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金木犀

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愛撫

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警察署での事情聴取は、彰人の体調も鑑みて短時間で終わり6人はすぐに宿に戻れることになった

「おかえりなさい!!」

6人が宿に戻ると、福部により事前に連絡を受けていたサークル員が玄関に集まっていた

大勢に出迎えられた彰人は、再び植え付けられたトラウマのせいでびくりと震え須田の大きな背中に隠れるように捕まった

「大丈夫、俺がいる」

頭を撫でながらそう言われても、恐怖心は抜けず小さく縮こまっていた

「山本、疲れたでしょう……少し部屋で休んでおいで?」

福部が優しくそう声をかけても、Domである彼を怖がり喉の奥でひゅっと息を吸い込みぶるぶると震えていた

「山本?俺ら先に飯食ってるから少し休んだらおいでな?」

それならSubの俺がと沢井が声を掛けても、同じように震えるばかりで須田の背中から出てこようとはしなかった

須田は福部や沢井と顔を合わして首を振ると、その場に集まっていた学生達を引き連れて大広間の方へ移動していった

「もう大丈夫、俺らしかいないよ」

そう言って背中側にいる彰人を自分の体の前に移動させて抱き締めると、そろりと背中に腕を巻き付け返してくれた

「とりあえず、部屋行って風呂入ろっか」

宿の主人の計らいで1階にある露天風呂付きの部屋に2人だけ移動させてもらったことを聞いていたため、そのまま彰人のことを抱っこして玄関から移動した

「なぁ、彰人……一緒に入っていいか?俺も汗流したい」

なんとなく1人にするのが不安でそう声をかけると、左手についたままのベルトを服の上からぎゅっと掴むのが見えた

「彰人、Comeおいで

優しくそう呼びかけると、訓練していた時と同じようにすぐに目の前に移動してきた

GoodBoyいい子、一緒に入っていい?」

抱きしめながら再びそう聞くと、腕の中でこくんと頷くのを感じた

そのまま2人で露天風呂の方に移動すると、小さな民宿とは思えないほど立派な温泉があった

「すげぇな」

「う、ん……」

思わず感嘆の声をあげると、横にいた彰人も小さく頷いていた

備え付きのシャワーで、汗や海水を流すためにお湯を浴びると日焼けをした肌にピリピリとお湯が染みた

横に座り同じようにシャワーを浴びる彰人を見ると、ボディーソープをタオルに出して、体を擦り始めたのが見えた

最初は弱い力だったものが、まるで翔達に触れられた皮を全て剥がそうとしているかのような強さで擦り始めたのを見て慌てて擦っていた腕を掴んだ

「彰人!そんなに強く擦んな!」

「……っ!!やだ!汚いもん!!」

震える声で叫ぶ彰人のことを須田は掴んだ腕を離さずにそのまま抱きしめた
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