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おのれよくもこんな辱しめを!
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俺は死を覚悟していた。
目の前にいる魔王の強さは俺の強さをはるかに上回るものだったからだ。
俺はこの男を倒すために人生を……そして仲間の命をも捧げた……それでも奴に対し何も出来なかったのだ……今は大の字で寝ている状態……指一本すら動かす力は無い……。
「くくく、久々に楽しめたぞ勇者よ。俺様の顔に傷をつけた男はお前くらいなものだ」
「そりゃあどうもな……俺からすれば全力を出したのに……お前にかすり傷一つつけるのがやっとでよ……おまけにここまでたどり着くのに大事な仲間も失ったし……凄い落ち込んでいるんだがな……」
「落ち込むことはない。我が魔王軍の幹部を全滅させたお前と仲間の強さ、称賛に値するものだ。敗北者とはいえ、敬意を表し、お前を生かしたいと考えている。とりあえず今のお前の心からの本音を言ってみろ。それ次第で対応を考えよう」
「慈悲深いこった……いいだろう……まず俺は負けず嫌いだ……もし生き残れるなら、この怪我を治して、お前を必ず倒したいと考えているぜ!」
ぐぐ
俺は立ち上がろうと思って体に残っているパワーを出し切ろうとする。しかし、体が重い。四つん這い状態になるのがやっとだ。
「ほう、素直に命乞いをしないあたりは流石は勇者と呼ばれるだけあるな。いい答えだ、生かすに値する」
魔王め、完全に油断してやがる。いくら敗者とはいえ、腹が立ってきやがるぜ。
「いいのか? 俺をここで殺さなきゃ、今後、確実にお前は死ぬぜ……」
「退屈しのぎにちょうど良い! 怪我が治り次第、遠慮無く俺様の命を狙うが良い!」
器のでかい奴だ。流石は魔王を名乗ることだけのことはある。
「お言葉に甘えさせて貰うとするか……それと図々しいようだがもう一つ心からの本音がある……」
「いいだろう、言え」
「俺は故郷に結婚を約束した幼なじみの女がいる……もし魔王との闘いに勝利したら結婚をすると誓った仲だ……まぁ、この通り無様に敗北し、本当に生かして貰えるかどうか疑問なところだがな……」
「お前は死ぬ前に婚約を約束した女の顔を見たいというのか?」
「ただ言いたかっただけさ……それだけで心がすっとするもんさ……そしてこれが最後だ……俺を殺すなら極力苦しませて殺してくれ……多くの人達の期待を裏切ってきたけじめをつけたい……そして亡くなった仲間にあの世で顔向けするためにもな……」
ぽつ ぽつ
俺の眼から自然と涙が出てきた。はは、俺の体ぼろぼろなのに、泣く気力ぐらいはあるんだな。
「分かった。お前への措置は決まった」
がちゃん がちゃん
重そうな装束を身につけた魔王が俺のもとに歩み寄ってきた。とどめを刺すのだろうか? とどめの刺し方は、じわじわと苦しめて殺す事なのだろうか? それとも屈辱的な生かし方をするのだろうか? 様々な予想が頭の中でよぎり、俺の心臓に不安を与えた。
すっ
俺の体は魔王の両腕で持ち上げられた。魔王の右腕が俺の肩の後ろを支え、左腕は太ももの後ろを支えている。つまり俗に言うお姫様抱っこだ。
「おい……何の真似だ魔王? 俺はお姫様抱っこされるようなキャラでもないぞ」
「お前をお姫様と同等の扱いをしてやっているだけだ。不満か?」
「おいおい、俺はお姫様なんて柄じゃあないぜ……」
「いずれはそういう柄になる」
「はっ? それはどういうことだ?」
しゅうううううん
魔王が何やら魔術を発動させた。今まで色んな魔術を見てきた経験から、それが転移魔法だと理解した。どこかへ飛んでいく感覚が体に伝わってきた。
転移先は自然に囲まれた村であった。そしてこの村は非常に見覚えのある場所だった。
「ここはもしや、俺の故郷のハルンデル村かっ!?」
「そうだ、お前の記憶を探りながら、この場所に転移してきたのだ」
「一体俺をこんなところまで連れてきて何をしようってんだ? まさか俺の前で許嫁を殺すか? もしくは俺を許嫁の前で処刑か?」
「まぁ、お前の選択次第によってはそうなることもあるなぁ。だから素直に従った方が利口だと言っておく」
次第に村の人達が転移した俺達の存在に気付き、集まってきた。そしてその中には俺との結婚を約束した幼なじみのキャンシーもいる。彼女は俺に視線を向けて驚いた顔をした。
「クルトス! どうしたのその傷はっ!?」
「今俺を抱きかかえているのは魔王様だ……無様に負けて、屈辱的帰還を果たしたってところだな……」
村人達が一斉に魔王に敵意の視線を向けた。
「こいつめ! よくもクルトスを!」
ぎぃん
魔王が村人達を睨み付けると、全員震え上がりその場から動けなくなった。中には失禁をするものや、気絶したものまでいた。恐らく今のは恐怖効果付きの睨み付けだろう。俺も雑魚モンスターとの戦闘を避けるためによくやったものだが、魔王がやるともはや別次元のものだった。俺でさえも心臓を冷たい手で鷲掴みされるような感覚を覚えた。
「勇者、いや、確かそこの娘がお前の名前を教えたな。クルトスよ、選択肢を与えてやる。この場で俺に犯されるか? もしくはお前を犯さない代わりに俺様が村人全員を抹殺するか? さぁどちらを選ぶ?」
「犯す? それはどういうことだ魔王?」
「お前は性教育を受けていないのか? この場でお前と性交を交わすということだ!」
「けっ、俺は男色趣味はないし、魔王に犯されるなんざまっぴらゴメンだ……だからといって村人達の命も粗末にはできねえ……だから俺の命をここで奪う選択肢を与えてくれよ……」
「お前ごときに選択肢を増やす権利はない! まぁ、はなっからこの場でお前を犯す選択肢以外選ばせない気だったがな」
「なにぃ!! 本気で言っているのかっ!?」
魔王は俺の防具に魔力を加えた。
ぱきぃん
俺の下半身の装備が魔力によってばらばらに壊れ、俺の性器が露出した状態となった。咄嗟に俺は太ももを閉じて、性器が村人に極力見えないようにした。
「俺は本気だ。さぁその卑猥なる性器を俺に堂々と見せるが良い」
「くっ、殺せ! こんな屈辱的な思いをするぐらいなら俺をとことん苦しめてから殺してくれ!!」
「おいおい、俺様をそんな野蛮人と誤解されるような言い方をするなよ?」
ぽん
魔王が何もない場所を見つめると、ベッドが出現した。寝心地は良さそうで、大きさも二人寝ても余裕があるくらいの大きさだ。ご丁寧に雨よけの屋根までついている。
「俺様からの大サービスだ。良いベッドの上で性交しようではないか」
「本気か魔王! やめろ! やめてくれ!!」
俺の必死の声など魔王の気持ちに届くはずもない。俺はベッドの上で寝かされ、魔王が上に覆い被さった。抵抗しようにも魔王との戦闘で体をまともに動かせる状況ではなかった。
ぱきぃぃん
魔王の解き放った魔術により、俺の装備品は完全に粉微塵と化し、ついに丸裸の状態とされた。
目の前にいる魔王の強さは俺の強さをはるかに上回るものだったからだ。
俺はこの男を倒すために人生を……そして仲間の命をも捧げた……それでも奴に対し何も出来なかったのだ……今は大の字で寝ている状態……指一本すら動かす力は無い……。
「くくく、久々に楽しめたぞ勇者よ。俺様の顔に傷をつけた男はお前くらいなものだ」
「そりゃあどうもな……俺からすれば全力を出したのに……お前にかすり傷一つつけるのがやっとでよ……おまけにここまでたどり着くのに大事な仲間も失ったし……凄い落ち込んでいるんだがな……」
「落ち込むことはない。我が魔王軍の幹部を全滅させたお前と仲間の強さ、称賛に値するものだ。敗北者とはいえ、敬意を表し、お前を生かしたいと考えている。とりあえず今のお前の心からの本音を言ってみろ。それ次第で対応を考えよう」
「慈悲深いこった……いいだろう……まず俺は負けず嫌いだ……もし生き残れるなら、この怪我を治して、お前を必ず倒したいと考えているぜ!」
ぐぐ
俺は立ち上がろうと思って体に残っているパワーを出し切ろうとする。しかし、体が重い。四つん這い状態になるのがやっとだ。
「ほう、素直に命乞いをしないあたりは流石は勇者と呼ばれるだけあるな。いい答えだ、生かすに値する」
魔王め、完全に油断してやがる。いくら敗者とはいえ、腹が立ってきやがるぜ。
「いいのか? 俺をここで殺さなきゃ、今後、確実にお前は死ぬぜ……」
「退屈しのぎにちょうど良い! 怪我が治り次第、遠慮無く俺様の命を狙うが良い!」
器のでかい奴だ。流石は魔王を名乗ることだけのことはある。
「お言葉に甘えさせて貰うとするか……それと図々しいようだがもう一つ心からの本音がある……」
「いいだろう、言え」
「俺は故郷に結婚を約束した幼なじみの女がいる……もし魔王との闘いに勝利したら結婚をすると誓った仲だ……まぁ、この通り無様に敗北し、本当に生かして貰えるかどうか疑問なところだがな……」
「お前は死ぬ前に婚約を約束した女の顔を見たいというのか?」
「ただ言いたかっただけさ……それだけで心がすっとするもんさ……そしてこれが最後だ……俺を殺すなら極力苦しませて殺してくれ……多くの人達の期待を裏切ってきたけじめをつけたい……そして亡くなった仲間にあの世で顔向けするためにもな……」
ぽつ ぽつ
俺の眼から自然と涙が出てきた。はは、俺の体ぼろぼろなのに、泣く気力ぐらいはあるんだな。
「分かった。お前への措置は決まった」
がちゃん がちゃん
重そうな装束を身につけた魔王が俺のもとに歩み寄ってきた。とどめを刺すのだろうか? とどめの刺し方は、じわじわと苦しめて殺す事なのだろうか? それとも屈辱的な生かし方をするのだろうか? 様々な予想が頭の中でよぎり、俺の心臓に不安を与えた。
すっ
俺の体は魔王の両腕で持ち上げられた。魔王の右腕が俺の肩の後ろを支え、左腕は太ももの後ろを支えている。つまり俗に言うお姫様抱っこだ。
「おい……何の真似だ魔王? 俺はお姫様抱っこされるようなキャラでもないぞ」
「お前をお姫様と同等の扱いをしてやっているだけだ。不満か?」
「おいおい、俺はお姫様なんて柄じゃあないぜ……」
「いずれはそういう柄になる」
「はっ? それはどういうことだ?」
しゅうううううん
魔王が何やら魔術を発動させた。今まで色んな魔術を見てきた経験から、それが転移魔法だと理解した。どこかへ飛んでいく感覚が体に伝わってきた。
転移先は自然に囲まれた村であった。そしてこの村は非常に見覚えのある場所だった。
「ここはもしや、俺の故郷のハルンデル村かっ!?」
「そうだ、お前の記憶を探りながら、この場所に転移してきたのだ」
「一体俺をこんなところまで連れてきて何をしようってんだ? まさか俺の前で許嫁を殺すか? もしくは俺を許嫁の前で処刑か?」
「まぁ、お前の選択次第によってはそうなることもあるなぁ。だから素直に従った方が利口だと言っておく」
次第に村の人達が転移した俺達の存在に気付き、集まってきた。そしてその中には俺との結婚を約束した幼なじみのキャンシーもいる。彼女は俺に視線を向けて驚いた顔をした。
「クルトス! どうしたのその傷はっ!?」
「今俺を抱きかかえているのは魔王様だ……無様に負けて、屈辱的帰還を果たしたってところだな……」
村人達が一斉に魔王に敵意の視線を向けた。
「こいつめ! よくもクルトスを!」
ぎぃん
魔王が村人達を睨み付けると、全員震え上がりその場から動けなくなった。中には失禁をするものや、気絶したものまでいた。恐らく今のは恐怖効果付きの睨み付けだろう。俺も雑魚モンスターとの戦闘を避けるためによくやったものだが、魔王がやるともはや別次元のものだった。俺でさえも心臓を冷たい手で鷲掴みされるような感覚を覚えた。
「勇者、いや、確かそこの娘がお前の名前を教えたな。クルトスよ、選択肢を与えてやる。この場で俺に犯されるか? もしくはお前を犯さない代わりに俺様が村人全員を抹殺するか? さぁどちらを選ぶ?」
「犯す? それはどういうことだ魔王?」
「お前は性教育を受けていないのか? この場でお前と性交を交わすということだ!」
「けっ、俺は男色趣味はないし、魔王に犯されるなんざまっぴらゴメンだ……だからといって村人達の命も粗末にはできねえ……だから俺の命をここで奪う選択肢を与えてくれよ……」
「お前ごときに選択肢を増やす権利はない! まぁ、はなっからこの場でお前を犯す選択肢以外選ばせない気だったがな」
「なにぃ!! 本気で言っているのかっ!?」
魔王は俺の防具に魔力を加えた。
ぱきぃん
俺の下半身の装備が魔力によってばらばらに壊れ、俺の性器が露出した状態となった。咄嗟に俺は太ももを閉じて、性器が村人に極力見えないようにした。
「俺は本気だ。さぁその卑猥なる性器を俺に堂々と見せるが良い」
「くっ、殺せ! こんな屈辱的な思いをするぐらいなら俺をとことん苦しめてから殺してくれ!!」
「おいおい、俺様をそんな野蛮人と誤解されるような言い方をするなよ?」
ぽん
魔王が何もない場所を見つめると、ベッドが出現した。寝心地は良さそうで、大きさも二人寝ても余裕があるくらいの大きさだ。ご丁寧に雨よけの屋根までついている。
「俺様からの大サービスだ。良いベッドの上で性交しようではないか」
「本気か魔王! やめろ! やめてくれ!!」
俺の必死の声など魔王の気持ちに届くはずもない。俺はベッドの上で寝かされ、魔王が上に覆い被さった。抵抗しようにも魔王との戦闘で体をまともに動かせる状況ではなかった。
ぱきぃぃん
魔王の解き放った魔術により、俺の装備品は完全に粉微塵と化し、ついに丸裸の状態とされた。
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