらいは取り消せるかもしれんぞ」

「あっ、なぁるほど! しかし先生良くそんなこと知っていましたね!」

「趣味で学校に盗聴器を仕掛けているからな」

 弧ノ山先生は特に悪びれた様子も見せなかった。

「おい、あんた何爆弾発言してんだ。弱みを握りたい悪い輩がどうとか言ったのは誰ですか?」

「君と私の仲じゃないか」

 弧ノ山先生はいつも通りのペースである。

「まあ俺は誰にも言う気は無いですけどね。貴重な情報ありがとうございます。先生にも是非協力を願いたいんですが」

「断る。君や正義はお気に入りの生徒だが、これ以上の協力は私が危険だ。私は私の一番大事な私だからな。情報提供しただけでも感謝してくれよ」

 まあ現実はこうだわな。しかし貴重な情報提供、これには感謝しよう。

「ほれ、餞別だ」

ぽいっ

 唐突に俺の手元に投げられた物を慌ててキャッチした。さっき弧ノ山先生が使っていた盗聴器発見器と小型の銀色の機械のようだ。

「盗聴器発見器とボイスレコーダーだ。ボイスレコーダーの方は、いざという時に音声証拠が頼りになるからな。事が終わったら返せよ」

「ありがとうございます」

 俺は弧ノ山先生に深くお辞儀して保健室を後にした。



 次に俺が訪問したのは高崎さん&霧島さんのコンビだ。あまり顔を合わせたくないが、弧ノ山先生同様、俺と正義の特殊な事情を知っている数少ない理解者だ。
 彼女たちの待つ部室へ入って軽く挨拶をしてから、弧ノ山先生に貰った盗聴器発見器で盗聴器のないことを確認し、部室の鍵を閉めてから話を始めた。

「ゴメンね清美君。正義君を守ってあげられなくて」

 高崎さんがうつむいた状態で話した。彼女なりに責任は感じているのだろう。

「高崎ちゃんしょうがない、だって村山おっかねえしな。正直に言わないと何をされるか。あたしもゴメンよ清美君」

 対して霧島先輩の反省してない感はなんだろうな。
 ただ村山先生に関しては、見た目はヤクザだわ、よく生徒を怒鳴りつけているわ、怖い印象しかない。あれに尋問されたら正直に答える気にもなるわな。

「どうやら誰かが見ていたみたいなんだけど、この前清美君と正義君がいちゃいちゃしていた時に、あたしも高崎ちゃんと盛っていたから、被害者なんだよね~」

「自業自得だろ先輩」

 俺は霧島先輩を睨み付けた。

「あのね! 私達も被害者だから協力しようっていうの!」

 高崎さんが空気を読んでムードを変えてくれた。

「そうか、実はお二人に協力して欲しい事があるんだ」

 俺は弧ノ山先生に話された学校内の男子グループの組織について話した。

「清美君、ここだけの話にしておいて欲しいんだけど、彼女から相談されていることがあるんだ。それが関係あるかも」

「高崎さん、是非とも話してくれ」

「実は、私の彼女がトイレで盗撮されてしまったみたいで、犯人にネットで公開されたくなければ、売春しろって脅されているみたいなんだ」

 これまたとんでもない話を聞いてしまった。

「しかもね、売春しろって相手が村山先生みたいなの」

「なにぃ――――――っ!!」

「声がでかい! 高崎は今とてもデリケートな話をしているんだ! 口に×の字でガムテープするぞ!」

 よりにもよって霧島先輩に注意されるとは、正論なのに何か納得いかないものがある。

「実はボイスレコーダーを借りていて手元にあるんだ。もし犯人とコンタクトをとれる機会があれば役に立つかも知れない」

「でもね、相手は男子でこっちは女子、だからね」

「分かった、いざというという時は俺が助ける」

「それなら後で詳しい日時は連絡するね」

「清美君よ、先輩からありがたいお話を聞かせよう」

「対して期待しないで聞きます」

「なにぃ! 本当に凄い話なんだぞ! この学校には伝説があるんだ。愛する二人が困りし時にあ現れる奇跡の性義せいぎのヒーロー、怪尻かいけつ!お尻置しりおき人』だ!」

「完全にふざけた話じゃねえか! もう聞いて損しました!」

 もうこれ以上聞く話もないだろう。俺は二人と別れることにした。


「清美君、頑張ってね」

「うん、こっちもよろしくな」

「正義君の復学決まったらまたガチ性交見せてくれよ後輩君」

「まじであんた女じゃなかったらぶん殴るぞ……」

 俺は二人に挨拶をしその場を後にした。



 下駄箱に何か入っている。中にメモが入っている封筒のようだ。開けて中を見てみた。ワープロでうっている字のようだ。

『お前の秘密を握る者だ。言うとおりにすればお前の秘密をばらさない。正義の退学も取り消しになるかもしれない。そしてこの事は決して人に話してはならない。もしもこの取引に応じない、守れない事項がある場合はお前と正義の性交動画をネットにて拡散する。指定日時・指定場所は……』

 どうやら俺も正義を退学させた奴らの標的になってしまったようだ。まあ俺が犯された事を分かっている奴らだからとことん利用しようと言うわけだろうな。

「緊張感が一気に高まってきたな……」

 できれば他の人の力も借りたい。しかし、相手が思ったよりも人も力もある集団なら、俺だけでなく助けを求めた奴もただではすまない。俺の事で他の人に迷惑をかけるわけにはいかない。
 助けを借りれそうな正義も、学校から処分を受けて停学の身であり、その状態で学校に来たらそれこそ退学即決定である。
 警察にでも言うか? いや、警察も事件が起きてからじゃないと、証拠ができてからじゃないと動かない。こんな手紙程度じゃいたずらだろと言われ、仕事を増やすなと嫌味を返されるだろう。それに警察が動ける頃には俺も相当なダメージを負っている頃だろう。
 母から冗談半分でレディースによる強行突破案も出されたが、手荒なことをしたら脅迫罪・暴行罪で母も危うい。
 
「やれやれ、もう少し他人を犠牲にできる性格になりたかったもんだぜ……」

 俺の中で覚悟は決まった。
 翌日、脅迫状に指定された通りの場所へ向かった。
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