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開き直って普通に学校生活を送ったらこのケツ末だよ!

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 このゲームの世界に来てから、気をつけないと絶対男同士で結ばれるエンドになると思っていた。しかし、普通に学生生活をしていたら意外とそういうエンドを避けられるのではと思った。
 とりあえず同じクラスの男子生徒と距離をとらずに普通にだべって、普通に外へ遊びに行って、一緒にふざけて怒られて……そのまま数日、一ヶ月と経った。
 男子生徒は約一名を除いて仲良くなっていて特に誰かとラブラブとか良い雰囲気になっていない。ちなみに約一名とは秀才かつ素直じゃないキャラの武田学。勉強絡みでことあるごとに対立し、毎回挑発して僕を腹立たせてくる。僕は煽り耐性は高い方でなく、やってやろうじゃないか! という気持ちになってしまった。転生者の強みをいかし、過去に教わった授業よりもレベルの高い独学を行っている。おかげで少し視力が落ちて人生初めてのメガネ男子になってしまった。
 ちなみにメガネを買う時もメガネショップの店員さんに「綺麗な目ですね」と、あっ、これこの人とのエンドもあり得るわ、というところもあった。なので、わざと無愛想な客のふりをしていた。
 今日までこんな感じで日常を過ごし、このままいけば普通のエンドを迎えられるかというところまできている。BLゲーム的にバッドエンドだが、自分にとってはなによりのハッピーエンドだ。このままでいこう!
 とある日のこと、男子生徒の会なるものが行われた。先生の許可を得ずに土日にこっそりと男子だけで行うパーティである。今思えば、ちょっとひっかかるものがあった。そのひっかかりを気にした方が良かった。だが、今日まで男子生徒と何事もなく仲良くやっていたので、いつもの男同士の楽しい馬鹿騒ぎ程度かと思っていた。
 皆が商品持ち込みのビンゴ大会が始まり、各々が商品を持ち込んだが、色々とおかしいことになっていた。
 最初に商品をゲットしたのは、俺のとなりの情報屋の異名を持つ佐伯綾だった。

「やったぜ! 俺電マゲット!」

「よりによってあれかよ……」

 最初の商品がまさかAVでみるあれとは思わなかった。まあ、表向きはマッサージ機だからまだまともといえなくもないよな?

「うほっ、ガチムチのおっさん全裸抱き枕ゲット!」

 なっ!? 誰だよそんなディープなプレゼント用意したの! まさかこの調子で皆のプレゼント決まるのか?

「あさぎり夕先生のBL作品100冊セット!」

「美青年の勃起性器型のマウスパッド!」

「超薄型コンドーム!」

 もうとんでもねえプレゼントばかりじゃねえか……。幸いなのは二人分のプレゼントが用意されていないこと。ビンゴも終盤の状況だが、いまのところ俺はリーチすらかかってない状態だ。

「なぜ僕に当たらないんだ……プレゼントなしの確率は1/16。決して低くないはずなのに……もしや新たな確率の計算式の誕生の瞬間か!?」

 武田学が考えすぎて馬鹿になっている状態だった。あいつも僕と同じくまだビンゴの賞品は当たっていない。

「ひゃっはー! 最後のプレゼント、定野先生の盗撮写真集だぜ!!」

 どうやら金髪のチャラ男である金成雷也が最後のプレゼントを当てたようだ。つうかうちの担任の定野先生の写真集だとっ!? 本人が知ったらこの世にさよならしなきゃいけないほどぶちぎれるかもな……。

「最後まで当たらなかった武田と佐倉には罰ゲームだ!」

 えっ、罰ゲーム、そんなの聞いてないぞ! 同様に武田君も聞いていないぞというリアクションをとっている。

「二人にはマスク越しで深い深いキスをしてもらいます!」

「ひゅはあああああ!!」

 なんでそんな罰ゲームになる!? しかも男子共も盛り上がるんじゃねえ!!

「冗談じゃない! 僕は女の子好きなんだ! マスク越しに男とキスなんて、武田君も僕となんて嫌だろ!」

 自分を敵対視する武田君も絶対強く拒否してくれる……はずだよね、何度もそんな期待がこの世界では裏切られてきたけど、武田君、君を信じているよ!

「佐伯、僕が勉強だけの人間と思っているのか? 君よりも僕の方がディープキスを何倍も知っていることを教えてやるよ! 逃げる相手に不戦敗しても面白くない! 僕といっしょにどっちが上手くキスが出来るかで勝負だ!」

 マイドオナジミノテンカイニナリマシターウレシイナー(棒読み)

「そんなおかしい勝負を誰が望むんだよ!」

ぽこん ぽこん

 僕の背中にペットボトルが投げられたようだ。男子生徒達がブーイングを浴びせている。

「佐倉! 空気読め!」

「そうだそうだ! 武田が素直じゃないけどキスしたいってアピールしてんだぞ!」

「しーろ! しーろ! しーろ!」

 ああもう、逃げづらい雰囲気だ! 覚悟を決めた! 僕も武田君もマスクをし、互いにキスをした。

「ひゅおおおおお!!」

 ただ互いのマスクとマスクがくっついただけなのに男子生徒のテンションはマックスになっている。

「どうした? 僕もディープキスどころかキス自体経験なしだが、君よりもはるかにうまくできる。この勝負貰った」

 うう、マスク越しとは言え、武田君の舌の感触が生々しい。しかも用意されたマスクが夏用の水着素材の薄いタイプだ。すぐに互いの唾液でマスクが濡れている。

「ひょほおお、マスクが透けてエロいぞおおお!!」

 クラスの悪友共め、本当にうるせえな! この状態だとマスクが唾液で透けて互いの舌がうっすらと見えるんだろう。

カチャカチャ

 盛り上がる男子生徒達が声のボリュームを抑えてある音を聞いていた。まわりにあわせて音の感想をひっそりと喋る男子も多い。

「メガネがぶつかる音、なんてエモイんや……」

「こういうシチュすこ……」

 そこっ!? キスにばかり意識いっていたけどそこも、その、萌える要素なのかっ!? まあ武田君もこの世界戦の僕もメガネ男子だから顔を近づける度にメガネがぶつかる音がするのは当たり前なんだが、こうやってそれを意識すると、メガネをぶつけるのが恥ずかしく思えてしまうなぁ……。

「どうやらこのキス勝負僕の勝ちだな」

「勝ちでいいから早く終わろうよ」

 冷めた態度をわざと出した。武田君もそれを察して自然と僕の口から顔を離す。

「ちぇっ……」

 まて、その残念そうな態度はなんなの? まさかまだしたかったの?

「武田! マスク越しなんてまだまだ子供の遊びだぜ! 本当の勝負はマスクを外して生唇になってからだ!」

「そう、生唇にせよエロいことは生が至高だ!」

「男子共うるせえ! 余計なこと言うな! 武田君もなんとかいってやってくれ!」

 そんな僕の意見を聞いていないかのように、武田君はなにかをぶつぶつと言っていた。

「なんだこの気持ちは僕にもよく分からないこの感情は!」

むちゅう

 なっ!? 突然武田君がキスした! しかもマスクでなくほんまもんの生唇ですとっ!? さっきよりもダイレクトに武田君の唇の柔らかさが伝わるうう!!

くちゅ ちゅぱ ちゅぴ

 武田君が慣れたのか、遠慮無く僕の口内に舌を入れてきた。僕はなされるがままだった。武田君の温かくてぬめぬめとした舌の感触が伝わってくる。彼の唾液や口のにおいも彼らしい苦めな風味がする。自然と胸の奥が段々と熱くなってくる。

「なぜだか僕は勉強する度に君のことが頭に浮かんでは消えてで、集中できなくなった……そして憎らしき君とのいっしょの時間が増えて欲しいとも思った……」

 武田君は一体何を言って、あれ、なんで、なんで!?
 僕と武田君だけすっぽんぽん!? 
 このゲーム内では服が突然に脱がされるのは当たり前なのか!?

「そして今、全裸の君を見て、とてつもなく下半身が興奮する!」

 武田君の性器がみるみるうち、硬く大きく勃起した。

「ここは冷静に考えよう。君にたいして飽きるほど性交すれば、この気持ちもおさまってなくなるだろう……」

「武田君! 考えすぎて馬鹿になっている! 頭を冷やして!」

「ふざけるなっ! 僕はいたって冷静だ! いいから黙って抱かれろっ!!」

 ご都合良くいつの間にか教室内に布団が大量に用意されているよ。BLゲームだからって何でもありすぎどころじゃないぞ!

みちち

 うっ、尻になんか変な感覚が、はっ!

「待ってくれ武田君! せめて、せめて前戯をしないと痛い!」

「大丈夫だ、僕は痛くないし、きつきつでもそれはそれでいける!」


「それは攻め目線の意見だっ! 君は受け目線でも考えられる頭脳を持っているはずだっ!」

ずぶぶぶ

 お尻に鋭い痛みが走った。思っていたよりも痛く、僕は顔を歪めた。お腹の中の圧迫感も増えてお腹が苦しい。

「あの武田が佐伯の処男ノンケを奪ったぞーーっ!!」

「武田! 佐伯の処男を貰ったんだから責任とって結婚しろよ!」

 そういえば今男子共にセックスを見られている状態だった。しかしこの世界に来て変な犯し方をよくされたせいか、思ったよりも冷静に見れている自分がいる。慣れって恐ろしいもんだ。でもああいう男子のがやがうるさいと、多少セックスの痛みもやわらぐ感じがあった。


「やべえ、興奮してきた」

 男子の一人がそう言うと、いきなりクラスメイトに襲いかかった。
それをきっかけに男子達が近くのクラスメートとエッチな行為をはじめた。

「どうやら僕達のセックスで男子生徒達が吊られて発情したようですね。いわばカップル成立に僕達は貢献して良いことをしているってことですね」

「うん、そう……ってそんなわけあるかい!」

 普段の僕はこんな突っ込み系のキャラじゃないけど、武田君が完全に頭がいかれてナチュラルボケになっている!

「うっ、うあああ!!」

びゅくん びゅくん びゅるる

 僕はまだ痛いままなのに武田君だけ先に射精ってしまったか。まあこれで武田君ともセックスが終わり、エンドかな。次の世界戦に期待しよう。

「まだ、終わりじゃないさ! 君をいかさなきゃ僕の負けだっ!」

ずぶっ ずぶっ ずぶっ

「ちょっと、もういいって! 武田君気持ち良くなったでしょ!」

「確かに射精ったけど、さっきよりもずっと佐伯とエッチをしたい気持ちになっているんだ! 教えろ! この気持ちはなんなんだ! 君は僕が認めた数少ないライバルなんだから知っているはずだろ!」

 な、なんだ、武田君が凄く愛しく思えてきたぞ。

「武田君……それすごく可愛い……」

「可愛いってぬかすなっ! 受けならともかく攻めの僕に言うなっ!」

「だってさ、君の言った言葉を要約すると……好きってことでしょ? 別の言葉で言うと愛している。さらに」

「もういい! 僕の気持ち、これで分かっただろう! こういうのは今日だけじゃない! これからもだっ!」

 僕達だけじゃない、クラスメート達もこの機会に好きな男の子に愛の想いをぶつけていた。なんだか、皆が幸せになっている感じで凄い良い空間にいるなと思うな……。
 いつしか僕は射精の時を迎えていた……。



 そして、毎度お馴染み、自分のベッドの上にいた。快楽の頂点を過ぎて、僕はとても冷静になっていた。

「よくよく考えれば……教室内で男子生徒フルメンバーで乱交していたわけで……それを幸せに感じていた僕ってもうまともじゃないんじゃ……」

 どうやら僕はこの世界にすっかりと毒されてしまったようだ。
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