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第一章~異世界で性奴隷として生きてイクことになりました♂~

幸せを求めました

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 山奥に二十人程度の人が住むとても小さな村があった。一見何の変哲もない村である。しかし、そこにはこの世界で冷遇されている性奴隷やその血を受け継ぐ子孫達がいた。

「シュトルフさん、おはようございます」

「……おはよう」

 シュトルフはラルという赤髪の少女と挨拶を交わした。

かしゃん かしゃん

 ラルという少女は右脚が義足で歩くと義足故の音が良く出る。以前、彼女が村に来る前はよく足音をからかわれていたが、この村にはそんな人はいない。

「シュトルフ、もう少し愛想良くしよう!」

 そう注意したのは零である。

「いや……お前がやきもちやくと思ってな……」

「俺はそんなに度量の小さい男じゃないですよ!」

「シュトルフパーパ! お稽古つけて!」

ぼふっ

 シュトルフに抱きついたのはホープという少年、彼はシュトルフと零の間に産まれた子供である。

「……多少本気でいく……」

「うん! 全力でかかってきてね!」

 彼はシュトルフと違ってはきはきとした感じの子であった。

しゃきん かきん どご

 シュトルフとホープの稽古風景場から激しい金属音や打撃音が鳴り響いている。
 彼ら以外の村人達はというと、畑仕事や家畜の扱いをしたり、木こりや狩りをやっていたりする。この風景を見ながら零は幸せに浸っていた。現代世界にいた時にはなかった充実感や幸せで溢れている。

「……終わった……」

 シュトルフが稽古から帰ってきた。

「おかえり、どうでしたか?」

「成長促進の魔法をかけたのもあるが……ホープが予想以上の早さで成長している……すぐに俺に追いつくだろう……」

「流石、俺達の子供ですね」

「……そうだな……」

「ねえシュトルフさん、相談があるんです」

「どうした?」

「俺達が頑張って性奴隷の血を受け継ぐ人達を見つけたり、村を開拓したり、ホープという子供も授かった、でもこれで満足と思っていますか?」

「……何が言いたい?」

「いや、この状況でも十分幸せに感じますが……さらにこれ以上の幸せな世界があるんじゃないかなって思うんですよ……」

「そうだな……こんな山奥でひっそりと暮らすのもいいが……堂々と他の人達の前でも出てみたいと思う……それにまだ世界には不遇な扱いを受けている性奴隷達もいる……」

「だからさ、また旅に出てみないですかシュトルフさん?」

 シュトルフは少し悩む様子を見せた。

「性奴隷の家という組織がある……俺達の思想に真っ向から対立する……規模もでかく強大……俺一人ならともかく……お前を守れるかどうか……」

「なに言っているんですか! 俺はお荷物になる気はないですよ! 俺がそんなに信用できないですか?」

「そうか……お前を信じる……」

 シュトルフは一度安心したが、再度悩んだ様子を見せる。

「ホープ……どうする?」

「大丈夫! もう寂しがるような歳でもないですし、村を守るぐらいの強さもあります! 俺達の子供を信じましょうよ!」

「やれやれ……子育て放棄とは……困ったお母さんだ……」

「俺も夫ですよ!」

「そうだな……はは」

「じゃあ早速旅の準備をしますか! この世界の常識を壊すために、俺達はもっと頑張らないといけないです!!」


 二人はかつての想いを再度誓った。
 この異世界の性奴隷達に真の幸せが来ますように……
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