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第三章~誘拐したダークエルフがクソガキだったからしつけて犯る~
束の間の握手だ
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今の状況についてだが、俺のアジト内にある大きめの木箱の中にエルトが引きこもっている状態だ。あいつに心底腹を立てていたからとはいえ、ちょいと、いや、大分可哀想な犯し方をしてしまった。俺が近づいて話しかけようものなら、木箱から手だけ出して遠慮なしに魔法をぶっ放してきた。流石にケツが痛いままはキツいかなと思い、木箱のそばに裂傷用の傷薬は置いといた。木箱の中から時々鳴き声も聞こえてくるから俺の罪悪感だけが膨らむ状態だ。
「くそっ、これだから子供って奴は……まあ俺が悪いところもあるんだが……」
そんな状態で一晩が過ぎた。朝になってもエルトの機嫌はなおらなかった。仕方なしに朝食だけは木箱のそばに置いといた。
「くそっ、ひきこもりの世話見ているのか俺は!」
らちが明かねえ、いっそのことあの木箱強引に開けちまうか? 魔術使うあいつと喧嘩するのはちょいと骨折れそうだがそれしかこの状況を打破する方法がねえな。
ぴくん
かすかに大勢の足音がこちらに向かってくる音が聞こえた。俺か、もしくはエルトかを探しにここまで来たか?
「エルト、俺は客の相手をしなきゃならねえ。俺が良いというまで、しばらく箱の中でおとなしくしてろよ」
客を追っ払う支度をして俺は外に出た。
俺はツギハギだらけの小汚い格好に着替え、杖を使いながら歩いて、アジトの外に出た。
「おやおや、何事ですかのう?」
声色を変えて、完全に老人にしか見えない変装をした。外にいたのはどこぞの国の騎士団様御一行であった。
「おいじじい、この辺だダークエルフを見かけなかったか?」
なるほど、エルトを探しにやって来たわけか。騎士長らしき男がマジックセンサーらしきアイテムも持っている。
「そういえばのう、近頃この辺で普段は聞かない爆音やらな、強風の音やらな、モンスターの断末魔の叫びやらな、頻繁に聞こえてのう。わしゃあ怖くて怖くて今日まで小屋の中にこもっておったんじゃあ」
「ほう、ちなみにこのボロ小屋にじいさん以外の誰もいれてないだろうな?」
「ええ、怖くて虫一匹入れておりませんわい」
「そうか。協力感謝するぞ」
そう言って騎士長は兵士達を引き連れて去って行った。さて、この場は上手くごまかしたが、あいつらがこの辺を探索して何も見つからないという状況になると、奴らは俺のアジトまで強制的に探索しかねない。俺のカンで判断すると、あいつらに人様の家に勝手に上がってはいけないという良心なんて存在しないだろう。まあ最悪俺だけがこの場を離れれば被害は最小限にはすむが、俺の戦利品を奪われる事にもなるし、エルトも危ないだろう。おとなしくしているよりかは、かえってあいつらを早めに潰した方が良いかもしれない。まずはエルトにあいつらの事を話してみるか。
俺はエルトのこもっている木箱のそばまで来た。
「エルト! 緊急事態だ! お前を探している騎士団がここに来た。とりあえずアジトには俺以外の誰もいないという情報は流してやった。だが、ここも直にガサ入れされるかもしれねえ。逃げるなら今のうちだぞ」
がたた
木箱が開き、エルトが出てきた。
「おい、その騎士団の特徴覚えているか?」
「そうだな、騎士長の勲章が剣と十字架の描かれた物だったな。あれはどっかの国のものだった記憶があるな」
「あいつらか……」
「あいつら? 心当たりあるみたいだな」
「心当たりは十分ある、だがここからは俺の問題だ。俺が対処する。おっさんは火の粉飛んでこないように大人しくしておいた方がいいぞ」
「おいおい、お前一人でいかせる気はねえぞ」
「うるせえ、おっさんの手助けは無用だ!」
「勘違いするな。俺の経験上、あの騎士団は俺が大人しくしてても次に俺のアジトをも狙ってくるだろう」
「……その勘は当たっているぜおっさん。善人相手でも好き勝手する容赦しねえ奴らだ」
「だろ? そうなるとあいつらを先手で潰した方がかえって良い結果になる。そこで俺一人でやるよりかは優秀な攻撃魔法を使えるダークエルフの手を借りようと思ってな」
「おっさんよ、人とは組まない主義だったんじゃなかったのか? 俺がおっさんと協力するフリして寝首をかく可能性もあるぞ」
「それは否定できる。今日までお前と接して感じた事は、お前が随分とお人好しな性格をしているってことだ。俺の事はきらってぶっ倒したい気持ちは持っていても、不意打ちを良しとしない、決闘方式で真っ向からたたきつぶす事を良しとする、間違いか?」
「それが正解だと思うかおっさん。俺がわざとそういう性格を演じているかも知れねえぞ」
「お前はそこまで器用な男でもねえだろ? お前がちょくちょく見せる泣き虫に、そして自分の過去に葛藤する姿、あれが演技だったら大した役者さんになれるぜ」
「よく言うぜ、おっさんだって女の扱いに関して絶対ぶきっちょだろ?」
「なんだ? 俺に女として扱って貰いたかったのか? 随分と手荒に扱って尻が大変な事になったからな」
「こんな状況でセクハラかますな! つうか、もう俺一人で闘うからいいよ!」
「それよ、お前がさっきから頑なに俺の協力を拒んで一人で闘おうとしている気持ちこそ、まさにお人好しそのものじゃねえか。忠告だ、お人好しすぎると俺みたいに片脚失うぜ」
はっきりと表情には出てないが、エルトがなんとなく笑っているように見えた。
「では、その忠告ありがたく受け取らせて貰うか」
エルトが右手を出したので、俺が右手で握手に応じた。
「ふっ、こうやって人と組んで仕事したくなったのはいつぐらいかな……」
「やっぱおっさんぼっちで寂しかったか? なんなら俺がそばにいてやろうか?」
「そばにいてやるだ? それは互いに生き残ることが最低条件だろ?」
「当たり前だ! まぁ俺がおっさんの分までサポートするから安心しろよ!」
「ふっ、期待しているぜ」
こうして俺とエルトは組んで騎士団を潰すことにした。
「くそっ、これだから子供って奴は……まあ俺が悪いところもあるんだが……」
そんな状態で一晩が過ぎた。朝になってもエルトの機嫌はなおらなかった。仕方なしに朝食だけは木箱のそばに置いといた。
「くそっ、ひきこもりの世話見ているのか俺は!」
らちが明かねえ、いっそのことあの木箱強引に開けちまうか? 魔術使うあいつと喧嘩するのはちょいと骨折れそうだがそれしかこの状況を打破する方法がねえな。
ぴくん
かすかに大勢の足音がこちらに向かってくる音が聞こえた。俺か、もしくはエルトかを探しにここまで来たか?
「エルト、俺は客の相手をしなきゃならねえ。俺が良いというまで、しばらく箱の中でおとなしくしてろよ」
客を追っ払う支度をして俺は外に出た。
俺はツギハギだらけの小汚い格好に着替え、杖を使いながら歩いて、アジトの外に出た。
「おやおや、何事ですかのう?」
声色を変えて、完全に老人にしか見えない変装をした。外にいたのはどこぞの国の騎士団様御一行であった。
「おいじじい、この辺だダークエルフを見かけなかったか?」
なるほど、エルトを探しにやって来たわけか。騎士長らしき男がマジックセンサーらしきアイテムも持っている。
「そういえばのう、近頃この辺で普段は聞かない爆音やらな、強風の音やらな、モンスターの断末魔の叫びやらな、頻繁に聞こえてのう。わしゃあ怖くて怖くて今日まで小屋の中にこもっておったんじゃあ」
「ほう、ちなみにこのボロ小屋にじいさん以外の誰もいれてないだろうな?」
「ええ、怖くて虫一匹入れておりませんわい」
「そうか。協力感謝するぞ」
そう言って騎士長は兵士達を引き連れて去って行った。さて、この場は上手くごまかしたが、あいつらがこの辺を探索して何も見つからないという状況になると、奴らは俺のアジトまで強制的に探索しかねない。俺のカンで判断すると、あいつらに人様の家に勝手に上がってはいけないという良心なんて存在しないだろう。まあ最悪俺だけがこの場を離れれば被害は最小限にはすむが、俺の戦利品を奪われる事にもなるし、エルトも危ないだろう。おとなしくしているよりかは、かえってあいつらを早めに潰した方が良いかもしれない。まずはエルトにあいつらの事を話してみるか。
俺はエルトのこもっている木箱のそばまで来た。
「エルト! 緊急事態だ! お前を探している騎士団がここに来た。とりあえずアジトには俺以外の誰もいないという情報は流してやった。だが、ここも直にガサ入れされるかもしれねえ。逃げるなら今のうちだぞ」
がたた
木箱が開き、エルトが出てきた。
「おい、その騎士団の特徴覚えているか?」
「そうだな、騎士長の勲章が剣と十字架の描かれた物だったな。あれはどっかの国のものだった記憶があるな」
「あいつらか……」
「あいつら? 心当たりあるみたいだな」
「心当たりは十分ある、だがここからは俺の問題だ。俺が対処する。おっさんは火の粉飛んでこないように大人しくしておいた方がいいぞ」
「おいおい、お前一人でいかせる気はねえぞ」
「うるせえ、おっさんの手助けは無用だ!」
「勘違いするな。俺の経験上、あの騎士団は俺が大人しくしてても次に俺のアジトをも狙ってくるだろう」
「……その勘は当たっているぜおっさん。善人相手でも好き勝手する容赦しねえ奴らだ」
「だろ? そうなるとあいつらを先手で潰した方がかえって良い結果になる。そこで俺一人でやるよりかは優秀な攻撃魔法を使えるダークエルフの手を借りようと思ってな」
「おっさんよ、人とは組まない主義だったんじゃなかったのか? 俺がおっさんと協力するフリして寝首をかく可能性もあるぞ」
「それは否定できる。今日までお前と接して感じた事は、お前が随分とお人好しな性格をしているってことだ。俺の事はきらってぶっ倒したい気持ちは持っていても、不意打ちを良しとしない、決闘方式で真っ向からたたきつぶす事を良しとする、間違いか?」
「それが正解だと思うかおっさん。俺がわざとそういう性格を演じているかも知れねえぞ」
「お前はそこまで器用な男でもねえだろ? お前がちょくちょく見せる泣き虫に、そして自分の過去に葛藤する姿、あれが演技だったら大した役者さんになれるぜ」
「よく言うぜ、おっさんだって女の扱いに関して絶対ぶきっちょだろ?」
「なんだ? 俺に女として扱って貰いたかったのか? 随分と手荒に扱って尻が大変な事になったからな」
「こんな状況でセクハラかますな! つうか、もう俺一人で闘うからいいよ!」
「それよ、お前がさっきから頑なに俺の協力を拒んで一人で闘おうとしている気持ちこそ、まさにお人好しそのものじゃねえか。忠告だ、お人好しすぎると俺みたいに片脚失うぜ」
はっきりと表情には出てないが、エルトがなんとなく笑っているように見えた。
「では、その忠告ありがたく受け取らせて貰うか」
エルトが右手を出したので、俺が右手で握手に応じた。
「ふっ、こうやって人と組んで仕事したくなったのはいつぐらいかな……」
「やっぱおっさんぼっちで寂しかったか? なんなら俺がそばにいてやろうか?」
「そばにいてやるだ? それは互いに生き残ることが最低条件だろ?」
「当たり前だ! まぁ俺がおっさんの分までサポートするから安心しろよ!」
「ふっ、期待しているぜ」
こうして俺とエルトは組んで騎士団を潰すことにした。
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