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迷宮。
魔力溜まりによって生じたり、ダンジョンマスターと呼ばれる魔物によりつくられたり、また神々の創作物として突如現れたりする謎の建築物である。
一口にダンジョンと言ってもその種類は数多く存在し、一般的に知られる洞窟型から廃坑、変わり種としては巨塔や屋敷の様な建物などが確認されている。
また、ダンジョンの特徴として挙げられるのがドロップアイテムやお宝の存在だ。
ダンジョン内には様々なモンスターが蔓延っているがダンジョン内に生息しているモンスターは倒すと姿が消えてそのモンスターに所縁のあるドロップアイテムを落とすことが知られている。また、内部には多種多様なトラップが仕掛けられていて冒険者に襲いかかるがそんな危険さえも霞むような魅力がダンジョン内には存在する。
その魅力がダンジョンの醍醐味と言っても過言ではないお宝。
ダンジョンが外来生物を招く為に用意しているお宝には・・・
【以下ダンジョンのランク別で出現するお宝の傾向についてが述べられる】
「ってのがダンジョンの簡単な説明だな、要するに冒険者にとっちゃあダンジョンは稼ぎ場の一つってわけだ!」
ガッハッハと腰に手を当てて笑うジキルさん。ご機嫌なジキルさんの隣には疲れたような顔をしているエリザベートさんがいる、お疲れ様です。
なぜ急にダンジョンの話が出たかといえば俺達が洞窟であった出来事を話したのがきっかけだった。
『そういえばジキルさん、前にみー婆が倒した敵が煙になって消えることがあったんですよね。なんか爪とかポトって残して』
『あぁ? そりゃそこがダンジョン内だからに決まってんだろ! んなもんガキでも分かることだぞ!』
『い、いや…俺の住んでたところにはダンジョンとかなかったので…』
『あぁ、坊主は外のやつだったな。ほいじゃ俺が説明してやっよ』
という感じだ。そこからジキルさんがダンジョンについて説明がはじまった、後半はまぁドロップアイテムとかお宝の話になっていたが大半になってたけど。
「ジキルさん、そんな適当な説明では困ります。冒険者の稼ぎ場としての面もありますがダンジョンが溢れない様にするため管理している面もありますからね?」
「それを気にせにゃいかんのは国や上のもんだろ? こいつらにゃ稼げるかどうかさえ教えときゃいいんだよっと、ほれエリザベートの嬢ちゃんは戻って報酬用意してやってくれ。これから坊主にはたっぷりダンジョンで稼いで貰わんとな! そうだろ?坊主」
ジキルさんに肩を組まれながら尋ねられる俺だがそんな簡単に同意を求められても困るのですが?それにギルドに戻っていくエリザベートさんの目がすごい怖いんですけど…
「あ、あははは…。で、でもダンジョンは気になりますね」
「だろ? 平原の近くにあるダンジョンは初心者向けだから慣れるにはちょうどいいぞ」
「平原っていうと(南)門から出てすぐにあるところですか?」
「すぐってわけでもねぇけど(北)門から割とちけぇかもな。近くの森にもダンジョンがいくつかあっから暇なら遊びに行ってこい、素材買い取ってやるぞ?」
へぇ、なら今度行ってみようかな? ダンジョンとかファンタジーの代名詞だし! でも死の森って恐れられてる印象なのに初心者ダンジョンあるんだな。
「あ、ダンジョンって必要な持ち物とかあるんですか?」
「一概には言えねぇがテントと食料は必需品だな、でかいダンジョンに挑むとなればそれこそ大荷物だ。ま、坊主は空間収納持ちだから関係なさそうだがな。最悪ダンジョン内で野宿できる装備がありゃいいんだ、死ぬかもしれんけどな」
詳しく知りたきゃエリザベートの嬢ちゃんに聞けやと笑いながら答えるジキルさんだが死ぬとか笑えないんですけど。これは完全装備で挑んだ方が良さそうだな。それにちゃんとエリザベートさんにダンジョンについて聞いておかなきゃな。それと食料もしっかり作り置きしていこう、よかった空間収納あって。
帰ったらアーノルドさん達にダンジョンに行ってもいいか聞いた方がいいよなぁお世話になってるし。
まぁ、初心者ダンジョンっていうくらいなんだから俺でも何とかなりそうかな?みー婆に俺も少しは頑張れるところ見せないと!
そんなことを考えながら俺はジークさんと別れ、受付にいたエリザベートさんから報酬をもらってダンジョンについて説明を受けた後フリージア家へと帰った。ジーナさんのご飯楽しみだなぁ。
ジュンがギルドを後にしみー婆と戯れながら帰っている時、エリザベートはジキルの元に足を運んでいた。
「ジキルさん、ジュン様がダンジョンについて説明して欲しいと尋ねてきましたが何か言いましたか?」
「あぁ? 特に何か言ったわけじゃねぇぞ? 近くに初心者向けのダンジョンがあるって言った程度だ」
「そうでしたか。ジュン様も冒険者ということでしょうかね。……まるで高難易度のダンジョンに挑むかの様に野営セットについてよく聞かれましたが」
基本的に低難易度のダンジョンというのは層が浅く日帰りで挑めるのが一般的だ。高難易度になると階層が多く、各層のフロアも広大になってくるため野営セットが必要になってくるが。
「まぁ始めてのダンジョンらしいからな、準備を怠らない面においてはいいことだろう。空間収納もあるし無駄にはならんだろう、それに失敗から学ぶこともある」
「そうですね。今までのことで少し過剰反応をしていたかもしれません」
エリザベートはジュンのこれまでの件で今回と何かあるんじゃないかと考えていた。また何かやらかすのではないかと。
だがジキルの失敗も経験の内だと、過分に準備を行おうとしているジュンに対しての考えを聞いてエリザベートは自身の考えを改めた。
だが…エリザベートのその考えの改めは裏切られる事となるだろう。
ジュンの、初心者ダンジョンは死の森の近くにあると言う勘違いを正さない限りは。
もしエリザベートがジュンとジキルの会話の最中にいればその勘違いは正せただろう、しっかりと北門から出たところにある平原にあるダンジョンですよ、と。
しかし、残念ながら運命はエリザベートには優しくないようだ。
南門側にあるダンジョンは全てが高難易度のダンジョンであり平原にある推奨ランクはゴールド。死の森内にあるダンジョンに至っては現在発見されているダンジョン全てが推奨ランクミスリル以上となっている。
果たして…ジュン達は生きて帰って来れるのか? エリザベートの胃は無事でいられるのか?
全ては神のみぞ知る……
魔力溜まりによって生じたり、ダンジョンマスターと呼ばれる魔物によりつくられたり、また神々の創作物として突如現れたりする謎の建築物である。
一口にダンジョンと言ってもその種類は数多く存在し、一般的に知られる洞窟型から廃坑、変わり種としては巨塔や屋敷の様な建物などが確認されている。
また、ダンジョンの特徴として挙げられるのがドロップアイテムやお宝の存在だ。
ダンジョン内には様々なモンスターが蔓延っているがダンジョン内に生息しているモンスターは倒すと姿が消えてそのモンスターに所縁のあるドロップアイテムを落とすことが知られている。また、内部には多種多様なトラップが仕掛けられていて冒険者に襲いかかるがそんな危険さえも霞むような魅力がダンジョン内には存在する。
その魅力がダンジョンの醍醐味と言っても過言ではないお宝。
ダンジョンが外来生物を招く為に用意しているお宝には・・・
【以下ダンジョンのランク別で出現するお宝の傾向についてが述べられる】
「ってのがダンジョンの簡単な説明だな、要するに冒険者にとっちゃあダンジョンは稼ぎ場の一つってわけだ!」
ガッハッハと腰に手を当てて笑うジキルさん。ご機嫌なジキルさんの隣には疲れたような顔をしているエリザベートさんがいる、お疲れ様です。
なぜ急にダンジョンの話が出たかといえば俺達が洞窟であった出来事を話したのがきっかけだった。
『そういえばジキルさん、前にみー婆が倒した敵が煙になって消えることがあったんですよね。なんか爪とかポトって残して』
『あぁ? そりゃそこがダンジョン内だからに決まってんだろ! んなもんガキでも分かることだぞ!』
『い、いや…俺の住んでたところにはダンジョンとかなかったので…』
『あぁ、坊主は外のやつだったな。ほいじゃ俺が説明してやっよ』
という感じだ。そこからジキルさんがダンジョンについて説明がはじまった、後半はまぁドロップアイテムとかお宝の話になっていたが大半になってたけど。
「ジキルさん、そんな適当な説明では困ります。冒険者の稼ぎ場としての面もありますがダンジョンが溢れない様にするため管理している面もありますからね?」
「それを気にせにゃいかんのは国や上のもんだろ? こいつらにゃ稼げるかどうかさえ教えときゃいいんだよっと、ほれエリザベートの嬢ちゃんは戻って報酬用意してやってくれ。これから坊主にはたっぷりダンジョンで稼いで貰わんとな! そうだろ?坊主」
ジキルさんに肩を組まれながら尋ねられる俺だがそんな簡単に同意を求められても困るのですが?それにギルドに戻っていくエリザベートさんの目がすごい怖いんですけど…
「あ、あははは…。で、でもダンジョンは気になりますね」
「だろ? 平原の近くにあるダンジョンは初心者向けだから慣れるにはちょうどいいぞ」
「平原っていうと(南)門から出てすぐにあるところですか?」
「すぐってわけでもねぇけど(北)門から割とちけぇかもな。近くの森にもダンジョンがいくつかあっから暇なら遊びに行ってこい、素材買い取ってやるぞ?」
へぇ、なら今度行ってみようかな? ダンジョンとかファンタジーの代名詞だし! でも死の森って恐れられてる印象なのに初心者ダンジョンあるんだな。
「あ、ダンジョンって必要な持ち物とかあるんですか?」
「一概には言えねぇがテントと食料は必需品だな、でかいダンジョンに挑むとなればそれこそ大荷物だ。ま、坊主は空間収納持ちだから関係なさそうだがな。最悪ダンジョン内で野宿できる装備がありゃいいんだ、死ぬかもしれんけどな」
詳しく知りたきゃエリザベートの嬢ちゃんに聞けやと笑いながら答えるジキルさんだが死ぬとか笑えないんですけど。これは完全装備で挑んだ方が良さそうだな。それにちゃんとエリザベートさんにダンジョンについて聞いておかなきゃな。それと食料もしっかり作り置きしていこう、よかった空間収納あって。
帰ったらアーノルドさん達にダンジョンに行ってもいいか聞いた方がいいよなぁお世話になってるし。
まぁ、初心者ダンジョンっていうくらいなんだから俺でも何とかなりそうかな?みー婆に俺も少しは頑張れるところ見せないと!
そんなことを考えながら俺はジークさんと別れ、受付にいたエリザベートさんから報酬をもらってダンジョンについて説明を受けた後フリージア家へと帰った。ジーナさんのご飯楽しみだなぁ。
ジュンがギルドを後にしみー婆と戯れながら帰っている時、エリザベートはジキルの元に足を運んでいた。
「ジキルさん、ジュン様がダンジョンについて説明して欲しいと尋ねてきましたが何か言いましたか?」
「あぁ? 特に何か言ったわけじゃねぇぞ? 近くに初心者向けのダンジョンがあるって言った程度だ」
「そうでしたか。ジュン様も冒険者ということでしょうかね。……まるで高難易度のダンジョンに挑むかの様に野営セットについてよく聞かれましたが」
基本的に低難易度のダンジョンというのは層が浅く日帰りで挑めるのが一般的だ。高難易度になると階層が多く、各層のフロアも広大になってくるため野営セットが必要になってくるが。
「まぁ始めてのダンジョンらしいからな、準備を怠らない面においてはいいことだろう。空間収納もあるし無駄にはならんだろう、それに失敗から学ぶこともある」
「そうですね。今までのことで少し過剰反応をしていたかもしれません」
エリザベートはジュンのこれまでの件で今回と何かあるんじゃないかと考えていた。また何かやらかすのではないかと。
だがジキルの失敗も経験の内だと、過分に準備を行おうとしているジュンに対しての考えを聞いてエリザベートは自身の考えを改めた。
だが…エリザベートのその考えの改めは裏切られる事となるだろう。
ジュンの、初心者ダンジョンは死の森の近くにあると言う勘違いを正さない限りは。
もしエリザベートがジュンとジキルの会話の最中にいればその勘違いは正せただろう、しっかりと北門から出たところにある平原にあるダンジョンですよ、と。
しかし、残念ながら運命はエリザベートには優しくないようだ。
南門側にあるダンジョンは全てが高難易度のダンジョンであり平原にある推奨ランクはゴールド。死の森内にあるダンジョンに至っては現在発見されているダンジョン全てが推奨ランクミスリル以上となっている。
果たして…ジュン達は生きて帰って来れるのか? エリザベートの胃は無事でいられるのか?
全ては神のみぞ知る……
応援ありがとうございます!
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